巨乳キャラあつめました

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楽園の蛇(3)

夜の底を、彼女は歩く。
もはや名前も忘れた、かつて神であったモノ。

「ほほ、懐かしきかな、懐かしきかな」

ぬばたまの黒の髪を、夜の河のように流して、蛇のように滑らかな足取りで。
新月の夜、悪霊の満ち満ちた女学園を、まるで女王か女主人のように堂々と歩んでいく。
彼女に目を向けられた霊は、怯え震えて木陰へと隠れた。
彼女の前に立ち塞がった霊は、蛇の口の中へと収まった。

此処は、この国の始まりの頃より、恨みと憎しみを抱え続けた、亡者たちの成れの果てが集う場所。
とある切っ掛けで、数百年ぶりに起き上がった亡者たちは、若く美しい乙女たちに取り憑いては悪意を振り撒いていたが。

この日、訪れた夜は深く、底が見えぬほどに深く。
星の並びは、まるで遠い異国に訪れたように、見覚えがなく。

「ほうれ、逃げてみよ、逃げてみよ。
そなたら、自ら月を頭上に引きずり下ろしたのう」

ただ、逃げ惑う獣のように、追い立てられてては、嬲りものにされ、気紛れに見逃され、気紛れに喰われ。
そうして、忘れ果てるほど古くから、人々の記憶の彼方からやって来た女神の、糧となり力となってゆく。

「地均しは、こんなところかの。神殿を作るは、久方ぶりよ。しっかりと用意せねば」

聞くものひとりない、特別な夜の奥で。
彼女は嬉しそうに呟いて、狩人の夜を愉しんだ。

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「……わお。黒宮さん、本当に凄腕の悪霊ハンターだね。昔の伝奇小説みたい」
「なわけあるか。ったく、こりゃ、あいつが何かしでかしたな」

明くる日。
結局、買い直したスーツを着て学園にやって来たふたりは、激変した状況に頭を抱えていた。
満ち溢れていた悪霊は、数えるばかりになり、それもひどく弱り果てて。
心なしか、いや、間違いなく。
ふたりが近づくと、それが災いの先触れであるかのように、遠ざかってゆくのだ。

(ほほ。昨晩は、ちと地均しをしたゆえな)

頭のなかで響く声に、苦笑いをする。
実に頼もしい神様だが、その意図するところが、黒宮には全くわからない。
ひとまず女子寮へやって来ると、玄関前で鏑木イリスが、複雑な顔をして待っていた。

「……貴方を罵るべきか、お礼をいうべきなのか、迷っているわ」
「よう。元気そうで何よりだが……その様子だと、問題は解決したが、別な問題が生まれたな」
「ええ……まあ、付いて来て」

案内された先は、女子寮ではない。
建物の裏手、静かな木立の小道を進んだ先に、ひっそりと佇む礼拝堂だ。

「この辺りには、先生方も滅多にこないの。掃除は私たち、寮生がしているわ」
「へえ。しかし、落ち着いていい場所だな」
「だよね。なんだか、凄く安心できるっていうか……不思議なくらい、ほっとする場所」
「貴方達は、そうでしょうね」

引っかかる言い草でイリスが呟く。
そうして礼拝堂の扉が開かれると、内部の光景に黒宮は絶句した。

「「「ようこそ、祭司様」」」

昨日訪ねた少女たちが、白無垢のワンピースで身を纏い。
色鮮やかな花の輪を頭に載せ、柔らかな笑みを浮かべて迎え入れる。

礼拝堂の椅子などは、全てが撤去されており。
ぽかんと空いたスペースには、寮の空き部屋から持ち込まれたのか、場違いな寝台が置かれている。
キリストの磔刑像があるべき場所には、蛇をモチーフにしたシンボルが描かれていた。

「……あー、なるほど。小さいけど、これは神殿だね」

絶句する黒宮の傍らで、恋があっけらかんと言う。
明らかに面白がっているような声音だった。

そこに少女たちがやって来て、黒宮の腕を取り、寝台へと引き寄せていった。
細い腕が伸び、先を争うように、男のスーツを脱がして剥いてゆく。
混乱しながらも、抵抗する気にもなれず、されるがままに裸になった黒宮は、少女たちが愛らしい顔で縋り付いてくるのを見守っていた。

清純なワンピース姿の、見目麗しい女子学生たちが。
熱に浮かされたように、男の背中、胸板、それに股ぐらへと縋り付いて、キスの雨を降らせてゆく。
男の排除された女子学園で、純粋培養されたお嬢様たちだというのに。
吐息も荒く、頬を赤らめて男の肌に縋り付き、その歓心を買おうと、身を投げ出すのだった。

遊女が客を引くように、胸の膨らみを押し付け、男の情欲を燃やそうと性を捧げる。ある乙女は豊かな胸で腕を挟み、ある少女は大胆にも男の指を足の付根へ誘った。
前後左右から抱き着いてくる少女たちの、柔らかで甘い肉感に、黒宮はくらくらする。

花のような娘達は男を取り巻き、花開いたばかりの性的魅力で男を魅了した。睡蓮を思わせる芳しい香りが周囲に満ちる。
ワンピースの下には、だれも下着をつけておらず。
生々しく温かな柔肌の感触が、しっかりと伝わってくる。

「おまえたち……その、いいのか?」
「もちろんです……」

瑞々しい肢体がのたうち、くねり、絡みつく只中で。
黒宮はごくりと喉を鳴らし、情欲のままに手を伸ばした。

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