巨乳キャラあつめました

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背徳の花々(4) 築瀬祥子の見る景色

築瀬祥子は生粋のお嬢様だ。

亜麻色の髪をサイドテールに結った彼女は、均整の取れたスタイルを持っていて、人形のように整った容姿に恵まれていた。
成績だってよく、人間関係も順調で、容姿にも自信がある。けれど何事にも冷めていて、およそ「熱」というものが無い、そんな少女。
優等生で、何事も要領よく済ませてきたせいなのか。
或いは、生まれてからずっと「いい子」で通してきて、自分の意志というのを持ったことがないからなのか。

それで、特に困ったこともなかった。
別世界のようなお嬢様学校、小さな箱庭のような女子学園では、上手に立ち回ってきたと自負している。

それが揺さぶられたのは、学園に広まった奇妙な病気。
体が芯から凍えて、何か、得体の知れない怖ろしいものに包まれて、衰弱していく。
医者も首を傾げるそれの正体が、彼女にははっきり分かった。

『妬ましい、羨ましい、生きているおまえが妬ましい』

そう叫び続ける何か。
およそ「熱」を知らなかった少女は、亡者の呪いを前にして、ようやく自分の中の「熱」を自覚した。

死にたくない。
少しでも、少しでもいいから、生きていたい。

不意にやってきた男が、あっけなく悪霊を祓ってしまったとき、祥子は自分の中に燃え上がる熱を感じた。
生きていることに感謝し、そして、この生命を存分に使いたいと。熱に浮かされ、らしくもなく熱狂し、訳がわからないうちに男に縋り付いて、契りを交わしていた。
禍々しい肉柱が純潔を散らすときも、荒れ狂う熱情が痛みを感じさせなかった。

男の猛々しい性器は、彼女を圧倒し、征服してしまう。
荒れ狂う波が、何度も何度も少女の上を通り過ぎて、翻弄されきった果てに、不吉な熱の込もった濁流が流れ込んでくる。

礼拝堂で起きた出来事は、いつまでも燻る熱を、彼女の中に残していった。

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「と言っても、これはね……」

少女の中の冷めた部分が、呆れて物が言えないとため息をつく。
たまたま用事で遅くなり、女子寮に戻ってみれば、そこは乱交の真っ最中。
同じ学園の女子生徒たちが、リビングで半裸になり、男といやらしい行為に励んでいる。
あの時悪霊を祓った、黒宮と名乗る男ーーどういう経緯か、臨時の講師になるらしいーーが、ソファーに座り、寮生に腰を振らせていた。

「んっ、ああっ!」
「おほっ」

対面座位の姿勢でいやらしく腰をくねらせていたのは、鏑木イリスだ。
銀色の髪をした、信仰深いシスター。
それが、戒律をどこに置き忘れたのか、生まれたままの姿で男に跨り、腰を振って肉の喜びを分かち合っている。
ふたりは強く手を握り合って、快楽の絶頂を共有しているようだった。
幻想的な銀髪が宙を舞い、白い背中が弓なりに反り返り、玉のような汗が弾ける。

「また出したわね、このケダモノっ……貴方はまるで、驢馬か、馬のような男よっ……」
「おや、褒め言葉なんて珍しいじゃないか、イリス」
「もうっ、言ってなさい……」

口だけは悪態をつきながら、イリスの顔はだらしなく歪んで、ちゅ、ちゅっと男とキスを繰り返している。彼女の本音が何処にあるのか、誰が見たって分かろうというものだ。

(あの娘みたいな修道女だって、あんな風に変わるんだ……)

祥子はじっとその光景を見つめていた。
悪霊が祓われてからというもの、日常がどこか、決定的に変わってしまった気がする。
常識的に考えたら、悪霊祓いなんてとんだオカルトだし、臨時の先生が女子寮に入り浸って乱交なんて、世も末だ。

なのに、それが間違ったことだと、どうしても思えないのだ。
冷めた自分の残滓が、「とんでもない淫行教師だわ」と思う一方で、拾った命を無駄遣いしたくない、若い雌として生殖がしたい、という原始的な欲動が燃え上がる。

「おや、お帰りか? ええっと、祥子ちゃん、だっけ」
「うん……そう、です。黒宮先生」

何でだろう。
先生と結合したままのイリスが、ひどく羨ましく思える。
自分でも気づかないまま、手が勝手に動いて、胸元のリボンを解いてゆく。
ブラウスのボタンを無意識に外し、ブラをチラ見せして、目の前の男に媚びを売る。
頭の中がひどく単純になっていって、交尾の前にアピールする動物みたいに、目の前の男に自分の魅力を知ってもらいたいと、ただ願う。

「んっ……もう、本当に節操のない男だわ」

ペニスを引き抜かれたイリスが、ソファーにしどけなく沈み込んだ。
男は立ち上がって、太く長い男性器、繁殖できることを強く主張するモノをぶら下げ、近付いてくる。
その周囲に、何か青い靄のようなものが見え、すぐに消えた。
何かの見間違いだろう、と祥子は頭を振る。

「あの……黒宮、先生。それ、私にも、して下さいますか」
「祥子ちゃんみたいな綺麗な子に言われたら、断れないね」

磁力で引き寄せられるように、少女は男の腕の中へ。
そしてふたりは踊りを始める。自然が教えた、愛欲と生殖のダンスを。

祥子の中の、冷めた部分は、もう遠い何処か。
今はただ、この熱に身を任せていればいい。

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「くふふ」

人の及び知る場所ではない何処か、荒廃した神殿の建つ場所で。
名前を忘れた女神は、増してゆく力を感じながら、機嫌よく笑っていた。
殺風景であった大地には、今や色とりどりの花が咲き誇り、木々が緑をつけ、心地よい木陰を作り。
荒れ果てた神殿の壁には、補強するように蔦が絡みついて、生の息吹を感じさせる。

「面白いように上手くいくわ。これでは妾も、つい欲をかいてしまうのう」

かつての力、自分でも忘れかけた力を取り戻しながら、それは次の一手に思いを馳せていた。

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