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80話 ホロウ化の真相

眼の前に、ちんぽっぽが居た。
常であれば、全力ダッシュをかましたい場面である。
しかし残念なことに、俺は両手両足を縛られているのだ。回り込まれるまでもなく逃げることが出来ない。

それに……。

「ホロウ化……させたのか?」

ネイアローゼに何かを飲ませた瞬間メイドさんがちんぽっぽ状態になってしまったのだから、もはや疑いようもない事実である。

コイツ等は、人為的にサキュバスをホロウ化させられる。
いやもしかしたら、ホロウ化ってのは全てコイツ等の仕業なんじゃないのか?

だとしたら……。
そうなんだとしたら……っ!!

「ふざけんなよお前らっ!! 何やってんのか分かってんのかっ!!」

コイツ等は分かってるのかっ!?
あんなに穏やかなアルムブルムさんが、ホロウ化してどうなってしまったのかをっ!!
ホロウ化してしまったサキュバスを月に帰すため、リュドミナさんがどれだけ辛そうにしていたのかをっ!!
ホロウ化という災厄から世界を守るため、ローレンシア様が、お城の人たちが、どれだけ必死に戦っているのかをっ!!

だというのにシルビスとネイアローゼの二人は、不敵なまでに冷たい笑みを浮かべていた。

「分かってるに決まっているだろう? 我らは世界を救おうとしているのさ」

「どこがだよっ!! お前らこそが世界の敵じゃねぇかっ!!」

気炎を吐いた俺の頬に、ピシっと鋭い痛みが走る。ネイアローゼだ。ギリッと睨みつけると、銀髪の少女は軍帽の下から俺を睨み返してきていた。

「黙りなさい。オス風情にコルネリアーナ様の深淵なる御心が分かるはずないでしょ?」

「コルネリアーナ様だとっ!?」

その名前はこの二人を引き連れていた女性の名前だ。つまり四大淫魔貴族である、あの漆黒の女性のことだ。
だとしたら何か?
ローレンシア様を支えるハズの四大淫魔貴族の一人が、世界に災厄をばら撒いてるっていうのか?

――クーデター。

以前ルクレイアから聞いた話が頭を過った。

「ふんっ。お喋りの時間は終わりだ。こいつももう我慢が出来んようだからな」

シルビスの言葉に、思考が無理やり中断させられてしまった。スレンダーな長身に恐ろしいほど軍服が似合っている彼女はホロウ化させたメイドの拘束を解き、どんっと俺の方に蹴り飛ばしてきたのだ。

必然、ホロウ化したメイドは俺の身体に纏わりついてくる。
すぐにでも精液を寄越せと、剥き出しにされている俺のちんぽにむしゃぶりついてきたのだ。

「ぢゅっ、ぢゅりゅぅっ、ひんぽぉっ、はやくだひてぇっ!」

両手で俺の腰を掴み一切躊躇することなく喉奥まで肉棒を頬張った彼女は、一心不乱に舌を動かして俺のちんぽを口内で嬲りあげてくる。軟体生物と化したベロを竿に絡みつかせ、執拗なまでに亀頭を舐めしゃぶり、ぢゅぅぢゅぅと鈴口を吸い上げてきたのだ。
普段であれば勃起を余儀なくされ、すぐにでも俺は快楽の呻きを上げていたことだろう。

だがなっ!
お前らの好きにさせてたまるかってんだよっ!

「ほう? 随分と快楽耐性が強いな。伊達にこの世界を生き延びてきたわけではないらしい」

「所詮悪あがきよ。ほらオス。こっちを見なさい」

小柄なネイアローゼはグイッと俺の頬を掴むと、無理やり視線を合わせてきた。瞬間、ドクンと心臓が高鳴ってしまう。

――くっ! 誘惑
チャーム
かっ!

心を侵食されるような感覚には覚えがあった。
すぐさま眼の前の少女が可愛くて愛おしくて仕方なくなってしまうのだ。

だが……。

「……悪いな。俺の心はもう満席なんだ。お前の席はねぇよ」

ルクレイアとアルムブルムさんの顔を思い浮かべれば、俺の心に隙などなかった。
それにネイアローゼの誘惑は、紅夜のエルルシーほど強い誘惑ではない。

普段どれだけの誘惑に抗ってると思ってんだ?
この程度、今の俺には効かないんだよっ!

しかし予期せぬ反抗は、サディスティックなネイアローゼの琴線に触れてしまったらしい。

「誘惑
チャーム
にまで耐性があるというの……? ふ……ふふ……っ。面白いじゃない。……ねぇシルビス? このオス、壊しても良いかしら?」

黒板を引っ掻くように俺の胸に爪を立て、銀髪少女が嗜虐に満ちた唇を歪めてしまっていたのだ。ガリガリっと引っ掻かれた俺の胸板に五本の赤い線が浮かび上がる。

「ダメだネイア。その男にはまだ使い道がある」

「でもねシルビス。わたし、もう我慢出来ないの。このオスを跪かせて、尊厳も人格も踏みにじって、ぐちゃぐちゃに壊してあげないと疼きが止められないわ」

「それでもだ。……なぁに。すぐに男などいくらでも用意出来るようになる。そうしたら煮るなり焼くなり好きにしろ」

「そう……。うふふ……その日が楽しみね」

ペロリと赤い舌を覗かせたネイアローゼは、かぷっと俺の内ももに噛みついていた。ってか「かぷっ」なんて可愛らしいものじゃない。「がぶっ!」である。

「い゛――ッ!!」

あまりの痛みに仰け反ると、ネイアローゼの唇に赤い雫が滴っているのが見えた。
それ、もしかしなくても俺の血なんじゃ……? コイツ、血が滲むほど強く噛みやがったのかっ。

「うふふ。これ、お前がわたしのモノっていう証だから。絶対にわたしの手で壊してあげるから、震えて待ってなさい」

楽しげにペロッと血を舐めとる様は吸血鬼を連想だろうか。ついに精子だけじゃなく血まで搾られるようになってしまい、いよいよもって干乾びそうな俺である。

「良かったな? ネイアに壊してもらえることになって。だがその前に、貴様には仕事があるのを忘れたわけじゃないだろうな?」

するといつの間にか俺の背後に回っていたシルビスが、ガシッと俺の髪を鷲掴み、強引に頭を下げさせてきた。
視線が下がると、目に映るのは未だ俺の肉棒をしゃぶり続けているちんぽっぽメイドだ。一向に勃たないちんぽに焦れているのか、じゅっぽじゅっぽ音を立てながら彼女は下品なバキュームフェラをしていた。

「な、何をさせる気だっ」

「決まってるだろ? そのホロウに精液を注がせるのさ」

予想通りではあるが、断固拒否したい。
だってホロウ化したサキュバスの吸精は、さすがの俺でもリスクが高すぎるのだ。
だがシルビスは無理やり俺にメイドの姿を見せつけながら、耳元で囁いてくる。

「可哀そうだとは思わないか? こんなになってまで精液を欲しているのだぞ?」

「それはお前らが――ッ!!」

「貴様なら元に戻せるのだろ? ホロウ化したメイドを元に戻してみせたそうじゃないか」

く……っ!
そこまで知っているのか……っ!

いや、当たり前か。
なんせこいつ等の上には四大淫魔貴族がいるのだから。ローレンシア様が俺から搾精することを命じ、その精液でサキュバスたちを救おうとしてたことが耳に入らないはずがない。

……だからか?
ホロウ化を広めてるコイツ等からすれば、それを元に戻せる俺という存在は邪魔でしかない。
だから俺を拉致ったってことなのか?

「暢気に考え事をしている暇があるならさっさと男根を勃たせろ。それとも、一人では勃たせることも出来んか? なら手伝ってやろう」

すると肛門に、何かぬるりとした物が宛がわれる感触がした。
なんだ?
指にしては太いしぬるぬるだが、シルビスの口は俺の耳元にあるしネイアローゼは静観している。一体なにを……?

――ぬぷっ

「んおぁぁっ!?」

それが何なのか分からないうちにアナルを貫かれ、肺から押し出された空気が喉を震わせていた。

俺のアナルに侵入してきたのは、ラバー素材のようにツルツルした太い棒だ。
バイブか何かか?
そう思った直後、なんとその棒状のものは生き物のように暴れうねり始めていた。

「んごぉぉっ!? な、なん……んぐぅぅ……っ! ぐ、ぐるしぃ……っ!!」

「なんだ。貴様処女か? ならば光栄に思うが良い。初めてをサキュバスの尻尾で散らされたのだからな」

尻尾っ!?

驚き振り返った俺は、我が目を疑った。
だって俺の背後にいたシルビスに、いつの間にか蝙蝠のような翼が生えていたのだから。

「あぁなるほど。サキュバス本来の姿を見るのも初めてというわけか」

「本来の姿……だって……?」

「そうだ。愚かにも先々代の女王が翼と尻尾を出すことを禁じてしまったが、本来サキュバスとはこういうものなのだ。どうだ? 美しかろう? 恐ろしかろう?」

くくくっ、と楽しそうに笑うシルビス。さらにネイアローゼまで翼と尻尾を生やし、器用にそれを動かして見せていた。
シルビスと同じく、蝙蝠のような漆黒の翼。お尻から生えているのは、にゅるっとした黒く長い尻尾だ。その先端は自由に形状を変えられるらしく、ネイアローゼはハートのような形から男根のような形に変えていた。これが今、俺のアナルを犯しているものの正体だと言わんばかりに。

「シルビス。簡単に壊してわたしの楽しみを奪ってはダメよ?」

「分かっている。どうにも勃ちが悪いのでな。こうしてやろうと思ったまでだ」

背後でシルビスが言った直後、肉棒の付け根が内側から尻尾でグイッと押され、俺は思わず絶叫していた。

「んおおおぉぉぉッッ!!」

ギャルメイドの指とは段違いの異物感。アナルの中で暴れるそれが未知の快感を呼び起こし、肉棒にどくどくと血液が流れこんでいく。俺の意思に反し、無理やり勃起させられてしまうのだ。

やがて完全に勃起させられたところで、フェラチオを続けていたホロウ化メイドは口を離し、嬉しそうに俺に背を向けた。どうやら後背位で無理やり挿入するつもりらしい。

「やめろっ! やめてくれっ!!」

地獄の宴はまだ始まったばかりだった。

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