肉を知る特別授業(2)
その日の放課後、志乃はおめかしして黒宮に会いに行った。
場所は黒宮が根城にしている、生徒指導室。本来なら、風紀を乱す生徒を注意する場所だが、今は彼の連れ込み部屋と化している。
「おや、志乃先生。これはこれは……そういう気分なのか?」
「そ、そういうわけでは……ない、つもりです……」
教師として、おかしな格好ではない。フリルの付いたブラウスに、何時もより短めのタイトスカート。
ただ、ブラウスは胸の形を強調するように、わざわざ折って「乳袋」を作っていた。下半身は短めのスカートで、タイツは着けず、生足をさらけ出している。ボディラインを見せつけるような着こなしだ。
「つもり、ねえ」
「あっ……」
黒宮は美人教師の顎をくいっと持ち上げ、綺麗に整った顔をじっくりと見る。紅潮した頬。潤んだ瞳。切なげに寄せられた眉根。
「はむ、んっ、ちゅぅっ……ふぅっ、んんっ……!」
流れでそのまま、艶やかな唇を奪う。
深く長く口付けてやれば、自然と互いの舌が絡み合い、唾液を交換するようになる。
黒宮の手が、美人教師の背中をぐいっと押さえ、腕の中に抱きすくめた。
「……ぷはっ。なんだ、志乃先生、やっぱり期待してたんじゃないか」
「黒宮、先生……」
聖職者の矜持が、ぐずぐずに溶けていく。
男の硬い腕に抱かれて、志乃の下腹部が甘く疼き、原始的な「女」の部分が囁きかける。
このオスに身体を開こう、交じり合って子孫を残そう、と。
そんな様子を見透かして、黒宮はにんまりと笑みを浮かべた。既に捕まった獲物を前に、どう料理してやろうと考える、支配者の笑み。
「志乃先生は、いい身体をしてるよな。スタイル、確かめさせてくれよ」
「……」
志乃は答えない。
ただ、好き放題に弄ってくる指を、されるがままに受け入れる。
タイトスカートを持ち上げる、むっちりと丸みのある尻。男の両手が包み込むように添えられて、悩ましい曲線をなぞるように撫で回し、スカート越しに尻肉を掴んでくる。
「いい尻だ。子どもじゃ、こうはいかないな。大人の女の、熟れ頃の肉だよ。次は、いやらしく育った胸を見せてもらおうか」
ブラウスの胸元を飾る、フェミニンなアスコットタイ。それを慣れた手つきで引き抜くと、プチプチとボタンを開き、乳袋を開封していく。
その下から現れ出るのは、透けるレースで編み込まれた、挑発的な黒のブラジャー。
たわわに実ったGカップのバストは、女性の荒い呼吸に合わせて上下し、男を誘っているかのよう。
「こんな下着をしてたのか。おいおい志乃先生、教師が学園の風紀を乱しちゃいけないな」
「も、元はと言えば、黒宮先生、あなたのせいで……!」
「くくっ。それでも、先生が男とセックスするための下着をして、澄ました顔で授業をしてたのは、事実だろ?」
「っ……!」
「まあ、俺個人としては、嬉しいぞ。こういうのを見せられると、興奮するからな」
ニヤニヤ笑いながらブラを外して、その下のぷるんと震えるおっぱいを、むんずと鷲掴み。
むっちり、むにゅりと揉みしだかれ、志乃は甘く掠れた声を漏らした。
「あっ、んんっ……!」
「こっちもいい肉をしてるな。すべすべで、手に吸い付いてくるぞ。
乳首もツンツン立ってて、しゃぶられたくて仕方ないって感じだ……はむっ」
「〜〜〜っ!」
電流。
男の口が、コリコリに硬くなった乳首を食み、甘噛みする。
抑え付けていた官能が、全身に波打つように広がって、脚がガタガタ震えてしまう。
「おっ、軽くイッちゃったか。志乃先生も、随分と敏感になったな。それじゃ次は、お待ちかねといこうか」
男が股間のチャックを外し、ズボンを降ろして、「それ」を外気にさらけ出す。
むわりと湯気の立ちそうな、熱くて硬い男性器。てらてらと濡れ光る尖端は、授業中、十代の乙女達の柔穴をほじくり返していたモノ。
「志乃先生。今日は特別授業だ。自分から、こいつを穴にハメてみろよ」
「えっ……そ、そんな、ふしだらなことを、しろって言うんですか……!」
「ああ、そうだ。生徒があんなに頑張ってるんだ、先生ももっと淫らにならなきゃな。
ほら、まずはパンツを脱いでくれよ」
「わかり、ました……」
羞恥に顔を真っ赤にして、志乃は言うことに従った。
スカートのホックを外し、床に落とす。
続いて、艶やかなショーツを脚から引き抜き、それも脱ぎ捨ててしまう。
まるでストリッパーになったような恥ずかしさに、志乃はぷるぷると震えていた。
「あの……ええと……」
今までは大抵が、黒宮の方から求めていた。志乃は床に押し倒されるなり、机に押し付けられるなりして、股を開いていれば良かったのだ。
だが今、黒宮は突っ立ったままで、自分からは動いてくれない。
「尻をこっちに向けて、後ろ向きに歩いてくるんだ」
命じられて、頭の中が真っ白になる。
その言うところの意味を理解して、女を自慰の道具か何かのように扱う仕方に怒りを覚えて——覚えようとして——それでも、志乃は抵抗出来なかった。
ああ。それよりも、何よりも。
あの逞しく隆起したソレに、奥まで貫かれてしまいたい——!
「黒宮、先生……」
そろそろと、相手の位置を確かめながら。ゆっくりゆっくり、尻と性器を差し出して、後ろ向きに歩いて行く。
きっと、ひどく滑稽で、淫乱な姿に見えているだろう。
そう思うだけで、志乃の下腹部は妖しく疼き、それでいい、それでいいのだと伝えてくる。
自然と、指が陰門に添えられて、その割れ目をくぱぁと左右に開いた。
ヒクついた肉ひだからは、とろりと愛液が滲み出て。
発情しきった穴を、盛りきった棒へと近付いていく。
くちゅり。
亀頭が、ヴァギナに触れた甘美な音だ。
ぷっくり膨れた先端部が、ぬるりと狭隘に嵌まり込むのを確かめて、志乃はどんどん後ろに下がっていく。
からだを開き、ずぶり、ずぶりと男根を受け入れて、うっとり甘い吐息を漏らす。
「ふぁあ……んんっ、ふぅっ……!」
開かれていく。埋め込まれていく。女の一番奥まで、満たされていく。
生殖。神秘。多産。豊穣。
そんな言葉とイメージが、頭の中できら星のように輝いて、腰の動きは止まらない。
種付けされる牝馬のように、尻を突き出し、オスに押し当て、たくましいペニスを欲して腰を振る。
「いいぞ、志乃先生。よく出来ました……っと!」
「んんーーーっ!」
ズドンと、一気に子宮口まで打ち込まれた。
両手をガッシリと掴まれて、迫撃砲でも打ち上げるような、乱暴で男性的な動き。
「あはっ、ふぁ、ああーーーっ! くろ、黒宮、先生っ……! これ、すごいっ……凄すぎるのぉっ……!」
両手を掴まれたまま、背中を反らせ、パンパン尻を打ち付けられて。
神聖な学び舎の、生徒指導室だというのに、あられもない声を迸らせ、一匹のメスと化す。
その変貌っぷりに、黒宮は思わずにんまりと笑ってしまった。
(こりゃ、いい感じに出来上がってるな)
こんな男好きのする容姿をしていて、この年まで清い身体だったのだ。
志乃は相当に生真面目で、身持ちのいいお嬢さんだった筈なのだが。
「あん、ああんっ! いい、いいよぉっ! あ、あっ、ふぁあ!」
それが今はどうだ。
キツキツだった処女穴は、すっかりグチョグチョに濡れ開いて。ぬちゅぬちゅ物欲しそうな音を立てて、自分から尻を振り、男の竿をしごき立てている。
自分が、この女を、こう染め上げてやったのだ。
ならば——黒の女神の恩寵で——豊穣の種を注いでやろう——
(っと、混線したか。まあいい、こっちも望むところだしな)
頭に響く女神の声を、何でも無いようにやり過ごし、更にパンパン腰を打ち付ける。
相手は大人の女性だ。自分から生ハメを求めているんだし、孕ませたって構わないだろう。
黒宮の中で、今まで残っていた常識の箍が、少しずつ外れ始めていた。
この新しい世界では、望みのままに、女の腹を膨らませてやればいい。赤子は恵み、女神の賜物。何も悪いことはない——もはやそんな風に、割り切り始めている。
「よしよし、上手な腰振りだな。頑張った先生には、ご褒美にたっぷりザーメン出してやるぞ」
「ふぁ、んんっ! 出して、出してぇ! あっついの、私の中に、いっぱい出して……んー!」
びゅくびゅくびゅくっ
汚らしい排出音と共に、衰え知らずのペニスから、夥しい白濁液が注ぎ込まれる。
どろどろの遺伝子のスープが、成熟した美女の子宮を埋め尽くして、浅ましい精子の群れを送り込んでいく。
「ふぅ、ふう……気持ち良かったぞ、志乃先生」
「ああ……熱い、です……」
ちゅ、ちゅっとうなじにキスをして、まぐわいの痕を残してやる。
女学園に入り込んだ、悪辣な蛇は、こうして自分の徴を刻み付けていくのだ。