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天王寺玲央①

学校は、退屈だ。
勉強ができて運動ができても、退屈だ。
告白をされて断るのも面倒くさい。男子に媚びを売って話をしたくないし、女子と馬鹿みたいな話をしたくないから、休み時間はいつも腕を枕にうつ伏せになって寝たふりか、あるいは本当に寝る。
そんなくだらない日常を今日も過ごすために、この人がいっぱいの電車で座りながら図書室で借りた本を読む。
恋愛小説だ。
クラスでも友達の多い男子の中の人気者の男子学生に、友達のいない女子高生がある日告白される話。
鼻で笑いながら、およそ100頁まで読み進めたその本のページを捲る。

「……?」

視界の端で映った、私と同じ学校の制服を見て、誰が乗っているのかなんとなく確認した。
山川帝
みかど
。かっけえ名前をしてるなって、同じクラスで自己紹介をしたときに考えたのを覚えてる。
クラスで人気者。私と比べれば大体のやつは人気者だが、多分クラスで一番友達が多いのはコイツだろう。他クラスのやつとも男女問わず話す姿をよく見かける。

「ぁ……」

なぜか、山川は肩を震わせていた。気分でも悪いのかと思ったが違う。誰の手かは分からないが、誰かの手が山川の尻を撫でていた。

「おい、替われよ」

私は読んでいた本を閉じ、立ち上がると入れ替わるように山川を席に座らせた。

「えっ」

目をぱちくりとしながら私を見る山川。お前はきっと、私の顔も知らないだろう。知られる気も、ない。

「勘違いするなよ。目の前で震えててうぜえから座らせただけだ」

いや、本当は嫉妬していたのかもしれない。
山川の尻を見知らぬやつが触れていることに、私は私となんの関わりもない山川の尻を撫でた女性に、心底嫉妬したのだ。
私が替わって欲しかったのは山川、お前じゃなくて、痴女だったのかもしれない。

♀♂

休憩時間中、何時も通り机の上で腕を枕にうつ伏せになって寝たふりをしながら、山川の声をこっそり聴いていた。
山川が珍しく小テストで0点を取ったとか、そういうの。
合間で女子が、「今日の山川、なんかエロくない?」とか言っていてこっそり様子を確認しようとしたが寝たふりを続けた。
山川と話している友達が「女子ってマジ馬鹿」とか、「女子ってマジ変態」とか、おふざけのような本音のような分からないことを言う。女子なんてみんなスケベだ。棒のぼりなんて性的目的で股を擦るために上るし、一日に一回は最低オナニーしてるのが普通で、昨日5回しちゃってさあなんて下ネタが飛び交っている。だから否定する気もない。

「でも女の人ってなんかいい匂いするよね」

山川は。
山川がそう反論したのを、多分女子たちは全員聞き耳を立てて聞いていた。

「は?」
「そういえば女子ってさ、オナニーするのかな?」

爆弾発言だった。
クラスの女子たちはグループで何かを喋り続けている振りをして、その実、感情が籠っていないのが分かる。

「いや、おまおまえ急に……」
「聞いてみるか……この世界ならセクハラじゃないよな」

何かを小声でボソッと言っていたが、聞き耳に集中している私にも分からなかった。

「あ、ねえねえ。澪ってさ、オナニーとかするのやっぱ?」
「っっっっ! は、はあ? 急にどうしたの?」

まるで今、その話題を聞いたかのように、女子はふるまった。

「いや、気になって」
「……まあ、ねえ。するけど?」
「おー、週に何回くらい?」
「…………」
「あ、言いづらいか。いや俺は毎日してるんだけどさー」
「ぶふぅ!」
「うわっ、ビックリした」
「ビックリするのはこっちだよ。えーちょっと、男子マジ変態なんだけど~」

嬉しそうに、女子たちがそう騒ぎ立てた。
今日の山川は、確かに「エロかった」。

♀♂

今日は絶対に山川をオカズにしてオナニーすると、クラスメイト大半が考えているんだろうなと思いながら、何時も通り一人で帰宅する。その道中、階段を下っているところでくだんの山川に後ろから声をかけられた。

「天王寺さん」
「……なに? 朝のことだったら別にどうでもいいけど」

俺と、山川は言い淀む。
あん? と私はいぶかしむ。
まるで朝読んでいた小説と同じように、愛の告白でもされるかのようだった。

俺と、と山川はもう一度言って。

「俺と――エッチしてくださいっ!」

さあ――どうしてこうなった。

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