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家元JKと図書館デート(1)

黒宮恭一は、何だかんだで、勉強家である。
冴えない生活を送っていた頃から、読書は欠かさなかったし、あの女神の加護を受けてからは、(彼なりには)真剣に魔術だの古代宗教だのの本を読むようになった。
残念ながら、今のところ大きな収穫は無いのだが。

(ま、そうホイホイ発見があったら、学者は苦労しないだろ)

あの女神。
彼が「あれ」呼ばわりを続ける神は、名前を忘れたと言っていた。
それもとうの昔に、失ってしまったのだと。

認めるのは癪だが、黒宮は女神の祭司である。
否定したところで、あの女神と一蓮托生なのは間違いがない。
もし、手がかりになるものがあればと、時折図書館で調べ物をするのが、彼の習慣になっていた。
勢いで魔術書や宗教書を買い漁って、図書館の本棚を再現してしまった苦い思い出も蘇る。結局、この手の本に絶版本はザラなので、最初から図書館を使えばよかった、というのが手痛い教訓であった。

「全く、俺も何をやってたんだか」

間抜けな記憶に口元を歪めつつ、ハードカバーの本を小脇に抱え、書架から出ると。

「え……? 黒宮、さま?」
「あれ、京子ちゃんか」

黒髪ロングのお嬢様。
家元JK、神無月京子が、びっくりした顔でそこにいた。

「黒宮さまは、勉強熱心なんですね。難しそうな本を読まれて」
「そうでもないぞ。恋のやつのほうが、ずっと面倒な本を読んでる。俺はあいつみたいに、洋書まで手を出すつもりはないからな」

図書館に併設されたカフェテリア。
土曜日の優雅な昼下がり、女子高生と向かい合って、黒宮はコーヒーを味わっていた。ブラックなのだが、どうにも仄かに甘く感じてしまう。

なにせ、図書館デートなのだ。

書架で偶然出くわした後。
「あ、あの、お邪魔でなければ……これから、デートを、してくれませんか……?」
なんて甘酸っぱいことを言われ、黒宮は即座にOKした。

今日の京子は、ロングの黒髪をストレートに伸ばして、白のブラウス、胸開きのジャンパースカートという装い。
最近大きくなりつつあるバストを程よく強調し、絞られたウェストラインも魅せながら、しかし露出は控えめで。
全体的な印象は、あくまで清楚でお淑やかなお嬢様。
男の夢が具現化したような、大人しくて物静かな文学少女ルックである。

「ふふっ、こんな黒宮さんと偶然出会えるなんて。なんだかとても素敵な気分です」
「そりゃ光栄な話だ」
「黒宮さんは、最近お忙しいようでしたけれど。わたくしのことも、忘れないでくださいね?」
「忘れるわけ無いだろ?」
「まあ。聞きましたよ、イリスさんと恋さんと、わたくしの知らないお方と、4人で楽しく過ごされたとか。ずるいです。
……わたくしも、呼んでくだされば、良かったのに……」

むくれたように言う京子に、黒宮は慌てて誤解を解こうとする。

「ちょい待て。どっから聞いたんだ……ああ、恋のやつだよな、考えるまでもないが……少し勘違いが入っているぞ。茜とは、何もしてない」
「……ふふっ、意地悪を言ってしまいましたね。
でも、恋さんが言っていましたよ。難しい、とても難しい問題を抱えた子だったけれど、一晩で解決してしまったって。
イリスさんも……その、捻くれたお話し方でしたけれど、感心してらっしゃいました」

京子が、イリスの「捻くれた言い方」を再現しない辺り、どんな言い草だったかはお察しである。

「ま、どんな話し方だったかは目に浮かぶけどな……ところで、京子ちゃんはなんで図書館に?」
「元から、好きな場所なんです。静かで、落ち着いていて……それに、本を読んでいる間は、お花のことを忘れられますから。
そんな時間が必要なんだって、黒宮さんが教えてくれました」

花がほころぶように笑う京子を、黒宮は直視できなかった。

俺、そんなこと教えたっけ?

そんな疑問符が浮かんでしまう。
悪い遊びを教えた自覚はあれど、そんな立派なことを教えた覚えはない。だが京子の中では、どうも、そんな風に消化されてしまっているようだった。

「ま、何事も根を詰めすぎってのは良くないしな」
「はい。それに、恋さんも、イリスさんも、難しい本のことをよくお話しになりますから。お二人が、楽しそうにそんな話をされていると、わたくしも話に加わりたいな、と思ってしまうんです」

そう、にこやかに笑う京子のテーブルには。
中々に分厚いハードカバーが、何冊も積まれている。

「……ま、程々にな。てか、あいつらそんなに仲いいのか?」
「ご存知ないのですか? よく楽しそうにお話をされていますよ。イリスさんの言い方は、少しだけ厳しくて、最初は気後れしてしまいましたが……
それが『議論』というのだと、教わりました」
「なるほど」

出来れば、異なる意見を持っていて欲しいものだ、と黒宮は願う。
あの二人が、同盟を組むというのは、ゾッとしない想像だった。
なにせ、黒宮の周囲では、ダントツの問題児たちなのだ、

「京子ちゃんは、可愛いままでいてくれよ」

ついつい、嫋やかな手を握って、そんなことを言ってしまう。
京子はクスクス笑って、見惚れてしまうような、幸せそうな顔をした。
恋する乙女だけが浮かべる、夢見るような表情だ。

「ふふっ、お上手ですね、黒宮さま。そんなことを言われたら、わたくし、もっと可愛がってもらいたいって、張り切ってしまいます」

そう、熱っぽい視線で訴えかける乙女を前に。
黒宮は、いいことを思いついたとばかり、にんまりと笑ってみせた。

「そっか。じゃあ、ちょっと楽しいこと、してみるかい?」

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