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大学に入学してから一か月ほどが経って、新太の生活は順調そのものだった。
大学の雰囲気には慣れ、ゼミに友人も出来たし、隣の家のYUKIの入浴姿をたまに眺めてオナニーも出来る。

……しいて問題があるとしたら、YUKIと知り合うようなことにはなっていないことが問題だろう。

「まずはファンから『お隣さん』にはランクアップしたいけど……ううん……」

休日。
朝からYUKIの写真集でオナニーする日課を済ませた新太は、大学の課題を終えたのち、ベッドで今後のことについて考え唸る。
YUKIとお近づきになり、できれば男女の関係になりたいという気持ちは日に日に募っていくが、問題は顔を合わせたら確実に新太の脳みそがヒートアップしてしまうことだ。
ちゃんと会話を成り立たせる自信は、まだない。

「多分だけど……お母さんと住んでるんだよな」

頭によぎったのは、何度か家の前で見かけたことがある綺麗な女性のことだった。
姉妹かと思うほど若々しいが、YUKIが『お母さん』と言っているのを聞いたので母親で間違いない。
父親らしき人物は見かけたことがないので、もしかしたら母子家庭なのかもしれないと新太は考えていた。

「家に行けばお母さんが出てくるはず……」

……まずはお母さんに挨拶して、慣れていくか?
新太はYUKI本人はともかく、その母親ならば普通に挨拶できるだろうと思っていた。
確かに綺麗で、YUKI並みにスタイルがいい人だったが、遠目に見ているだけでドキドキしてしまうような雰囲気ではなかった。
むしろ年上らしい包容力を感じた気がする。

そうと決まればと、新太はスマホのスケジュール帳を起動した。
新太のスマホには二つスケジュールアプリが入っていて、片方はYUKIの行動について記してあるものだ。見つかったら言い逃れできないので、トップ画面にはアイコンが置かれていない上にしっかりとロックがかけられている。
それを開くと、YUKIの今日の予定を確認した。

「土曜日は……っと。今日は授業があるっぽいんだよな、YUKIちゃん。
帰ってくるのは多分四時ごろ……」

昼前、YUKIが家を出るのは新太も確認していた。
現在時刻は午後一時。帰ってくるまでにYUKIの母親と挨拶するにはちょうどいいくらいの時間があるだろう。

「よし、行くか」

勢いよくベッドから立ち上がって、新太はいそいそと準備を始めた。
まさかだらしない男という印象を与えたくはない。
ほどほどにカッチリした服装を整え、髪も軽く整髪料をつけて乱れないようにすると、半月以上前から用意したままになっていた引っ越し挨拶の品が入った紙袋を持って、足早に部屋を出た。
部屋を出て、一軒家の外側についている階段を下りて、隣の家へ。
軽く呼吸を整えるが、実際のところ、そこまで緊張はなかった。
なにせ会うのはYUKIの母親だ。粗相を働きさえしなければ、今後の会話のきっかけを作れれば、それでいい。
緊張せずに行こう、とインターホンを押す。
すると、インターホン越しに柔らかな声が返ってきた。

『はぁーい? どちら様でしょう?』

「すいません、隣の家の二階の部屋を借りているものなんですが。引っ越してきたので、ご挨拶にと思って」

『あら……少し待っててくださいねー』

少しだけ驚いたような声を漏らして、内線が切れる。
それから、ぱたぱたと人が歩いてくる音。
背筋を伸ばして扉が開くのを待っていると、やがてゆっくりと扉が開かれ……そして、新太を衝撃が襲った。

「お待たせしました。お隣さん……なんですか?」

出てきたのは、綺麗な女性だった。YUKIの母親のはずだが、年を全く感じさせない綺麗な肌をしている。
なにより、近くで見ると、乳房の圧迫感がすごい。
ロングスカートに合わせた露出の少ない清楚な格好をしているのに、一瞬で目が奪われてしまうほど、目の前の女性の胸は大きかった。
ショートカットが色気をそぎ落とすどころか、首元から香るフェロモンを余計際立たせるような気がして、新太はくらりとしてしまう。

初めてYUKIを生で見た時と同じような、酩酊感にも似た症状。
流石親子と思いつつも、奥歯をぐっと噛みしめて、新太は沸き起こる衝動を殺した。
この人は母親、母親、と言い聞かせながら、精いっぱい善良な青年成分を表に出して、頭を下げる。

「は、初めまして。今年大学一年生で、隣の家の二階を借りた、間地新太と言います。
間地は六畳間の『間』に、大地の『地』、新太は『新』しいに『太』と書きます」

「あら、ご丁寧にありがとう。
わたしは來嶋優兎って言います。來嶋は――そこの表札の字で。優兎は『優』しい『兎』」

「その、すごく可愛い名前なんですね」

「ふふ、この年になると可愛すぎて少し恥ずかしいけどね♪」

新太が褒めると、まんざらでもなさそうな様子で優兎は微笑む。
好感触に新太は内心ガッツポーズをしながら、とりあえずお土産を差し出す。

「隣の部屋は物置になっていて住人がいないし、反対の『お隣さん』は駐車場なので、挨拶する先がなくて少し寂しいなと思ってて……遅くなりましたが、挨拶しに来ました。
これ、つまらないものですが、お近づきのしるしに」

「ありがとう、頂戴します。
お隣さん、部屋を貸してるのは知ってたけど……片方物置になってたのね。
静かかもしれないけど、確かにご近所付き合いが無いのは心細そうね。
一人で上京してきたんでしょう?」

「はい。幸い大家さんが良くしてくれているので、困ったことはないですけど、ご近所と全く付き合いがないのもどうかと思って……田舎っぽい考えかもしれないですけど」

「ううん、そんなことないわ。
いざって時のために、ご近所付き合いはしておいた方がいいと思う。
だからこれからよろしくね、えぇと……新太くん、でいいかしら?」

「はい。好きに呼んでください。俺は……來嶋さん? って呼べばいいですか?」

「あー、うちは他に娘が一人いるから、それだとごっちゃになっちゃいそうね。優兎でいいわ」

「じゃあ、優兎さんで」

名前を呼ぶと、満足げに優兎は小さく頷く。

「今度娘も紹介するわね。その時は夕飯にでもお招きしたいのだけど、いいかしら?」

「は、はい。ぜひ」

早速チャンスが! と思わず緊張した声を返すと、優兎はくすりをおかしそうに笑う。
不思議に思っていると、優兎は申し訳なさそうに言った。

「ごめんなさい、なんだかすごく嬉しそうにしているから、不思議で、おかしくて。
もしかして、ウチの娘のこと、見たことあったりするのかしら?」

もちろんです――と、言いそうになるのを新太はぐっと飲み込んだ。
ここで勢いよくYUKIの大ファンですと宣言するのはたやすいが、それで変に警戒されてはまずい。
ゆっくり距離を詰めるのだ。
そのためにも落ち着いて言葉を返さなければと、新太はゆっくりと言葉を返した。

「何度か……見たことはあると思います。
家から出てきたのを窓から、見たことがあるので。その、すごくきれいな人でした」

「あら……ふふ♪ ありがとう、娘が褒められると嬉しいわ」

「あ、と、優兎さんにそっくりでした……優兎さんも、その、すごくお綺麗で。
それもすごく似ているなと」

「わたしまで褒めなくていいのよ? けど、ありがとう。
目元なんかは亡くなった主人に似ているんだけどね、わたしよりも少し、釣り目に近くて。
けど、それがまたクールな感じがしていいのよね」

「わ、わかります! その、涼やかなんだけど、優しさもあって、すごく魅力的な人に――み、見えました。数回見かけただけですけど」

危うく熱く語りそうになってしまって、慌てて気持ちを抑える新太。
だが、娘のことを褒める新太のことを優兎はずいぶん気に入ってくれた様子で、ニコニコとして、扉を大きく開けた。

「ねぇ、よかったら少しあがって行かない? 夕飯に呼ぶとき、急に家の中に入るんじゃ緊張するでしょうし。お茶でも飲んでいって」

「いいんですか?」

「もちろん! ささ、入って入って」

優兎に招かれ、新太は家にあがる。
他人にあがるのが新太は久しぶりだったが、來嶋家はあまり『他人の家』のようなにおいを感じない、不思議な感じだった。
軽く焚かれたアロマのにおいも混じっていて、緊張がほぐれる。
とはいえ、もちろん、他人の家には変わりない。
粗相のないようにと気を付けながら、新太はリビングに案内され、促されるまま椅子に座った。

「お茶とお菓子でも出すわね。
持ってきてくれたものは――流石に娘に黙って開けたら悪いか。
安物のお菓子だけど、ごめんなさいね」

「いえ、お気になさらず」

キッチンでお茶を入れる優兎のことを待っている間に、新太はリビングを軽く見渡した。
おそらくここでは、YUKIこと來嶋優喜も普段生活しているのだろうと思うと、自然と大きく息を吸い込んでしまう。
気持ち悪いことしているなぁと思いながらも、憧れのグラドルが生活している空間の空気をたっぷりと吸い込んで、新太はそれだけで満足感を味わっていた。

「お待たせ。緑茶だけど、よかった?」

「はい。ありがとうございます」

待っていると、優兎は目の前にお茶とチョコ菓子を出してくれる。
お腹は空いているわけではなかったが、少し緊張していたのだろう、喉は乾いていた。
新太がありがたく温めの緑茶を一口飲むと、対面に座った優兎は微笑ましそうにこちらを見ていた。

「おいしい?」

「はい。温めに入れてくれて、ありがとうございます」

「ふふ、熱いとすぐ飲めないものね。お話するのにそれだと困ると思って」

お話、という言葉に新太は少しだけひっかかりを覚えた。
別に雑談することを、わざわざお話、なんていう言い方しなくても良いような気がしたのだ。
そして、その勘は正しかったらしい。
優兎は姿勢を正すと、まっすぐに新太のことを見つめて話しかけてくる。

「実は、娘がいないうちに話しておきたいことがあってこうしてお茶に誘ったの。
だまし討ちのように感じたらごめんなさいね」

「……話したいことですか?」

「ふふ、そうかしこまらないで。そんなに大仰なことを頼もうってわけじゃないの。
ただ……そうね……娘の恋人になってくれないかと思って」

口に含んでいた茶を噴き出しそうになるのを、新太はぎりぎりのところで堪えた。
だが衝撃が大きすぎた。どうにかお茶を飲み込んだあと、新太はゲホゲホと大きくせき込んでしまう。
そんな新太を見て、優兎は慌てた様子で立ち上がり、近づいて、背中をさすってくれた。

「ごめんなさい! 大丈夫っ? 急な話で驚かせたわよね」

「けほっ、げほっ、い、いや、その、偶然気管に入っちゃっただけなので……けほっ」

「もう、驚いたなら驚いたって言っていいのよ? けど……優しいのね」

新太の背中をさすりながら、優兎は隣の椅子に座りなおす。
隣に座ると、横から優兎の乳房のボリュームを眺めることになり、その様子に新太は思わず唾を飲んだ。
もはや着ている服への暴力と言えるほどの圧迫感、ボリューム感であり、下手な動きをしたらシワになっている部分から引きちぎれてしまいそうだった。
距離感が狂いそうなそれに、うっかり触れたら理性をやられそうな気がして、新太は背中を撫でていた優兎の手をそっとよけると、少しだけ距離をとって、向き合う。

「それで、その、さっきの言葉の意味を聞いても……?
恋人ってそんな、当人の意思を無視してなるものでもないと思うんですけど……」

「そうね。どこから説明したらいいかしら……そうだ、まずは娘の仕事の説明が必要よね。
わたしの娘ね、実はグラビアモデルをやっているの。あとは雑誌のモデルとか」

知ってます、という言葉は飲み込んで、新太は小さく頷き返す。
すると、優兎は困った表情で短くため息を吐く。

「それはいいんだけどね……はぁ……困ったことに、あの子、優喜は、そのせいで恋愛とかにあまり興味が湧いていないみたいというか、食指が動いていない感じなの」

「それは仕事のせいなんですか? 単純にそういうことに興味があまりないとかではなく」

「ええ、確実に。グラビアの仕事とかで、ちょっと、汚い大人の世界を見ちゃったりしたせいなんでしょうね。男の人と付き合うのに慎重になっているように見えるのよ」

そういえば――と、新太はYUKIについての噂を思い出した。
なんでも、枕営業を持ってこられて、取引先の相手をぶん殴ってその仕事を断ったとか。
グラドルの仲間内でも頼られており、断りにくい仕事はYUKIと一緒ならという条件を付けて、YUKIの力(物理)で断るとか。
仕事が少ないのも、えり好みしているとかではなくそのせいだといううわさがある。

YUKIというグラドルは、要するに、そういう汚い仕事を嫌っている、高潔な……は言い過ぎにしても、『綺麗な』グラビアアイドルなのだろう。
それを想えば、確かに仕事のせいで恋愛に興味を持ちにくい精神状態になっているというのは考えられる気がして、新太は優兎の言葉に同調するように頷いた。
しかし、だ。

「それと、俺に恋人になってほしいというのはなんの関係が」

「だって、新太くん、いい人みだいだもの。あなたなら、優喜と付き合ってもわたしも安心できると思って」

「い、いやいやいや……! 今日あったばかりの人間を信用するのはまずいですよ!」

「そう? でも、ずっと挨拶しようかどうか迷っててくれる人なんだもの。
悪い人じゃない気がするわ」

優兎の言葉に、驚いて新太は目を見開く。
なぜ自分が挨拶に来るのにしばらく迷っていたのが分かったのか。
その答えは、楽し気な優兎からすぐに明かされた。

「持ってきてくれたおみやげ、ずっと同じ場所に置きっぱなしだったんじゃない?
埃、積もってたわ。買ってからしばらく置いたままになっていたんでしょう?
挨拶に行った方がいいか、迷って」

「あ……っ」

言われて気づく。そりゃ、置きっぱなしにしていたらほこりも積もると。

「すみません! 埃かぶったものを渡してしまって……!」

「いいのいいの、気にしないで。別に凄く汚れているってわけでもないんだから」

それより、と優兎は新太が一度離した距離をもう一度詰めて、再び言う。

「あなたは優しい人だと思う。だから、娘の、優喜の恋人になってほしいの。
あなたならきっと、素敵な恋人になってくれると思うから」

まっすぐな瞳が、新太のことを見据える。
それに、新太は耐え切れなかった。
毎日のように隣から風呂を覗き込んで、オナニーしている人間の何が素敵なのか。
グラドルYUKIが好きになりすぎて、彼女でオナニーするだけに飽き足らず、ストーカーをして、今隣の家に住んでいるような人間の、何が信用に値するというのか。

「お、俺は……」

胸が詰まる。言葉が詰まる。
新太は詰まったものを吐き出していいものかと迷った末――覚悟を決めた。

「俺は、そんな、優兎さんに褒めてもらえるような人間じゃないんです……!」

新太の言葉を着ても、優兎の表情は変わらなかった。
優しいまなざしで新太のことを見据えたまま、小首をかしげる。

「どうして?」

「お、俺……実は、最初から優喜さんが、YUKIっていうグラドルなの知ってて……めちゃくちゃファンで……! 隣に越してきたのも、偶然じゃなくて、ここがYUKIさんの家だって知って、しかも部屋から風呂場が見えて、だから、覗き見して、オナニーとかもしてて、だから……だから……っ」

そこまで言って、新太はそれ以上その場にいることが耐えられなくなった。
ここまで白状して、それでも素敵だとか、褒めてもらえるなんて到底思っていない。
YUKIと付き合うとか、そんな未来は今、消え去ったのだ。
そう思うと急激に沸騰していた感情が冷めて来て、意気消沈し、ゆらりと新太は椅子から立ち上がる。

「そういうことなので……すみませんでした……
もう、顔、合わせないようにするので……覗きもしないので……どうか、許してください……」

「うん、覗きはダメね。ストーカーも。けど、待って?」

優兎は立ち上がった新太の服の裾を軽く引いて、その場に留める。
それから思いの外強い力で新太のことを引き寄せて、無理やり元の場所に座らせた。
新太は優兎の方を向かないまま、目を合わせる勇気も持てないまま、か細く言葉を返す。

「なんで……ですか……?」

「なんとなく、優喜のことを知っているんだろうなとは思っていたから。
隣の家、ずーっと入居者が居なかったのに、急にあなたが住み始めて、しかも挨拶に来て。
これはなにかあるなって、新太くんが家を訪れた瞬間からずっと思ってたのよ」

「けど……ここまでとは……思ってなかったでしょう?」

「うーん、むしろ予想を下回ってたくらね。
考えてたよりも、あなたはずっといい子だった。
一歩間違えば人に迷惑かけるくらい一途な、とってもいい子」

その言葉に、思わず新太は顔を上げた。
それを見た優兎は、にこりとほほ笑んで。
もう一度、新たに頼む。新太が求めている言葉を、くれる。

「お願い、優喜と会って? それで、よかったら、恋人になって?
あなたくらい一途にあの子を思ってくれるならきっと、あの子も、心を許してくれるわ」

「いいん……ですか。俺なんかで」

「ええ。あなただからいいの。
大丈夫、素の新太くんをさらけ出して、ずっとファンです、優喜のことが大好き! って
アピールしていけば、きっとあの子もオチてくれるわ!
微力ながら、わたしも新太くんが上手に優喜と付き合えるように手伝ってあげるから」

「オチてって」

くすりと、つい、笑いが漏れた。
あんまりおもしろかったせいだろう、ついでに目のフチに涙まで溢れてきて、新太はそれを誤魔化すように大きく笑った。

「はははは! もー、グラビアアイドルがオチたとか、ダメでしょう! なんかいろいろ!」

「いいのよ、人間なんだから。恋なり愛なり、一生に一回は味わっておかないと」

「はは……じゃあ、優兎さんがそこまで言ってくれるなら。
俺の方からもぜひ、お願いします。
俺、グラビアアイドルの『YUKI』のこと、大好きなので。
素の『優喜さん』も、めちゃくちゃ好きになれる自信ありますから」

深々と頭を下げる。
優兎が『よろしくね』と弾んだ声で頭の上から言うのを聞きながら、新太はつい、笑みを浮かべてしまっていたのだった。

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