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「……空が黄色い……」

翌朝、ホテルを出た新太は空を見て思わずつぶやいた。
いや、実際に黄色く見えているわけではないのだが。
それでも一晩中やりまくった――なんなら三時間しか寝ていない――状態で見る空は、色味が少々違って見えた。
そんな新太の隣で、スポーツバッグを持った優喜も眠たげに口からあふれるあくびをおさえる。

「ふぁ……確かに、寝るのも忘れてしちゃうのはよくなかったかも……一緒に暮らし始めても、睡眠時間はちゃんととるように気をつけようね」

「それは是非……流石に睡眠時間なくなると、優喜さんの体力には負けちゃいそうですから……」

三時間睡眠ではあるが、新太と比べて優喜の方が元気なのは明らかだった。
むしろ、眠たそうではあるが、その肌艶はよく見える。
ただ、そんな優喜の肌艶の良さを見ているだけで新太もほんのり股間に熱がこもるのを感じているのだから、どっちもどっちかもしれないが。

「とりあえず帰――いや、その前にさっき話したこと、どうします?」

眠気で頭は回っていないものの、新太は最低限決めておくことがまだあったと思い出して問いかける。すると、優喜は迷わず、すぐに答えた。

「今夜でいいんじゃない? 早い方がいいと思うな」

「わかりました。じゃあ、今夜で」

「ふふ、ママ、喜んでくれるかな? あ、そーだ、主催あたしなんだし料理もあたしが作らないと。ひと眠りしたら買い物いこっと」

「荷物持ち手伝いますよ、呼んでくれれば」

「大丈夫、新太くんもあたしの料理で驚かせてあげる♪」

「優喜さんって、取材とかで料理のことに触れたことってないですけど、料理したことあるんです?」

「失礼な。あたしだって得意料理くらいあるんだから」

「あはは……すいません。ちなみに得意料理って?」

「カレー」

今晩の夕食大丈夫かな、と少し思ってしまったのは心の内にそっとしまった新太だった。
とはいえ、楽しみには違いない。
優喜の手料理も、優兎がどんな反応をしてくれるのかも。
そんな風に思っていると、隣を歩いていた優喜がそっと、新太の手を取る。
握り返して優喜を見ると、長い髪を揺らしながら、優喜は嬉しそうにほほ笑んでいた。

「楽しみ。今日の夜も。――これからも」

「うん。俺もです、優喜さん」

笑いあって、家路につく。
二人で――いや、三人で。
幸せな未来に進んでいこうと、思いながら。

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