4-3
來嶋家から隣のアパート自室に戻った新太は、部屋の鍵もかけずに早速、覗きのために窓辺に近づいた。
それとほぼ同時、優喜からメッセージが届く。
『通話、つなげるね?
そっちの声まで聞こえちゃうと、恥ずかしくて集中できないかもしれないから、そっちは音声切っておいて』
了解、と返して、通話を繋げておく。新太の方から声が聞こえないように設定もOK。
試しに声をかけてみたが、応答はない。
大丈夫そうだ。
準備を終え、新太は窓際でズボンとパンツを脱ぐ。
今か今かと待っていると、スマホの先から、ノイズのような音が聞こえた。
おそらく、優喜がスマホを持って脱衣所に移動したのだ。
来た! と期待に胸と股間を膨らませる新太。
しかし、今更ながら、ティッシュの用意を忘れていたことに気づいて、慌ててベッド際に置いてあるティッシュを取ろうと移動する――のと、ほぼ同時。
「新太くん? 鍵開けっ放しは危ないわ……? って、あら?」
「ゆ、優兎さん!」
仕事上がりなのだろう、以前も見たマッサージ師らしい仕事着の優兎が、扉を開けて部屋に入ってきた。
セックスのトレーニング――という名目はもはやないも同然だが、優兎は毎日のように新太の部屋にやってきてセックスしている。時には夜中でさえ。
新太も優兎にはすでに自分の、優喜だけでなく優兎のことも欲しいという気持ちを伝えており、優兎はそれに答えを出すことこそしていないが、毎日のようにセックスに付き合ってくれているのが答えと見ていいと考えていた。
そんな関係、とはいえ。
流石に新太が半裸、しかも勃起状態で待ち構えているとは思っていなかったのだろう。
優兎は流石に驚いたような、照れたような表情で首を傾げてから、はっとした様子で俊敏に部屋に入り、後ろ手に扉の鍵を閉める。
「どうしたの、新太くん、そんな格好で……」
「えっと、実は、優喜さんに覗きのことがバレちゃって……でも、そしたら優喜さんが、風呂場でオナニーするから覗いて俺にもオナニーしてくれという話になり……」
「あらまぁ……うーん、やっぱりわたしの娘ね、優喜ったら」
絶妙にこじらせた娘の提案を聞いて、優兎は『納得』とばかりに深く頷いた。
その間にも優喜の準備は進んでおり、スマホからはおそらく服を脱いでいる最中の衣擦れの音が響いている。
それを聞いて、どういう状況でお互いオナニーするのかを把握したのだろう。
優兎は新太の勃起したペニスに熱い視線を注がせながら、外から見えないように、そっと窓際に近づく。
「そのスマホ……あっちから音を拾っているだけなのよね?」
「そうです。緊張するから、俺の方からは声を入れないでほしいって」
「ふふ、そう。可愛いわね、優喜ったら♪
でも……それは……わたしにとっても都合がよすぎちゃうわね……♪」
ぺろりと、優兎はあふれ出すメスの情動を抑えきれない様子で舌なめずりをして。
ズボンと下着を脱ぎ捨てたかと思うと、その大きなお尻を突き出すような格好で、窓から見えないように体を折って、新太の前に自身を差し出した。
突然の好意に戸惑う新太をなだめるように、導くように、優兎は優しくかたりかける。
「手でするんじゃ、寂しいでしょう?
優喜のことを想いながらのオナニー……もっとリアルな『穴』を使った方が、気持ちが入るんじゃないかしら……♪」
穴。わざとらしくも、卑猥な言い方に、新太はごくりと息を飲む。
そして、優喜がシャワーを浴びている音を聞きながら、そっと買いだめてあるコンドームへと手を伸ばし、テキパキと装着する。
装着しながら、念のため、優兎に確認をとった。
「……いいんですか? 優兎さんは。優喜さんを見ながらオナニーするのに……そんな、道具扱いされるの」
「嫌だと思う?」
ズルイ返しだ、と思いながら、新太は苦笑した。
今まで体を重ねた優兎が、嫌だと思うはずがないと新太もわかっている。
道具のように、乱暴に、膣内をペニスを扱くだけの穴として使われることを、優兎も楽しみたいのだろうと、なんとなくわかっているのだから。
「なら、遠慮なく」
「ん、っぁ……っ♪ お尻ぃ……ぎゅってぇ……っはぁ……っ」
パンツの中で蒸れていた優兎の秘所は、軽く広げてやるだけで濃厚な愛液を滴らせている。
愛撫の必要はなさそうだが、優喜がオナニーを始めるまでの間、新太は手のひらで尻肉のもっちりとした感触を楽しむことにした。
視線はもちろん、窓の外、優喜の方へ。
シャワーから響く水音が途切れると、優喜はちょうど風呂場の窓を開け、新太に胸元から下腹部あたりが見える位置に立った。
一瞬、ちらりと視線が新太を捕らえるが、すぐに恥ずかしそうに顔を逸らす。
そんな可愛らしい仕草に反応して跳ねたペニスが、ぺちんと優兎の尻を叩いた。
「ふぁ……っ♪ ぁ、すごい、熱いのがお尻叩いて……っはあ……っ♪」
我慢できないのだろう、切なげにその大きな尻を揺らし、勃起したペニスに擦り寄らせる優兎。
いつもならばさらに愛撫を重ねるか、すぐにでも挿入するところだが、今の優兎はただの肉穴である。
その扱いを望んでいるのだからと新太は自分に言い聞かせ、目の前の暖かな尻肉にペニスを擦り付け、勃起を維持するだけに『使う』。
その間に、優喜は少し腰を落とし、股を開いた……言ってしまえば、普段は絶対にしないであろう品のない格好で、自身の胸と股間に手を這わせる。
そして、スマホ越しに、震える声で新太に言った。
『じゃあ……始めるから。見ながら、あたしのこと、いっぱい考えながら……キミも、気持ちよくなってね……♪』
はい、と新太が頷くと同時、視線の先で優喜の手が動き始める。
弾力のあるIカップ、その桜色の先端をかりかりとひっかくように刺激しながら、股間は手のひらで軽く覆い揉むようにして刺激していく。
『っふ、ぅ……っふぁ……っふ、っぅ、んんぅ……っ』
緊張もあるのだろう、控えめな喘ぎ声がスマホから響く。
しかし控えめとはいえ、新太の大好きな人の喘ぎだ。
ペニスが強烈に疼き、亀頭がパンパンに張りつめて疼く。
いますぐにでもこの声でシコりたくてたまらないが、どうにかその衝動を沈めた。
新太はペニスの根元に手を添えて、ぎゅっと強く握り込み射精感を抑えながら、優兎の秘所の入り口にペニスの先端を擦り付ける。
まだ解放してはいけない、ペニスの苛立ちを抑えるように乱暴に擦り付けられる感触に、しかし優兎は甘い声を漏らした。
「っは、っひぅ、ぁぁうんぅ……っ♪ んぁっ、あ、あ、そこ、そこぉ……っ♪
クリに、そんな、おちんちんのさきっぽではじくの……っぅ、んっふぁあ……っ♪
感じ、ちゃう……んんぅ……っ」
娘よりも大きく、蕩けた母の喘ぎ。
男を誘惑する声音に、新太の意識がそちらに引き寄せられそうになる。
だが、それよりも早く、甲高い声がスマホから響いた。
『っは、っひっぅんぅ……っ♪ ぁ、っふぁあ……♪ っは、あ、あはぁ……♪
クリ、触っちゃった……っ♪ んんぅ……いつもなら、もっと、時間かけてるんだけど……っ』
視線の先では、ガニ股のまま、優喜が指先を小刻みに動かして、クリを刺激していた。
遠目にはわからないが、すでにその秘所はぐっしょりと濡れているのだろう。指先の動きは思いの外激しく、そして、声はどんどん甘く、余裕のないものへと変わっていく。
『新太、くんのこと、考えてたら……キスのこと、思い出してたらぁ……っ♪
すぐ、こんな、ぐちょぐちょに……ん、っひっぅう……っ♪
ぁ、やだ、これ、やばい、新太くん、新太くぅん……っ』
「優喜さん……っ!」
自分の名前を呼んでくれる優喜に、思わず新太も名前を呼ぶ。
果たして、それに応えたわけではないだろうが。
甘い喘ぎの中、優喜は、誘うように、囁くように言った。
『指……いれちゃうね? キミも、もっと、気持ちよくなるように、おちんちん扱いてね……♪
今からあたし、すっごい、エッチな声出しちゃうと思うけど……そんなあたしも、好きでいてね……?』
もちろん、と新太は頷いて、優兎の秘所に亀頭の先をあてがう。
「んぁ……っ♪ っは、ぁあ……っ♪
入れるのね、ようやく使ってくれるのね、新太くん……っ♪」
ゴム越しでもわかる、ペニスを欲しがり吸い付く肉ヒダ。
それを、優喜の膣内と思いながら、新太は腰を前に出し――同時。
『「んぃっぅううっ♪ っふぁ、ぁあ、きたぁあ……っ♪」』
スマホから響く優喜の声と、目の前の優兎の声が、完全に重なった。
新太の頭の中でミックスされる、蕩けた、そっくり似ている、けれども二人分の声。
脳みその芯をじんと震わせる、二人の甘い声が、新太の理性を破壊する。
――この『二人』じゃなきゃ、ダメだ。
そんな思いがよぎるのを感じながらも――新太は視線の先で優喜が膣内をかきまぜ、乳房を揉むのを見ながら。
打ち付ける優兎の尻肉の感触、ペニスに絡みつくひだの感触、突き上げる子宮口のやや硬い感触に背筋を震わせながら。
重なり続ける、二人の喘ぎに酔っていく。
『「ふぁ、ぁ、ん、ぁ、んんぅうう……っ♪
うぁ、すごい、こんな、なか、ぁ、っぅんぅ……ぐちゃぐちゃにぃ……っ♪
新太、くぅん……っ! 新太くんの、すごい、ぁ、っふぁあ……いいぃ……っ♪」』
同じ喘ぎだが、二人の声はわずかに色が違う。
優喜の声は甘く、愛情たっぷりに、だけど実際に体を重ねているわけではないから、どこか切なげに新太を求めて。
優兎の声はどろどろに、情欲に蕩けながら、自分を満たしてくれるオスを求め――それにふさわしい相手を知っているから、その相手にすべてを預けて。
優喜は思ったよりもはるかに昂る自分自身に戸惑いながら、優兎は、いつもより乱暴な新太の腰遣いに翻弄されて。
新太は、そんな二人の声が入り混じるこの状況に、抑えきれない興奮と満足感を覚えながら。
三人は、一気に、絶頂へと上っていく。
『「んふぁ、ぁ、っひぅ、っぅ、っくひっぅう……っ♪
イ、っちゃう、新太、くぅん……っ!
っは、っひぅぁ、あ、んぁ、あ、もう、だめ、ぇ、ぁあ、んんぅ、っくぅんぅ――っ♪」』
「俺も……俺も、出ます……っ! イケ、イけ、イって……っ!」
射精に向けて、乱暴に腰を突き上げると、それにあわせて、優喜もがくがくと腰を震わせながら深く指を挿入し、同時にクリを擦り上げる。
優兎も当然、子宮口を乱暴に亀頭で押し広げられる快感に身を震わせ――次の瞬間。
『「んひっぅうっつ、っぅ、い、っくぅんぅう――っ♪」』
優喜、優兎、新太は、まったく同じタイミングで絶頂を迎えた。
響く喘ぎを聞きながら、新太は優兎の膣内で、ゴム越しに精液を注ぐ。
視線の先では、ぐったりと床にへたり込み、放心している優喜の姿。
その痴態に、自然と、腰が動いてしまう。
『「っは、っぅ、んふぁあ……♪ すごいの、きちゃったぁ……っぅんぅ……っ♪」』
新太の腰の動きに合わせて、だらしない喘ぎを漏らす優兎。同じように、余韻を味わうように緩やかに股間を撫でる優喜も、甘い声を漏らす。
新太もまた、しばらく三人同時絶頂の興奮に浸っていたが、やがて、スマホ越しに優喜が話しかけてきた。
『今日は、ここまでね……♪
思ったよりも、興奮しちゃって、これ以上は……のぼせちゃうかもだから……
またね、新太くん……♪ 大好き……っちゅ♪』
視線を向けた先では、風呂場の窓を締めながら、新太の方に投げキッスをしてくれる優喜の姿。
今日は終わりかと思いながら、新太はゆっくりと優兎の膣内からペニスを引き抜く。
だが。
終わった感を出した新太のペニスを、すっかり火がついた様子の優兎の口が捉えた。
「もう、ダメよ、新太くん。
一回で終わりじゃないでしょう? あなたは……♪ んぁ~……はむ……♪
んりゅぞぉ~……れっちゅ、ちゅぞ、れろぉれろぉ……っ」
「う、ぉあ……優兎さん……っ!」
ゴムをつけたまま、優兎はゴムの中にたっぷりと溜まった精液を転がすように、新太のペニスを舐め上げる。
強烈な絶頂を経て若干賢者モードに入っていたペニスだが、優兎のいやらしく蠢く舌遣いに、あっという間に疼きが戻ってきた。
「んぅ、りゅじゅ……っはぁ……ゴムにたくさんたまっちゃってる……♪
これ、食べちゃうわね……? あむ……ん、っぐ……っ!」
犬歯をひっかけるように噛みつき、膨らんだゴムの先に穴をあける優兎。
そのまま、下品な水音を立て、唇をすぼめて、たっぷりと溜まってゴムを膨らませた精液を吸い出した。
「じゅずぅうう~……っ♪ んく、ごく……っ! じゅずずぅ~……っ♪
んふ、一回外してからの方がよかったかしら。流石に飲みにくいかも……♪ ちゅずぞぉ~……っ♪」
ごくごくと、喉を鳴らして、飲み干されていく精液。
その口が離れるころには先端に溜まっていたはずの精液はすっかりなくなり、そして、新太の陰茎は『次』を欲して震えていた。
隆々とそそり立つペニスに絡みついたゴムの残骸を優しくはがしながら、優兎は根元に指を絡ませ、仕事着の胸元のボタンをはだける。
ブラで形作られた深い谷間を見せつけながら、上目遣いに、いやらしく舌をくねらせて。
挑発的に、ペニスにほおずりをする。
「ねぇ……次は、わたしだけの番……よね?
新太くんも、覗きオナニー一回だけじゃ、ものたりないでしょう?」
ごくりと、新太は抑えきれない興奮とともに唾を飲む。
そうしたところで、冷静さは取り戻せるわけもないが。
「今日もい~っぱい、セックスの練習、しましょうね……♪」
――そして、今日も、優兎との蕩けるような交わりが行われる。
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