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38話 リュドミナの忠告

エルルシーの部屋に出勤し、可愛い生徒と挨拶を交わした俺は、さっそく今日の授業に取り掛かろうと準備を始めていた。

実に清々しい朝だ。太陽はないけど。
でもなんか、世界が輝いて見える。
よし! 今日も一日頑張ろう!

そんな気分で準備を進めていると、金髪少女は怪訝な声で首を傾げていた。

「センセー、なんか良いことでもあったんだぜ?」

「ん? なんで?」

「昨日あんなに顔面蒼白だったのに今日はスッキリさっぱりした顔なんだぜ」

そうかな?
そうかも。
確かに昨日と比べると、心も身体も軽やかだ。ルクレイアとノルンに狙われてる状況に変わりはないけど、逃げ込む先……いや、帰る場所があり、待っていてくれる可愛い彼女がいるんだから、絶望感よりも希望の方が大きいのだろう。

さっさと授業を終えて家に帰りたいな~、みたいな。まるで新婚ほやほやの旦那である。この能天気さは頭がお花畑状態と言われても仕方ない。でもそう言われたところで、寛大な精神で許してあげられるくらい俺の心は穏やかなのだ。

いや、もちろん分かってるぞ?
アルムブルムさんの恋人になれるのは彼女の部屋にいる時だけだって。だから普段はいつも通りにしてなければいけないんだけど…………ふへへ……。

「へ、変な笑い方すんなぜ……。メイド二人にヤられまくっておかしくなっちまったのか?」

「心配すんな! 俺は至って正常、平常運転! いつもの優しい先生だぞ!」

「こえぇよ……」

失敬な生徒である。
まぁいい。さっそく今日の授業を始めるか。

と、そんな風に思った時だった。
――コンコンコン。
部屋の扉が鳴ったのだ。

一瞬にして、俺の身体に緊張が走る。

おいおい冗談だろ?
まさかルクレイアのヤツ、授業に乱入して来るつもりなのか? と。

だが扉に近付き「誰ですか?」と訊ねたところ、返って来た声は意外な人物のものだった。

「わたくしよお~。少しお話があるから開けてくださらないかしらあ~?」

……。

エルルシーの部屋にやって来たのは、屋敷の主であるリュドミナさんだったのだ。
どうしよう。まさか抜き打ちで授業参観なのだろうか。
あまり成長の見られない生徒を思うと、冷や汗が流れる雇われ家庭教師である。

だが緊張する俺と違いソファに腰を落ち着けた彼女は、にこりとエルルシーに微笑を向けていた。

「どうかしらあ~? 搾精することに少しは慣れた?」

「う~ん……。抵抗はなくなったけど、まだ上手くは出来ないんだぜ……」

「あらあらぁ。まぁ焦ることはないわあ~。ゆっくり覚えなさいな」

「おう!」

ほっ……。
どうやら成績の悪さを咎めに来たわけではないらしい。
ではいったいどうしたというのだろう?
俺が視線を向けるとリュドミナさんは頬に手を当て、妖艶な顔に憂いを浮かべた。

「そろそろ紅夜が近いのよお~」

あ……っ!
すっかり忘れていたが、確かにあれからもう結構な日にちが経っている。最近は公私共に忙しい日々が続いていたので、もうそんなに経ったのかと時の流れの早さに驚くばかりだ。

「じゃあ、俺はまた地下に?」

「そのつもりなのだけれど、今回はエルルシーも一緒にお願いしたいのよお~」

「え……? 大丈夫なんですか?」

主に俺の命が。
だって紅夜だ。サキュバスが、月に一度我を忘れるデンジャーナイトだ。
そんな日にサキュバスと二人きりの空間に閉じ込められるという意味を、まさか知らないリュドミナさんではないだろう。下手をしなくても命ごと搾り取られてしまうのは目に見えている。

――と思ったのだが……ふ。

同じく不安そうにしているエルルシーと目が合えば、「あ、大丈夫そうだわ」と肩の力が抜けた。
だってエルルシーだもの。仮に淫乱化したこの少女が襲い掛かってきたところで、勃つかどうかも怪しいじゃんね。

「おぅっ!? 今アタシにケンカ売ったな!? まだ紅月の影響を受けねぇから大丈夫ってだけで、淫乱化しちゃったらセンセーなんてあっという間に搾り殺せるんだからなっ!」

「あー、うん。そうだなー」

「ぐぬぬぅ……っ!!」

いつもの師弟漫才に、ますます大丈夫そうだという確信を強める俺だ。
そんな俺たちを、リュドミナさんは微笑ましそうに見守っていた。

「まぁまぁ。仲良しさんなのねえ~」

「出来の悪い子ほど可愛いってヤツですよ」

「なにお~っ!!」

「ふふ。羨ましいわあ~。……でもぉ、あまり一人の子にばかりかまけてはダメよお~?」

急に変わった声音に不穏な響きが込められている気がして、俺は「え?」と聞き返してしまう。

「誠さんは世界にたった一人の男の子だってことぉ、忘れないでねえ~? 貴方が誰か一人の虜になってしまうとお~、色々大変なのよお~」

心臓が、突然バクバク動きを早めた。
にこにこ笑顔を崩さないリュドミナさんだが、その目がまるで全てを見通しているように俺を射抜いてきたのだ。

まさか、アルムブルムさんのことを言ってるのか……?
いや、でもなんで?
俺が誰か一人とだけ仲良くなるとリュドミナさんが困る?

そういえばメイドたちに「誘惑許可証」が発行されたのは、俺とルクレイアが急速に仲良くなった直後だった。あれも、俺がルクレイアとだけ仲良くなりすぎることを防ぐためだったとしたら……?

……どうしよう。
真意を聞いてみたい。いや、聞かなければならない。
なのに言葉が喉に詰まり、出てきてくれないのだ。
言ってしまったら……。
聞いてしまったら、何か取り返しが付かなくなるような、そんな予感がしているから……。

俺の心中が混乱の嵐に晒されていることを気付いているのか、それとも気付いていないのか。
なんとなく気付いているのに気付かないフリをしてそうなリュドミナさんは、フッと気配を和らげた。

「わたくし、誠さんのことも大切に想っているのよお~? ですから紅夜の日は、ちゃあんと地下室に篭っていてねえ~? そうすればあ~、誰も不幸にならないのだからあ~」

「……はい」

「ふふ。良い子ねえ~。ちゅ~してあげましょうかあ~?」

「い、いや、大丈夫っす。生徒の前なので」

「恥ずかしがり屋さんなのねえ~」

コロコロと鈴を鳴らすように笑うリュドミナさんにからかわれながら、けれど俺は目の前の彼女のことが少し怖くなっていた。

世界でたった一人の男。
誰か一人の虜になってはいけない。
そうしないと、誰かが不幸になる。

リュドミナさんの言葉を纏めると、そのように聞こえなくもなかったからだ。
俺の考えすぎならばいいが、彼女が俺を何かに利用しようとしているのは間違いない。エルルシーの誘惑
チャーム
を跳ね除けられると実証されても、なおメイドたちに俺を誘惑させているのは、きっとそのためなんじゃないだろうか。

もっともだからって、俺にどうこうする事は出来ない。この屋敷を追い出されてしまえば、俺に生きていく術はないのだから。
それにリュドミナさんは、これ見よがしに「誠さんのことも大切」と言ってくれていた。あれはたぶん「こちらの意に沿ってくれるなら悪いようにはしない」という意味が含まれていたんじゃないだろうか?

「……大丈夫ですよ。サキュバスの虜になる意味を知らないわけじゃありません。俺だって命が惜しいですから」

なのでそう答えると、リュドミナさんは何も言わなかった。
けれど満足そうに、ニコッと微笑を向けてくれた。

――今の受け答えで正解ってことか……?

俺の背中には、安堵の汗がドッと流れ落ちたのだった。

……。

結局その後は、授業どころではなくなってしまった。急遽リュドミナさんが、エルルシーに貴族のマナーを教えることになったのだ。

高貴な家の娘だと予想される金髪少女だが、言葉使い、仕草、立ち居振る舞い、どれ一つとってみても品性に欠けているのは間違いないからな。見かねたリュドミナさんは、その辺りを徹底して教えることにしたらしい。

そして数時間である……。

「アタシ……センセーの生徒で良かった……ぜ……」

エルルシーは真っ白に燃え尽きていた。
お前……消えるのか……?
思わずそう呟きたくなる儚さだ。

ザーメンぶっ掛けたら元気になるだろうか?
ストローの袋を小さく丸めて水を掛ける遊びを思い出しながら、俺は金髪をぐしゃぐしゃ撫でてやった。

「お疲れ。今日は授業を無しにするから、ゆっくり休んでまた明日な」

「お、おぅ……」

一足早く去ってしまったリュドミナさんに続き、俺もエルルシーの部屋を出ることにした。
ただし、アルムブルムさんの部屋に行くのは気が咎める。なんせ、さっき忠告されてしまったばかりなのだ。まさか昨日の今日で良くないことが起こるとは思えないが、注意しておくに越したことはないだろう。折りを見て、やんわりアルムブルムさんにも伝えておかなきゃな。

そんなことを考えながらエルルシーの部屋を出たところで――

「確保」

あまりに素早い確保。俺ですら見逃しちゃったね。
言ってる場合ではない。

「ルクレイアっ!? なんでこんなところにっ!」

「当然、誠が部屋から出てくるのを待ち伏せしていたのです」

「そ、そうなのか。で、ど、どうしたんだ? 何か俺に用事? ないなら疲れてるから部屋に戻りたいん――」

「どちらの部屋へ、でしょう?」

「ど、ど、どちらって、部屋は部屋だぞ? 俺の部屋は一個しかないに決まって――」

危険を察知し、ルクレイアに掴まれた右腕を慌てて振り払おうとしたところ、今度は逆側の腕もグイッと掴まれてしまった。驚きに顔を向ければ、腕を掴んだのは艶やかな黒髪のメイドさんだ。ハーフアップに纏めた赤いリボンが目を引く。

「昨夜はお楽しみでしたね、って言うんだっけ? あはっ♪ ……ノルンを待ちぼうけさせておいて良いご身分だね、お兄さん」

「い、いや待て! 待ちぼうけも何も、別に約束とかしてなくないっ!?」

「ノルンが会いたいって思ったら、それはもう絶対なの。違う?」

違う。
断じて違う。
そんな法律聞いたこともない。どんな独裁者だよ。

「だいじょーぶだいじょーぶ。そのうちお兄さんもノルンに会いたくて会いたくて、会わないとタマタマ破裂しちゃうようにしてあげるから。夢渡りだと一夜しか会えないから出来なかったけど、一度やってみたかったんだよねー。射精管理ってヤツ♪」

「そんなことはさせません。誠の射精は全てわたしのものですから。そうですよね、誠」

「あはっ♪ 楽しみだなー。貞操帯着けたお兄さんが、目とおちんちんから涙流して射精懇願するの。死ぬほど辛い連続射精させられるって分かってるのに、それでもノルンに射精懇願しちゃう情けない姿、早く見せてねー?」

「誠が射精をおねだりするのはわたしに対してだけです。今日はそれを貴女にも教えて差し上げましょう」

「あははっ♪」

「ふふふ」

すごく楽しそうな笑い声が両側から聞こえて来ているが、全然楽しくない事態であることは明白だ。だって俺、絶賛引き摺られてる最中なのだから。しかもがっちり両腕を確保され、到底逃げられそうにない。

誰か助けて……。

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