4-1
「お、お邪魔します」
「どうぞ♪ 汚いお部屋ですが」
新太は優喜に呼び出されて、優喜の部屋に上がらせてもらっていた。
リビングで何度も遊んだことはあるが、部屋に上がらせてもらうのは初めてだ。
部屋の中はよく片付いていて、目を引くのはクローゼットと、化粧用の道具が置いてある机か。
それから、部屋の端には筋トレ用の道具がいくつかまとめておいてある。
自分磨きに余念がない優喜に、新太は興奮しながらも尊敬の念が高まるのを感じていた。
「これが、優喜さんの部屋なんですね……すごい……まさか優喜さんの部屋に入る日が来るなんて」
「新太くんはもう彼氏なんだから、これからはいつでもきていいよ?
それに……二人でこの部屋使うことも、これから増えると思うし」
少し照れた様子で言う、優喜。その言葉の意味がわからない新太ではない。
先日交わした、初体験の約束。
それが一度だけで終わることはないだろうと暗に示されて、思わずごくりと息をのむ。
「そ、そうですね……俺、もう、優喜さんと恋人なんですもんね……!」
「うん、そう。だから……ほら、こっちどうぞ。横、座ってよ」
先にベッドに座った雪が、ぽんぽん、と自分の隣を叩く。
それに、新太はゆっくりと近づいて、腰を下ろした。
ベッドのスプリングがきしむと同時、ふわりと、ベッドに染みついていた濃い優喜のにおいが漂って、思わずごくりと生唾を飲む。
部屋に入った時点で、少しむずむずしていた股間は、すでに八割方勃起してしまっていた。
今、優喜に指先で軽くちょんとつつかれる程度の刺激でも、新太のペニスはズボンの中で猛々しく勃起してしまうだろう。
落ち着け、と言い聞かせるものの、心臓の鼓動が落ち着く様子はない。
優喜はどうなんだろう。彼女も、緊張しているのだろうか。
そんな疑問に後押しされて、横目で優喜の方を見る……すると、優喜もまた、いつもの溌剌とした様子からは考えられないほどしおらしく、膝の腕でぎゅっと手を握っていた。
それを見て、少しだけ、新太も落ち着きを取り戻す。
自分がこんなに緊張して、興奮していたら、優喜もなにも言えないだろう。
もしこれから行為に及ぶのだとしても、新太の方から無理やり押し倒して……なんていうのはよくない。絶対に。
してもいいか聞いて、キスとかして、それから、それからと、もしもの場合の段取りをちゃんと頭の中で組み立て、少しだけ気持ちを落ち着け……それから、新太は押し黙っている優喜に問いかけた。
「あの……今日は、なんで急に俺のこと、部屋に?」
「あ、う、うん。だよね。気になるよね。
実はちょっと……相談したいことがあって。
この間、外で……続きする? って言ったでしょ。そのことで……」
「俺はいつでも準備できてます!」
興奮抑えきれず元気よく答えると、少し驚いた様子だった優喜はくすりと笑う。
「っぷ、あははっ。元気だね、新太くん♪
でも、そっか、いつでもあたしとエッチなことする準備、出来ちゃってるんだ……♪
なんか嬉しい」
緊張がほぐれた様子の優喜はひとしきり笑うと、改めて言う。
「あたしも、さ、続きしたいんだ……でも、初めてはその……避妊とかしないで、したくて……わかってくれる? この気持ち。
初めてこんなに好きになった人できたから、最初の一回、処女上げる時はせめて、ゴムとかつけないでしたいの」
「わかります。俺も出来れば優喜さんとは生でしたいですから」
深々と頷く新太。もちろん避妊の重要性は理解しているが、それでも優喜と、なんの隔たり無くつながりたいという気持ちは強い。
優喜の初めてを奪うとなれば、なおさらだ。
「わかってくれるんだ?
よかったぁ……これでゴムあってもいいからすぐしたいって言ったら困っちゃうとこだった」
ほっと溜息を吐く優喜。
新太も、ここまでの話の流れで、優喜がどういう提案をしたくて呼んだのかわかってきた。
「つまり、初めてのエッチを生でするための準備がしたいから、ちょっと間をおきたいって話をしたかったんですね」
「うん、そういうこと。
この間お薬とかももらってきて、もう使ってるから……二週間くらいかな。
待たせることになるんだけど……いい?
流石にまだ、子供出来ちゃったら困るだろうし……ママは大歓迎! って言いそうだけど」
「あはは……優兎さんは言いそう」
「元々キミを連れてきたのもママだしね。
でもだからこそ、その辺のことはあたしがしっかりしないと。
もちろん……大学卒業したら、すぐにでも、キミとの赤ちゃんは欲しいけど……♪」
「優喜さん……」
嬉しい言葉に、胸がいっぱいになる。
自然と、優喜と新太の距離が、近づいていく。
新太が近づいている、というだけでなく、優喜もまた、新たに近づいてきてくれていた。
肩が触れて、互いに腰に手を回して、優喜の大きな乳房が服越しに潰れるほど、密着して。
吐息と視線を間近で交わし、熱のこもった視線を絡めあう。
「優喜さん……キス、してもいいですか……?」
「ん……いいよ。新太くん……して」
「はい……! ん……っ」
「んむ……ん、っちゅ……っちゅ……♪ 新太くぅん……んむ……っちゅ……っ♪」
腰を抱き寄せた手に軽く力を込めて、新太は優喜と優しく唇を重ねた。
優喜の唇は、初めて重ねた時と変わらず、弾力でぷるぷるとしていて心地いい。
触れ合うたびに頭の芯まで痺れるような幸福感は、絶頂の快感にも似ていて、新太の肉棒はズボンの中ではちきれる寸前まで腫れあがる。
思わず腰を浮かせてしまっていると、優喜の手が、そっと新太の太ももに触れた。
ペニスに触れるのはためらっている様子で――しかし、興味津々と言った様子で太ももを撫でられて、驚きと興奮で、思わず新太は唇を離す。
「っは、っふ……!? ゆ、優喜さん……っ! 今触られると、まずいかも……!」
「まだ触ってないって……♪
すごい大きくなってるから、気になっちゃっただけ。ていうか、なにがまずいの?」
「その、今触られたら多分……ズボンの中で出しちゃうんで……」
照れながらも、新太は正直に言う。すると、優喜は嬉しそうな笑みをますます深めた。
「キスだけでイっちゃいそうになるんだ……♪ へぇ~……♪
あたしとのキス、そんなに興奮しちゃうんだ?」
「それはもう!」
「じゃ、さ、もっとすごいの……しちゃおうよ。もっと深いヤツ」
「ふ、深いの……」
それはもちろん、ディープキスのことだろう。
今から優喜とディープキスすると考えるだけで、新太のペニスはますますズボンの中で暴れまわり、パンツに擦れる亀頭からは先走りが溢れて来た。
本当にこのままディープキスなんてしたら、ズボンの中で射精してしまいそうだ。
「で、でも俺、このままじゃ……出ちゃうかも……!」
「なら……脱いじゃいなよ♪ ズボン、脱いで、それでキスしよ……♪
それなら汚れないし、安全じゃん?」
「脱いで!? 脱いでキス!? で、でも、エッチするわけじゃないのに……!?」
「いいって、あたしも、初体験する前にちょっとは慣れておきたいし……
新太くんだって、あたしとエッチする時に興奮しすぎて倒れちゃわないように多少は慣れておいた方がよくない? あたしとエッチなことするの」
「それは……たしかに」
優兎によるセックスレッスンを受けて来た新太だが、実際優喜とセックスするとなったら、間近で見る裸に興奮しすぎてぶっ倒れてもおかしくないと思う。
「お互いに裸、なれておけば、本番の時興奮しすぎなくてよさそうでしょ?」
「……、優喜さんも裸になるんですかっ?」
「ホントはシャワー浴びてからがいいかと思ったんだけど、エッチしないならいいかなって……あ、やっぱシャワーとか浴びてからがいい?」
「全然……! 優喜さんの裸が見られるならどんな状態でも!」
「そ? なら、お互い、脱いで続きする?」
「はい!」
「……でも、脱ぐの見られるのは恥ずかしいから、お互い背中向けて脱ぐからね?」
「了解です!」
「あは、返事の元気よすぎ……♪」
楽しそうに、嬉しそうに言う優喜に促され、お互いベッドから立ち上がる。
そして背中を向けた状態で、服を脱ぎ始めた。
新太は興奮から、一瞬で服を脱ぎ終えて……そして、優喜の服を脱ぐ音に、耳を澄ませていた。
やや露出の多い部屋着。そう脱ぐ枚数は多くないが、優喜はその緊張で上手く動かない手元を必死に動かして、一枚一枚丁寧に脱いでいるようだ。
しゅる、しゅに、と、微かな音が響くたび、それに合わせて新太のペニスも興奮に震える。
やがて、音が止まり――新太の背中に、控えめな声が、かけられた。
「いいよ……新太くん」
「は、はい! 失礼します……!」
ぎぎぎ、と、新太はぎこちない動きでゆっくりと振り返った。
そして、目の前の光景に、言葉を失う。
「どう……? が、がっかりしてない?
いや、あたしもそれなりに体型は維持してるし、鍛えてもいるし、がっかりされるような体ではないと思ってるけど……でも、やっぱり、好きな人から見てどうかって気になるしさ……!」
身じろぎしながら、慌てた様子で言う優喜の体は、控えめに言って最高だった。
遠く、風呂を覗いていた時にはわからなかった全体像。
優兎よりも全体的に引き締まっていて、それでいて、乳房はしっかりと大きく、そして優兎よりもハリがあるのが見た目でわかる。
つんと生意気に上を向いた乳首は濃い桜色で、白い肌の中で鮮やかに映えている。
すらりと伸びた手足にもシミひとつなく……何度も写真でみたグラビア以上の、本物の、優喜の肢体。
それを前に、新太は、もう我慢ができなくて――
「ゆ、優喜さん……俺……っ」
「え……ど、どうしたの? なんか変? あたし……」
「ち、ちがくてっ、最高過ぎて……出るっ!?」
「えっ……!? ひゃ、ぁ、うそ、飛んで……!?」
新太は射精した。
自分でも情けないと思いながらも、興奮は抑えきれず。
初めてはっきりと見た優喜の全裸――そのエロさに、それが自分の彼女であるという優越感に、悦びに、射精を止められなかった。
優喜の体に向かって、勢いよく放たれていく精液。
一瞬驚いていた優喜だったが、その後の行動は新太にも予想外だった。
「あ、落ちちゃう……!」
「え……っ!? ゆ、優喜さ……っ!?」
優喜は射精している新太に近づいてくると、正面から抱き着いて、その下腹部にペニスを擦り付ける。
なんで、と思いながらも、新太はペニスの裏筋が擦れる柔らかな下腹部の感触に、ますます精液を吐き出す勢いを強める。
「床にこぼれると、大変だから……それに、これ、あたしで興奮して、出してくれてるんでしょ? なら、あたしにかけてもらったほうが……嬉しいから」
優喜さん、と、射精の快感の中、新太は声はなく、唇の動きだけで呼びかける。
すると、優喜も頬を紅潮させて、自分の下腹部に押し当てられ、震えるペニスにそっと手を這わせた。
ゆっくりと、優しく、その細く滑らかな指先が、ペニスに絡みつく。
「……このまま、キスしよっか?
お……おちんちんも、あたし……撫でててあげるから。
キスしてる間も、出したくなったらいつでも出していいよ」
こくりと、新太が頷き返す。
すると今度は優喜の方から、新太と唇を重ねてくれた。
「んむ……んちゅ……っちゅ……♪ 舌いれるね……? んりゅ……れろ……れちゅ……っ」
にゅるりと、優喜の舌が新太の唇の間からゆっくりと侵入してくる。
瞬間、新太はまた果てた。密着するもちもちの肌、つぶれるおっぱい、はっきりと勃起を感じる乳首。
なにより、口いっぱいに広がる、優喜の唾液の味に。
新太の射精は止まらない。このくらいのこと、優兎と何度もしているはずなのに、全身を包む歓喜が、興奮が、止まらない。
「んりゅぞ……れちゅ……っちゅろ、っちゅ、りゅちゅ……んむ……ちゅろ、れろぉ……♪
ねぇ……キミも動かしてよ……舌」
「ひゃ、い……! んりゅ……っ」
「んむ……っ♪ ふ、んむ、りゅぞ……れりゅ、ちゅろ……っは、ぁ……おいひいよ……キミの……あじぃ……っ! んりゅ、っちゅぱ、れちゅ……っ」
優喜の舌遣いは、どんどん積極的になっていく。
否――舌遣いだけではない。舌の動きに合わせて、優喜は、ペニスに這わせていた手にも動きを加えてきていた。
精液でどろどろになった手で、無意識にか、震えるペニスを根元から先端まで軽い力で何度も扱きあげる。
単純な動きだ。亀頭やカリ、鈴口を的確に刺激するような動きはない。
だけど、それが最高に気持ちよくて、新太は早くも三度目の絶頂を迎え、全身を震わせる。
縋り付くように優喜の体を抱きしめると、優喜は暴れながら精を吐き出すペニスをぎゅっと握り、胸板に強く乳房を擦り付けて、舌を絡めとり愛撫してくれる。
溶け合うような、熱い感触が、脳を支配する。
新太もまた、呼吸も忘れて優喜の口内を舐めまわし、唾液を集め、飲み下し、この行為を心から味わっていたが――
流石に、興奮しすぎたのだろう。
不意に、ふらりと、足元がフラついて唇を離してしまう。
「う……」
「んむ……んぁ……だ、大丈夫、新太くん……!?」
「す、すいません、いいところだったのに……酸欠っぽくて」
「お互い夢中でキスしちゃったもんね。
いいよ、ちょっと座ろ……って、先におちんちん綺麗にしないとまずいか」
優喜は、自分の手に、下腹部に、そして新太のペニスにべったりと付着している濃厚な体液を見て、嬉しそうに言う。
「いっぱい出たね……♪ なんか、嬉しい、こんなに出してくれるなんて。
それとも、射精って普通にこのくらい出ちゃうものなの?」
「いや、自分でもこんなに出たのは初めてだと思います……優喜さんのお風呂覗きながらのオナニーでも、こんな出したことないし……」
「そうなんだ――うん?」
「はい?」
手の中でにちゃにちゃと精液を弄んでいた優喜が、驚いた顔で固まる。
それに、新太はまだ射精の快感でぼんやりとしている頭で、ゆっくりと自分の発言を振り返り。
「っ、あ、ぁああ……っ!?」
その迂闊さに、思わず声を漏らし、突如訪れてしまったピンチに、ペニスもがっくりと首を垂らした。
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