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76話 女王様は犯されたい

ローレンシア様がセックスしたがっている。
一度そう考えると、腑に落ちる部分は多々あった。
平静を装っているがチラチラ視線が下半身に向けられているし、爪先を揃えて上品に座っているがなんとなく腰に落ち着きがないし。

まぁそうか。女王だってサキュバスなのだ。生精液を欲するのは本能的にどうしようもないのだろう。

それに彼女はこの世界で一番の権力者なのだから、国や民のことを考えなければ、自分の欲求に従って男を独占することが可能な立場である。けれど女王としての責務、矜持、その他もろもろが重くのしかかり、ローレンシア様は素直に自分の気持ちも言い出すことが出来ないのだ。人知れず、内なる欲求と戦い続けているに違いなかった。

俺に王様の大変さなんて分かるわけもない。けど、彼女を助けることは出来るかもしれない。そう思い、俺はローレンシア様に向き直る。

「ローレンシア様」

「なんでしょう?」

ティーカップから口を離し、ローレンシア様はたおやかな微笑みをこちらに向けてきた。たったそれだけで、実に絵になる女性である。

「ローレンシア様も書いて下さったのですか?」

「何をでしょう?」

「性的指向カードのことです」

「――ッ!!」

瞬間、庭の空気がざわりと揺れた気がした。
だがローレンシア様は動揺を見せぬよう、自然な動作で紅茶を口に運ぼうとしている。紅色の雫が口端から零れてしまっているのは内緒だ。

「わたしは皆の規範たる女王ですからね。皆に書くことを強要しておいて、わたしだけ書かないというのは筋が通りません。ですから一応書きはしましたが、誠さんに見せるつもりで用意したというわけではないのですよ?」

「さすが女王様ですね。ご立派なお考えです」

「当然です」

メイドに口元を拭われながらそう言ったローレンシア様だが、そわそわと落ち着きがなくなっているのは間違いなかった。
期待、しているのだろうか?

「あの……? その手はなんでしょう」

だから俺は、無言で手の平を差し出していた。
彼女は真意を測りかねているようだが、そんなの答えは決まっているじゃないか。

「見せて頂けないかと」

「……カードを……ですか?」

「えぇ。せっかく書いて頂いたのですから、ぜひ拝見したいなと。ダメでしょうか?」

「ダ、ダメ……というわけではありません。どうしてもと言われるのなら……吝
やぶさ
かではないのですけど……し、しかしですね……」

俺が性的指向カードを要求する意味は一つしかない。当然それを分かっている女王様は、視線を泳がせながら逡巡していた。
見せたら生セックスが出来るかも。けどその為には自分の性的指向を俺に曝け出さなければならない。でもセックスはしたい……。そんな彼女の葛藤が手に取るように分かった。

美しく清楚な女性が自分の性欲を隠しながらも性欲に負けそうになっているのだと思うと、なんだかイジメてしまいたくなる。血が繋がってるわけじゃなくても、このからかいたくなる感じはまさにエルルシーの血縁って感じだ。

俺が無言で差し出した手の平と自分の胸元を交互に見やりながら、やがて決心したように女王様はそっとカードを乗せてきた。
ここに彼女の性的指向が記されているのだと思うと、それだけでちょっと興奮してしまう。

「では拝見します」

そしてカードを受け取った俺は、内心ウキウキしながらそれを捲ってみた。

捲ってみた……けど……。

一度カードを伏せ直し、俺は目頭を抑えた。

今のはなんだろう。
見間違いだろうか?

もう一度カードを捲り、深呼吸しながらゆっくり読み直してみる。

『犯されたい。わたしは犯されたい。わたしは犯されるのが大好き。後ろから犯されたい。前から犯されたい。横から犯されたい。下から犯されたい。部屋で廊下で調理場で物置で庭で外で街中で。ありとあらゆる場所で犯されるのが大好きだ。もちろん犯されるのだから縛られていたい。腕を縛られ動けなくされたい。脚を縛られ逃げられなくされたい。大股開きで固定され恥ずかしいところを隠せないなんてもう堪らない。自由を奪われ、ドレスを破られ、無理やり貫かれたらそれだけで達してしまう。前も後ろも関係なく、穴という穴を犯されて、泣き叫びながら絶頂したい。豚になりたい。雌豚になりたい。恥ずかしい雌穴から淫乱汁を垂らし続ける発情豚になってみたい。凌辱を。一心不乱の大凌辱を。悦楽と享楽に身を捧げ、快楽の炎で焼き焦がされたいっ!』

なんだこれ……。
想像してたものと大分違うんですけど……。
これ本当に性的指向を記したカード? どっちかっていうと呪いの書とかそんな感じ。ドス黒い肉欲が怨念染みてインストールだ。

しかしチラッとローレンシア様を盗み見ると、彼女は耳まで真っ赤に染めていた。
その姿は初恋の男子にチョコを手渡した女の子って感じで、実に初々しい。カードの内容はチョコフォンデュ並みにドロドロの性欲なんだけど。

「ど、どこかおかしかったでしょうか?」

おかしくない箇所があっただろうか?
ロイヤルツッコミを入れたい気持ちを押さえ、俺はなんとか言葉を返す。

「え、えっと……少し過激な内容でして……」

「そ、そうですか? 一般的かと思うのですが……」

ねぇよ。
これがサキュバスの一般的とかサキュバスに対する侮辱だろ。
俺は他の人にも性的指向カードを見せてもらっているが、普通は「足コキが得意」とか「濃厚べろちゅー手コキが好き」とかその程度なのだ。

けれどローレンシア様のカードは格が違う。
心の奥底に秘めたドス黒い欲望が駄々洩れ。なんかカードがぐっちょり濡れてる気がしてくる始末だ。
こんなの見せられたら、サキュバスだって咥えてたちんぽを吐き出しちゃう。

なのにローレンシア様が平然と「一般的」と強調したのは、ひょっとしたら周囲の目があるからかもしれない。そのお姿は清楚で美しく、純白のドレスも相まって花嫁という言葉がピッタリなのだ。とても心の中がサバトってるようには見えない。

でもだからこそ、このカードの内容は真実なのだろう。
女王という役割を演じ続けるため抑え込み続けた欲求がコレなのだ。

そう考えると、俺にはこのカードがSOSに見えてきていた。
ずっと抑圧されてきた欲望を解放させて欲しい。唯一の男である貴方なら出来るでしょう?
そう言われてる気がしてきたのだ。

一転して、目の前の女性がとても可愛らしく見えてくる。
自分を殺し、皆に慕われる女王を演じ続ける健気な女性。それがローレンシア・ハートランドの本質なのかもしれない、と。

「搾精のルール。いつでも、どこでも、誰とでも、でしたよね」

「そ、そう、ですね。円滑な搾精のため、誠さんには出せる時に出して頂きたいので」

「そこにはローレンシア様も含まれているという解釈でよろしいですか?」

ヒュッと彼女が息を呑んだ。
明らかに期待した気配。
それでも表情を崩さないのは立派である。

「……お伝えしたルール通りです」

つまり「含まれる」ってことでいいんだな?

とはいえ、まさか女王様を押し倒してレイプするわけにはいかない。彼女がそれを望んでいたとしても、さすがに不敬が過ぎるもの。

やんわり犯す。
優しく犯す。

そのくらいが丁度良いのである。

「ど、どうかされましたか? 急に立ち上がって」

僅かに身を固くしたローレンシア様に近づき、俺はその耳元に唇を寄せた。

「搾精をお願いしてもよろしいですか?」

「え……え、えぇ分かりました。これも女王の務めです。民のためであれば否とは申しません」

などと言っているが、スカートの裾をキュッと握った指先に期待感が滲み出ているのは明らかだった。
ローレンシア様は上品な仕草で立ち上がると、俺を案内するように手で促してくる。

「では、部屋へ参りましょうか。ちょうど近くに使用していない部屋がありますので、そちらなら――」

そうして歩き出そうとした女王様を後ろから抱き締め、俺は股間を彼女のお尻に擦り付けてやった。
嫌なら振り払えば良いだけだが、そうしない辺りに彼女の欲望が透けて見える。

「ここで」

「こ、ここで、ですかっ!? で、ですがここは外ですし、周りの目もありま――きゃっ」

目を泳がせる彼女を無視してスカートの中に手を突っ込み、尻肉をギュっと鷲掴んでやると、それだけで彼女は言葉を続けられなくなってしまっていた。

「構いません、よね?」

恥ずかしそうに眼を逸らすローレンシア様。
しかしその瞳は、被虐の喜びに濡れ始めているのだった。

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