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女子大生と聖なる性体験(1)

元女優の人妻、静香との姦通を楽しんだ黒宮は、その記憶をじっくりと反芻していた。
ペニスには、あの絡みつく肉襞の感覚が、まだじっとりと残っている。

(名器だったな……っと、いかんいかん)

思い返すに、だらしない笑いが浮かんでしまう。
だが、別に人妻の穴具合を思い出すために、内省していたわけではない。

交合の中、脳裏に流れた、預言のような言葉。
香織とのセックスの最中にも、それはやって来ていた。

繰り返されるのは、聖婚、という言葉。

黒宮は信心深い方ではない。むしろ、無神論者に近い。
だが、いざ自分に神秘的な力がやって来れば、軌道修正が必要なことくらいは理解できる。
夢に現れた儀式は、秘めやかな魔術というよりは、大っぴらな宗教儀礼のように思えた。なら、その方面を当たるのがいいだろう。
ということで、黒宮は古代宗教の本を山ほど買い揃え、仕事を休んで読書に励む、筈であった。

「コレで一日潰すことになりそうだな……」

本棚を組み立てつつ、黒宮がぼやく。
広いリビングに、何箱も積まれたダンボール。まだ中は開けていないが、ハードカバーの学術書が山ほど詰め込まれているだろう。
本棚が一つでは足りず、三つも買ってきて、それを組み立てる作業には何とも言えない侘しさがあった。
黙々とドライバーを回していると、来客を告げるブザーが鳴る。

「なんだよ、こんな時に……えーと、もしもーし」
『くーろみーやさーん!遊びに来たから、ドア開けてー!』

(こいつ、俺の部屋を溜まり場だと思ってるんじゃ……)

突然の来訪に、黒宮は頭を抱えた。
洗脳した女たちの中で、なぜか予想外な行動ばかり取る変わり者。
夏木恋が、買い物袋を片手にぶんぶんと手を振っていた。

「いやー、局のほうに行ったら、今日はお休みです、って言うんだもん。
てっきり風邪か何か引いたのかな、って思って。
買い物もして来たんだけど、全然元気じゃない。なーんだ」

安心したのか何なのか、解釈に困る笑いを振りまいて、テーブルにがさりとビニール袋を置く。どうも食材が入っているようだ。

「冷蔵庫借りるよー」
「お、おう……」

今日の恋は、キャミソールにショートパンツと、かなり露出が高めの格好だ。
体を屈めて、冷蔵庫のドアを開く、そんな仕草でもセクシーに見える。
こちらに向かって突き出された、ぷりんとしたヒップ。
屈んだことで、キャミソールの生地がずれ、腰のあたりの肌が覗く。
いつもなら、後ろから抱きしめて立ちバックに移行するところだが、悲しいかな、今の黒宮は本棚作りで忙しかった。

「これでよし、と……で、黒宮さん、それどうしたの?本棚いくつ作るつもり?」
「最低でも3つだな。ほら、そこのダンボール、中身は全部本だ」

うひゃー、と呆れたような声を出すと、当たり前のように工具箱を漁り始め、ドライバーを引っ張り出す。

「手伝うよ。こんなの一人でやったら、日が暮れちゃうって」
「わ、悪いな」

作業中は、謎めいた預言のことで頭がいっぱいだった黒宮だが。
今は、目の前の少女のほうが理解できなかった。

(一体こいつ、俺のことをどう思ってるんだ?)

楽しそうに本棚を組み立てる恋を見て、黒宮は心底不思議に思った。

「出来たーっ!」
「……つっても、ここに本を並べるのは、これからなんだけどな……」

二時間後。
なんとか本棚を組み上げると、今度はダンボールを開いて、通販で買った本を片端から詰め込んでいく。

「わ、黒宮さん、大学で先生でもやってたの?すごいラインナップだね、これ」
「調べ物だ。別に大学で働いてたわけじゃない」
「それにしたって、すごいよ、これ。えーと……
エリアーデの世界宗教史でしょ、フレイザーの金枝篇でしょ……
こういう本って、平気で5千円とかするじゃない。一体いくら使ったの?」
「さあな。覚えてない……ん? 恋、おまえ、この本知ってるのか?」

さらっと書名を読み上げた恋に、疑問を覚えた。
さも、この通販で買い漁った本たちについて、心当たりがあるかのようだ。

「はぁ……黒宮さんにとって、あたしはえっちなカラダのグラドルってだけかも知れないけどさー。これでも、大学生なんですよ、あたし」
「……そう言えば、そうだったな」

本気で忘れていた。

「文学部だからね。レポートだってあるし。
これ、大学図書館の宗教史の棚とそっくりなんだもん。棚ごと再現するなんて、黒宮さんって勉強熱心だね」
「……おい、ちょっと待て。そっくり、だと?」
「うん、大体あるよ、この手の本。あ、あれ、知らなかった?」

黒宮はがっくりと膝をついた。だったら、こんな苦労はせず、最初から大学図書館に行けばよかったのだ。
金持ちになったから、何でも買ってすませばいい、という奢りがあったのだろう。

「……ふん、まあいい。どうせ金はあるんだ。この際、書庫でもなんでも作ってやる」
「ま、まあまあ、無駄にはならない……と、思うよ、うん、多分……きっと……」

適当な慰めを口にすると、恋は悪戯っぽく笑って、続けた。
そう、それは事も無げに、なんでもないという風に。

「それに、聖婚について調べてるんでしょ? なら、悪くないラインナップじゃないかな」

ばさり。

本が手を離れ、床へと落ちる。

(こいつは、今、なんて言った?)

脳裏に浮かぶのは、恋が京子を連れて遊びに来たときのこと。
彼女は確かに、こう聞いてきた。

『黒宮さん。ひょっとして、何か、魔法でも使ってるんじゃない?』

その時は、笑って誤魔化していたが、半分は本気だったように思える。
そして今、彼女は笑っていた。
悪戯に成功した子供のように、にんまりと、だが確信に満ちた顔で。

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