奈々は授乳したい
「おかしいだろ! 家族でセックスは!!」
「そうかなぁ」
俺達は朝ご飯の五穀米と味噌汁、きゅうりの浅漬けを食べながら例のお品書きについて話をしていた。
体型維持のために食事に気を遣う我が家では、基本白米じゃなく五穀米を食べる。
「ゴムつけるから大丈夫だって」
「そういう問題じゃないだろ! やだよ、初めての相手が家族は!」
「え、お兄ちゃん童貞なの?」
……リビングが沈黙に包まれる。
「……そうですけど。悪いか! お前らビッチと一緒にするな!」
「ひどーい。私も処女だよ?」
「私も処女……」
「私は、経験人数1人だけ」
大体同じじゃねえか!
「あと、母親の経験人数とか聞きたくないんですけど」
「まあ、仲間外れにしないでよ。このお品書きだって、私抜きで決めちゃうんだもの」
「これは、俺が勃起したときオナニーを手伝うのがグラビアアイドルとして成長に繋がるとか2人が言うから……」
「私だってグラビアアイドルよ?」
そう、俺の妹と姉と母はグラビアアイドルである。中でも母さんは、かなり異色の経歴を持っている。
俺の母さん、井上奈々は、高校在学中にグラビアアイドルになり、卒業後父さんと出会って結婚。18で姉さんを産むも、グラビアの仕事は辞めず、3人の子供を育てながらHカップグラビアアイドルとして現在も第一線で活躍している。今年38歳だ。
普通グラビアアイドルって、歳を重ねると次第にタレントや役者の道にシフトしていくもんだが、母さんは頑なにそうしない。
……まあ、演技下手そうだもんな。
「とにかく、このお品書きはオナニーの手伝いするやつであって、だから母さんは関係ないだろ! 自分の息子のオナニーの手伝いなんて嫌だろ?」
「あら、私は構わないけど。ちっちゃかった康ちゃんのおちんちんを、よくむきむき体操してあげてたし」
「いいな〜!」
よくねえよ。
「俺が嫌なの! 愛海と姉さんは百歩譲っていいとして、母さんとエッチなことするとかあり得ねーから!」
「フラグを丁寧に立てたね……」
「うるさい! こちそうさま!」
俺はリビングから立ち去る。そのまま逃げるように高校へ向かった。
***
「えー、妹さんグラビアアイドルになったの!? 凄いじゃん!」
「困ったもんだよ……」
学校の休み時間、俺は幼馴染みの飛鳥に愚痴をこぼしていた。俺と飛鳥の席は隣同士なので、よく会話をする。
「どうして困るの? 立派じゃない」
「グラビアで上手くいくのなんてほんの一握りだよ。母さんと姉さんが成功してるから自分もできると楽観的になってるんだろうけど、そんな甘いもんじゃない。それに、上手くいったとして稼げるのはほんの短い期間だけだ。働くならもっと安定した道を歩いてほしいもんなんだよ、兄としては」
「ふーん」
飛鳥はニヤニヤしながら俺を見てる。
「心配してるんだねぇ、妹のこと」
「べ、別に心配してねーよ」
「でもお母さんもグラビアアイドルなんでしょ? 色々教えてくれそうでいいじゃない」
「どうだかな……」
母さんは教えるのが上手い人ではないからな。感覚派というか。
「ホント完璧だよね、康太のお母さん。綺麗で仕事できて、美味しいご飯作れて」
「まあ、ご飯は美味しい……あっ!」
しまった。
「どうしたの?」
「弁当忘れてきた」
うちの学校の昼食は、給食ではなく弁当だ。毎日母さんの作った弁当を持っていくのだが、今日はお品書きのドタバタで忘れてしまった。
「あらら」
「購買部で何かパンでも買うか……」
財布にいくら入ってたっけ、と確認しようとしたとき、先生が教室に入ってきた。
「井上、お母さんが来てるぞ」
「えっ!?」
母さんがワンピース姿で廊下に立っていた。手には俺が忘れた弁当箱。
「忘れてたでしょ? これ」
「あ……ごめん」
俺は顔を真っ赤に染めながら弁当箱を貰う。学校に親が来るってだけで恥ずかしいのに、その理由が俺の忘れ物って……。
「井上のお母さんって、グラビアアイドルなんでしょ?」
「この前雑誌の表紙に載ってたよね」
「うわ、服の上からでもおっぱいでけえ」
クラスメイト達のヒソヒソ話す声が聞こえる。もう恥ずかしすぎて卒倒しそうだ。
「じゃあ……もう帰るね。康ちゃん」
母さんがニコッと笑った。その笑顔に、俺はドキッとしてしまう。
……じゃねえよ! 母親にドキドキするなんてどうかしてるぞ!
俺は深呼吸をして心を落ち着かせ、席に戻る。
「康ちゃん」
「からかうなよ」
飛鳥が頬杖をついて俺の弁当箱を見た。
「やっぱ超美人だね、お母さん」
「……まあな」
俺はなんて答えたらいいか分からなかった。
***
帰宅すると、母さんだけが家にいた。
「お帰り。ご飯にするね」
「うん」
夕食はメバルの煮付けだった。身を崩して口に運ぶと、想像以上の美味さだ。
「ねえ、学校行ったの迷惑だった?」
「いや、そんなことないよ! 弁当届けてくれて嬉しかったし」
「そう? でもなんか、恥ずかしそうだったから……」
「それは……恥ずかしかったけど」
俺は口ごもった。そんな俺を見て、母さんは笑った。
「ねえ、康ちゃんが中学生のときに、他校のヤンキーみたいな子達と喧嘩したの覚えてる?」
「そりゃまあ、もちろん……」
俺が中学生のとき、母さんはもちろんグラビアアイドルをやってて、雑誌の表紙で水着になってた。中学生の俺はそれがとても嫌だった。
でもコンビニで、ヤンキーが母さんの悪口を言ったんだ。「またこのババアかよ」とかなんとか。
表に出る人間ならついて回る言葉で、母さんはそれを聞いても多分何とも思わなかったはずだ。でも俺にはそれが許せなかった。母さんが食事に気を遣ってることとか、ご飯作ってくれてることとか、頑張ってることとか、俺は知ってたから。
コンビニで口論になって殴り合いの喧嘩になり、警察が出てくる事態になった。事の顛末は警察から学校、学校から母さんへと知らされた。
「康ちゃん、あのときと同じ顔してる」
「……どっちも俺のせいだよ。母さんは何も悪くない」
母さんを悪く言う言葉なんて聞き流せばよかったし、弁当箱を忘れなきゃ良かったし、学校に母さんが来ても堂々としとけば良かったんだ。それだけの話なんだ。
母さんの手が、俺の頭に伸びる。
「ごめんね。私の仕事のせいで、たくさん苦労かけちゃったよね」
「やめてよ……」
「私にできることなら、何でもするからね」
何でもって……。
一瞬脳裏によぎったのはお品書きだ。
いやいや、さすがにそれは……。
「あ、おっぱい飲む?」
母さんの口から出たのは俺の想像を超える提案だった。
「何でだよ!」
「だって小さい頃は、私のおっぱい飲んでたでしょ?」
「小さいってそりゃ赤ちゃんのときだろ!? もう高校生だぞ!」
「そう?」
母さんの胸に目がいく。この家で一番デカいおっぱい。あれを吸うって……。
ゴクン。
思わず生唾を飲んでしまう。
「……2人ともまだ、帰ってこないよね?」
「ええ」
親子でセックスはダメだけど、おっぱい飲むくらいなら、いいんじゃないか? 赤ちゃんの頃はやってたことだって、母さんも言ってるし……。
「じゃあ、ちょっとだけ飲む」
夕食を食べ終えた俺は、赤ちゃんみたいに母さんに抱かれる。体重を母さんに預けて、リラックスした体勢だ。
母さんは服を脱いで、左のおっぱいだけを曝け出す。ぷっくりと膨らんだ乳首に、俺は口をつけた。
「んっ♡たくさん飲んでね♡」
母さんのおっぱいを吸う。ちゅうちゅうと吸っていると、液体が奥から染み出てくる。
喉を鳴らして、その液体を飲み込んだ。深いコクがある。美味い。
「よしよし♡上手におっぱい飲めましたね♡」
俺は舌で乳首を舐めた。
「あんっ♡こーらっ、赤ちゃんはそんなエッチな舐め方しません♡」
可愛い。俺は舌を高速で動かす。
チロチロチロチロ……!
「あっ♡はぁっ♡ダメっ♡そんな先っぽばっかり責められたらぁっ♡……あぁっ♡♡」
母さんが痙攣するのを、俺は舌先で感じ取った。なんだか安らかな気持ちになり、俺はそのまま眠ってしまった。
そして1時間後、母さんの乳首を咥えながら眠る俺の姿を、愛海と姉さんが発見するのだった。