巨乳キャラあつめました

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王子さまはみんなの人気者

「わー、天王寺さんナイスー」
「天王寺やっぱうまっ」
「なんで運動部入ってないのホント」

ただひたすらに女性を甘やかして癒してあげるのは悪くないなという感想を抱いた、初めての援助交際を終えて、また一つ大人の階段を上ってしまった俺は、友達と一緒に女子たちの球技風景を見ていた。
来週、この高校――私立四ツ川高校では球技大会が始まる。
男子はソフトボール。
女子はバスケットボール。
元の世界では逆だったような、そうじゃないような。
ともかくとして、そんなわけで体育の時間はその球技大会の練習として、男子はソフトの練習、女子はバスケットの練習をするのだが、男子の方は割とレギュラーが決まって女子の練習風景見学しててもいいという体育の先生のお許しが出たので、汗なんて流したくない俺は喜んで女子たちのキャッキャウフフな練習風景を見ることにした。

結構ガチだった。

元の世界だと合唱コンクールで『ちょっと男子ー』とか、指揮者や演奏者が途中で泣いて『ちゃんとやってよー、〇〇ちゃん泣いちゃったじゃん!』と怒られる側だったが、男女が逆転すると運動までガチでやってくるのか。たがだが体育の授業の一環であるはずのバスケをみんな真剣な目でやっていて、日本男児である俺よりも格好良さを感じる。
遊びでも真剣でやるって格好良いし、真剣だから面白いってのも分かるんだけどなあ。
ソフトで補欠になってしまった俺には、ちょっとだけ居心地が悪い。『べ、別に補欠でも気にしねーけど? 俺、本気出してないし?』みたいなことを言ったから、余計に。

そうそう。それで、みんな
・・・
真剣だとしたが、驚くことにそれは天王寺も例外ではなかった。

いつもの一匹狼な王子様天王寺だったら、汗一つ流さず誰よりも活躍して終わるのだが、今回は汗を流して誰よりも活躍している。
普段だったら格好良いクールな王子様のはずが、汗を流して格好良い王子様になっている。あれ、あんまり変わらなくない?
……そういえば付き合ったその日の帰り道で、『お前に相応しい女になる』とか宣言されたなあと他人事のように思う。
チラリと、天王寺が俺たち補欠組の男子を見た。隣の男子たちが黄色くもない声を上げる。

「え、今天王寺さんこっち見なかった?」
「見たよな。俺のこと」
「は?」
「は?」

隣の喧嘩を他所に、試しにバレないように手を軽く振った。
すると天王寺は学校で見せたこともあるのかどうか分からない微笑みをこちらに返す。

「え、笑った……」
「……やば」
「やばすぎ」
「ヤバすぎでしょ」
「俺、補欠になってよかった。レギュラーこれ見れないって負け組だろ」

俺は横でオス堕ちしている同級生たちを尻目に、どうして天王寺が周囲にとって余計に魅力的になっているのかとため息を吐き、つい先日の、天王寺と付き合った日の帰り道の出来事を思い出した。

♀♂

天王寺と付き合うことになったその日。
そもそも男女が付き合うとは何か、話したりとか。
天王寺が結婚を前提に考えて俺と付き合ってるという事実に引いたり、とか。そういうことがあった後。

天王寺から細かく見損なわれることになるのが嫌で、あえてどん底に見損なわせるために俺は自分の考えを押し付けることにした。

『まあ。俺、結婚とか無理でも、ヒモかセフレにはなってあげるよ。天王寺可愛いしね。あ、だからちゃんと俺の代わりに勉強と運動も頑張ってよ。堕落してく人間とか、ウチマジ無理だから』

堕落してく人間(俺は除く)。
そんな自堕落人間からの俺の言葉に対し、天王寺は繋いだ手(一緒に帰ってる途中で急に繋いでもいいかと許可を取ってきた。キュンキュンした)をぎゅっと強めて。

『ああ。世界で一番、幸せにできる人間になるから。だから、見ていてくれ』

♀♂

球技大会の練習で学校が終わった後も、今後のビッチ生活に支障をきたさないために、学校の人たちに俺と天王寺が形式上付き合っていることがバレないよう俺と天王寺は別々で帰っている。

わざわざ気を付けなくても、帰り道が一緒のクラスメイトと話しながら帰るくらいは普通だと思うけど……いかんせん、天王寺だからなあ。体育の時間に黄色い声が飛ぶ天王寺さんだからなあ。
バレンタインデーで机にチョコが山盛りになる天王寺さんだからなあ。
その割に一匹狼で、クラスでもあんまり話してる姿見たことない天王寺さんだからなあ。

そういうわけで、この間の帰り道の時に話して、俺と一緒に帰りたがる天王寺に、一つの条件を付けくわえていた。

『……あ、じゃあさ、俺以外に話す人も作ってくれたらいいよ。俺と天王寺が話してても、違和感ないようにさ』
『話す人……』
『まあ休み時間に机に突っ伏さないくらいには、ね?』
『分かった』

そしたら次学校が始まったときには天王寺の周りでキャッキャッと楽しそうに談笑するグループが出来上がる。パねえっす天王寺さん。今までのキャラ崩壊とかなんのその、一匹狼の非公式に愛される王子様からみんなに公式に愛される王子様の出来上がりだ。
ていうかそうなれるなら最初からしなよ……と思うが、天王寺みたいな王子様の考えていることなんて俺には分からない。別に友達いらないとかいう言葉、ただの強がりでしか存在しないと思っていたんだけど、天王寺に関しては強がりでもなんでもなくそうだったのかもしれない。

「はぁ」

良いんだけど。
別に良いんだけどさ。
コンっと道に転がっている小石を蹴った。

なーんか面白くない。
この世界は俺にとって都合がいい世界で、だけど天王寺はどちらの世界でも魅力的になれて、人気者になれる。それも簡単に。

俺は別に、天王寺と別れることになると思っている。

なぜって俺は女性とエッチするのが好きだから。第一、学生同士の付き合いなんて卒業と同時に暮らしが変わって疎遠になるもので、ただのセックスするかどうかの頭脳戦だろう?
この世界でも別に処女とビッチの価値観――童貞とヤリチンの価値観は変わらない。女性から見て俺はエッチはしたくても付き合うかと言われると別問題なはずなんだ。単純にエッチしたい俺はそれでいいし、それがいいと思ってる。
そんな男女が変わった世界で、俺の周りはちょっとだけ変わった。
女子が前より、なんか不意に褒めてくれたり優しくしてくれることが多くなった。
別に元の世界でも友達が少なくなかったわけじゃないけど、元の世界より楽しくなったのは確かだ。

だけど天王寺は――天王寺の周囲は、世界が変わらなくても一日でみんなに話しかけられる人気者に変わる。
一日で。
なんの苦労もなく。
天王寺の裁量一つで。
嫉妬とも、羨望とも、少し違った感覚。

「むぅ」

いや、軽い嫉妬と羨望とかはしてるのか。
だけど、俺が気にしている感覚はそれ自体じゃない。

なんていうか――男女が逆転している世界っていう、こんなにもまるっと常識が違ってるはずの世界で、軽い物でも嫉妬とか羨望しちゃってる自分がさ、器ちっちゃいなーって。
器変わらない自分が、あれだなーって。
援助交際で一万五千円貰ってウキウキしてた自分が、なんかなーって。
球技大会でも平気で補欠だし、強がって『補欠? さ、サボれるしらららラッキーじゃん(震え声)』とか、同じ補欠組に話しかけちゃう自分が変わんないなあって。
セックスして、援助交際して、大人になったと思ったんだけど。
単純に大人の経験をしてるだけで、その中身は別に大人になったわけじゃないんだなあって自覚しちゃう。
おねーさんにおっぱいをあげて大人になった気分でいたけど、別に頭が良くなったわけでも運動ができるようになったわけでもない、子供のままなんだよなあ。

あー……。

ふむ。

よし、セックスしよう(唐突)。
なんかもやもやしたらこの世界の状況を生かしてセックスだ!

「そうと決まったら天王寺にメールっと」

ふっふっふ。援助交際の経験を生かして、学校では格好良い王子様天王寺をでろでろに甘やかしてやろう。くっくっく、赤ちゃん天王寺が楽しみでチンコが膨らんでくるぜ。

『今日、家に行ってもいい?』っと。天王寺と交換したLINEに送信。

返事はすぐにきた。さながらちゅーるに飛びつく子猫ちゃんよ。ニヤニヤしながら返信内容を見る。

『ごめん、今クラスの奴らとカラオケに行ってる』
「…………」

やっぱりなんか面白くない!!!!!!

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