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天王寺玲央②

異性との――山川帝との初めてのセックスの余韻に浸っている間に、何時もより早く帰ってきた父親に焦りながらすぐに服を着替えて、隙を見て二人で一緒に外に出た。山川が家に来たことは、おそらく玄関に見知らぬ靴があったかを確かめていない限りはバレていないだろう。

「じゃあ、また明日」
「う、うん。また、明日」

クラスで見る何時もの制服姿で、何時も通りに歩く山川の後姿を見つめながら手を振った。すぐに家に戻ったら父親に何か疑われる可能性を考えて、適当に散歩して時間を潰してから帰った。途中、膣の中から垂れるものにビクッとなって慌ててコンビニのトイレに入って確かめたりもした。
確かめた正体のその白い粘液にいちいち興奮して匂いを嗅いだり、少しだけ舌に乗せてみたりした(自分の膣の中にあることを考えると微妙な気持ちだったのですぐに吐き出したが)。あとは普通に処理してし、下着を戻して何食わぬ顔でコンビニを物見した。
あとは良いころ合いで帰って、夕飯を食べたのだが、その日の夕飯の味なんて覚えてない。頭の中は山川とセックスしたという夢のようなあの時間のことばかりを考えて頭がいっぱいだった。

「はー」

ベッドで倒れこむように寝て、スマホを弄った。

「あー」

全然集中できなかったので、スマホの電源を落として目をつむった。それでなんとなく、ベッドの匂いを嗅いで――
山川がこのベッドにいたことを思い出した。

「……」

今度は意識して、匂いを嗅いだ。

――俺と、エッチしてください。

そう言われて、あわよくばという気持ちもあったし、実際に頭が大丈夫かって心配もあったから、家に招いた――いや、あわよくばという気持ちが大半だろう、じゃなきゃ私は普段話もしない男を家に招いたりなんてしない。
私は山川とセックスしたかったことを白状しよう。
山川のペニスを握りたかったし、裸を見たかったし、おっぱいを触りたかった。

男だったら誰でもいいかと言われたらそうではないが、山川帝が相手ならまあ良かった。
特定の誰かという意識はない、それなりの見た目で、性格で、面倒くさくなさそうで、そんな男が目の前で明らかに性意識を煽っていたら私は煽り通りに襲う。そういう意味では山川はちょうどよかった。

――おっぱい触る? 触りたくない?

――あんっ♪ 天王寺さん、エッチぃ~

――そんなに俺のおっぱい触りたかったんでちゅね~

気が付いたら私は、自分のおっぱいを触って息を乱していた。そして自分の股間に手を伸ばして、クリトリスを下着の上から擦って刺激を与えていた。
山川の声を思い出しながら。
山川の顔を思い出しながら。
山川の身体を思い出しながら。
山川との行為を思い出しながら、私はオナニーしていた。

「……っ」

私はその夜、結局5回イくまで続けた。

♀♂

私は何時も通り学校に行く。初めてエッチをしたからか、自分でも分かる程に幸せな気持ちになっているからか、景色は何時もより綺麗に見えて、朝から幸せな気持ちになっていた。草が揺れてぶつかり合う音色を楽しんだり、誰かと誰かのやりとりに素直に面白いと思ったり、そういう幸せな感じ。

「おはよ~」

何時ものように机に突っ伏していたら山川の声がして、心臓がドキリと跳ねた。

「おはー」
「いやー、あー、昨日のドラマ見た?」
「昨日? 見てない。なんかやってたん?」
「知らん」
「なんだそりゃ」

山川は、少なくとも朝から私とのことを話すつもりはなかったらしい。
ホッと、私は息を吐いた。
……ホッと? 私は今、安心したのか。

それから、朝のHRが始まると、そのすぐ後に授業が始まった。授業で教えられることは、もう暇つぶしに授業中に進めていた分の予習で済んでいた余裕もあって、私は山川のことを考えていた。
昨日、山川のことを考えていたばかりで、その実、私は山川との行為しか考えていなかった。

山川帝。
成績が悪いとも聞かないし、運動も特別できるというわけではないから、目立った話題は聞かない。よく誰かと話してる姿を見かけたり聞いたりはする。
左後ろの人を挟んだ少し離れた席に、山川は位置していて、私はそんな山川とセックスしたという優越感があった。
何食わぬ顔で授業を受けている山川が、私と昨日セックスした。
その事実に、私は興奮する。

――それは違う。

そうじゃない。そうじゃない。
興奮とかそういう話じゃない。

目をつぶり、よく考える。私は山川と何がしたい? セックスしたい。

――それは違う違う。

そうだ。
そうだそうだ。
そもそも、山川はどうしていきなり「俺とエッチしてください」なんて言ってきたんだ。昨日はそれを考えようとして、山川との行為を思い出すことに熱中してしまったんだ。
……もう一回、セックスしてくれるのだろうか。
私は山川ともう一回セックスしたかった。
もう一回と言わず、もう一生、山川とセックスしたかった。
学校が終わったら今日にでもセックスしたいし、今度はもっとちゃんと、がっつかずに気持ち良くなりたい。もっと、もっともっと――山川のことを知りたい。

――――違う違う。一先ずは置いておこう。

議題はどうして山川がいきなり私に「エッチしてください」って言ってきたことだ。
どうしてって考えられるのは……私のことが好きだから。あるいは、山川が実はエッチすることが好きな、ただのスケベ男子だから?
後者はあまり考えられないだろう。山川のそんな噂は聞いたことないし、それにそんな都合の良い男子がたまたま偶然同じクラスにいたとか、それこそファンタジーだ。それに――

それに、山川が私以外の女とも簡単にエッチもするとしたら、それは――腹が立つ。

チャイムが鳴り、授業の終わりを告げて休み時間になると、その短い時間の間にまた喧騒が戻る。

「山川ってさ、結構男女隔てないよね」
「どしたの急に?」
「いや、そういうの、いいなーって。ね?」
「あー、ね。分かる」
「まあね。まあ山川女子っぽいし。全然男として見れないから」
「褒めたと思ったら普通に失礼だなー」

そう山川が突っ込みを入れると、あははーと明るい笑い声が出る。休み時間、山川は女子と楽しく話していた。
山川が女子っぽい、というのはネタだろう。分かりやすい、とても分かりやすい自分は山川のことをなんとも思っていないアピールで、好きな相手をあえてからかって興味を引くというアピールも兼ねている。傍から見たら分かりやすいものだった。
それを山川は分かっているのか分かっていないのか、面白おかしく返す。

…………別に。

別に今まで山川が他の女子と話してても、なんとも思ってなかったんだけど。
今日、話しているのを見ると、私以外の女と楽しく話しているのを聞いていると、ちょっと腹が立った。
独占欲、だ。
山川が誰かと、女子と楽しく話しているのを見ると、ムカつく。気に食わない。セックスした優越感よりも、セックスしたと公言して山川から不特定多数を引き剥がしたかった。
それに、昨日私のことを受け入れて、私も山川を受け入れて、そういう両方が受け入れなければ成立しないセックスという行為をしたのに、あんなにもいつも通りの山川を見てると、イライラした。

山川を見てると腹が立った。
山川を見てるとイライラした。
山川を見てると――ムカムカしたんだ。

だから休み時間が終わって、授業が始まって、それで一日が終わって。クラスがそれぞれ部活やら帰宅やら何やらで移動していくところで、山川が教室で談笑してからクラスを出て行った跡を衝動のままに私は追った。

山川。
山川帝。

階段を降りていくのを見て、私は声をかける。

山川が振り向いた。

振り向いた山川に、見惚れてしばらく時間が止まったように感じた。そういえば、昨日別れてからまだ一度も正面から山川の顔を見ていなかった。

私は山川とセックスしたかった。
私は山川のことをもっと知りたかった。
私は山川が他の女と話すところに嫉妬した。
私は山川にイライラして、胸がムカムカして、山川のことが気になって仕方がなかった。

「私と」

――私はそんな山川と一緒にいたいと思った。

それは――違くなかった。
そう分かると、山川を目の前にすると、言いたいことも聞きたいことも全部吹き飛んで、私は安い恋愛漫画にありがちな台詞を、こんな校内の階段で言っていた。

「私と――付き合ってください」
「…………え?」

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