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最終話 エピローグ

―― とある会社員視点 ――

今日の業務が終わり「う~んっ」と身体を伸ばした僕は、早々とタイムカードを切った。珍しく、残業のない週末だ。
そこらで一杯ひっかけて帰ろうか。サウナで汗を流すなんてのも良いかもしれない。
そんなことを考えながら荷物を纏めていると、二つ上の先輩が声を掛けてきた。

「おう矢淵! これからちょっと付き合えよ!」

心の中で「うぇ~……」となってしまったのは、この先輩――村岡さんが、大の風俗好きだと知っているからだ。
まぁ婚約者どころか現在彼女募集中の僕もそういうお店に興味がないわけじゃないし、童貞ってわけでもない。けど風俗ってパネマジとか性病とかあんまり良い噂を聞かないでしょ? 給料日前ってこともあるし……。

「んだよその顔。はは~ん? さては金の心配か?」

「まぁそんなところです」

「大丈夫だって! 実はな……すげぇ良い店みっけたんだよ!」

ここで「俺の奢りだから」くらい言ってくれれば株も上がろうというものなのだけど、給料のほとんどを風俗につぎ込んでるらしい村岡先輩だ。金銭面が常にカツカツであることは周知の事実だったりする。
そんな先輩が「良い店」と言うからには恐らく安い店ってことなんだろうけど、それはそれで病気のリスクを考えてしまうのだ。だいいち安い風俗なんて、まともな女の子がいないんじゃない? あまり乗り気にはなれなかった。

「いいからっ! もし気にいらなかったら俺の奢りでもいいぞ?」

けれど思わぬ村岡先輩の言葉が、僕の背中を押した。まさか先輩の口から「奢り」の言葉が飛び出すと思わなかったのだ。もちろん「気に入らなかったら」なんて予防線を張っているが、そこまで自信をもって紹介されると興味も沸こうというもの。

うん。
どうせ予定があるわけじゃないしね。

怖い物みたさというのもあったが、とにかくそんなわけで、僕の風俗デビューが決まったのだった。

……。

「ここだ」

先輩に連れて来られた建物を見て、僕は早くも後悔に襲われていた。
一応繁華街の中ではあるが、外れも外れ。通行人もまばらな通りにあるそこは、古びた小さな雑居ビルだったのだ。

一階は大人の本屋さんで、店頭に並ぶ日に焼けたエロ本が物悲しい。どうやら目的のお店は二階らしく先輩は足取り軽く階段を昇っていくのだが、見たところ看板らしきものすら見当たらない。

これ、かなりヤバい店なんじゃ?

妖怪屋敷か、はたまたイリーガルなお店か。なんにせよ、初めての風俗にしてはハードルお高目だ。

「何してんだ矢淵。早く来いって」

けれど段上の村岡先輩はもうニコニコと恵比寿顔で、心なし股間も盛り上がっている。さすがにここまで来ておいて「いややっぱり……」とは言い出しづらい雰囲気だ。

――来るんじゃなかった……。

これはもう是が非でも奢らせよう。なんなら後日掛かるであろう医療費も請求してやる。
そんな後ろ向きな意気込みで階段を昇ると、いかにも怪しい雰囲気の扉があった。

「いらっしゃいませ」

中に入ると目の前にカウンターがあり、男の店員がにこやかに出迎えてくれる。これといった特徴もないけど、気になるのはその後ろに控えている二人の女性だ。だってとんでもない美人なのだから。

――うっそだろ……っ!?

一人は濃紺と言おうか藍色と言おうか。良く晴れた夜の空に似た髪の色をしていて、スッと真っ直ぐ立つ姿勢が有能な秘書を思わせる。キリリとクールな表情が刺激的だ。
もう一人はもっと刺激的な巨乳をお持ちの可愛らしい女性で、ピンク色の髪の毛が派手なのに何故か全然派手な印象がなく、それどころか柔らかさを感じる。にこりと微笑まれただけで、恋に落ちてしまったんじゃないかと錯覚するほど心臓がドキッと跳ねてしまうのだ。

二人ともメイド服だけど、コスプレ感がまったくないのも凄い。
着慣れているというか着こなしているというか、実に様になっていた。

「せ、先輩……。やっぱりお高いお店なんじゃないですか? こんな綺麗な女の子がいるお店だなんて思ってなかったんですけど……」

念のためお金は下ろしてきたが、精々諭吉さんが三人ってところ。けれど目の前にいるのは、そこらの芸能人でも相手にならないくらいの美女だ。お相手してもらおうと思ったら、諭吉さんがダース単位で集合していないと心もとない。

と、不安に顔を青くする僕を見かねたのか、店員の男性が申し訳なさそうに頭を下げてきた。

「この二人は事務のスタッフでして、お客様のお相手は別の女性になります」

「あ、そうなんですか……」

心情的には安堵半分、ガッカリ半分ってところだろうか。さすがにこのレベルの女の子が相手をしてくれるなんてことはないらしい。

納得は出来たけど、でもそれも残酷な気がする。だってそうなると、相手をしてくれる女の子は間違いなくこの二人より二段も三段もレベルが下がるってことだもの。先にこんな美女を見せるのは悪手ではないだろうか? それとも「プレイ中はこの二人の顔を思い出してね」っていうことか? なんだかなぁ……。

「あ、ご心配には及びませんよお客様。中にいる女性たちも、この二人と同じかそれ以上に魅力的な女の子ばかりで――いってぇっ!? 何すんだよっ!」

突然の大声に驚くと、女性の一人がツーンとそっぽを向いていた。涙目で男の店員が睨みつけているから、何かあったのだろう。必死に言い訳しているのが聞こえてきてしまう。

「ただの宣伝文句だろっ!」

「……最近誠が研修という名目であちこち行っているのはそういう理由だったのですね」

「違うって!」

「どうりで薄いのしか出ないはずです」

「うぐぅ……っ。そ、それも仕事だから……」

おいおい……。客の前で痴話喧嘩かよ……。
なんだか一気にテンションが下がってしまい先輩を探すと、村岡先輩はなにやら地図を片手に唸っている様子だった。

「何してんすか?」

「今日の予定だよ。昨日は店に入る前にトイレにいったのが悪かった……。まさかトイレの中にも女の子がいるなんて思わなかったからよ……。今日はまったり楽しみたいんだ」

「いや何言ってるんです? ここがお店じゃないんですか?」

訳が分からないので先輩が見ている地図を覗き込むと、どこかのテーマパークの見取り図だった。ますますもって意味が分からない。

「あ、初めてのお客様ですよね? でしたら最初にこちらをご覧ください」

すると巨乳の店員さんが、先輩の見ている地図と同じものを渡してきてくれた。渡される時にほんの少しだけ指先が触れ、それだけで三万円くらいの価値があるんじゃないかと思ってしまう。

熱くなってしまった顔がバレないように、僕は慌てて地図を広げた。どうやら見取り図以外に、お店のルールが書かれているようだ。

『時間無制限。発射無制限。女の子選び放題。複数プレイも可』

はぁ!?
そんなことあるのか!?

発射無制限は分かる。けど時間無制限ってどういうことだよ。ドリンクバーじゃないんだぞ?

あまりに馬鹿げた謳い文句に目が釘付けになってしまった僕は、その下に書かれていた説明を見てさらに絶句だ。

『地図内の店舗はどこを利用しても何店舗利用しても構いません。お店ごとにプレイ内容が異なります』

地図内の店舗には店名の他にプレイ内容が書かれていて、手コキやフェラチオといった王道ものから、マット、素股、本番。果てはSM、赤ちゃんプレイ、スカトロなどなど。だいたい何でも揃っている。
面白いのはキャバクラなどのお酒を提供するお店まであり、これだけで一大歓楽街という感じだ。

僕がポカンとしていると、いつの間にか痴話喧嘩を終えた男性店員が注意事項を説明してくれた。

「お客様に守って頂きたいルールは一つだけで……んぅっ!? か、必ず閉店時間までに、んんっ! た、退店して、頂くことだけ、ですっ!」

男性店員の横にはクールな方の女性店員がピタリと身体を寄せていて、ただならぬ雰囲気を醸し出している。
妖艶というかなんというか……。見てるだけで射精してしまいそうなほどエロい……。

「へ、閉店時間は、午前0時となっており……くぉ……っ。ラ、ラストオーダーは23時ですので、お気をつけ下さい……っ」

「大丈夫っすか? なんか具合悪そうですけど」

「問題ありません。誠はいつも具合が悪いので」

どんなフォローだよ……。
クールな店員さんは少し頭がおかしいのかもしれない。巨乳のメイドさんも苦笑していた。

「では前払いとなりますので、お支払いをお願いしますね」

巨乳のメイドさんに支払いを求められたところで、僕はまだ料金について聞いていないことに気づいた。
先んじて村岡先輩が財布を取り出し、お札を一枚渡している。どうやら一万円らしい。

まぁ受けた説明の内容が本当だったら一万円でも破格と言えるけど、さすがに誇大広告が過ぎる内容だ。果たしてどこまで本当なのか。不安になりながら僕も財布を取り出すと、何故か先輩に止められた。

「お前の分も今払っただろ? 満足したらでいいぞ」

「え……!?」

ってことは一人五千円っ!?
さっきの説明と価格が釣り合ってなさすぎるんだけどっ!?

どんどん不安が増していく僕をよそに、先輩がさっさと奥のエレベーターに乗ってしまう。どうやらここは受付だけで、三階が接客部屋らしい。
ウィーン……っと。低い音を立てて上昇する古めかしいエレベーター。それを降りると、目の前に扉が現れた。金色で縁取られた、やたら豪華な赤い扉だ。

「驚くなよ?」

意味ありげに顔をニヤつかせた村岡先輩が、その扉をギィっと開いた。
瞬間、僕は言葉を失ってしまう。

「……は?」

目に映るのは、どこまでも高い夜空。草の匂いまで感じる不思議な風。視界に収まり切らない広々した空間には中世ヨーロッパを思わせる建物が立ち並び、後ろを振り返ると洋風のお城まで聳え立ってる始末だ。

VR?
いやARか?
いやいや、プロジェクションマッピングかもしれない。

とにかく扉の向こうには、小さな雑居ビルの中と思えないほど広大な空間が広がっていたのだ。それになにより、目の前にはズラーッと女の人たちが並んで出迎えてくれていた。しかも見渡す限り、とんでもない美女、美少女ばかりである。

「マ、マジっすか……?」

「すげぇだろ? さてっ! 遊ぶぞーっ!!」

そう言って、一歩踏み出す先輩。
いまだ目の前の光景が信じられぬまま、僕も一歩踏み出す。すると女の子たちがサッとお辞儀し、そして、声を揃えた。

「サキュバスタウンへようこそっ!」

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