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56話 いざ王城へ

紅月の影響を受けたエルルシーに襲われ、ホロウ化したアルムブルムさんを奇跡的に回復させ、お屋敷に突入してきた兵士たちの話を盗み聞きしながらリュドミナさんに足コキされ……。

そんな激動の日々から数日が経過していた。
俺は今、ガタガタ揺れる馬車の中である。

つまりは外だ。
と言っても、屋敷の外に出てはいけないというリュドミナさんとの約束が撤廃されたというわけではない。今乗っている馬車も暗幕で窓を締め切られ、完全に外とは隔離されていた。

まぁ当然である。馬車の周りを兵士が護衛してくれているとはいえ、事情を知らない町の人々に見つかってしまったら何が起こるか分からないのだから。

逆に言えば、それほどの危険を冒してでも、リュドミナさんは俺を外に連れ出したということである。

その行き先は王城。
何をするのかは聞いていないが、どうしても俺を連れ出す必要があるってことなら思い当たる節はある。間違いなく先日の出来事に関係あることだろう。

例えば、ホロウ化した者を救うために生精液を提供するとか。
もしくは、俺とエルルシーの身柄をより安全な場所に移す、といったところか。

――それにしても……。

向こうの世界での日々より、今の方がずっと『生きてる』って感じがするな。これを「充実している」というかは分からないが、少なくとも性活的な意味だと充実どころか枯れ果てそうなくらいである。

「どうしました誠。元気がありませんね」

平素より顔をツヤツヤさせたルクレイアが機嫌良さそうにこちらを覗ってきたが、股間を見ながら「元気がないのですか?」と聞くのは止めて欲しい。俺の本体そこじゃねぇから。

だいたい、普段より息子に元気がないのはお前のせいだからな?
昨夜ようやく「週一」のお勤めを果たしたのだけど、闇金もビックリの利息が付いていたのだ。つまり、待たせた分だけきっちり搾り取られたということである。もう少し事情を汲んで頂けないでしょうか……。

「あれだけ加減したのにこの疲れ様では、しばらく無駄打ちを控えた方が良いでしょうね。来週まできっちり溜めておくことをお勧め致します」

いけしゃあしゃあと言いやがる藍色髪のメイドに溜息を吐き出すと、俺を挟んで反対側から、堪えきれないようにクスクス可愛らしく笑う声が聞こえてきた。
柔らかそうな桃色の髪と、もっと柔らかそうな大きなおっぱい。俺とルクレイアのやり取りを優しく見守っていたのはアルムブルムさんだ。

「つまりルクレイアさんは『自分以外の女性とえっちしないで』って言いたいんだよね?」

「……違いますが?」

「そっかそっかー。なんだか初々しくていいねー。あ、だからって誠くんは渡さないけど」

柔らかく目元を緩めているのに、俺の腕に絡められたアルムブルムさんの腕は意外なほど力強い。俺を引き寄せんばかりに、グイッと引っ張ってきているのだ。アルムブルムさんのおっぱいにふにょんと埋もれ、腕で感じる桃源郷。

一方ルクレイアも「自分は関係ない」みたいな顔をしながらグイグイ引っ張ってきていた。真ん中にいる俺はそのうち真っ二つになるんじゃないかと戦々恐々である。
昔の時代劇で「先に手を離した方が本当の母親だ!」みたいな話があったけれど、どちらからも譲る気配が微塵も感じられないのが恐ろしい。現実は非情である。

「ってかな? この馬車は前後に二人ずつ座る四人乗りなわけだよ。なんで片側に三人で座ってんの?」

おかげでぎゅーぎゅー詰めになっているのだ。非常に狭い。てか熱い。両側から柔肌に押し潰されるの、嬉しい反面ちょっとトラウマだから。

「わたしは正式に誠の側付きとなったのですから隣にいるのが当然です。アルムブルムが席を移動すればよいのでは?」

ふふん、と、どこか誇らしげなルクレイア。王城へ俺の身柄を移すに際し、顔見知りのメイドが随伴した方が良いだろうということになり、このたび晴れてルクレイアは俺の側付きとなったのだ。……俺の与り知らないところで。

まぁ実際リュドミナさんに「誰を連れて行く?」と聞かれたら、俺は真っ先にルクレイアの名前を挙げていただろうけど。

「それを言うなら誠くんの側付きである前に主様に仕えているのだから、ルクレイアさんは主様と同じ馬車に乗るべきなんじゃないかな?」

柔らかく微笑みながら、アルムブルムさんが反論していた。
もう一台の馬車に、リュドミナさんとエルルシーが乗っているのだ。そちらに乗るべきという彼女の意見も一理ある。

「ならばアルムブルムが主様の馬車に乗れば良いでしょう」

「そんなことしたら、お城に着く前に誠くんが干乾びちゃうんじゃない?」

「……」

いやそこは否定しろよ。馬車の中で何しようとしてんだよお前。

とまぁ何だかんだ言い合ってるものの、ルクレイアとアルムブルムさんは仲が悪いというわけでもないらしい。というかアルムブルムさんがホロウ化した事件を切っ掛けに、凄く仲が良くなってる気がする。今ではルクレイアにとって、唯一のメイド友達だ。

「今、何か失礼な事を考えませんでしたか?」

「お前、変なところで鋭いよな」

「一流メイドですから当然です」

そんな会話をしていると、ガタガタ揺れていた車輪の動きがいつの間にか安定し始めていた。どうやら舗装された道に入ったようだ。つまり王城の区画内に入ったのだろう。

「大丈夫ですよ」

と、ルクレイアが俺の手を握ってきた。

「不安に思う必要はありません。主様は決して誠を悪いようにはしませんし、なによりわたしが付いておりますから」

「お姉ちゃんも一緒だからね?」

これからどんな運命が俺を待ち受けているのか。
それは分からないが、二人が一緒なら大丈夫だと、そう信じられたのだった。

……。

馬車を降りた俺たちは、ひとまず小さめの応接室に通されていた。
小さめと言っても、二十畳くらいありそうな広い部屋だ。
真紅の絨毯には惜しみなく金糸の装飾が施されており、壁は染み一つ見当たらない真っ白な大理石。いや大理石があるのか知らないけど、とにかく高級感を感じる白亜の壁だ。

リュドミナさんのお屋敷である程度高級品を見慣れているとはいえ、さすがは王城。ワンランク上を行っていると言えるだろう。

ちなみに室内には、俺とルクレイアとアルムブルムさんの他に、お城のメイドさんが付き添っていた。
失礼のない範囲でだが、さっきからちらちら好奇の視線を背中に感じている。久しぶりの感覚に、少し背中がくすぐったい。

「現在、女王陛下はヘリセウス様と会談なさっております。それが済み次第お会いになるということですので、しばらくこちらでおくつろぎ下さい」

お城のメイドさんは、紅茶を用意しながらそのように説明してくれた。
どうやら俺は、このあと女王様に会うことになるらしい。

……え? マジで?
女王様ってこの世界で一番偉い人なんじゃないの?
一般社畜の俺がそんなVIPと会って何を話したら良いのだろうか?

流されてこんなところまで来てしまったが、今更ながらに緊張である。

けれどよくよく考えてみたら、女王様とはいえエルルシーの母親だ。
家庭訪問と思えば、なんとかなる気がしてくる不思議。通知表でも書いておくべきだっただろうか。

そんなことを考えていると、今度は別のメイドさんが部屋にやって来た。

「アルムブルム様ですね?」

どうやら彼女はアルムブルムさんを呼びに来たらしい。
というのも、俺やルクレイアと違い、アルムブルムさんが王城へ来た理由は別にあるからだ。

「はい」

「さっそくですが身体検査を行いますので着いて来ていただけますでしょうか?」

「分かりました」

そう。
アルムブルムさんは、ホロウ化から生還した唯一のサキュバスなのだ。
その身体にどのような作用が働いたのか。今後再発することはないのか。何か悪い影響が残っていないのか、などなど。
経過観察とともに、ホロウ化を治療する手掛かりを得るため、アルムブルムさんは王城で色々と検査されることになっているのである。

「じゃあ行ってくるね」

「大丈夫ですか? 酷いことをされるんじゃ……」

「心配してくれるの? ふふ。嬉しいなぁ。でも大丈夫だよ。別に身体を切ったりするわけじゃないから。それに、誠くんが近くに居てくれるからね」

微笑みながら握ってきてくれた優しい手を、俺も優しく握り返す。

「はい。けど、何かあったらすぐ言ってください」

「うん。じゃあまた後でね」

そう言って部屋から出て行くアルムブルムさんを見送ってから、さらに十分ほど経った頃だった。
俺の元にもメイドさんがやって来たのだ。

「準備が整いました。女王陛下がお会いになります」

いよいよご対面である。

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