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おもしれー女(震え声)

「…………えーっと」

さあさあさあさあ、どうしてどうしてこうなった。どしてこなた! どしてこなた!
祭り祭りだわっしょいわっしょい。
今更真っ赤な顔になってる天王寺放って帰ろっかなー。
いや、いやいやいや。ふうむ、ふむふむふうむ。
やべー、分かんねー(思考停止)。目の前の事態に頭の容量いっぱいで頭働かねえ。ピンチだ。
ビッチを目指してた矢先に天王寺と付き合うとか、なんかプロ野球選手目指してたらプロサッカー選手にスカウトされたみたいな話で、どう反応したらいいかマジで分かんねえ。

「た、タイム!」

うろ覚えのスペシウム光線のようなタイムポーズをして一旦停止を要求した。
しかし天王寺は止まらず前に詰め寄ってきて距離を詰められる。思わず後ずさる俺の逃げ場を塞ぐように、天王寺の手が顔のすぐ横を通った。天王寺の力ある目が、俺を見つめる。
か、壁ドンだ……される側とは思わんかった。
「好きだ。単純かもしれないけど、昨日エッチして、お前のことが好きになった。お前のことが気になってしょうがなくって、誰にもお前を渡したくない」
「ちか、近い近いっ」

その格好良い顔と声で不安気に言ってくるの、本当にきゅんきゅんと来るから止めて欲しい。壁ドンの男らしさと不安気な告白のギャップジェットコースターでどうにかなっちゃいそうだ。
やべえよやべえよ。
でも天王寺さんに、『俺ビッチになる予定だからごめん!』とか言えないしなあ。てか本当に近い、キスしそうだ。

ちゅっ。

キスした。
本当にキスされた。

「……悪い、我慢できなくなった」
「~~!」

おっかしいなー!
元の世界で逆の立場だったらやべえ痴漢のはずなのになあ!
天王寺さんだったらなんかすることやること全部許されそうで、実際俺は許してるの、おかしいよなあ! 天王寺さんは自分が美少女だから許されると思ってるのかなあ。でも許されるんだなあこれが。
何がやばいって、こんな少女漫画のヒロインめいた立場になっている自分が、結構悪くないって思っているのがやばい。本当にオス堕ちしかけてる。

「あの、な。天王寺さん」
「天王寺」
「え?」
「呼び捨てで、いい」
「いや、だから天王寺さん」
「天王寺」
「……天王寺」
「ん」

満足そうに頷く天王寺。あーもう。あーもう!
色んな言いたいことと感情を置いて、俺は、と前置きをした。

「俺は、実はな」

――実はビッチになって色んな女の子とっかえひっかえしたいっていう夢があるんだっ♪

とか言ったら顔面がめり込んで前が見えなくなりそうだ。

「実はビッチになって色んな女の子とっかえひっかえしたいっていう夢があるんだっ♪」

言ってみた。

「は?」

ドスの効いた声で聞き直された。

「じ、実はビッチになって色んな女の子とっかえひっかえしたいっていう夢があるんだっ♪」

負けなかった。誰か俺を誉めて欲しい。

「…………」
「…………」

冷汗がダラダラと背中を駆ける。これほど無言が怖いときはなかった。黙って天王寺は俺を見つめて、俺は『♪』が語尾に付きそうなゴミみたいな笑みで天王寺を見つめ返してた。
実際問題、考えるまでもなく、俺は天王寺と付き合う気なんてなかった。
だって俺は。
だって俺は――エッチしたいから。
まだ見ぬ女の子と、たとえ日の中水の中、あっのっ子のスカートの中~(キャー)、エッチしたいだけなんだ。
言うにしてももっと上手い言い方はあったのかもしれないけれど、今の俺にはこれが精いっぱい。正直に言うしかない。俺はただ、エッチしたいんだ。
俺は――エッチな女子高生やOL、むっつりスケベな陰キャ、疲れた風なプログラマー、白衣を着る保険の先生とか部活に汗を流す一生懸命な女子たちのスケベ心を丸裸にして、エッチしたいだけなんだ。

「…………そっか」
「……う、うん」

みしっと壁に付いている天王寺の手からそんな出るわけのない音が聞こえた気がした。

「じゃあ、それでいいよ」
「……うん?」

うん?

「最悪それも考えてた。お前が私じゃなくても、誰でも良くて結構簡単に体を預けちゃうような男ってことも。だけど――それでもいい」

天王寺は、真っすぐな目で俺を見てきた。

「誰としてもいい、ただ、どんなやつとどんなことしたか教えてくれたらいい。だからそれでも――私と付き合ってくれ」

覚悟ガンギマリ天王寺さんだぁ……。
普通、ビッチになりたい宣言してる男子に、すぐその場でそれでもいいとか返さないと思うんだけどなあ!

「私はお前が好きだ。お前と色んな所に行きたいし、色んな話をしたいし、お前を――抱きたい。だから、一先ず今日は――」

壁から手を離して、余っている俺の手を優しく取って眼前にまで上げた。それから、不安げな瞳で、言う。

「――私と一緒に帰ってくれないか?」

キュンキュン♡
つまるところ天王寺さんは、おもしれー女、だった。

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