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ゆるふわスイーツ受付嬢 小橋美亜(1)

黒宮恭一は、テレビ局を支配している。
とはいえ、定期的に入ってくる新人や転勤者まで、逐一チェックしているわけではない。
なので、知らない顔に会った時は、まず警戒から入ることにしていた。

「お疲れ様でしたー」

局を出る際、たまたま声をかけられた受付嬢に、びくりと反応したのもそんな理由だ。
見たことのない美人だった。
新卒だろうか。随分と若く見える。
綺麗に整った顔をしているが、童顔なので、「美人」よりは「可愛い」に印象が行く。
髪は明るく染めたボブカットで、ふんわりとした娘だ。

「あ、えっと、お疲れ様…です。初めてまして、かな。
特別アドバイザーをしてる、黒宮といいます」
「ご丁寧にありがとうございますっ。今週から受付に入った、小橋美亜です」

ふんわり笑うと、より可愛らしい子だ。
黒宮の脳裏に、悪い考えが浮かぶ。せっかく局を支配したのだから、ちょっとつまみ食いしてもいいだろう。

そう考えていたときだった。

「やっほー、くーろみーやさんっ!」

姦しい声とともに、恋がヘッドロックをかけてくる。

「ぬおっ」
「美亜ちゃんお疲れさまー。あたしのこと、覚えたかな? 夏木恋でーす」
「も、もちろん覚えてますよっ! あ、あのぅ、サイン、もらってもいいですか?
雑誌の表紙になったのを見たんですけど、私、すっかりファンになっちゃいました…」

受付嬢は顔を仄かに赤く染め、そわそわと雑誌を差し出してくる。
恋は手慣れた様子で、さらさらとサインをすると、はい、と返した。
ふわりと、蕾が開くように、美亜が笑う。
そのあまりに無防備で、子供っぽい笑みに、黒宮はつい見とれてしまった。

「わー、黒宮さんがやらしい顔してるー。美亜ちゃん気をつけて、この人すんごいプレイボーイなんだから」

恋の言いように、黒宮はコケそうになった。
まさか自分が、そんなご大層な言葉で呼ばれる日が来ようとは。
あまりにも不相応な呼ばれ方に、背中がむずむずする。正直に「ヤリチン」と言われたほうが、まだマシだ。

「……人聞きの悪いことを言うな、恋」
「あははっ、面白い顔してるよ、黒宮さん。
それじゃ、あたし撮影あるから行くね。それと……」

去り際に耳元で、そっと囁かれる。

「(美亜ちゃんは、きっとおいしい子だと思うな)」

呆れ半分、図星半分で、後ろ姿を見送った。
まったく嵐のような女だな、と思いながら、頭をガシガシ掻いて美亜に向き直る。

「悪いな……じゃなかった、悪かったですね、ええと、恋のやつがご迷惑を」
「め、迷惑なんかじゃないですっ! あ、あの、言葉遣い、普通でいいですよ。
私なんて、下っ端の受付嬢ですし。
黒宮さんは、あの夏木恋さんと、あんなに気安く接してるんですから……さすが、話題の特別アドバイザーさんですっ」

話題だったのか。
黒宮は内心、これからしばらく休業しようかな、と思う。
変に有名になると動きづらいし、ただでさえ家元だの托卵妻だの、変化球な相談ばかり来るのだ。
毎度「青い光」と運のおかげで切り抜けているが、ラッキーパンチが何度も続くと信じるほど、楽観的ではない。

「それにしても、恋さん、実物は写真よりも綺麗なんだなぁ……すっごいや……
もう、私なんかと、全然違って……」
「んー、そうか?そりゃ恋は美人だけど、美亜ちゃんだって……っと、失礼、恋のが移った。小橋さんだって、凄く可愛いと思うぞ」
「わ、お世辞だって分かっても、嬉しいです……」

わたわたと、両手で頬を押さえ、顔を真赤にして笑う。

(……なにこの可愛い生き物)

黒宮は柄にもなくほっこりして、美亜が落ち着くのを待っていた。
幸い、人の流れの空いた時間で、こうして受付嬢とお喋りを楽しんでも問題ない。
落ち着いた美亜は、今度は少し物憂げに、遠くを見るような目で、ぽつりと呟いた。

「ここで受付してると、みんながみんな、キラキラしてて、圧倒されちゃいます。
私なんかと、別世界に住んでるみたいで……」

そうため息をつく姿すら、可愛らしくて抱きしめたくなる。
これはもうつまみ食いするしかない。
心に固く決めた黒宮は、こほん、と咳払いをした。

「どうだろう、小橋さん。今日上がったら、少し付き合わない?
キラキラした世界ってのを、少しだけ見せてあげるよ。そう場違いなもんじゃないってこともね」

美亜はぽかんとすると、ゆっくり、はにかみながら「はい……」と答えた。
黒宮にとって、人生初のナンパであった。

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