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栗原玲奈①

男を連れてる途中、私は夢かなと思いつつ私の家に案内していた。
一万五千円でこれだけ若い男を――顔も悪くない男を、時間無制限で、私の家でエッチできる。
ネットで調べた相場よりも大分安いし、安すぎるくらい、だと思う。私が見ていた近くの風俗店は、入浴料三千円プラスサービス料が1時間で四万円だった。それに比べたら、余りに安すぎる。
などと、がめつい私は子犬のように付いてくる男の価値を考えながら家に向かう。未だ、初めてエッチできる実感なんて湧かない。どこかで逃げるんじゃないかと、そう疑っている。
にも関わらずこうして案内しているあたり、マンコに脳が直結している馬鹿な女だと、自分でも思う。

「おねーさんって、なんの仕事してるの?」
「広告業だよ。アイデア出して、いい広告にしようって」
「へー、楽しそうだね」

無邪気に笑う男を見て、私はニコリとも笑えない。

「……別に」

仕事に楽しさなんてない。
ただ、目の前の業務をこなしていくだけ。社会の歯車になることが嫌だった私は、今は歯車となってただ平穏に生きたがる。
評価を奪われるだけの特別なアイデアも必要なく、なあなあに仕事が普通に終わることを求めている。
怒られたくない。
何も言われたくない。
それだけのために、仕事をしている。

「――でも、大変そうだね。疲れてるでしょ? 癒してあげなきゃっ」

私の暗い空気を察したのか、軽くふざけるように言う男。それくらいの空気を読むことは、しそうだった。
気、遣わせちゃったかな……。
人と話すことさえまともにできない私自身に、少し落ち込む。

「おねーさんの家、もう少し?」
「もう少し、あと5分くらい」

私が賃貸している部屋は、それほど広くはない。お風呂とトイレがあって、一人しか通れないような狭い廊下の途中にこれまた狭いIH付きのキッチンがある、そのキッチンを通り過ぎて扉を開いたら寝床兼居間だ。布団はひきっぱなし、せめて寝るところくらいはと一万円くらいのマットレスを床に直置きだ。
部屋に入ると(もはや鍵さえかけるのが面倒でかけてない)、男はきょろきょろと物珍しそうに部屋を
見渡す。そういえば、この部屋に人を招いたのは初めてだ。ましてや、男をだなんて。

「へー、人の家の匂いだ」
「なにそれ」

不思議と、感動はない。どころか、実感はまだ湧かない。ただ、なんか、恥ずかしがるのも面倒で男の顔もまともに見れない。
人生初めてのエッチが援助交際で良いのかとか、そういう躊躇いもある。
とりあえず鞄から財布を取り出して、一万五千円を抜き取った。

「はい。一万五千」
「あ、うん。おお……あ、ありがとう」
「……はぁ」
「? おねーさん?」

私は鞄を落として、財布だけは手に持ちながら服も着替えず布団に座り込んだ。恥ずかしい姿を見せる思いを、なんか吹っ切った。
この一万五千円のために、毎日しんどい思いしながら私は頑張ってるのにな。馬鹿みたいだ。これで今日一日頑張った分は消し飛んだってわけだ。
鬱憤とした思いが積もる。
最近は、いやずっと前から、趣味を趣味として楽しめずにイライラしながらこなしている。楽しい時間を楽しい時間として迎えられない。嫌なところばかりが目に付く。
嫌な奴だな――私って。

「……キミって、見た目若そうだけどなんでこんなことしてるの?」

お金を払ったからか、一時的に精神的優位に立った私は若すぎる男にそんなことを聞いた。
男は腕を組んでうーんと唸ってから、

「してみたかったから、かなー」
「ふぅん」

どうでもいいなと、自分で聞いておきながら思った。

「そんな風に体売ってさ、家族とかに悪いなとか思わないの?」

言って私は、自己嫌悪した。
今しがた金で買ったやつが言うことじゃないし、何よりこの言葉はこの男の子を心配して出た言葉でもない。
私は――八つ当たりしたのだ。
イライラを、ぶつけた。私の嫌いな上司みたく、その日の機嫌で、相手の嫌がる質問をわざわざぶつけた。
お説教したかったんだ。自分が上だと分からせるように。

「……うーん」

苦笑いを、男がした。
私の言葉に何も言えない様子を見て、私は自己嫌悪をしながらも尚、一度動かし始めた口を止められなかった。

「親とか悲しむんじゃない? そういうことのために生んだわけじゃないとかって」

気持ちが良かったんだ。
気持ちが悪かったんだ。
普段は誰にも言えない鬱憤を、お金を払ったという絶対的な優位の立場で物を言うのが。偉そうに正論を吐くのが気持ちが良くて、そんな私が気持ちが悪くて。

「やめた方がいいよ、こういうこと」

正論を吐くのが気持ちが良かった。
正論を吐いて、何も反論できない男を見るのが気持ち良かった。
身体を売るなんて、明らかに私より下にいる人間を見下すのが快感だった。こんな酷いことを言われて、それでもお金のために何も言えないでいる男を見るのがドロドロとした泥の塊のような快感を産んだ。
会社でお金のために黙ったままでいる私。
会社で面倒くさいことに巻き込まれるのが嫌で黙ったままでいる私。
私は私の嫌いな先輩上司と同じように――男を糾弾していた。

「あはは、そうかもね」
「……まあ、私で最後とかにした方がいいんじゃない。知らないけど」
「うん、考えとく」

渡した一万五千円が惜しくて、そんな風に私にだけ美味しい思いをさせるよう誘導するのも、卑しくて凄い嫌だった。
そしてそんな私に、変わらず笑顔で返す男が眩しくて、見ていられなかった。

「でもおねーさん、疲れてそうだね。マッサージとか、してあげよっか?」
「……うん、お願いしようかな」

それでも私に媚びを売る男が心地よかったのが、更に多少なりとも私の心がスッキリしているのが、もっと嫌だった。

「じゃあ、手のマッサージするね。手のひら出して」

言うとおりに手の平を差し出すと、マットレスに座っている私に跪くようにした男の両手が包む。
そんなことにいちいちドキドキする私が、いかにも
・・・・
で嫌だった。

「んしょ、んしょ。手ってたくさんツボあるらしいから、こうやって、押してあげるだけでも結構気持ち良いって言うけど、どうかな? 痛くない?」
「痛くは、ないよ。気持ち良いね。確かに」
「良かった」

女にはない男の少し硬い手が、私のために手の平のツボを押している。その行為自体に快感を覚えた。

「ここ、肩で。ここが確かじん臓だったかな。おねーさんって、お酒とか飲む?」
「飲まないね。タバコも酒も、あとはギャンブルとかもしないよ。それで『お前の人生何が楽しいんだ』とか上司に言われたりはしたけどね」
「あはは、別にそんなことしなくても楽しいことなんていくらでもあるじゃんねー? 変なの」
「……」

学生時代、愚痴を吐いたりする人間を前にして私はこんな風にそんなことを思えたり、ましてやそんなことを言えたりできたのだろうか。

「次、肩ももっか。服脱げる?」
「……」

無言で、私は上着を脱いだ。
男ならいざ知らず、女の私が下着姿になって恥ずかしがることはないだろう。邪魔だろうからワイシャツも脱いで、上は安売りされた3点セットの肌色のブラジャーだけになった。そして男に背中を差し出すように後ろを向いた。
男の手が、私の肩に置かれた。

「うわっ、めちゃくちゃこってるね。すごいカチカチだよ」
「そう、かな」
「そうだよ。おねーさん、頑張ってるんだね」
「……そうかな」

同じ言葉を繰り返し。
感じた気持ちは、まるで違った。

「うんっ。偉いよ、おねーさん。沢山頑張ってるんだね。俺、働いたことないけど、おねーさんみたいに頑張ってる人尊敬するよ」
「…………そう…………か、な」
「お、おねーさん?」

油断。
不意打ち。
自己嫌悪。
私は男に肩を揉まれながら、ボロボロと泣いていた。
思えば働き始めて誰かにこうして慰められるのなんて、初めての経験だった。それが思いの外嬉しくて、嬉しすぎて、感情が漏れた。

「…………ひっく」
「えーっと……」

何もできなくて、涙を拭うこともできなくて。
溜まった雨水が先から垂れるように、涙がボロボロと太ももに落ちていく。

「ごめん……」
「う、ううん。大丈夫だけど……」
「ひどいこと言って、ごめん……」
「あー……」
「ごめんなさい……」

みっともなくて。
情けなくて。
私は泣いていた。ほんの少しの慰めの言葉で簡単に涙を流す私も、器の小さい私にも泣けてきた。なにやってんだろ、私……。
私より若い子に、八つ当たりしてこんな風に慰められて子供みたいに泣いてるなんて。
イライラして、泣いてなんて情緒不安定すぎるだろ。大人になって働いているはずなのに。私なんかより目の前にいるこの子の方がよっぽど大人じゃないか。
まるで泣き止まない私に、肩から手が離れ、代わりに頭に男の手が置かれてそのままよしよしと撫でられた。

「よしよし。おねーさん、がんばってたんだね。大丈夫、全然傷ついてないよ。疲れてイライラしてたんだよね? うんうん、いいよ。たくさん泣いちゃお。今日だけは子供になっちゃお」
「うぅ……ひっくひっく、うぐぅぅ……」

頭をなでなでされながら、私は泣く。男は後ろから私を抱きすくめるようにしながら、右手で頭を撫で続けてくれる。
何十分そうしていたのだろう。社会人になってから――泣かないようになってからずっとずっと溜め続けてた涙が今解放されたように、私は撫でられながらずっと泣き続けた。
それからやっと泣き疲れることができて、余韻で喉を鳴らしながらもようやく泣き止めた。

「ひっぐひっぐ、ごめんね……」
「んーん、全然いいよ」

なおも頭をよしよししてくれる男に、普通に泣けてくる。
それにしても、後ろから遠慮なしに抱きしめてくれるこの態勢――今更ながら、おっぱいが当たってる。

「おっぱい……」
「ん?」
「おっぱい、当たってる……」
「おっぱい? あ、あー。あはは、そうだね。当ててんのよってやつ」
「え、えへへ」
「あ、やっと笑ってくれた」

下手くそな笑みをするだけで褒めてくれる男。知ったネットスラングを言うことが面白かったし、あんまり私に引いてないのが分かった気がして嬉しかった。
おっぱい吸いたいって言っても、許してくれるかな……。
援助交際だから、許してくれると思うけど、私からじゃ言いにくいな。

「大丈夫? おっぱい揉む?」
「も、揉みたい……」
「お、いいねー。おねーさん。ノリいいじゃん」

私から少し離れて、上着を脱いで「んしょ」と服を脱いでいく男。なぜか私は、男にエッチな女だと思われるのが嫌で、脱いでいる姿を見なかった。ちょっと後悔してる。

「ほらほら、おねーさん。こっち見て」

言われて振り向いて――そこには天使がいたと勘違いした。
柔和な笑みを浮かべながら、おっぱいを丸出しにして私を受け入れてくれる男――その姿は紛れもなく天使だった。
初めて見る男の裸に、目がくらむ。

「あ、う」

よろよろと、吸い込まれるように男の胸に近づく私。そこをキャッチされて、男の胸に顔を埋めるように抱きしめられた。めちゃくちゃ良い匂いがした。どうして男は、女性と違ってこんなにもいい匂いがするんだろう。フェロモンがどうとか言うけど、本当に分からない。学生の頃にすれ違う男性に漂った男性特有のいい匂いだ。

「ほーら、嬉しい? 俺、いまいち男のおっぱいをありがたがるのは分かんないんだけどね」
「ハアハア……うう、おっぱい、吸っていい?」
「……いいよー。こんなので良かったら」

こんなのって――これ以上がそんなにないけど。
許しを得た私は、男の桃色の乳首に吸い付いた。ちゅーちゅーと、そのまま吸った。

「ん……あは、なんか変な感じ」

吸っていると、妖しい喘ぎ声を出す男。それが私の劣情を煽り、おっぱいを吸う行為は私に癒しを産む。
おっぱいを片手で揉みながら、口でおっぱいを吸う。
ミルクが出るはずないけど、なにか甘い気がする……気のせいなのかな?
私は夢中になってちゅぱちゅぱと吸い続けた。もう片方の乳首が寂しそうで、今度はそっちに口をやってそっちも吸った。
美味しい。間違いなく美味しい。
男の身体に美味しくないところが、そもそもないのかもしれない。
おっぱいを吸っている間も、頭を撫で続けてくれた。幸せすぎて、頭が馬鹿になりそうだ。

――しあわせ。

そう思うことが、そういえば久しぶりだった。
乳首を吸い続けていると、丸みを帯びていた乳首がこりこりと固くなり始める。より吸いやすくなった乳首に喜んで私はむしゃぶりつく。
夢中だった。
初めての男の裸に、おっぱいを吸うことに夢中だった。24時間おっぱいを吸い続けてもいいと本気で思ったし、寝るときにも起きた時にもおっぱいを吸っていたい。私にも乳首はあるはずなのに、どうしてこんなにも心惹かれるのだろう。
はっきり言おう。
おっぱいちゅうちゅうするの、最高だ。

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