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渦潮を間近にして(1)

「貴方、また生徒に手を出したのね」
「……なあイリス。どこで知ったのか、聞いてもいいか?」

放課後、静香の屋敷を訪れた黒宮は、遊びに来ていたイリスに出くわしていた。
それで開口一番、この皮肉である。
黒宮としては、どんな噂がどう駆け巡っているのか、気にしておく必要があった。今さらと言えば、今さらな話でも。

「あら、造作も無いことだわ。黒宮先生はとっても人気があるようだもの。皆、一晩中愛してもらったとか、特別授業をしてもらえたとか、露骨な話を、喜んでしてくれるの。
おモテになるのね、背教者さん?」
「へいへい、そいつは俺が全部悪いともさ。俺だってな、最近はどうかしてると思うよ」
「そうね。どうかしてるわ」

イリスは一度言葉を切り、遠くを見るような目つきになった。
単刀直入を地で行く彼女にしては、珍しく逡巡するような表情をして。それでも、はっきりと言葉にする。

「この前ね、授業で避妊具を扱わされたわ。皆、まるで疑問に思っていなかったの。どんな魔法を使ったのか知らないけれど、大したものね」
「俺だってビックリしてるよ。どうも最近の学園は、その……俺に都合が良すぎるからな」
「全くよ」

やれやれと溜息を吐くイリス。
元々、「やり過ぎ」は危険だと思っていた。学園をスキャンダルが駆け巡り、生徒が何人も退学し、酷いことになると危惧していたのだ。
それが、蓋を開けてみれば、どうだろう。
教師も生徒も、男女関係を「醜聞」と考える価値観がない。
皆、薄々それに気付き始めている。
もはや世界は変わり、塗り替えられて、「それ」を忌避する考えこそが、タブーなのだと。

「その昔、異教徒の時代には、恥ずべき場所を象ったお守りがあったそうよ。
……この前、街を歩いていたら、そういうアクセサリーが堂々と売っていたわ」
「俺も見た。ありゃないよな」
「そう思うなら、大本に伝えてくれないかしら。これから、どうするつもりなの?って」

黒宮もバカではない。変わり始めた世界に、違和感くらい覚えるし、「あれ」がこの世をどう持って行くつもりなのか、警戒くらいはしている。
しているのだが……

「いいじゃん、元に戻るだけだよ。ずーっと昔、本当に、ずーっと昔にね」

大きくなったお腹をさすり、恋が歌うように呟いた。
その腕に白い蛇が絡まり、嬉しそうにチロチロと舌を出している。

「恋さん、そんな簡単に言わないで。今は21世紀よ」
「そうだね。主なるイエスの生まれた年から、もう二千年は過ぎちゃった。
今でも信じる人は沢山いるんだから、もう四,五千年遡っても、悪いことは無いんじゃない?」
「悪いことはないって、おまえな……」

「黒宮さんも、分かってるでしょ? この子の時代には、きっと、もっと面白くなるって」
「……親としては、肩身の狭い思いはさせたくないな。おまえたちにも」

もちろん、黒宮だって分かっているのだ。
ひとりの父親に複数の母。
今の日本で、そんな家族を「普通」にするには、世界の方を変えないといけない。

ただ、その中心点に自分がいるというのは、どうも場違いな感じが否めない、というだけ。
黒宮自身は、自分がそんな大層な存在だと思ったことは、一度も無かった。
ただ、棚ぼた式に「青い光」を手に入れて、劣情のままに振る舞ってきただけだ。それがどうしてか、世界を塗り替える尖兵のようになっている。

「貴方、釣った魚に餌をやるタイプだったのね。意外だわ」
「おまえも随分俗っぽい物言いをするようになったな……ま、そいつは悪いことじゃないが」
「むっ」

思わぬ反撃に、イリスが珍しく顔を顰め、恋がケラケラと楽しそうに笑う。

「あははっ、イリスちゃん、一本取られたね。まあ、あたしも、黒宮さんが親馬鹿になりそうで、ビックリしてるんだけどさ」
「本当に、不思議なものね……人の、親になると言うことは。私も、そんな風に変わってしまうのかしら」

それは何気ない一言だったが、呟くイリスには、隠しようもない期待の色が浮かんでいた。
恋はきょとんと目を開き、黒宮は虚を突かれたようにポカンとして、気付いたイリスが顔を真っ赤に慌て出す。

「か、勘違いしないで! 別に、貴方の子を産もうとか、そういうことを言ってるんじゃ……!」
「わ。イリスちゃん、ホントに変わったねえ。可愛いなあ」
「……マジ、か?」
「だから勘違いしないでって、言っているでしょう!」

黒宮はニマニマ笑いながら、イリスの肩を掴んで抱き寄せた。その耳元に、そっと息を吹きかけ、囁いてやる。

「それじゃあ、勘違いかどうか、確かめてやるよ」
「んっ……!」

ぺろりとうなじを舐め上げられ、銀髪の乙女はビクンと身体を跳ね上げた。
「恋、静香に寝室を借りるって伝えてくれ」
「はーい。楽しんできてね、イリスちゃん。いってらっしゃーい」
「ちょっと恋さん、何を言って……あ、ちょっと、離しなさい背教者!」
「まあまあ、おまえの言い分は、ベッドの上でたっぷり聞くさ」

黒宮はイリスの腰を抱き寄せた。間近で見ると、息を吞むほど綺麗な、妖精のような美少女だ。
腰回りはひどく細くて、中身が入っているのか疑いたくなるほど。

この薄い腹を、自分の種で膨らませてやる。

そんな気持ちと共に、口元に好色な笑みが浮かぶのだった。

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