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背教の銀髪乙女 鏑木イリス(1)

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未亡人となった静香と、やりまくりの性活を始めた黒宮だったが。 静香にも生活、というか遺産の処理などやることは多く、身体が空くことは良くあった。 静香との営みは激しく、熱狂的だ。その熱はいつまでも身体の奥にくすぶって、暇なときに情欲の火種になる。持て余した性欲は、結局、テレビ局で水樹や香織にぶつけられることになるのだった。 その日も、出勤早々、机の上で水樹を抱き。 多目的トイレで、香織と爛れたセックスを楽しんだ帰り道。 たまにはカフェで話でもしようと、両手に花の状態で歩いていると。 「ん……? なんだ、あれ?」 前方から、修道女のような娘が、ふらふらと歩いてきた。 今にも倒れそうな危うさで、どう見ても正常ではない。 「ちょっと、そこの君。大丈夫か……?」 「黒宮さん、救急車を呼んだほうがいいかも知れません」 何時もふわりとした香織が、真剣な顔で言う。既に携帯電話を取り出しており、手際が良い。 黒宮もそう思って、「よし、救急車を……」と言いかけた、そのとき。 「いい、の……病院に行っても、治るものじゃ、ないから……!」 シスターが、息も絶え絶えで、絞り出すように言う。 黒宮たちは目を見合わせたが、ひとまず女性陣が彼女の肩を持ち、支えて歩くことにした。 話を聞けば、近くの教会に向かうところらしい。 ひとまずそこへ連れて行って、落ち着いたらやっぱり病院に連れて行こう……そう、考えていた黒宮の脳裏に、あの声が囁く。 (のう、妾が祭司よ。そこな娘、悪しき霊に取り憑かれておるぞ) からからと、嬉しそうに。 「それ」が嗤いながら囁くのを、黒宮は魂のうちで確かに感じた。 ————————————————————————— 「よいしょっと」 教会の硬い長椅子へ、少女のからだを横たえる。 まだ十代の少女だ、シスターも見習いなのだろう。目を引くのは、銀色の美しい髪。顔立ちも日本人離れしていて、育ちはともかく、血筋はヨーロッパ方面のものに見える。 不思議なことに、教会に入ると少女の容態は安定したようだった。 それと同時に、持っていたロザリオをかたく握りしめ、祈りを唱え始める。 「父と子と聖霊の、三位一体の名において……主よ、われらを救い給え……」 唱える度に、荒い吐息が安定していくものだから、これは心因性かな、と黒宮が現実逃避したところで。 再び、あの声が心のなかで囁く。 (どれ、そなたにも見せてやろう) ぞわり。 目から鱗が落ちるように、黒宮には何もかもが見えた。 少女を取り巻く、黒々とした、不定形のモノ。 それが何なのか、黒宮には分からない。ただ、それが人に害なす、ひどく邪悪なものだと言うことだけは、何とか感じられる。 (マジかよ……オカルトは、神様だけで十分だっての) 「……ありがとう……なんとか、落ち着いたわ……」 「あ、ああ……俺は、黒宮恭一っていう。こっちのスーツの女が藤森水樹、俺の秘書だ。 そっちは水科香織、リポーターで、俺のクライアントだな。 これから打ち合わせに行くところだったんだが……なあ、お嬢さん。 本当に大丈夫なのか?」 どう見たって大丈夫じゃないだろう。 そう言外に語りながら、少女の瞳を見つめる。 彼女のロザリオを避けるように、しかし決して彼女自身から離れずに、悪霊が取り巻いているのが、黒宮にははっきり見えていた。 つい、ちらちらとそれを目で追ってしまう。 「大丈夫……主は、きっとお救い下さるわ……」 「ううむ……教会は神の家って言うし、まあ、見るに、全く効果がないって訳でもなさそうだが……」 つい、素で口にした言葉。 それを聞いて、少女がはっと目を見開いた。 「あ、貴方……み、見えているの……?」 まずったな、と黒宮は舌打ちする。 水樹も香織も、恋と違って、古い神の話はしていない。いきなりオカルト話を始めたようにしか思えないだろう。 伺うように、ふたりを見ると、しかし二人共まるで動じた様子はなく。 どこか成り行きを見守るような、そんな雰囲気を出していた。 「……見えていると言ったら、信じるか?」 「信じるわ。あの、貴方はひょっとして、教会の関係者なの……? エクソシスト、とか?」 思わずコケそうになる。 幾らなんでも、的外れ過ぎる勘違いだ。 「なわけ無いだろ。ただ、こういうことに少し詳しいってだけだ。 そういうお嬢さんは、シスター……の、見習いか?」 「真似事みたいなものだけど、そうよ。いつかはシスターになりたいって思ってる……ああ、ごめんなさい、初対面の方にこんな口の利き方。 あまり、外の人と触れることがないから、つい」 「そのままでいい。どうせ、俺も敬語は苦手だからな。 それより今は、お嬢さんの病気だよ。気を悪くして欲しくないんだが、どうも俺には、変なものに憑かれてるように見えて……」 まるで宗教の勧誘か、壺を売りつける詐欺みたいだな、と黒宮は自嘲する。 それでも、本当に見えてしまっていて、しかも神様 らしきもの のお墨付きだ。 少女の方も、自分に何が起きているのか、確信があるようだった。 「その通りよ……私は、この半年間、ずっと悪霊に憑かれているの。 父がヨーロッパからエクソシストを呼んだけれど、駄目だった。こちらの司祭も、皆お手上げだって言ってるわ。 病院は、心因性の疾患だろうって言ってる」 「……おいおい、本当にエクソシストまで呼んだのか。 こりゃ本格的だな……」 (それは、この神なき時代には、悪霊どもを払うにも難儀しようて。どうじゃ、そなたが祓ってやっては?) (頭のなかで話しかけるな……なに? 祓えるのか?) (試してやろうかの。妾の言葉に続けて、喋ってみよ) 黒宮は居住まいを正すと、少女の前に手をかざした。 目を閉じ、呼吸を整える。体の奥から、何か、自分のものでない力が湧き出てくるのを感じながら。 「「聞け、暗黒の家から来る者よ。 おまえの住処は入る者は出られぬ家、歩むものは戻れぬ道、然るになぜおまえはここにいるのか。 冥府から舞い戻るは、生と死の女神にのみ許されたことではないのか。 去るのだ、汚れた霊よ。春が来たれば、冬は去らねばならぬ」」 効果は覿面だった。 少女を取り巻く黒いものは、怯えたように震えて、からだから離れていく。 だが完全には去らず、数メートルほど距離を置いて、まだそこに留まっていた。 (おい、これ、成功してるのか……?) (ほほ。中々に骨があるの。名前すら忘れた、零落した妾では、この程度か…… だが、案ずるでない。儀式さえ執り行なえば、祓うことはおろか、滅することも容易きことよ) 少女は目を丸くして、自分の体を何度も見下ろした。 「……うそ……あいつが、遠ざかったわ……こんなの、初めて……」 「完全に、じゃない。それにこいつは、あんたが信じる神の力でもないぞ」 はっとした顔になって、少女が俯く。 信仰心と、呪いの狭間で葛藤しているのだろう。小さな手が、ロザリオをぎゅうと握りしめていた。 「本当はいけないことよ。異教の魔術に頼るなんて、本当は……」 「まあ、そう気に病むなよ。俺が俺の意志で、勝手にやることだ。お嬢さんは、何一つ、悪くない」 そう喋っていると、くいくいと袖を引かれる。 振り返ると、香織と水樹が、真剣な顔をして見つめていた。 ————————————————————————— 一度、教会の隅に集まって、ひそひそと小声で話し合う。 明らかに怪しいが、そこはもう開き直っていた。そもそもが、出合い頭に悪霊払いだ。 誰がどう見たって怪しい一団で、もう諦めるしか無い。 「(黒宮さんが、悪霊払いを出来るなんて、わたし初めて知りましたよ)」 「(私もです。確かに、あの子からは嫌なものを感じますが……まさか、本当に祓ってしまえるなんて)」 流石にふたりも、この展開には疑問符がいっぱいらしい。 そりゃそうだ、自分だって困惑してるんだからな、黒宮はひとりごちる。 とはいえ、説明らしきものは必要だろう。 「(ま、まあな……一応、そんな力があるみたいだ。少し気恥ずかしいんだが、魔術みたいな力がな。 おまえたちも、薄々勘付いていたんだろ? 最近、やけに調子がいいとか、綺麗になったとか)」 そう言われて、ふたりは押し黙ってしまう。確かに、普通に考えて、男とセックスするだけで綺麗になって調子も良くなる、なんてことは無いだろう。 自分たちでも変化に気付いて、黒宮に告げるくらいだ。ある意味では、納得が行ってすっきりした部分もある。 「(まあ、今はいいです……それより、あの子ですけど。 まだ十代ですよ。その、キリスト教の教義には詳しくありませんが、助けてあげられるなら、助けてください)」 「(私も香織さんに賛成です。彼女は未成年ですよ。どれくらい信仰心が強いか分かりませんが、多少強引にしてでも、助けてあげるべきです)」 ふたりとも、無宗教の日本人である。 信仰と生命なら、考えるまでもなく後者を選ぶのが、一般的な道徳観念だと思っている。世の中に、そうは思わない人間が沢山いるもの知っているが、それでも、命あっての物種だと言っているのだ。 「(分かった分かった……俺だって、見捨てようとは思ってないさ。 悪いが予定変更だ。これから彼女と話し合うから、お前たちは今日は帰ってくれ。 予定を潰して悪いな)」 本当は喫茶店でお喋りした後、マンションに行って3Pの予定だったのである。 すっかり色に染まったふたりは、少しだけ残念そうな顔をしたが、すぐに笑みを作った。 「(いいですよ。その代わり、今度はたっぷり遊んでくださいね)」 「(……私は仕事のたびに、その、お相手させられていますから……でも、ええ、埋め合わせをしてくれるというのでしたら、その。お願いします)」 香織は素直なもので、少しえっちに舌を出して笑う余裕がある。 水樹はまだまだ固さが抜けず、色々と逃げを打ちながら、それでも埋め合わせは欲しいらしい。 つくづく、いい身分になったものだな、と黒宮は笑った。 「(任せておけって。さて、じゃあ、一仕事しますかね……)」 ふたりが教会を出るのを見送ると、黒宮は再び、少女の元へと戻っていった。 「さて、話し合いが終わったし……少しお話をしようか。お嬢さん、名前は何ていう?」 「イリス。鏑木イリスよ……」 「そうか。じゃあイリス、おまえに取り憑いた悪霊だが、今は少し追い払っただけだ。 このまま放っておけば、まだ戻ってくるだろうよ。 が、きちんと儀式をすれば、完全に滅ぼすことだって出来るだろう……どうだい? 俺に付いてくるか?」 「儀式って……異教の儀式を行うの、修道女の私に……?」 「ああ、そうだ。そう深刻に捉えるなよ、お嬢さん。おまえくらいの年頃には、異教徒やってた聖人だって沢山いるだろ。 人生に必要な寄り道ってやつだよ」 「……でも。私は、信仰を持っているわ。洗礼も授かって、神と結婚すると決めたの」 (……神と、結婚、じゃと?) 頭のなかで、唐突に悪意が膨れ上がる。 黒宮は立ちくらみを覚えて、頭を抑えた。「それ」が怒り、人の器の中で暴れ始めたのだ。 (そこな、十字架にかけられた男のことか。あれと、婚姻を結ぶか。 ああ、ああ、許せぬ。恵みも齎さず、子をなすこともせず、血を繋ぐこともせぬ神が。 小娘ひとり、どんな神にくれてやっても構わぬが、こやつは、こやつだけは許せぬ。こやつが、こやつこそが、妾たちを追いやった……!) 「ぐううっ」 「ちょ、ちょっと貴方、大丈夫……っ!」 突然苦しみ始めた黒宮に、修道女が駆け寄る。 男の目は青く輝いて、苦しげに呻いた。 「悪く、思うなっ……!」 そうして、この力を得てから初めて。 黒宮は、自分の意志によらず、青い光を瞬かせた。 他の漫画を見る