巨乳キャラあつめました 巨乳のキャラクターが登場する漫画や小説を集めたサイト

童貞を捨てた夜と変わった様子の見られない妹

天王寺玲央で童貞を卒業した後、天王寺の母親が帰ってきて多少ドタバタしながら帰宅した。
それから母に友達と遊んでたと言い訳をして夕飯を食べると、部屋に戻ってべっどにゴロンと寝転んだ。

「は~」

あ~。思考がふわふわする。
今日俺、童貞卒業したんだよな? しかも相手はあの天王寺玲央で。
マジか、マジか。
この世界、割と最高かもしれない。
だって考えられるか? 俺が、ただクラスメイトってだけで最低限しか話したこともないクラスメイトと、天王寺と、セックスできるなんて。
なんていうか、童貞を卒業したら景色って違ってくるのかと思ったけれど、なんだろう、確かに、違うと言えば違う、な。
なんていうか、人としての目標の一つを達成した気分だ。
目標を達成したから、余裕が生まれる。これが多分、大人になるってことなんだろうな。

「……」

普通、こういう変化ができた時はあんまり余計な行動をとることはしないのだが、俺はベッドから起き上がり部屋を出た。
そして隣の妹の部屋である里奈
りな
の戸を叩く。
ちなみに俺は4人兄妹。姉一人、妹二人。俺は二番目に生まれた長男だ。

「はーい?」

ガチャっと戸を開けて俺を見る里奈。
里奈に関しては前の世界では別に仲良しってわけでも仲が悪いってわけでもない。ただの兄妹って感じ。ショートカットで年齢通りに幼い見た目をしている、目に入れても痛くない妹だ。

「どうしたのお兄ちゃん? ゲームする?」
「いや、雑談」
「雑談」
「部屋入っていい?」
「う~ん、ダメかな。お兄ちゃんの部屋ならいいけど」
「いいぜ、付いてきな!」

背中を見せてすぐ隣の扉を開いて招き入れる。
招き入れて床に座らせた後、きょろきょろと部屋を見渡す里奈。

「なんか変わった?」
「知らん。変わったように見えるか?」

やはり童貞を卒業したら雰囲気は変わるのか、両手を広げて自分を見せる。

「知らない。で、何? 雑談って、気になる女子でもできたの?」
「強いて言うなら全員気になるけど」
「うわ、エッチ」
「否定はしない」
「うわ、ビッチ」
「否定はしない」
「否定はしてよ」

志すのはエッチなビッチだから、間違っちゃいないんだよな。ただまだ経験人数が一人だけだから、別に純情ビッチを演じられはするけど。

「いやまあまだビッチではないけど、ビッチになってもありだなと」
「……マジ?」
「やっぱ否定的?」
「うん? うーーーーーーん、知らない他人ならいざ知らず、それが実の兄となると……ちょっと、うーん」
「ふむ」

ここら辺の価値観もやはり変わらないんだな。ある程度はスマホで見てリサーチ済みだったが、現場のリアルな声は大事だ。
まあ気持ちは分かる。俺も元の世界ではそう言う側だ。見た目ビッチなギャルが実は処女でオタクに優しいとか好きなタイプだった。実際に自分以外の不特定多数の男性と性行為してる設定だと、なぜか胸がもやもやとした気持ちになったものだ。

「だけどさ、どうしてエッチって気持ち良いのに、沢山の人としたってだけで悪いこと、みたいになるんだろうな」
「……それは、」

里奈は言葉に詰まった様子だった。
この妹と雑談する際に、言いすぎなことはないだろうと俺は確信を得ている。
成績は普通で運動も普通で、性格も難はないが、山川里奈という妹は、あまりに平等で公平で公正な意見をくれる。兄である俺にも、友達にも、おそらく総理大臣にもだ。だから俺は里奈には絶対に嘘を吐かないと決めているし、それを里奈もおそらく分かっている。

「うーん、そうだね……。お兄ちゃん」
「うむ?」
「里奈もさ、できればエッチってたくさんの人としたいんだよね」
「なんと」

世界の変わった影響か、あるいは元からなのか、判断しかねる。
だが実の妹がたくさんの人とエッチしたいと言われると、俺はなぜか嫉妬を隠せない。

「でもお兄ちゃんが、ううん、知らない他人でも、沢山の女の人とエッチしたって聞いたら、里奈は多分心底ムカつくんだ」
「ふむ……それはまたどうして」
「ただの嫉妬だよ。里奈以外の女とエッチするとか、里奈より優先した人がいるってわけで、そんなの嫉妬しかしないよ。汚い綺麗の問題ってわけじゃなく、性病とかそういう理由じゃなく、赤ちゃんがどうのこうのとかいう尊さとかじゃなく、エッチに関しては里奈を第一に優先して欲しいの。里奈を一番に愛せっていう、嫉妬」
「……なるほど」

俺は考える。
なるほど、ともう一度呟いて。
確かに、だから、か。
俺は話したことのない他人でも、同人誌の中にいるキャラクターでも、俺(主人公)を一番に優先して愛して欲しいのだ。
そして愛を伝える一番の行動は、セックスだ。
だからそのセックスを他人にしたという事実だけで、俺以外の人物を愛したという事実を伝えられた気分になり、気持ち悪くなるのだ。俺(主人公)を愛したと言っても、その同じ愛を、別人にも向けたってことだろう。
確かに、ヒロインがレイプされるより浮気される方が俺のダメージはでかい。

「ふうむ、お前の雑談は分かりやすいな」
「分かりにくい雑談って何さ」
「男の子はりんごをどこで買って来たのかを聞いてほしいの……」
「馬鹿にしてるの?」
「してない」

だけどこれだけ楽しい会話をされると、ただで返すのは申し訳なさがあるな。お礼をしたくなる。
俺のパンツでもあげてみるか。前の世界だったら『いらね』って一蹴されたけど、特段変わった様子は見られない里奈も、この世界だとどうなるんだろう。

「楽しい雑談だな、俺のパンツいるか?」
「何に使えと?」
「そらナニよ」
「寄こせ」
「頼み方ってもんがあるんじゃないのか?」
「ください」
「もっと情熱的に!」
「お兄ちゃんのぉ、パンツほちいの、里奈ぁ、お股からおつゆでてきてどうしたらいいか分かんないのぉ」
「や、やるなお前……」

そこまでやるとは、思わず引いてしまった。
俺のパンツってそこまで言ってでも貰う価値はこの世界ではあるのか? だがもし里奈に同じことを聞かれたら、確かに俺も同じようなことを返すかも。

「ほらよ、パンツだ」

タンスからパンツを二枚取り出して里奈に投げ渡す。片手で一枚ずつキャッチする里奈。

「ちゃんと使って返せよ。洗わなくていいから」
「逆では?」
「なんだ、使わない気だったのか」

やれやれ、肩を上げて首を振った。

「使っても恥ずかしくて言えないよ。しかもお兄ちゃんだし、気まずすぎるよ」

それより恥ずかしいことを言っていた気がするのだが。

「だけど言ったら進展するかもしれないぞ。選択肢を見誤るな」
「ゲームオーバーだよ。家族会議だよ」
「じゃあ使わないのか?」
「……」

里奈は立ち上がり、パンツを握りしめたまま部屋を出ていった。
隣で戸を開けた音が聞こえて、普通に戸を閉めた音が聞こえた。

今日、里奈がこの部屋に戻ることはなかった。

他の漫画を見る