巨乳キャラあつめました

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プロローグ

黒宮恭一は冴えない男だ。
目はぎょろりと大きく、下には常に隈があって、髑髏のような顔つきをしている。常に陰気な雰囲気をまとっているが、その通り、うだつの上がらない人生を送ってきた。
ついこの間、30を目前に風俗で童貞を捨てたので、危うく魔法使いになるのだけは避けたものの。

このまま、灰色の人生を送るのだろうと、諦めに似た気持ちで日々を過ごしていた。

……のだが。

「まさか、こんなことになるとはなぁ」

つい先程、自分のものになったマンションの最上階フロアで、思わずため息を吐く。
ガラス張りの一面から眼下の街を見下ろし、何度も手を握ったり開いたりを繰り返す。
そこには、小さな青い光が瞬いていた。

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――青い光。

この不思議な光が体に宿ったのは、先週の夜のこと。
リッチのような魔道士に襲われる、という嬉しくもなんともない悪夢を見て、夢の中で物理で殴り撃退した朝。
なぜか、手のひらから青い光が出せるようになっていた。

(童貞を捨てたはずなのに、30で魔法使いになってしまった……)

そんな益体もないことを思うも、手に入れた力にはワクワクする。
目を閉じて瞑想めいたことをすると、今まで知らなかった、知ろうともしなかった、オカルトめいた知識が脳裏に溢れ出してきた。

どうやら自分は、意図せずに魔術攻撃を受け、返り討ちにしたらしい。

手のひらから出る青い光は、滅ぼした妖術師から簒奪した力。
見せた者を支配し、言いなりにさせる、催眠術のような作用を持つ。

早速外に出て、通行人で実験すると、思った以上に簡単だった。彼らは言う通りに街中で踊ったり、気前よく金をくれたり、コンビニでコーヒーを買ってきたりした。

こうなると次に思いつくのは、金を手に入れること。
死んだ妖術師は、政治家を操って世界をどうこう、と厨二病めいたことを考えていたようだが、黒宮にしてみれば知ったことではない。
そして、この力があれば、大金を手に入れるのは容易かった。

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舞台はマンションの最上階に戻る。
金も住居も手に入れたので、次は何をしようと考えていた黒宮は、何気なく付けたテレビのニュースに驚いた。

「……先週から行方が分からなくなっていた、中世神秘思想展のミイラが、本日未明、市内の路上でバラバラになっているのを発見されました。
盗難にあって遺棄されたものと見られ、警察は犯人の手がかりを追うと共に……」

映し出された市内の路上というのは、以前住んでいたアパートの裏手である。

「やれやれ……ご愁傷様だったな、魔術師さん」

そう呟いてチャンネルを変えようとすると、別のものに視線が釘付けになる。
場面はスタジオ。
記事を読み上げていたリポーターの姿が映し出されていた。
さらさらと流れる亜麻色のロングヘア。
美しく整っているが、ふんわりとして少し天然っぽい顔。
そして……テーブルの上に載せられた、何カップなのか分からない巨乳。

「うおっ、誰だこれ」

黒宮は魔術師のことなど即座に脳裏から追いやり、美人リポーターの乳揺れを拝むのに集中した。
彼女が着ているピンクのワンピースは、開いた胸元がフリルで縁取られたデザインで、よくよく見れば谷間も少し覗き見える。
コメンテーターのどうでもいい解説に相槌を打つたび、ワンピースの下で窮屈そうに双球が揺れるのを、黒宮は凝視し続けていた。

番組が終わると、ソファーにもたれかかり、ふーっと息を吐く。

「あんな美人いたんだな……」

水科香織、というらしい。
試しに検索すると、案の定、「期待の乳揺れリポーター」とかそんなノリで紹介されていた。
マイナーな報道番組に出始めたばかりだが、これはコアな人気が付くだろう。
そしてどこぞの芸能人と不倫か何かで、スキャンダルになり、干された後にAV落ちしてくれれば……
と、そこまで考えて、ふと我に返る。

「……これだ!」

魔術師から奪った力の、正しい使い方に気付いた瞬間であった。

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