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プロローグ『始まる、セックスレッスン』

ふわりと、柔らかなにおいが鼻孔をくすぐった。
太ももが擦れあうほどの距離から香る、女の匂いは、柔らかさの中に男心をくすぐる、いやらしいフェロモンが紛れている。

ニオイに釣られて、青年――間地新太
けんち・あらた
は自分の横を見た。
そこには、新太の憧れの人とそっくりの顔をした女性がいる。
憧れの人よりも年は上だが、年齢にそぐわない若々しい美貌を備えたその顔。
そして、憧れの人よりもずっと大きな乳房が、新太の二の腕を軽くうずめさせるように押し付けられている。
女性は新太の股間に手を這わせると、丁寧な手つきで、ずっと甘く勃起しっぱなしだった肉棒を取り出した。
しなやかな指先が、絡みついて、さらなる屹立を促す。
自分の指先とは違う、すべすべとした感触に、さっそく新太の体の中で快感が渦巻き始めた。
はぁ、と、女性が熱い吐息を漏らす。吐息にたっぷりと込められたメスの情動が伝わってきて、新太の胸を高鳴らせる。

……遠く、シャワーの音がうっすらと聞こえる。憧れの人が、風呂場でシャワーを浴びている音だ。

想像を掻き立てる水音と、実際の快感を与える指先。二つが重なって、新太の肉棒を敏感にしていく。

「ふふ……とっても元気。でも、経験ないのね……?
緊張してるのに、すごく敏感になってるの、感じるわ……」

裏筋をゆっくりと、人差し指が撫で上げる。
それだけで新太は射精してしまいそうだったが、女性は絶妙な加減で射精には至らせない。
しゅに、しゅに、と軽く撫でる様な動きで焦らされる。早くも息が上がってきて、腰がヒクついて、浮いて、新太は切ない気持ちでいっぱいになる。
そんな新太のことを熱っぽい目で見つめて、女性は耳元でささやいた。

「まだ、ダメ……♪ ほら、目を閉じて……こんなおばさん相手で射精しちゃダメ。
これはあの子とエッチなことをするときの、練習なんだから。
ほら、シャワーの音……聞こえるでしょう?」

言われたとおりに目を閉じて、遠く響いているシャワーの音に集中しながら目を閉じる。

「あの子のグラビア、いっぱい見たんでしょう……?
思い浮かべて……あの子は今、裸で、シャワーを浴びてるの……
見えないところはわたしが教えてあげる。乳首はピンク色……綺麗にしてるのよ。
股間はうっすら毛が生えてる……柔らかくて、おちんちんを擦り付けても気持ちいいくらい。
あの子、髪もだけど、あそこの毛も柔らかいの……
おっぱいは……わたしよりは少し小さいけれど、このくらいの柔らかさ……♪」

ずり、ずり、と二の腕に柔らかな塊がより強く押し付けられる。
まぶたに浮かぶ、憧れの人の裸体の妄想が、より現実味を帯びていく。
だけど同時に、それは横に座る女性の肢体の魅力そのものでもあると思い知らされて、二つの興奮が混ざり合って、新太の頭の中をめちゃくちゃにしていく。

ペニスが痛い。痛いほど、張りつめて、先っぽから衝動が透明な汁となってあふれ出してしまう。
それを丁寧に亀頭に撫で広げながら、ますます吐息に熱を込めて、隣の女性はペニスを扱く手に力を込め始めた。

「もう……いい子ね。そのままあの子の体を想像して……
あなたが何度もそうしたみたいに、あの子に熱いのをたくさんかける妄想をしながら出しましょうね……♪」

こくりと頷き、女性の手淫に身を任せ始める新太。
憧れの女性の妄想と、実際に触れている生々しく鮮明な刺激。
二つに挟み込まれ、昂りながら、新太はこんな奇妙な事態になった経緯を思い出していた――

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