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閑話:夜の聖所、夜の儀礼、夜の訪れ

気付けば夜が訪れている。

真昼からホテルに篭もり、愛の行為に励んでいた4人には、それも遠い世界のこと。精力衰えぬ黒宮は、美しい女を3人ベッドに四つん這いにさせると、尻を並べて、お楽しみだった。
むき出しの秘部に男の武器を抜き差し、三者三様に異なる、媚肉の違いを味わい。
それはちょうど、黒宮が蜜のような快楽に、ズブズブ浸かっていた頃のこと。

空は暗く、月は白く、地には人工の星が瞬く。
点滅するネオンの輝く裏通り。けばけばしいライトアップで浮かび上がる、いかがわしい風俗店。
紫煙をくゆらせ、客を待つ街娼の群れ。
スマホを弄びながら、一夜の神を待つ女子高生たち。

艶やかに色付いた街では、そこかしこから、囁くような誘惑の言葉と、快楽に溶けた喘ぎ声が響いてくる。
男女が終わることのない愛の行為に興じる、女神の膝元。
その片隅に、その建物はあった。

イギリス風の優雅な邸宅である。
建物の持ち主は、香月静香。
引退した元女優であり、不慮の事故で夫を亡くした未亡人であり、不貞と姦通を愛する邪な美女だ。
本来、週末を過ごす優雅な別宅として建てられた家には、今、様々な男女が集まって、乱交パーティーに勤しんでいた。

「……ふふ、順調ね。とても順調」

男女が絡み合う最中を、超然とした態度で彼女は歩く。
隣にはもう一人、従者のように、派手な容姿の美女が控えていた。
むせかえるようなセックスの匂いに、広間にひしめき合い、絡み合う肉の肌色。
床には色とりどりの花びらが散らされて、露骨な肉交に美しい色を添える。
それはただの乱交パーティーではなく、それ以上の、神秘的な集まりだった。

改築された広間の奥には、新たに祭壇が据え付けられ、蛇をモチーフにしたシンボルが据えられている。
蛇がヴァギナの形を描く、ひどく卑猥で、どこか不吉なシンボルだ。
祭壇の前には、捧げ物をするような台が据えられて、そこに横たわるのは裸の美女。
同じく裸の男が、女に覆い被さり、男女の交合を神へと捧げていた。

「あん、あんっ、女神様、女神様ぁ……」
「くうっ、おお、おおおっ!」

女が喘ぎ、男が叫び、生臭い精液の匂いが立ちこめる。
その様子を見ながら、従者の美女が顔を顰めた。

「ほ、本当にこれが、あの方のお求めなの?」
「もちろんよ」

従者のように控えていたのは、「魔女」の麗花。
現代に生きる魔女の末裔で、敵の殆どが従属した今は、街の裏側の元締めである。
しかし今は、ひどく落ち着かない様子で、しきりに静香の袖を引いては周囲を見渡している。

「こ、ここって、その、”神殿”なんでしょ? アタシ、一度あの方の機嫌を損ねてるし、あんまり変なことは……」
「変なことなんて、何もないわ」

オドオドとした魔女が、震えた声で心配するのを、静香が一言で切り捨てる。
断言する彼女の顔には、うっとりと、陶酔するような色が浮かんでいた。

「ねえ、素敵だと思わない? 男も女も、下らないしがらみをかなぐり捨てて、互いに交わるの。好きなようにね。
年齢も、婚姻も、お構いなしに。下らない仕組みは踏みにじって。
あなただって、今の時代は堅苦しいと思っているんでしょう?」
「そ、それはそうだけど……だからって、その……」

それはさぞ、奇妙な光景だったろう。
このままディナーに出ても不思議でない、ナイトドレス姿の静香が、乱交の情景を愛おしむように肯定し。
クラブで派手に男遊びをしていそうな、露出の高い派手な格好の麗花が、肯定するのを躊躇している。

そんな中、突然、その場にいる全員の肌がざわついた。
空気が変わる。
何か。
何かが、起きている。
静香が祈るように指を絡ませ、うっとりと「それ」を待つ一方で、麗花の顔面は蒼白になっていた。

そして暗がりの奥から、ひたり、ひたりと彼女が来たる。
裾の長いローブを引きずって、ぬばたまの黒の髪をなびかせ、この世の者とは思えぬ美貌を輝かせて。

「よい、よい、続けていよ。交わり、愉しみ、飲み歌え。それが妾の望みゆえな」

それは神託のように参加者の心を打った。
乱交はいっそう激しく、いっそう淫らに、いっそう熱中の度合いを増して。
肉と肉がぶつかり合い、喘ぎ声に満ちる喧噪の中、そこに参加しない二人だけが、女神の前に跪く。

「ほほ、可愛い娘らよ。そなたら、よく妾に仕えてくれたの。
よい、実によい光景よな。懐かしい、ああ、ほんとうに、懐かしい……」

目を細めて、どこか遠くを見るような姿を、跪く二人は見ることがない。
もし見えていたら、その寂寥を、「人間のよう」と感じたのかも知れなかった。

「顔を上げよ。
まず、妾が巫女に褒美を与えねばな。
妾が祭司は、些か気が弱いゆえ、少しばかり細工をしておったが……もう、良かろうよ。そなたが欲しいものを、妾が授けようぞ」
「ああ、神様……私に、赤ちゃんを、下さるのですか?」
「ほほ、実際に仕込むのは妾が祭司になるがの。
そなたの腹で、種が実を結び、健やかに育つのを、この妾が保証しよう」

感極まって、子供のように抱きついてくる静香を、「それ」はよしよしとあやしていた。
本当に血の繋がった親子のような光景だ。
それを麗花は、どこか空恐ろしい気持ちで見守っていた。

本物の、真性の女神がこうして顕現しているだけで、十分に異様なのに。
こうして人の子を抱いてあやすなど、理解の埒外だったのだ。

だが、幸か不幸か、「それ」の賞賛は、魔女にも向けられている。

「さて、そこな魔女の末裔よ。
そなたもよく、聖所を守り広げておる。かつてと姿形は変わっておるし、新しきものもあるが、その中身は同じこと。
かくて乾いた地には、天より恵みの雨が降りてーー世は変わるであろうよ。
楽しみにせよ、魔女の子よ。そなたの力、旧き呪いの力も、再び甦り、地に芽吹くであろうからな」
「は、はい……あ、ありがとう、ございます……」

それは本来なら、喜ぶべき知らせ。
だが、跪き頭を垂れる魔女には、嵐の予兆としか取れなかった。

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