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神へと捧げる茶番劇(4)

「改めまして、本日の臨時ゲストをご紹介します。
モデルの夏木恋さん、生花の家元をされている神無月京子さんです。
夏木さんには、先程、関谷先生の応急処置を手伝って頂きました。皆様、盛大な拍手を!」
「いやー、たまたま受けたばっかりの講習が、役に立って良かったー」
「わたくしは、特に何もしておりませんが、いいのでしょうか……?」

CMが終わった後。
放送事故を起こした上で、何とか再開した番組には、何故か恋と京子が出演していた。
ディレクターの咄嗟の判断である。
あんなことがあったばかりで、もう進行もへったくれも無くなってしまい、兎に角時間が潰せればいいや、と開き直ったようだ。

関谷に女遊びをバラされた俳優などは、あからさまに胸を撫で下ろしている。

「いやいや、お二人にいてもらって助かりました。
おふたりは番組開始前からずっと、ギャラリーの方で見学されていましたね。
おかげで我々も助かりましたが、どうして今日はご見学を?」
「あー、あたしと京子ちゃんは、香織さんと仲良しで。今日は応援と、この後みんなで遊びに行こうかな、なーんて思ってたんだよね。
あんなことが起きて、びっくりしたけど」
「わたくしも、恋さんに誘われて、ついて来ました。香織さんには、仲良くして頂いていますから」

あんなことがあった後にも関わらず、香織はほっと一息ついていた。
倒れた関谷には悪いが、こうなってひどく気楽な気持ちではある。なにせ気心の知れたふたりだ。

ただ、どうにも。

恋という少女は、何をしでかすか分からないところがあって、少し不安なのだった。

ちらりとギャラリーに目を向ければ、黒宮は盛大に頭を抱えていたし、横に座る水樹もハラハラしている。
イリスだけが、収録をスルーして熱心に本を読んでいた。恋の持ち込んだ本が気になるらしい。

「水科さんは愛されてるんですねえ」

キャストから微笑ましそうに言われて、香織はふわりと微笑んだ。
視聴者を釘付けにする、母性を滲ませた優しげな笑み。

「はは……そうですね、わたしもおふたりのこと、好きですよ」
「あはは、両思いだ。あたしも香織さんのこと好きー。京子ちゃんのことは、愛してるけどねっ」
「ちょ、ちょっと、恋さん……こんなところで、恥ずかしいです……」

突然のろけ始める3人を前にして、キャストの面々は少し驚いた顔をする。
それに構わず、恋は好きに振る舞い始めた。

「あ、そうだ。京子ちゃん、スマホ貸して」
「え? はい、いいですけれど……」
「えーと、暗証番号はっと……はい解除」
「な、なんでご存知なんですか、恋さんっ!」
「だってあたしの誕生日じゃーん。やだーあたし愛されすぎかもー」

きゃあきゃあ言い合いながら、恋はカメラに写真を向けた。
恋と京子が、ふたりで頬にキスをしあったり、抱き合ったりしている写真である。

「も、もう、恥ずかしいですよぉ……」
「あははっ、ゴメンゴメン。つい反応が可愛くて」
「こらっ、遊びすぎですよ、恋さん。本当に自由なんですから……」

京子は頬を真っ赤に染めてわたわたし、恋は楽しそうにコロコロ笑い、香織が悪戯っ子を見守る保母のように苦笑する。
そんな様子を見て、関谷に暴露された俳優が、目を丸くした。

「ほ、本当に仲がいいんだね……神無月さんのこんな姿は、初めて見たよ」
「京子ちゃんも女子高生だからね。そりゃ家元だから立場はあるし、大変なのは分かるけど。
でも、まだ十代の女の子だよ。学校に通って、友だちもいる、普通の女の子。
あたしだって、モデルやってるだけの大学生。
おじさんだって、24時間365日俳優さんってワケでもないでしょ?」
「はは、それはそうだな」
「どんな人だってそうだと思うんだ。だからあたしは、あんまり人の事情に首を突っ込みたくないし、そこで道徳を振り回したくもないんだよね」

突然、トーンを変えて喋りだす恋に、一瞬だけ空気が止まる。
ディレクターは「ここで蒸し返すのかよ」と目を見張ったし、黒宮はいよいよ疲れた顔をして、イリスは面白げに舞台を見やる。

「……凄いな、はっきり言うね。そんなことを言うと、不謹慎だって怒られるかも知れないのに」
「んー……ちょっと聖書に出て来るお話をしよっか。
ある日、ひとりの女の人が、不倫の現場を見つかりました。人々は懲らしめてやろうと、石を持って集まりました。
いざ石打ちが始まろうとするとき、イエスさまがやって来て言いました。
『おまえたちの中で、罪を犯したことのない者から投げなさい』
するとみんな、いなくなってしまいましたとさ、ってね。
あたしは、自分が石を投げられるほど、立派な人間だとは思えないし、他の人がそうだとも、思えないよ」

そう、モデルの少女が、ひどく強い確信を持って語る姿に、俳優の男は呑み込まれた。
彼だけではない。
他のキャストも、香織や京子さえも、その姿に惹き付けられた。
そこにはミステリアスで、カリスマめいた魅力が放たれていたのだ。

「やっぱり彼女、面白い人ね」

本から目を離したイリスは、この日で一番、機嫌よく笑っていた。

その日の放送は、後日、GIFアニメになって拡散することになる。
が、広まったのは香織のおっぱいが激しく揺れて、関谷が卒倒するシーンであった。
それは『おっぱい大勝利』というタイトルで、英語圏でも流れることになり。
黒宮はゲラゲラ笑い、香織はすねて、機嫌を直すのに随分骨を折ることになるのだった。

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