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「ほれ、茶じゃ」

スッと目の前に湯呑に入った温かそうなお茶が差し出される。
私は七穂様に招かれて、迷い家の中へとお邪魔していた。
これは、貴重な体験だ。冥途の土産にふさわしいだろう。
お茶の良し悪しなんてわからないが、とても美味しそうだ。
……あ、茶柱が立っている。

「あ、お構いなく」
「構うぞ。お前様は興味深いからのう」

口元を袖で隠しているが、細くなった目から彼女が笑っていることが分かる。
その仕草もとても美しく見えるのだから、七穂様は凄い。
私はそんなことを考えながら、お茶をいただくのであった。
……あ、美味しい。

「それで、お前様よ。どうして返そうなんて思ったんじゃ?」

早速とばかりに聞いてくる七穂様。
さて、どこまで話していいものか。
迷い家の家主ということであれば、普通の人間と違うことは私でも理解できる。
だが、その普通ではない人にも、『自殺するからです☆』なんてはっきりと告げるのは、気が引ける。

「……私に必要がないからでしょうか」
「必要がない? うーむ……どの時代も金は必要じゃろう? もしや、大金持ちじゃったりするのか?」
「いえ、貧乏人です」

……どうやら、ごまかしで納得してくれるつもりはないらしい。
七穂様は話し方や仕草から馬鹿ではないことは分かっている。私が明言を避けていることにも気づいているだろう。
それでも、踏み込んできたのだ。

「なら、なおさらおかしい。返そうなんて思わんじゃろ」

ジッとこちらを品定めするように見据える七穂様。
やはり、その赤い瞳に見つめられると、身体が硬直してしまう。

「その、ですね……」
「うむ」

言い淀んでいる私に苛立たしくなった様子も見せず、じっと言葉を待つ七穂様。
……これは、言った方がいいか。
そもそも、隠すようなことでもない。自分から言うようなことでもないが。

「私、これから命を絶とうとしておりまして……」
「……ほほう?」

自殺はいけない、と言うようなこともなく、七穂様は赤い目をキラリと光らせた。

「差支えなければ、詳しく教えてほしいのう」

……もし、普通の人にそんなことを言われても、私は答えることはなかっただろう。
自殺をすることは話しても、今までの人生を初対面の人間に話すほど、私はお気楽ではない。
だが、なんというか……迷い家という非日常の世界に足を踏み入れたことや、七穂様が人とは違った不思議な雰囲気を持つことが、私の口を軽くさせた。

「そう、ですね……。正直、人生に疲れてしまいまして……」

そうして、私は洗いざらい全てのことを話し始めた。
生まれてすぐに両親が離婚し、引き取られた母に虐待されながら育ったこと。
私を引き取ったのはいいが、大変だったんだろうな。
だからこそ、その暴力が私に向いたわけで……。
片親で経済力もあまりない母だったので、決して裕福ではなかったこと。
衣服などもろくに洗えず汚かったので、小学校や中学校ではよくいじめられたものだ。
それでもがんばって母に恩返ししようと一生懸命勉強して良い大学に行くがそこで母が自殺してしまった。
遺書には私に対する罵詈雑言を書かれてあった。
あの時は流石に堪えた。
大学ではあからさまないじめはなくなったが友達はやっぱりできず、それでも初めて友人ができるが連帯保証人になったところ夜逃げされて借金を背負ってしまう。
ホイホイ連帯保証人なんてものになった私が悪い。
大学に通えなくなって借金取りにあっせんされたたこつぼのような場所での肉体労働を何年にもわたって何とかやり遂げることに成功した。
たこつぼからも解放され自由になったのだが、しかし履歴書にも書けない空白期間がある大学中退者だからなかなか職も決まらず自分で会社を立ち上げることにした。
一からコツコツ努力し、それなりに軌道に乗っていたのだが、リーマンショックのような株価の大暴落があって倒産寸前に追い詰められる。
私の会社を立ち直らせることは、もはや不可能だった。
そこでも何とか頑張って数少ない社員のために付き合いのある会社に頭を下げて彼らを引き取ってもらうことができたところで……私の心がぽっきりと折れた。
いや、それ以前にとっくに折れていたのだろう。
こうして、私は自殺をすることにしたのであった。

「長くて申し訳ありません」

軽く頭を下げてから、私は渇いたのどを潤すためにお茶を飲んだ。
少し冷えていたが……うん、やっぱり美味しい。
さて、七穂様はどういう反応を……とチラリと見ると……。

「……めっちゃ重くない?」
「へ?」

赤い瞳がキラキラと光るほど、涙を溜めていた。
……言葉遣い、そんな感じでしたっけ?

「というか、お前様運が悪すぎるというか……前世でどんな大悪人じゃったらこんな人生になるって感じじゃ……」

私の前世……確かに気になる。

「これ、こっち来い」

ひらひらと手を振る七穂様。
私は首を傾げつつ、彼女の側に近づき……ふわりと抱きしめられた。

「な、七穂様!?」
「よいよい。妾の胸でゆっくりするのじゃ。幸い、妾の胸は大きくて柔らかいからのう」

ぎょっとする私を、七穂様は優しく抱きしめた。
いや、確かに顔に押し付けられる胸は柔らかいけど!

「む? 着物が硬いか? よし、ほれ」

七穂様はうっすらと笑うと、着物の胸元を男らしく開きブルンと豊満な乳房が露わにした。
タプンとゴムまりのように跳ねる胸に、私の目は強く引きつけられる。
青白さすら感じる真っ白な雪のような肌に、桜色の乳首がのっている。
そして、何よりもその大きさ。正確な大きさは私には判断できないが、テレビに出ているグラビアアイドルよりも大きく形も整っていた。
これほど大きければ垂れていても不思議ではないのだが、ツンと上を向いていてとても美しい。
……というか、ブラとかしていないんですね。ノーブラなんですね。

「い、いえいえ! そこまでしてもらう必要は……!」
「よいよい。お前様、よく頑張ったのう。他の誰もお前様を褒めなくても、妾が褒めてやるぞ。労わってやるぞ。お前様は、成し遂げたのじゃ」

慌てて顔を退かそうとするが、七穂様は逃げる後頭部を優しく抑えると、再び乳房へと顔を埋めさせる。
顔を赤くして、慌てて逃げようとするが……私の中でそのような考えはどんどん小さくなっていった。
温かくて、甘い匂いで、肌触りが極上で……。
そして、こうして優しく胸に抱きしめられて頭を撫でてもらい……褒めてもらったことは、人生で今まで一度もなかった。
……これが、母というものだろうか?
私は性欲なんて微塵も沸くことはなく、ただただこの温かさに沈んで行くのであった。

「ふむ……そうじゃな……」

私を抱きしめ頭を撫でながら、七穂様は少し考える様子を見せる。
そして、考えがまとまったのか、私の頭を優しく離してじっと見つめてくる。
胸から解放されて一抹の寂しさを覚えつつも、至近距離で赤い目に見つめられ、私はごくりと喉を鳴らす。

「よし、お前様よ。自ら命を絶ちに来たと申しておったの」
「は、はい……」
「その気持ち、今も変わらんか?」
「…………はい」

七穂様に優しくしてもらっておいて何を言っているんだと思われるかもしれないが、私の自殺に対する決意は固い。
コツコツとそのために今まで積み上げてきたということもあるが……なにより、これ以上あの社会で生きていく自信がなかった。
だから、私は七穂様の好意をふいにしてでも、自殺しよう。
俯いている私を見て、七穂様は鷹揚に頷いて口を開く。

「うむ! ならば、妾と共にこの迷い家で暮らすとよい! そして、妾を母と思うがよおい!」

バッと両腕を広げて私を迎え入れるように満面の笑みを浮かべる七穂様。
豊満な乳房がまた揺れて惜しげもなく披露されるのだが、私はポカンとそれを見ることしかできなかった。

「……え?」

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