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16話 仮面の下

壁ドンっ!
壁ドンですっ!
初めての壁ドンは、される側でしたっ!!

言ってる場合ではない。

俺に壁ドンしてるのはルクレイア。
端整な顔立ちに無表情のまま迫られると迫力が凄いのだ。至近距離で見る彼女は、寒気がするほど美しかった。

けど……。

「覚悟、よろしいですね?」

ちっともよろしくない。

だって今の彼女、本気で俺を搾り殺しかねないもの。その証拠にルクレイアの太ももの内側が、大量に滴る愛液でぬらりとテカりを帯ていた。まるで獲物を前にした肉食獣が涎を滴らせているかのようですらある。

「小粋なメイドジョーク……ってわけじゃないんだな?」

「冗談は嫌いです」

言いながら迫ってくるルクレイアの肢体。黒い下着で一層強調された白い素肌が、作り物のように美しい。この美しいメイドに犯されて搾り殺されるなら、大抵の男は本望と思ってしまうだろう。

だが……。

「何故逃げるのです?」

「逃げるに決まってんだろっ!」

サッと彼女の腕をくぐり、俺はなんとか壁際から脱出していた。
捕まったら最後。捕まってしまったら逃げる気力すら奪われるのは目に見えているのだ。

しかし逃げ場がない。
ルクレイアが本気になれば簡単に追いつかれてしまうだろうし、地上に出るわけにはいかないから。

だってルクレイアは鍵を掛けていたのだ。
それはきっと、俺が逃げられないようにという意味じゃない。内側から簡単に開けられるのは、彼女だって承知しているんだから。であれば、その目的は明白。

「意外と嫉妬深いのか? だったら男冥利に尽きるってもんだけど」

「勘違いしないで下さい。獲物を独占したいだけです」

やはりだった。
彼女が鍵を掛けたのは俺を逃がさない為ではなく、他のメイドが入ってくることを阻止するためだったのだ。
つまり地上には、まだ紅夜の影響を受けているメイドたちが闊歩してるってことになる。

八方塞も良いとこだな……。

どうしたものか。
ルクレイアから距離を取りつつ頭を回転させる。
すると彼女は諦めたように息を吐き、呟くように言ってきた。

「……やはり……わたしには魅力がありませんか?」

「は? いやそんなこと――」

「ないわけありません。現にお客様はわたしを拒んでいるではありませんか」

突然のことに、俺は何を言われているのか分からなかった。
ルクレイアに魅力がない? 何言ってんだこいつ。魅力的すぎるからこそ必死に拒絶してるこっちの身にもなって欲しい。

だが沈黙を肯定と受け止めてしまったのか、ルクレイアは自嘲気味に言葉を続ける。

「言われなくとも分かっております。不気味なのでしょう? 一応これでもサキュバスですから、容姿に問題はないはずです。胸もそこそこだと自負しております。ですが……」

ゆっくり近付いて来るルクレイアに対し、俺は動くことが出来なかった。
逃げなければならない。
理性はそう判断して今すぐ逃げ出せと命令しているが、俺の感情が「逃げるな」と叫んでいるのだ。

だって……。
だって彼女……。

「わたしは感情を表に出すことが不得手なのです。他のサキュバスのように媚を売ることも、男を誘惑することも、微笑みかけることも出来ません。こんな石像女、とても抱く気にならないでしょう? ですから……」

気付けば俺は、ルクレイアに捕らわれていた。
細い腕がガッチリと俺を掴み、ベッドに押し倒してきたのである。

「こうするしかないのです。無理やりする以外に、渇きを癒す方法を知りませんから」

人形のように整った美しい顔が、ゆっくりと迫ってきた。
夜空を思わせる深い藍色の髪がハラリと肩を滑り、俺の頬を撫でる。
鼻と鼻がくっ付いてしまいそうな距離だ。

「ま――っ」

慌てて出した制止の言葉は、しかし彼女の唇に塞がれてしまった。

むにっと押し付けられた柔らかい感触。
彼女の唇は想像していたより遥かに熱を持っていて、ルクレイアが発情していることを如実に物語っていた。

「ちゅ……んちゅぅ……ん……」

彼女は味わうように俺の唇を啄ばんでくる。
そのたびに唾液が湿った音を響かせ、俺の心を溶かしていくようだ。

口付けを交わしながら、俺の服を脱がし始めたルクレイア。
優しいキスで弛緩させられた俺は、抵抗することが出来ない。たちまち胸をはだけさせられ、彼女の手が伸びてくる。一瞬だけヒンヤリとした感触は、しかしすぐに熱を持ち、俺の胸板を撫で回し始めていた。

「ん……んむぅ……んちゅっ。……抵抗しないのですか? 犯されてしまいますよ?」

ルクレイアが、何の感情も表さない瞳で見下ろしてくる。

綺麗だと思った。
髪と同じ深い藍色をした彼女の瞳は、吸い込まれるほどに美しい。思わず魅入られてしまいそうだ。いや、もうとっくに……。

「……そうですか。そういえば、お客様は犯されるのがお好みでしたね。せめて最後はお客様のご希望通り、気持ち良く犯してさしあげます」

「それ誤解――んむぅっ」

誤解を解く間もなく、俺の唇が再びルクレイアに塞がれてしまった。
しかも今度は――ぬちゅり……。温かくぬめる舌が侵入してくる。

「ぬちゅ……ちゅっ……ちゅるるぅ……っ」

ルクレイアの舌に歯をこじ開けられ、口内が蹂躙されていく。
薄い舌が器用に歯茎や唇の裏を舐め回し、まるで口の中を舐め尽くそうとしているかのようだ。
触手のようにぬるっと蠢くそれは、やがて俺の舌を探り当て、先端をちろちろとくすぐってきていた。

「あ……るく……れいぁ……」

なんとかそれだけ紡ぎ出すも、当然彼女は止まらない。
メイドの本分を思い出したかのように、俺の舌に奉仕を続けるのだ。

やばい……。
なんかボーッとしてきた……。

とてつもなく気持ち良い口付けに頭が恍惚となってしまう。
舌を伝い落ちるルクレイアの唾液を強制的に飲まされ、ズクンと下半身が疼いた。

甘く、温かく、興奮を掻きたてる蜜。
飲めば飲むほど渇きを覚え、コクコク喉を鳴らし続けてしまう。

「目が蕩けてきておりますよ? 本当に抵抗なさらないのですね」

抵抗……。
抵抗か……。

彼女に言われ、初めて「抵抗」という言葉を知ったような感覚だった。
それほどに、ルクレイアに身を任せてしまっていたのだ。

そんな俺の状態に気付いたのか、ルクレイアは悠々と俺のズボンを脱がし始めた。
ベッドの上。手早く全裸に剥かれた俺に、再びルクレイアが覆い被さってくる。

ちらっと視線を下にさげれば、レースをあしらった黒いブラジャーの中で、白く艶かしい柔肉がたぷんと揺れるのが見えた。アルムブルムさんほどではないが、十分な質量を持っていることが分かるそれに、俺の手が吸い寄せられてしまう。

しかし……

「ダメです。お客様は今、わたしに犯されているのですから。そんな自由は認められません」

ルクレイアに掴まれた俺の手首が、万歳の格好で頭の上に押さえつけられてしまう。恥ずかしい体勢に思わず顔を逸らすと、無防備になってしまった首元を舐め上げられた。

「うひぃ……っ」

「そう。それです。犯されているのですから悲鳴をあげなくては」

耳の付け根から首筋に沿って舐め下がった彼女の舌が、次いで胸板を舐め始める。
不思議な気持ち良さだった。
舌が通過する時はぞわぞわするほど心地良く温かいのに、通過してしまうと寂しさを覚えるほど冷えてしまう。

敏感な部分を舐められ「うっ」と声を漏らしてしまうと、上目使いの彼女と目が合い、気恥ずかしさに身体が燃えそうだった。

「男なのに乳首で感じるのですか?」

否定することが出来ない。
実際ルクレイアの舌先に乳首をくすぐられると、身体を捩ってしまうほど気持ち良くなってしまうのだから。

彼女はそんな俺の反応に気を良くしたのか、ますます激しく乳首を嬲ってくる。
四つん這いの格好で俺に覆い被さり、擦り付けるほど身体を密着させ、ちゅぱちゅぱと音を立てて乳首を吸い上げてくるのだ。

「どうしました? もう気持ち良過ぎて、声、止まりませんか? それとも早くコッチを触って欲しいという催促でしょうか?」

乳首を舌で転がしながら、ルクレイアの手が俺の下半身を撫で始めた。
ただし、直接肉棒には触れてくれない。太ももの内側をそーっと撫で、焦らしてくるのだ。

「ル……ルクレイア……っ」

「おねだりですか? わたしの頼みはいつもあしらっていたというのに?」

「そ……それは……。だって本気じゃないと思っていたから……。それに今も……」

そう、今も。
今も俺は疑問を持っていた。

確かに彼女には淫紋が浮かび上がっているし、こうして俺を犯そうとしているのも事実だ。
けれど言葉が通じている。他のメイドたちのように、正気を失っているようには見えないのだ。

だからひょっとしたら、俺に注意喚起するためにこんなことをしてるんじゃないか?
そんな風に考えてしまっているのだ。

一度愛撫を止めた彼女は、ゆっくりと身体を起こしていた。
とすん、と俺の上に座るルクレイアに、出会った日のことが蘇る。

「わたしが正気に見えるのは、他の者より耐性があるからです」

「耐性……?」

「精液枯渇症に慣れているんです」

その言葉を聞いた俺には、思い当たる節があった。
さっき言われた皮肉通り、ルクレイアはいつも俺に「ザーメン一搾り」と言ってきていたのだ。

まさか……!?

恐ろしい想像をしてしまう。
半ば冗談だと思っていたが、もし彼女が本当に飢餓状態にあったとしたら?
感情表現が苦手ゆえに、ちゃんと伝えられないだけだったとしたら?

そう考えた瞬間、全てのピースが嵌った気がしたのだ。

そうだ。ルクレイアは自分のことを「石像女」と卑下し、だから抱く気になれないのだろうと言っていたじゃないか。俺がルクレイアの望みに応えないことも、彼女は自分が「石像女」だからだと思ってたんじゃないのか?

それにもしかしたら……。

「いつだ?」

俺の質問にルクレイアは首を傾げた。
だからはっきりと聞き直すことにする。

「最後に夢渡りをしたのはいつなんだ?」

ひゅっと彼女が息を飲む音が聞こえ、答えが無くともその反応で分かってしまった。

もうずっと……。
ずっと彼女は精液を摂取していないのだ……。

初めて出会ったあの日。
我慢の限界だと言ったルクレイアは、本当の本当に我慢の限界だったのだ。

気付くと俺は、彼女を押し退けるように身体を起こしていた。
ルクレイアは一瞬警戒を露にしたが、しかし次の瞬間、呆気に取られたように声を漏らす。

「な……なにをなさってるのですか……? 精液枯渇症のサキュバスに抱き付いてくるなど、正気とは思えません……」

「うるせぇ馬鹿メイド! なんでもっと早く言わなかった!」

「い、言いました。わたしは常にザーメンが欲しいと……」

「あんな言い方で伝わるかよっ!」

抱き締めたルクレイアの細い身体を、今度は俺が押し倒す。
まさか押し倒されるなど思ってもいなかったのだろう。
能面のようだった表情に、少なからず混乱が表れていた。

「わ、わたしが紅夜の影響を受けているのも本当です。今のわたしは正気ではないのです」

「あぁそうかよ。けど精液が足りなくて辛いのも本当なんだろ?」

「それは……」

「だったら俺がくれてやるっ! お前の胎が一杯になるまで俺の子種で満たしてやるっ!」

今度こそ、ルクレイアの能面が崩れ落ちた。
慌てたように、彼女はブンブンと首を振っていたのだ。

「死にますよ!? 今ザーメンを注がれたら、きっとわたし止まれなくなります! わたしなんかを抱いて死んでしまっても良いのですか!?」

「なんかとか言うなっ! こんな美人抱いて死ねるなら本望だろっ!」

「う、嘘ですっ! 今まで一度も抱こうとしなかったではないですかっ!」

「あー、それな……」

正直恥ずかしい。
けどここで伝えることを躊躇ったら、きっとルクレイアは誤解したままだろう。
だから俺は、覚悟を決めて彼女に伝える。

「あんまりルクレイアが綺麗すぎてさ……。一度でも関係を持っちゃったら、絶対に俺が溺れるって確信してたから。だから……」

だから抱けなかった。
茶化すことで誤魔化し続けてきた。
そうしないと、リュドミナさんから受けた頼みを全う出来なくなりそうだったから。

その言葉は、どれだけ彼女の心に届いただろうか。
少しでも信じて貰えるよう、俺は夜空を思わせる深い藍色の髪に手を差し入れ、優しく梳いてやる。

「ルクレイア。お前を抱きたい」

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