37話 アルムブルムと恋人セックス #
俺たちはベッドに移動していた。
アルムブルムの手を引き、身体を抱き寄せ、キスをしながら優しく彼女を押し倒したのだ。
まさか性の支配者たるサキュバスをリードする時がくるとは……。
そんなことを考えてしまったが、頭を振って邪念を追い出す。
今目の前にいるのは……。
俺に押し倒され、けれど全幅の信頼を寄せて柔らかな微笑を向けてくれている彼女は、サキュバスである前に一人の女の子なのだ。そして俺の彼女なのだ、と。
「ねぇ誠くん。こういう時、愛し合う二人はどんなことをするの?」
「見詰め合って、キスして、愛を囁き合ったりするんじゃないっすかね」
言った途端俺の頭に腕を回し、アルムブルムが引き寄せてきた。
鼻先が触れ合うほどの至近距離。見詰め合っていると、どちらからともなく唇を求めてしまう。
「ちゅ……ん……ちゅぅ……。……好きだよ」
ドクンと心臓が跳ね上がる。あまりの驚きに、俺の目は見開かれているのだろう。だって視界の中が可愛いアルムブルムの姿で埋め尽くされてしまっているのだから。
「誠くんにも、言って欲しいな。…………ダメ?」
こんな可愛いおねだりをされて、断れるわけないじゃないか。
「好きだ。アルムブルム」
言葉にしてみると、心がふわりと高揚感に満たされた。
幸せすぎて「このまま時間が止まれば」なんて、そんな馬鹿げたことまで考えてしまう。
あぁヤバい……。
これ、俺が本気になりそうだ……。
そんな浮ついた気持ちのまま再び口付けを交わすと、脳までとろとろに溶けてしまいそうだった。
求めるがまま、求められるがまま、だんだん口付けが深くなっていく。
「はむぅ、んっ、んちゅぅ……。好き。んっ、んむぅっ、好き、だよ……」
息継ぎのように愛を囁き、そしてまた唇の柔らかさを求める。
舌を絡ませ合うと、心を愛撫されているんじゃないかと錯覚するほど顔が蕩けてしまう。
ずっとこうしていたいと思うのに、しかし奥から湧き出してくる衝動を押さえきれず、俺の手は彼女の服を脱がせ始めていた。
脱がせやすいように身を捩ってくれたアルムブルムは大きな胸を曝け出すと、頬を上気させながら「誠くんも脱がせてあげるね」と目元を緩める。
自分で脱いだ方が早いのは分かってるけど、ゆっくり脱がされるもどかしい時間すら、なんだか愛おしいのだ。
他愛ない触れ合いに幸せを噛み締め、ようやく全裸になった俺は、そのまま彼女を抱き締めていた。
大きなおっぱいが、二人の間でむにゅっと潰れる。その柔らかさに肉棒を昂ぶらせつつアルムブルムの首元に顔を埋めれば、彼女の甘い匂いが脳に染み込むようだった。
「なんだか不思議。まだ全然えっちなことしてないのに、わたしのココ、きゅんきゅんしちゃってる」
彼女の手に誘われた俺の指先がアルムブルムの秘裂に触れた瞬間――ぬちゅ……。あまりの潤いに指先がぬるっと滑り、そのまま彼女の中に沈み込みそうになってしまった。
「きっと、誠くんに愛してもらってるからだね」
はにかみながら言ったアルムブルムは俺の手を顔の前に持ってくると、ぬらりと愛液に濡れた指先を確認して――はむぅ。口に含み、れろれろと指先を舐ってきた。
指フェラだ。
穏やかに目元を細めたアルムブルムに、俺の指先が舐めしゃぶられる。肉厚なベロが指に絡みつき、たっぷりの唾液で舐め溶かすように、れろれろ、ちゅぱちゅぱと美味しそうに舐められているのだ。
なんてエロいのだろうか。
こちらの様子を覗う濡れた瞳と目が合うたび、射精しそうなほどの興奮を覚える。
気付けば俺は、自分の指を押しのけ彼女の唇を奪っていた。
そして自由になった手で、アルムブルムの大きなおっぱいを揉みあげるのだ。
「んんっ、んちゅっ、んふぅ……っ」
突然の快感に、準備していなかった彼女が身体を捩った。
俺の下でうねるアルムブルムの裸体はとてつもなく扇情的で、もっと踊らせようと濡れた指先で乳首を弾くと、背中を弓なりにした彼女が「んんっ」と喉を震わせる。
「はぁ……んふぅ……っ。ね、お願い……もっとシて……? 唇も、おっぱいも、おまんこも……。もっともっと愛して欲しいの……んくふぅ……っ♡」
答える代わりに乳首を捏ね、アルムブルムに愛を伝える。
嬉しそうに頬を緩ませた彼女は、身体を捩りながら膝を立ててきた。ちょうど俺の股の間に膝を割り込ませるような感じだ。
むっちりした太ももに股間を撫でられ、肉棒がグンッと硬さを増していく。それに膝を立てたことで自然とアルムブルムの股が開かれ、俺の膝も彼女の股座に密着したのだ。
アルムブルムの欲情の証が、ぬっちゅりと俺の太ももを濡らす。
少しだけ脚を揺すってやると、良いところに擦れたのか、彼女は首を仰け反った。
「んあぁっ! ソコっ、んふぅ……っ!」
彼女は我慢出来なくなったように俺の頭を抱き寄せ、頬擦りをし、そして耳元で甘く媚びるように囁いてくるのだ。
「あっ、んんぅっ、すきっ、あはぁ……っ♡ ごめんねっ、まことくん……っ♡ くふぅぁっ、わたしっ、んっ、がまん、できなくなってきちゃったかも……っ♡」
そんなのこっちだって同じだ。
さっきから肉棒が痛いほど張り詰め、ぴくぴくと震えてしまっているのだから。
「挿入
い
れるよ?」
だからそう聞くと、アルムブルムは俺の耳に唇を寄せ
「うん、いいよ。いっぱい愛して?」
俺の理性を完全に溶かしてしまったのだった。
こうなってしまっては、もう自分の肉欲を止められない。
片膝を立てていた彼女の脚をそのまま持ち上げ、大切に抱えたままもう片方の足を跨いだ俺は、俺を迎え入れるためにぐっしょり濡れた秘裂に腰を押し当てた。いわゆる松葉崩しという体位だ。
けれど、別にこの体位が好きでこうしたわけではない。
本能がもっとも深く彼女と繋がれる体勢になった結果、自然とこうなっていたのだ。
横向きになり、片足を大きく上に持ち上げられたアルムブルム。
ぱっくり広げられたおまんこは綺麗なサーモンピンクで、涎を垂らしながら中の媚肉をヒクつかせているのが見えた。
お尻と太ももの境を伝い落ちる愛液が凄まじく淫靡なのに、迎え入れようとしている彼女は初心な乙女のように期待と不安で瞳を揺らせている。
安心させるように抱えた脹脛
ふくらはぎ
にキスをしてから、俺は亀頭の先端を彼女の秘所に押し当てた。
「アルムブルム。愛してる」
「うんっ。わたしもだよ、誠」
――ぐにゅうぅぅぅ……っ
最後の確認と同時に、肉棒が彼女を貫いた。
驚くほど柔らかくほぐれたソコはぐにゅぐにゅと竿に絡みつき、アルムブルム自身がそうであるように、優しくむぎゅぅっと抱き締めてきてくれる。
大量に溢れた蜜は侵入してきた肉棒に押し出され、じゅぶっと水音を立てるほどだ。それほど求めてくれていたことに嬉しくなり、一番奥まで繋がった俺は、アルムブルムの脚を抱えたままブルッと背中を震わせた。
「んぅぅ……っ♡ すごく、ふかいところまで、誠を感じる……♡」
脚を抱えたこの体位だと繋がったままキスをしたり出来ないけど、その代わりむっちりした彼女の脚を常に抱き締められるし、もう片方の脚を跨いでいるから腰を動かすたびに玉袋が太ももに擦られて気持ち良い。横向きになったアルムブルムのお尻も俺の太ももに密着していて、彼女の下半身を余すことなく堪能できる体勢だ。
なにより普段以上に深い挿入感がまさに合体といった感じで、今アルムブルムとセックスしているという事実を鮮明にしてくれるようだった。
抱えた彼女の脚を支えにして腰を振り始める。
十分過ぎるほど濡れているおまんこに加え、この体位だとピストンがスムーズだ。根元から先端までの大きいストロークでも、問題なく腰を動かせる。
「あぅっ、んんっ、まことっ、んあぁっ♡」
その分、感じる快感も強烈だった。
ずにゅん、ずにゅんと抽挿される肉棒がアルムブルムの蕩けきったおまんこにシゴきあげられ、甘く快楽に痺れていく。
普段当たらない膣の横壁が亀頭の敏感な部分を摩擦し、睾丸がキュッと収縮する。その睾丸も彼女のむっちり太ももと擦れ合うのだから、どこもかしこも気持ち良いのだ。
「はぅんっ、すきっ、んぁあっ♡ まことっ、すきっ、だいすきっ、だよっ♡」
ベッドの上では組み敷かれたアルムブルムが嬌声に愛を乗せながら喉を震わせ、大きなおっぱいをぶるんぶるんと揺らしていた。
熱を持った身体はじっとりと汗ばみ始め、それが彼女の素肌を艶かしくみせてくる。
「俺もっ、好きだっ!」
愛を返し、抱えた脚にキスの雨を降らし、深く深く彼女を貫き続けていると、早くもズクンと腰の奥が疼き出してきた。
全てを真っ白に染め上げそうな絶頂の波が、急速に駆け上がってくるのが分かる。
「んふぅっ、いぃっ、んっ♡ まことっ、んあぁっ、イき、そう?」
快楽に身を任せながらも俺の限界に気付いた彼女が聞いてきた。
正直限界だ。いつ暴発してもおかしくない。
けれど俺は首を振った。まだだ。もっともっとアルムブルムと繋がっていたいのだ。
「んっ、いいよっ♡ あはぁっ♡ イッてっ、んっ、いいんだよ? んあぁっ♡」
なら一緒にっ。
そう思うのに、限界が容赦なくやってきてしまう。
「だしてっ♡ んんっ、ね? んくぅっ、まことのっ、愛をっ、んんっ♡ わたしのっ、なかにっ、んあぁあっ♡ んぅっ、いっぱいっ、ちょうだい?」
切な気にそんなことを言われたら、我慢なんて出来るはずなかった。
「射精
い
くっ! アルムブルムの中でっ、出すっ、ぞ……っ!」
「うんっ、ほしいっ! まことがっ、ほしいのぉっ!」
「イ……く……ぅッッ!!」
全身が震え、多幸感に包まれたまま、ついに大量の子種がどびゅぅっ、どびゅっと爆発するような勢いで飛び出した。
心が溶けてしまうほどの凄まじい快感から耐えるように、俺はアルムブルムの脚にしがみ付くことしか出来ない。
彼女の中でびくんっびくんっと大きく跳ね続ける肉棒は、まるで膣内をぬちゃぬちゃと掻き回しているかのようで、その蠕動にアルムブルムはうっとりと目元を緩めていた。
「ふああぁぁ……っ♡ まことの愛……温かいね……。それにすっごくたくさんで溢れちゃいそうだよ」
いつもより量が多かった感覚が俺にもある。きっと本能が、本気で彼女を孕ませたがったのだろう。
それだけに疲労感も濃いのが難点だが……。
「ふふ。おいで?」
射精の余韻冷め遣らぬ肉棒をごぽっと抜き、抱えていた脚を解放した俺は、両手を広げる愛しい彼女の胸に飛び込んだ。
するとすぐ、アルムブルムが優しく頭を撫でてくれる。
「凄く頑張ってくれたんだね。嬉しいなぁ」
疲れ切った俺を癒してくれるのは、彼女の柔らかさと甘い匂い。
そして、額に落とされた口付けだった。
愛を知ることは出来た?
なんて聞くのは無粋だろう。
今はただアルムブルムに優しく抱き締められ、抱き締め返し、一緒に眠ってしまいたい。
明日の朝には、この夢も醒めてしまうのだから……。
……。
「どうしたの?」
「部屋を出たくないっす」
醒めたくない俺だった。
翌日の朝。
エルルシーの部屋へ向かう時間になってしまい、俺は駄々をこねていたのだ。
だって部屋にいる間はアルムブルムと恋人でいられるのだから。そんなの部屋に永住するに決まってるじゃん。
「もう……っ。大事な誠くんのお仕事、でしょ?」
「ぐ……。ここでお姉ちゃんモードはずるくない?」
「ふふ。わたしは誠の恋人であり、誠くんのお姉ちゃんでもあるのだ」
ふふ~んっ、と腰に手を当て、誇らしげに胸を張るアルムブルムさんが愛おしい。突き出され、はちきれんばかりの巨乳も愛おしい。愛おしすぎて引き篭もりになりたい俺である。
けど、これ以上彼女を困らせるわけにもいかないだろう。
俺が職場放棄したなんてことになれば、それはリュドミナさんの不興を買ってしまい、俺ばかりじゃなくアルムブルムさんの立場も悪くしかねないのだから。
と分かっていても、扉の前で逡巡してしまう俺。
それを見かねた彼女は――ちゅっ。優しく頬に口付けをしてくれた。
「行ってらっしゃい、誠」
たおやかに微笑むアルムブルム。
あぁ、そっか。
帰ってきてもいいんだ。
なら、迷う必要はなかった。
「あぁ! 行ってきます!」
いつぶりかに言った、待ってくれている人への挨拶は、また帰ってくるという約束。
温かく心を満たすその言葉を胸に抱いて、俺は今日を始めるのだった。