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55話 間話:後始末

――  間話  ――

炎のように赤い髪を縦ロールに巻いた女性が、今朝届いたばかりの書簡に目を走らせ、握り潰さんばかりにワナワナ手を震わせていた。
グラーリス家の当主、シャーレィ・グラーリスだ。鬼のように目を吊り上げ、彼女は怒りを吐き捨てる。

「なんっっって!! なんて嫌な女なのかしらっ!!」

送り主には、リュドミナ・ヘリセウスの名が刻まれていた。内容はもちろん先日のホロウ騒ぎの件なのだが、その文言の一つ一つがシャーレィの琴線をこれでもかと掻き鳴らすのだ。

しかし無理もない。時候の挨拶から始まるその手紙は、しかし皮肉の闇鍋なのだから。
例えば『情報の取捨選択すらちゃんと出来ない雇い主さんだと無駄に走らせられる兵士さんが大変ねえ~』とか『別にわたくしは構わないのだけれど、間違ったままだとそちらが落ち着かないでしょうから、どうしてもと言うなら謝罪を受け取ってあげてもいいわよお~。あ、もちろん謝罪するなら公けの場でね?』とか。

堅苦しい文章でオブラートに包まれているものの、訳してみると大体そんな感じであり、ニコニコと皮肉げに笑う顔が書簡の向こうに幻視出来てしまう。それを引き裂くように手紙を破り捨てたシャーレィは、眉を怒りに吊り上げたまま部屋の片隅に視線を移した。

そこには、複数の女たちが蠢いていた。
部屋に焚かれた香より強い淫臭を放ちながら、何人もの女たちが絡み合っているのだ。

否。
絡まれていた。

一人の女性が、複数のサキュバスたちに責め嬲られているのだ。
しかもサキュバスたちは、一目で「ソレ」と分かる姿をしている。背中から蝙蝠に似た翼を生やし、お尻から伸びるのは黒くしなやかな尻尾。そんなサキュバスたちがよってたかって一人の女性を嬲る光景は、どこか鳥葬を思わせるものだった。

「ヤだっ! イぐっ! まだイぐっ! もうイぎだぐないぃっ! イぎだぐないのにぃっ!! んひい゛ぃぃぃッッ!!」

四つん這いになっている女が、何度目かの絶頂を迎えた。彼女はもう、数えるのも馬鹿らしくなるほどイかされ続けているのだ。だが絶頂の最中も、サキュバスたちは動きを止めない。

一人が肉棒に見立てた尻尾で背後から女を突き上げる。
四つん這いになった女の下に潜りこんでいるもう一人が、絶頂に震える女の乳房を下から舐めしゃぶる。
もう一人は女の髪を掴んで上を向かせ、自分の性器を顔に押し付けていた。

この狂宴がいつから続いているのか。いつまで続くのか。
一瞬の休みも与えられぬまま犯され続け、それすら考えられなくなっている女に近付いたシャーレィは、恐ろしく冷め切った目で彼女を見下ろした。

「お前が失敗しなければこんな……こんな手紙が送られてくることもなかったのにっ!!」

「あがあぁぁぁぁぁぁッッッ!! お許じぃ……ッッ!! お許じぐだざい゛い゛ぃぃ゛ぃ゛ぃ゛ッッ!! もう゛死んぢゃいまずぅぅッッ!!」

涙と涎で顔をぐしょぐしょにしたまま、女がシャーレィを見上げる。
憐れみを乞い、慈悲を乞い、許しを乞うのだ。
しかし嗜虐の炎を瞳にチラつかせるシャーレィは自らのスカートを捲り上げると、見上げる女の顔に無理やり自分の秘部を押し付けていた。

「そうね。脱水症状で死なれても困るもの。水分補給くらいはさせてあげるわ」

状況を考えれば、ただの水分補給じゃないことは明白だ。次に何をされるか想像し、目を見開いた女は必死に頭を振る。

だがシャーレィに慈悲などない。
髪を鷲掴んで女の頭を固定すると、ショーツをずらして尿道口を女の口に押し当てた。

「一滴でも零したら床を舌で掃除させるから。いいわね?」

女は絶望に胸を満たし、ギュッと瞼を閉じながら、しかし渋々口を開くしかない。
そこにちょろちょろと注ぎ込まれ始めた熱い飛沫は、シャーレィのおしっこだった。女の口を便器に見立て、シャーレィが躊躇なく排尿を始めてしまったのだ。

「おごぼぼぉぅ……っ」

始めはちょろちょろだったが、すぐに勢いを増したシャーレィのおしっこが、じょぼぼぼと遠慮なく女の口に注がれていく。
口内で泡立つ温かい液体と尿臭は飲み込むことを躊躇させるが、飲まないわけにはいかない。吐き出しでもしたら、後でどれほどの仕打ちを受けるか分かったものではないのだから。

だから大きく口を開けたまま、彼女は必死にシャーレィのおしっこを飲み下していくのだが……

「んぶぶぶぅぅ……っ!」

「何零してるのよ! ちゃんと飲みなさい!」

叱咤されても、口端を伝い落ちる黄金色の液体を止めることが出来なかった。
おしっこを飲むことを妨害するのは、他人の尿を飲むという冒涜的な行為に対する忌避感と嫌悪感だけではなかったのだ。

「あはぁんっ♪ この子、おしっこ飲まされてるのにおまんこの締まりが良くなったわ♪」

四つん這いになっている彼女を、サキュバスが後ろから犯し続けていたのだ。
肉棒を模した尻尾に子宮を突かれるたび身体の奥で快感が爆発し、空気を押し出すように嬌声が込み上げてきてしまう。
それに、おしっことはいえサキュバスの体液だ。そこに含まれる強力な媚薬成分が、彼女の感度を何倍にも引き上げてしまうのである。

となれば、当然――

「んぼぉぅっ! あがぁっ! も゛う゛ッ! ムリぃ゛ぃ゛ッッ!!」

おしっこを飲まされながら、彼女は再び大きな絶頂を迎えていた。ガクガク震えるほど凄まじい快感が全身を駆け巡り、ついに姿勢を維持出来なくなってしまう。弛緩と緊張を細かく繰り返した女は、ガクッと力が抜けた瞬間、床に出来たおしっこの水溜りへと顔を突っ伏してしまっていた。

そんな憐れな姿を満足そうに見下ろしてから、シャーレィは燃えるように赤い髪をかきあげる。

「ふんっ。散々嫌がってた癖にまた情けなく達してるじゃないの。ホント淫乱な女ね」

侮蔑を吐き捨てたことでいくらか怒りも治まったのか、あとの処理をサキュバスたちに任せてシャーレィはソファへと戻っていく。
もっとも、あとの処理とは「片付けること」ではなく、さらに女を責め嬲ることなのだが。

再び快楽の海に沈んでいく女の声をBGMに紅茶を口に運び、シャーレィは失敗の原因を考え始めていた。

「どうして失敗したのよ……っ。計画は完璧だったハズなのに……っ」

もともとの計画立案はシャーレィ自身だ。
紅夜ならば易々とヘリセウス邸に侵入することが出来るし、エルルシーが地下へ避難していることは予想出来ていたので、使用しているのに誰もいない部屋こそがエルルシーの部屋だろうと考えた。あとは茶葉の中に「アレ」を混ぜ込むだけで良いのだから、紅月の影響を受けない者ならば子供でも出来るお使いだ。

そして今サキュバスたちに責め嬲られている彼女こそ、紅夜の影響を受けない唯一の存在だった。失敗する理由など、どこにもないはずなのである。

もちろん何かの間違いでメイドが部屋から抜け出しており、そこをエルルシーの部屋だと誤認する可能性は大いにあったが、最悪それでも構わなかった。要はヘリセウス邸内でホロウが発生し、エルルシーが危険に晒されば良いのだから。それでかの四大淫魔貴族を、その座から引きずり下ろすことが出来る手筈だったのである。

なのにいざ乗り込んでみれば、ホロウの姿がどこにも見当たらない。「アレ」を仕込んだ茶葉を回収したところ、使用した形跡があったにも関わらず、だ。

「アレの効果がないサキュバスがいたということ……? いえ、そんな偶然起こるはずないわ。今まで誰一人としてホロウ化しなかった者はいないんですもの」

だったらどうして……?

まったく分からない原因に爪を噛み、もう少しこの女に八つ当たりしてやろうかしらとシャーレィが唇を歪め始めたその時である。
コンコンコンと扉がノックされ、真っ黒いドレスに身を包んだ女性が部屋に入って来た。

「こんな時にいったい誰よ…………あっ! ど、どうなされたのですか!? このようなところに足をお運び頂くなんて!」

その女性を見た途端、傲慢だったシャーレィの態度が一変する。慌てて女性に駆け寄り、遜るように機嫌を窺い始めたのだ。
しかしそんなシャーレィを一瞥することもなく、部屋の片隅の狂宴を流し見ながら、彼女は静かに口を開いた。

「失敗したというのは本当なのかねぇ?」

温度を感じさせない声音に、シャーレィの背中がビクッと震えた。

つばが広く先端の尖ったウィッチハットを斜めにかぶり、上から下まで黒一色の彼女は、一見するとサキュバスというより魔女を思わせる。
だが露出こそ少ないものの身体にぴたりとフィットしたドレスは彼女の豊満なボディラインを浮き上がらせ、見るものの目を惹き付けて止まない。

尋常ならざる色香を放ち、なのに一切の感情を読み取れない漆黒の女性。シャーレィは、そんな彼女が恐ろしくて仕方なかった。

「あ……あの……それは……」

「失敗したあげく、せっかく貸し与えてやった彼女に八つ当たりの真っ最中、というところか」

「ち、違うのですっ! あの女がっ! あの女のせいで失敗したのであって、わたしの計画は完璧でしたっ! 事実「アレ」はちゃんと仕込めましたし、使用された痕跡も確認しておりますものっ!」

「へぇ……? なら『誰かがアレを摂取したにも関わらず、ホロウが存在しなかった』とそなたは主張するわけかな? ふぅむ……。それは興味深いねぇ……」

その不可解さに彼女の興味が移ったことを目聡く読み取り、シャーレィは畳みかけるべく矢継ぎ早に捲くし立てる。

「そうなのです! 明らかな異常事態だとお思いになりますでしょう!? きっとあの忌々しい女が何かしたに決まってますわ!」

大きく腕を振りながら然もそれが事実のように語るシャーレィは、だんだんと自分の弁舌に陶酔し始めたのか、口調に熱が篭り始めていた。

「本当に忌々しい女! ヘリセウスの後ろ盾さえなければ無能な女王を引き摺り下せるというのに! 今こうしている時にも、夢渡りが出来ず苦しんでいる者たちは後を絶ちません! なんの策も講じられない女王など、もはや害でしかないのです! だからこれは、わたしたちに与えられた責務! ヘリセウスを失脚させ、一刻も早く女王を引き摺り下さなければ! もちろんその後サキュバスたちを束ね、そして導けるのは――」

演説も佳境に入り、再びシャーレィは媚びるような視線で女性を見た。

貴女こそが次代の女王。
そのためなら助力を惜しみませんわ。

言外に、そう言っているかのようである。

だが……。

「……え?」

突然。
自分の胸から銀色に輝く何かが生え、シャーレィは瞠目した。
その先端からは、ぽたり、ぽたり……。赤い雫が滴り落ちている。

これは……なに……?
この胸の熱さは……なんなの……?

まるで自分の中に渦巻いていた熱狂がそこから排出されていくかのように、どんどん身体が冷えていくのが分かった。

そしてようやく気付く。
自分は今、背後から刺されたのだと。
胸を貫いたこの傷は、自分の命に届いてしまっているのだと。

――ドサ……ッ

血に塗れ、銀色の輝きを失いつつある剣が引き抜かれると同時、急激に身体の重さを感じたシャーレィはその場に崩れ落ちていた。
霞みゆく視界の中で妖艶に唇を割り開く女の姿が見えたが、それが最後。シャーレィの意識は途絶え、二度と目を覚ますことはなかったのだった。

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