Ather1-3 高佐山の場合 #
―― 高佐山の場合 ――
ベッドの上に嬌声が響く。
ただし喘いでいるのは、女ではなく男。囚われた高佐山は、すでに二時間以上も喘がされ続けていた。
「もう認めちゃえば~? ボクは女の子にお尻を掘られて気持ち良くなっちゃう変態です~って」
彼を喘がせ続けているのはキャルルという少女だった。
肩に掛からない程度まで伸ばした黒髪がサイドテールに結ばれており、髪を結った青いリボンがあどけない印象を与える。目はぱっちりと大きく、薄い唇は桜色。穢れを知らないかのごとき肌が、白く透き通るような少女だ。
幼さの残るキャルルは、しかし凹凸の乏しい身体に黒いボンデージを纏っていた。
妖しく黒光するエナメル質のボンデージは下半身がプリーツスカートになっているので可愛く見えるがやはり淫靡なイメージが強く、少女自身の印象と相まって異様な艶めかしさを放っている。
そんな少女が「きゃはは」と無邪気に笑いながら、ペニスの形に変えた尻尾でズンッと高佐山のアナルを貫いているのだ。
もっともその尻尾はキャルルの股の間を通しているので、高佐山からはペニスバンドにしか見えない。彼は今、全裸で四つん這いという恥ずかしい格好のまま、中学生くらいにしか見えない少女にペニスバンドでアナルを犯されるという屈辱を味わい続けていた。
「んぐぉぅ……っ、く、くそ……っ、こんなことで……っ」
高佐山は、その恥辱に唇を嚙みしめる。
それでも反抗出来ないのは、四つん這いにされた彼の背中にも別の少女が乗っているからだ。
「くすっ♪ 初めの威勢はどうしちゃったのかなぁ? 本当は犯されたくて抵抗止めちゃったんじゃないのぉ?」
高佐山の背中に腰を下ろし、優雅に足を組んでいるのはキャルルとそっくりな少女、キャロルである。キャルルのサイドテールが右側に対し、キャロルは左側。リボンの色が赤いため、それが見分けるコツだろうか。
キャロルは直接手を出して来ないものの、少女とは思えない力で高佐山の動きを封じこめ、キャルルの調教を見守っていた。
「んぎぃ……っ、ん、んなわけっ、ねぇだろ……っ。てめぇ、覚えてやがれ……っ、おぉぅ……っ」
「きゃーこわーい。でもぉ、キャロルに反抗的な態度はダメって言ったよね?」
四つん這いのまま肩越しに睨みつけていた高佐山の頭が、キャロルの足にグイッと踏みつけられる。思わず四つん這いの姿勢を崩しそうになり、彼は慌てて腕に力を込めた。
「あははっ。キャロルを落とさないように必死なんだ~」
「だってあたしを落としちゃったら、もぉっと酷いことされちゃうもんね? くす♪」
ベッド脇には、キャロルが用意したと思われる様々な器具がこれ見よがしに置かれていた。バイブやローターといった馴染みのある玩具から、どう見ても拷問器具にしか見えない禍々しい物まで。
それらがどう使用され、どのような効果をもたらすか高佐山には分からなかったが、およそ楽しいことではないだろう。背中に座ったキャロルを落としてしまった瞬間それらが自分の身を苛むと聞かされている以上、ここで体勢を崩すわけにはいかないのだ。
なにより、四つん這いの姿勢から頭を突っ伏し、尻だけ持ち上げるような姿勢になることだけは避けなければならなかった。身体を支えるこの腕が屈服した時、自分の心まで折れてしまう。高佐山はそう思いながら必死に歯を食いしばっているのだ。
「ほ~らっ! 休憩終わり~っ!」
だがキャルルの尻尾でアナルの深いところを抉られると蕩けるような快楽が背骨を伝って全身に伝わり、心を支える腕がぷるぷる震えた。身体の方は、二人の少女にとっくに平伏してしまっているのである。
――なんで……っ! なんでケツなんかでこんな気持ち良くなるんだよ……っ!
尻たぶを鷲掴みズンッと腰を叩き付けてくるキャルルの動きには、優しさなど欠片も感じられない。異物にアナルを犯されるという感覚も本来であれば嫌悪感が先立ち、快感など得られないハズだった。
なのに高佐山が感じさせられるのは、ハチミツのようにとろりと甘く、綿菓子のようにふわっと身体を包んでしまう蕩ける気持ち良さだけ。アナルの奥から広がる未知の快楽に全身が脱力させられ、どろどろに溶かされてしまいそうなのだ。
「頑張るねぇお兄さん」
背中の上。キャロルがゆさゆさと尻を揺らした。プリーツスカートの下は際どいハイレグ状になっており、プリっと張りのあるお尻の形がはっきり背中で感じ取れる。
だが、触れ合う生肌の感触よりも、その行為自体に高佐山は怒りを覚える。
「てめぇ……っ」
「あはっ♪ そんなにコレを踏み躙られるのが嫌なのぉ? ならもっとシてあげるね♪」
ゆさゆさと、キャロルは小ぶりな尻で高佐山の背中を踏み躙る。
少女が踏み躙っているのは、しかし背中ではない。その背中に刻まれた、般若の入れ墨なのだ。
高佐山にとって、誇りとも言える背中の入れ墨。少女はそれを尻に敷き、彼のプライドごと踏み躙っているのである。
しかしその怒りに意識を取られていると……。
――ズンッ
「んぐおぉっ!」
男の弱点。前立腺をキャルルに突き上げられ、甘い痺れに腰が砕けそうになってしまった。
背中のキャロルを振り落としそうになってしまい、慌てて身体に力を込め直す高佐山を、少女たちはクスクス嘲笑してくる。
「どんなに凄んでもお尻を突かれただけで「あぁ~ん」て声が出ちゃうんだ。なっさけな~い」
「身体はとっくにあたしたちに屈服してるんだよぉ? お兄さんも早く降参しちゃえばぁ? 本当は犯されるのが気持ち良くて堪らないんでしょぉ?」
「んなわけ……あるか……っ!」
声を低くしての反論は、しかし腕をぷるぷる震えさせてしまっているから滑稽にしか映らない。なによりこうしている間も、高佐山のペニスからはダラダラ先走り汁が糸を引いてしまっているのだ。
すると背中の上で、キャロルが体勢を変えた。背中に覆い被さるように抱き着き、高佐山の耳元に桜色の唇を近づけてきたのだ。
「正直になれたら、もっと気持ち良くシてあげるよ?」
ゾクッと、鳥肌が立つほど艶のある声。耳に掛かった吐息すら心地良く、身体から力が抜け落ちそうになってしまう。
「よ、余計な……お世話だ……っ」
誘惑を振り払い高佐山はあくまでも気丈に振る舞おうとするが、その心をへし折るべく、彼の身体に腕を回したキャロルの指先が高佐山の乳首に当てがわれた。そして
――カリカリ……
「ぐぁ……っ、なっ、なん……っ、んくぅ……っ」
乳首を爪の先でカリカリ引っ掻かれた途端、痺れるような気持ち良さが全身に広がってしまったのだ。
しかしその理由が分からない。乳首など女の性感帯であって男の自分が感じるハズがないとそう思っていたのに……。
――カリカリ……
「んいぃっ!」
なのに抗いがたい快感が、背中を震わせてしまうのである。
「な、なんで……っ!」
「それはねぇ? お兄さんの身体がもう「メス」になっちゃってるからだよ?」
「は……?」
「おちんぽ突っ込まれてアンアン言っちゃうのは女の子だもん。だから乳首も感じちゃう。そうでしょ?」
「ち、ちがう……っ! そんなわけ――」
「ない? だったら試してあげよっか」
そう言うとキャロルは一度手を止め、キャルルに目配せしていた。
不穏な気配に、高佐山の身体が硬直する。何をされるか分からないが、禄でもないことは確かなのだ。
「だいじょ~ぶだよ? 怖いことじゃないから」
「何する気だ……」
「女の子がいっちば~ん気持ち良くなっちゃうことって何だと思う?」
クスクスと、背後のキャルルが嘲笑してくる。教えることを心底楽しんでいるような笑い方に、高佐山の中で嫌な予感が膨らみ始めていた。それを肯定するように、キャロルが意地悪く目元を歪める。
「それはね? おまんこの中に精液をびゅーって出してもらうこと」
「まさか……」
「そのまさか。今からお兄さんは、キャルルに中出しされちゃいまぁす♪」
「や、止めろっ!」
もちろん、ペニスバンドから本物の精液が出るなんて高佐山も思ってはいない。恐らくお湯か何かが出る機能でも付いているのだろう。
だが想像してしまったのだ。
ズンズンとアナルを突かれ、その最奥に熱い液体がびゅっと放出される感覚を。
そして思ってしまったのだ。
絶対に気持ち良い。中出しされたら、もう抵抗することが出来なくなるかもしれない、と。
だから高佐山は首を振り、全力でその行為を止めさせようとする。だがそれは、少女たちを楽しませる結果にしかならなかった。
――ズンッ
「んお……っ!」
再び始まってしまったキャルルの抽挿が、アナルの中を穿る先ほどまでの動きと違うことに高佐山は気づいた。
腸壁で肉棒をシゴくような……。射精へ向かうために快楽を貪るような……。
そんな荒々しいピストン運動なのだ。
「あはぁっ♪ お兄さんのアナル、きゅうきゅう締め付けてきてるよ? 中出しされるのが楽しみで仕方ないんだね~」
「そんなっ、わけっ、あるか……っ! んぉぅ……っ!」
「強がっても無駄だってばぁ。ほぉら。ぷっくり勃起したメス乳首も一緒にカリカリしてあげるぅ」
「んあぁっ、ぐぅっ、んぉ……っ」
乳首を引っ掻かれながら激しくアナルを犯され、頭が真っ白になる。勝手にアナルが収縮し、腰がゾワゾワ震えてしまうのだ。
耳元で淫靡に囁くキャロルの声が脳を甘く溶かし、背中に押し付けられる未成熟な身体が背徳的な気持ち良さで興奮を掻き立ててくる。このまま誘惑に溺れたくなるほどだ。
だが、そんなわけにはいかない。
こんなメスガキに良いように弄ばれて屈服するなど絶対許されないのだから。
なのに……
「ほらっ! 中出しして欲しかったらもっとお尻を締めてオネダリしなよっ!」
――パチンッ!
ピストンしながら、キャルルの平手が尻肉を打ってきた。
肉の弾ける音に比べて痛みは少ないが、じんわりと痺れるような痛みと熱が臀部に広がる。なにより少女に叩かれたという事実が、腸壁をギュっと引き締めてしまうのだ。
「そうそうっ! やれば出来るじゃんっ! ほらっ、もう一回っ!」
パチンっ、パチンっと叩かれるたび、情けなさと屈辱に侵食された心が叫び出しそうになる。しかしそれでも、喉を震わせるのは快楽の喘ぎだけだった。それがまた、高佐山の心を削っていくのだ。
「いい感じだよお兄さんっ! アタシも、そろそろイきそっ」
「クスクス。念願の中出し、もうすぐだって。良かったね、お兄さん。たっぷり中に出してもらうんだよ? 特性のび・や・く♪」
「んあっ!? 媚薬、だとっ!? んぐぅっ!」
「ただのお湯だとでも思った? そんなわけないじゃん。おちんちんに塗っただけで勃起が止まらなくなって、空っぽになるまで精液が出ちゃう強力な媚薬を中出しされるんだよ。そんなのが男の子の弱点……前立腺に直接掛けられちゃったらどうなるか。言わなくても分かるよね?」
凶悪な予告に、高佐山は心が粉々に砕かれるのを感じた。ただでさえ中出しされる背徳感に負けそうになっていたのに、追い打ちとばかりに突きつけられた残酷な事実は、もう到底耐えきれるものではなかったのだ。
「や……止めろ……っ。止め……て……下さい……っ」
虚勢が剥がれ落ち、心からの懇願が喉を震わせる。
血涙が流れ落ちるほどの屈辱を噛み殺し、高佐山はついに二人の少女に負けを認めてしまったのだ。
暴力で人を支配してきた矜持も、数々の女を犯してきた雄としての本能も、町の支配者としての立場も。全てを投げ打った懸命な懇願。それを聞いた二人の少女は、声を揃えて……
「だぁめ♪ 中出しされてメス堕ちしろ、この変態」
――どぴゅぅっ!
無慈悲な宣告とともに、キャルルの腰が強く高佐山の腰に打ちつけられた。
瞬間、尻の中に熱い迸りを感じ、眼球が裏返るほどの衝撃と快感が弾け飛ぶ。
「んあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッッ!!」
びゅくんびゅくんっ、と、まるで本当に脈打っているかのようなペニスバンド。その先端から、ドロッと粘着質な液体が腸内に吐き出されたのだ。
普通の男なら、決して感じることのなかった感覚。尻を貫かれ、中まで犯されるという倒錯的な快楽に、頭の中で何かが壊れていくようだった。
……そして造り替えられていく。
犯す者から犯される者へ。
支配する者から支配される者へ。
オスからメスへ……。
「んぎいぃぃぃぃッッ!! イぐぅぅぅぅぅッッ!!」
白目を剥いた高佐山は、絶叫と共に精液を吐き出していた。触れられすらしないまま、その怒張からとろとろと白濁が溢れ落ち始めたのだ。
それは射精と呼べるほど荒々しいものではない。アナルを貫くペニスバンドに押し出され、ただ零れるだけの漏精だ。
「あははっ♪ 中出しされてイッちゃったの~?」
「やっちゃったねぇお兄さん。完全にメスに堕ちちゃった。もう戻れないよ?」
そうかもしれない。けど仕方ないのだ。
だって媚薬だ。強力な媚薬を中出しされてしまったのだ。それに抗うなんてどうせ無理なのだから。
だから堕ちる。
高佐山の心は「もう仕方ない」と完全に折れてしまっていた。
そして堕ちてしまえば、あとは快楽を貪るだけだ。
オナニーを覚えた猿が一心不乱に耽るかのごとく、覚えたての快感を貪欲に求めるだけである。
「ねぇねぇ。そんなにお尻をくねらせてどうしたの~?」
「……くだ……さい……っ!」
「ん~? 聞こえないな~? もっとはっきり言わないと何もシてあげないよ?」
意地悪く嘲笑しながら、キャルルが緩やかに腰を回す。その巧みな腰使いにアナルが切なく疼き、空っぽになった理性の代わりに肉欲が際限なく注がれてしまう。
「犯してっ! 俺の尻をもっと犯して下さいっ!」
「クスクス♪ 情けないオネダリだねぇ。でもダメだよ。そんなお願いの仕方じゃ足りない。お兄さんはもうメスなの。言葉使いも態度も全然違うでしょ?」
しかし高佐山にはどうしたら良いか分からなかった。熱に浮かされた頭では何も考えられず、秒ごとに募る切なさをどうすれば解放してもらえるのか。
半ば泣きそうな目で背中のキャロルを見上げると、桜色の唇をにたぁっと割り開き、少女が耳元に囁いてきた。
「仰向けになって、股を開いて、自分で脚を持ち上げるの。そしてこう言いなさい。「淫乱メス豚のケツマンコ、思いっきり突き上げて下さい」って」
普段なら、決して出来ない屈辱に塗れた体勢。自分の存在を貶めるだけの言葉。
にも関わらず、もう彼は躊躇しなかった。背中の上からキャロルが退いた途端、一刻も早くと急くように、自らその恥辱を受け入れたのだ。
「淫乱メス豚のケツマンコっ、思いっきり突き上げて下さいっ! キャルル様の逞しいおちんぽで思う存分犯して下さいっ!」
先刻ベッドに吐き出したばかりのザーメンが腰に付着するのも厭わず、仰向けになって股を開いた高佐山は、脚を持ち上げ媚びるようにキャルルを見上げていた。
目に映るのは、妖しく黒光するエナメル質のボンデージ。プリーツスカートを持ち上げている雄々しいペニスバンド。そしてあどけなさの残る可愛らしい少女の顔
かんばせ
。全てが神々しく感じられる。
「キャルル「様」だって~♪ やっと自分の立場が分かったんだね~。じゃあご褒美に、頭がぶっ壊れるくらい犯してあげよっかな」
「ありがとうございますっ! ありがとうございますキャルル様っ!」
「ほら、いくよ~。……ずっぷ~」
「んおああぁぁぁっ!!」
再び貫かれたアナルが、先ほどよりずっとすんなり疑似ペニスを吞み込んでしまった。
しかも、段違いの快感だ。媚薬の効果なのかなんなのか、受け入れたラバー素材のような感触はもう異物と感じられず、安心感すらもたらしてくる。それに一突き貫かれるたび空気と一緒に快感の悦びが喉を震わせ、全身がベッドに溶けてしまいそうなのだ。
「いいいいぃぃっ! これっ、気持ちっ、良すぎてっ、んああぁぁぁぁッッ!!」
無意識に暴れ出した高佐山の頭が、膝枕するような場所に位置を移したキャロルの太ももに後ろから挟まれてしまった。
後頭部に触れるキャロルの柔らかな下腹部。すべすべの太ももで潰れるほど両頬が挟まれ苦しさを感じるが、同時に被虐的な快楽がちろちろと灯り始めてしまう。
芽生え始めた支配される悦び。
その種火を焚きつけるように、キャロルがにんまりと見下ろしてきた。
「正常位で犯されるの気持ち良い? 普通は男の子と女の子の位置が逆だけど」
「あ……」
改めて指摘されると、あまりの恥ずかしさに顔から火が出そうだった。しかし思わず顔を隠そうとした腕はキャロルの手に掴まれ、万歳の格好で押さえつけられてしまう。
「あ~あ。これでもう抵抗出来なくなっちゃった。もう逃げられないよ?」
「自分から望んだことだもんね~。あはっ♪ 馬鹿なお兄さん。あ、もうメス豚なんだっけ? だったらメス豚らしくよがり狂っちゃいなよ。ほらっ!」
高佐山の脚を抱え直したキャルルが、そのままゆっさゆっさと腰を揺らす。押しては引く波のように自分に向かって前後するキャルルは、可憐な少女とは思えないほど凶悪な笑みを浮かべながら、乱暴な腰使いで高佐山を追い詰めてくるのだ。
疑似ペニスにゴリゴリ腸壁を削られると、それだけで意識が飛びそうなほどの快感に襲われてしまう。
コツンと奥を突かれるたび悦楽の声が喉を震わせ、弛緩しきった口元から涎が垂れてしまうが、もう高佐山にそれを気にする余裕は残っていなかった。
「あぐっ、んぉっ、んぐっ、いぎぃ……ッ!!」
腹筋が引き攣ったように痙攣し、訳の分からない涙がじわりと目元を濡らし続ける。危険なほどの快楽を無理やり叩き込まれ続け、脳細胞が秒単位で破壊されている気さえした。
すると頬を挟んでいるキャロルの太もも。そこから伸びる細い足が、自分の胸元に近づいていくのが見える。
なにを? などと考える余裕もないまま足先は高佐山の乳首に到達し、そして――キュッ! 足指が、乳首を抓り上げてきた。
「んぐおぉぉぅッッ!」
「もうすっかりメス乳首だねぇ。ケツマンコ犯されながら乳首イジメられるの堪らない?」
「んお゛ぅ゛ッ! ごれっ、ごわれる゛っ! おがじぐなる゛ぅ゛ッ!」
「壊すためにやってるんだから当たり前でしょ? ばーか」
クスクスと嘲る声は、しかしそれすらも高佐山にとって心地良い音色になっていた。
可愛らしい二人の少女に見下ろされ、馬鹿にされ、いいように犯される。それにとてつもなく興奮してしまうのだ。
「ほらほらっ! 壊されたいんでしょ? 壊してあげるから自分からも腰を振れよっ、このメス豚っ!」
乱暴なキャルルの腰使いでアナルの奥を貫かれるのが気持ち良い。
ビンビンに固くなった乳首を、キャロルの足指に捻り上げられるのが気持ち良い。
自分の輪郭すら分からなくなるほどの快感に全身を犯され、高佐山は獣のように呻くことしか出来なくなっていた。
レイプされ、無理やり感じさせられる憐れなメス豚。そんな状態に陥ってしまった中で、彼が雄であった名残りを示すように、肉棒がぶらぶら揺れながら先走りと精液の混じった汚汁を零し続けていた。
「あははっ♪ アンタのコレ、なっさけな~い事になってるね~」
「触ってもらえないのにダラダラ涎垂らして可哀想。ねぇ。もうコレいらなくない?」
突然降って来た思わぬ言葉に、高佐山はハッとキャロルを見上げた。そんな彼を小馬鹿に見下ろしながら、キャロルは足指で乳首を摘まみ上げる。
「んぎぃッッ!」
「だってお兄さん、こんなことされても感じちゃうメス豚になったんでしょ? だったらチンポなんていらないよね?」
「な、なにを言って……?」
「ふふ。チョッキン……しちゃおっか。そうすれば本物の女の子になれるよ?」
「あ~、いいねそれ! そしたら毎日ケツマンコ犯してあげる。寝る間もないくらいあたしとキャロルで代わりばんこにず~っと犯し続けるの。ね? いいでしょ?」
冗談……だとは思えなかった。
未だベッド脇に置かれている拷問器具を見れば、少女たちが本気でそれをしてもなんら不思議ではないから。
「や……だ……ぁ……っ! 止めて、下さい……っ! 許して下さいぃ……っ!!」
だから高佐山は、恥も外聞もなく許しを乞い始める。その情けない姿をたっぷり楽しみ、キャロルは意地悪く条件を出してくるのだ。
「ん~、だったらぁ、ケツマンコでイくより先に男らしい射精して見せて? その情けなぁいチンポの先から男らしくピュッピュッ~って出来たら今回は見逃してあげる」
「でもピュッピュより前にケツマンコでアンアン言っちゃうようなら~……チョッキン♪ だよ?」
指でハサミの形を作り、これ見よがしに肉棒の根元を挟んで見せたキャルルに、高佐山の背中がブルッと震える。すでに何度もアナルで絶頂させられているのだ。きっと少女たちがその気になれば、簡単にメスイキさせられるに違いない。
けれど今の彼に選択肢などなかった。どれだけ泣き叫ぼうと、少女たちの決定が覆ることはないだろう。
それに高佐山自身、思ってしまっている。
完全なメスになって、二人のメス奴隷になりたい……。
ケツマンコ犯されることしか考えられない最低の存在に堕ちてしまいたい……と。
もちろんだからといって、去勢を受け入れられるかと言えばそうではない。その痛みと喪失感を想像するだけで、血の気が失せてしまうのだから。
沸き上がる破滅的な期待とそれ以上の恐怖に頭がぐちゃぐちゃになってしまい、高佐山は言葉を発することも出来なくなってしまっていた。
そんな彼をニヤニヤと見下ろしながら
「じゃあゲームスタート♪」
キャルルが腰を揺らし始めた。
小さな身体ごと腰を前後させ、ゆさゆさとアナルの奥深く目掛けて疑似ペニスを抽挿させてくる。
「あはっ。さっきより締まりが良くなってる~。なになに? ひょっとして耐えようとしてるの~?」
必死に歯を食い縛る高佐山を嘲るキャルルは興奮に頬を上気させ、髪を振り乱していた。少女が前後するたびに未成熟な膨らみが慎ましく揺れ、異様に艶めかしく目に映る。
ただし、それに見惚れている暇も与えられない。
――キュッ!
「んあぁっ!」
キャロルの足指が、再び乳首を責め嬲ってきたのだ。
「ほぉら。メスイキしやすいように乳首イジメてあげるぅ。足の指なんかに挟まれて、引っ張りあげられて、痛いのに感じちゃう? マゾのメス豚は何されても悦んじゃうから大変だねぇ」
「チョッキンされてあたしたちに飼われた方がお兄さんも幸せなんじゃない? ずっと玩具にしてあげるよ? あははははっ♪」
好き勝手言われているのに、怒りどころか興奮を覚えてしまう高佐山だ。少女たちに身体を犯され、言葉で嬲られているのに、どうしようもなくペニスの根元に熱い疼きがため込まれていってしまう。
けどこれは、射精に繋がらない熱だ。深いところに溜まり続ける被虐の快楽は、アナルの奥で爆発しそうになっていた。
「あれあれ~? お腹がぷるぷるしてきたね~。イッちゃう? チンポにお別れアクメきめちゃう?」
「メス奴隷になりたくて仕方ないんだねぇ。だったらもうイッちゃいなよ。ほらっ! イけっ! イけってばっ!」
キャロルが罵倒すると同時に、二人の責めが激しさを増した。
射精なんて許さない。絶対メスイキさせると言わんばかりのピストンを繰り出すキャルル。
暴れる高佐山の頭を太ももでがっちり挟み、逃れられない快楽を強制的に与え続けるキャロル。
「あがぁぁッ! やだっ! イぐっ! イぎだぐないぃッ!!」
二人に翻弄され、迫り来る絶望的な絶頂の予感に高佐山は叫び出していた。
だがそれで少女たちが手を緩めるわけもない。むしろより激しく責め立て、彼を追い詰めてくるのだ。
「ほらほら~っ! 前立腺、ゴリゴリしてあげる~っ!」
「あははっ♪ キちゃう? メスイキしちゃう? ちんぽチョッキンされちゃうねぇ。なら頑張って耐えないとダメだよねぇ? 耐えさせないけど♪」
「メス乳首イジメられてお尻キュッてしちゃったね~。もうヤバい? イきそう? じゃあ手伝ってあげるね。ほらっ、パンパンっ、パンパンっ!」
行き過ぎた快感は、もはや暴力と変わらなかった。
キャルルの疑似ペニスに前立腺が抉られ、一突きごとに意識が飛びそうになる。キャロルの足指に痛いほど乳首を抓り上げられているのに、何故か全身に広がる甘い気持ち良さに頭が真っ白になってしまう。
許容量を遥かに超えた快楽の奔流に正気を保っているのが不思議なほどだが、しかし終わりは確実に近づいていた。
「イぐっ! ダメっ! イっぢゃう゛ッッ!!」
切羽詰まった雄叫びに、二人の少女がニヤッと唇を割った。
「いいよっ、ほらっ、イけっ! メス豚確定アクメしろっ、変態っ!」
「あたしたちに見下されながらっ、情けなくメスイキしろっ! ほらっ! 乳首ギュゥッてしてあげるからっ、そしたらイくのっ! いいっ? 分かった?」
「や゛だあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッッ!! イぎだぐな゛い゛ぃ゛ぃ゛ッッ!!」
「だ~め♪ イけ、メス豚」
――ギュゥゥッ!!
「ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッッ!!」
絶叫が、室内に響き渡った。
同時に全身をガクガクと痙攣させ、白目を剥いた高佐山が絶頂に達する。
アナルの奥で、快感が盛大に弾けた。
だがそれより数瞬だけ早く――どぴゅぅっ、びゅるるぅっ、と、ペニスは噴水のように精液を噴き上げていた。
「ぎい゛い゛ぃ゛ぃ゛ッッ!!」
しかし当の本人はあまりの快感に目を裏返らせ、何が起きているのか分かっていない。全身が気持ち良すぎて、どこがイッているのかすら分からないのだ。というより、ペニスもアナルも乳首も脳も全てが絶頂してしまっているのだろう。獣のように喉を震わせ、涙と涎をぶちまけながら絶頂する様は、廃人と言われても不思議ではない有様だった。
そして高佐山は、そのまま意識を失ってしまった。
あとに残ったのは自分の身体中に精液を飛び散らせ、気絶してもなお身体を痙攣させる憐れな男の姿。そして……。
「あ~あ。命拾いしたね~、お兄さん。あ、チンポ拾い、かな?」
「まぁ最初からそんな気なかったんだけど。でも本気で怖がるお兄さん面白かったよ」
「それに本気でよがってたしね~。もしかしたら、今度は自分から「奴隷にして下さい」って来ちゃうかもね」
「そうしたらホントに飼ってあげよっか」
「それいいかも。あはっ♪ 楽しみ~」
無様に果てた高佐山を、まるで楽しい玩具を見つめるように見下ろす二人の少女の姿だった。
……。
解放された高佐山とサブは、店外に出るとぼんやり歩き出していた。そこに、往路に見せていた覇気はない。互いの身に何があったか話すこともせず、ただ黙々と事務所へ向かうのだ。
しかし人通りが途切れた所で、不意にサブの足が止まった。
「高佐山のアニキ……。あの店、どうするつもりですか……?」
「てめぇ……標準語喋れたのか……」
「……」
「……」
気まずい沈黙が流れる。
だが怯えるようなサブの視線に、高佐山は気づいた。こいつも自分と同じような目にあったのだろう、と。
尊厳を踏み躙られた。
プライドをズタズタにされた。
年端もいかぬ少女に手の平で転がされ、決して人に見せられぬ醜態を晒してしまった。
いや、それだけならいい。
失った矜持を取り戻すためにやり返し、汚名を雪げば良いだけなのだから。
いつもであれば、そうすることを高佐山は厭わなかっただろう。
けど、今回だけはダメだった。
確かに屈辱も感じているし、恥辱も感じているのに、逆らう気がまるで起きないのだ。
完全に心を折られている。いや、屈服させられている。
もしまたあの少女が目の前に現れたら自分は自ら衣服を脱ぎ捨て、恥も外聞もなく尻を差し出すだろう。むしろ差し出したい。また犯して欲しいと思ってしまっている自分に気づき、高佐山は尻の奥がキュンと疼くのを感じてしまった。
それにきっと、サブも同じ気持ちなハズである。
ならば兄貴分として……ここは自分から言うべきだろうと、高佐山は重い口を開いた。
「あの店には、もう手出ししねぇ……」
「ア、アニキ……」
「オヤジには、俺から話す」
「で、ですがアニキっ! そんなことしたらケジメを……指
エンコ
詰めさせらちまいますよっ!?」
「うるせぇっ! エンコよりチンコだろうがっ!」
「……」
「……悪りぃ。でも、そういうことだからよ」
もう振り返ることなく、高佐山は歩き出していた。
その背中を見つめながら、そっとサキュバスタウン割引券を握り締めるサブなのであった。