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さて、授乳されるなんてことは、明人も当然ながら初めてである。
もちろん、子供のころは経験していたのかもしれないが、少なくとも記憶にはない。
そのため、どうすればいいのかさっぱりわからない。
胸に顔を埋めて乳首に吸いつけばいいのだろうか?
しかし、正座している七穂の胸に口を近づけるとなると、何とも大変で滑稽な体勢になりそうである。
正座をしているから、やはりそこに頭を乗せて仰向けになるべきなのか?
色々と頭をめぐるが、どれが正解なのかわからない。
「ほれ。こっちじゃ、こっち」
そんな彼を、七穂はとても嬉しそうにちょいちょいと手招きする。
授乳することがそんなに嬉しいのか。そこに強烈な母性を見出し、明人は苦笑いしてしまう。
彼女の指示に従って近づき、そして仰向けで膝枕を堪能する。
着物越しなのだが、相変わらず頭の乗せ心地が良い。
柔らかくも適度な張りがあるので、思わず眠ってしまいそうになる。
「よいしょ」
しかし、眠らせないように七穂が軽く彼の後頭部に手を入れて持ち上げる。
そして、露出した豊満な乳房に顔を近づかせていく。
絶対赤の他人には見せられない光景だ。
明人の小さなプライドが粉々に破壊されてしまう。
見られたら自決するしかない。
「いっぱい飲んで大きくなるのじゃぞ」
「(いや、もう成長は止まっていると思いますが……)」
しかし、七穂が期待を込めてこちらをキラキラとした目で見降ろしてくるので、邪険にするわけにもいかない。
それに、こういった授乳が恥ずかしいとはいえ、母乳に興味がないというわけではないのだ。
「おぉ……」
それに、間近で見る七穂の乳房は、やはり素晴らしいものだった。
大きく張り出してプルプルと少し身じろぎするだけで揺れるそれは、神話に出てくるような果実に思えた。
青白い肌は汚れやシミ一つなく、肌触りはサラサラだ。
汗でしっとりとしている時もいいが、今のそれも捨てがたい。
桜色の乳首と乳輪が、彼の目の前に差し出される。
「わくわく」
「…………」
口で期待を表現している七穂の目は、キラキラと輝いている。
明人が羞恥を感じているのは事実である。
しかし、この期待を裏切ることは、彼にはできなかった。
ということで、口を開けて……。
「おふっ」
乳首をパクリと口に含んだのであった。
そして、控えめにちゅーちゅーと吸引してみる。
七穂の極上の胸に吸い付くことができるのは、嬉しいし興奮する。
それこそ、この迷い家に迷い込まなければ、話すらできないような存在であることは間違いない。
ただまあ……七穂に後頭部を支えられて授乳をされている体勢で激しく吸引することは、その嬉しさをもってしてもどうしてもできなかった。
「んふっ……」
七穂がくぐもった嬌声を上げると同時に、口の中にピュッと液体が飛び出してくる。
それは、間違いなく彼女が発した母乳だった。
また、その味もまた美味なるものであり、明人は乳首を吸いながら目を丸くする。
確か、血液と同じ成分だと知識の中にあったのだが、それは間違いだったと思わせられる。
初めて知る驚愕の事実に、彼は驚きっぱなしだった。
「くふふっ。良い子じゃ良い子じゃ。妾は子を作ったことはないが……なるほど、子がいるというのもいいかもしれんのう」
七穂はとても上機嫌に彼の頭を撫でる。
その表情は、母性で満ち溢れていた。
なんというか、こんなに甘やかされて美味しい母乳まで飲まされてしまえば、全てのことを七穂に任せて自堕落な毎日を送りたいと思ってしまう。
一応、性処理という役目ももらっているし、もういいのではないだろうか?
「(いやいや、ダメだろう!)」
性処理だって、正直明人にはメリットの方がはるかに大きいのだ。
そもそも、彼はこの迷い家に居候させてもらっている身である。
そんな者が家事や手伝いを一切せずに、快楽だけを貪る退廃的な生活を送っていたとしたら、どうだろうか。
この迷い家は一般社会の常識から逸脱しているから一概には言えないかもしれないが、少なくとも明人自身はそんな人間はまったくダメだと言わざるを得ない。
それが自分だとなると……絶対にダメである。
「くふふっ。もっと強く吸ってもよいぞ? 赤子にはできん吸い方をしてもよい。母が許す」
更なる刺激を求め、七穂は明人を急かす。
もどかしそうにしながら言ってくるその姿は、とても魅力的だった。
今の所、明人に任せられている唯一の仕事が性処理である。
であるならば、七穂の求めに応えないはずがなかった。
早速とばかりに、乳首に吸い付いている中で舌と口が動き出す。
「んっ、ふっ、ぁっ……悪い子じゃ♡」
乳輪をなぞるように舌で舐めまわす。
ぐるりと何度も回転させ、唾液をべっとりと付着させていく。
しばらく焦らした後、乳頭を舌の腹で転がすようにコロコロと動かす。
じんわりと母乳がにじみ出て、そのうまみを味わう。
ねっとりとしつつも優しい乳首への愛撫に、七穂は無防備な喉をさらしながら気持ちよさそうに小さく喘ぐ。
明人はチラリと確認して、油断していると判断すると……。
「んおおおおおおおっ!?」
ギリッと勃起した乳首を強めに歯で挟んだのであった。
ギリギリと乳房の形が変わるほど引っ張れば、口の中でプシャッと母乳が噴き出す。
明らかに乱暴で痛みを感じているはずなのだが、七穂はそれ以上に快楽を得てビクビクと身体を震わせていた。
ガジガジと、歯の痕が残ってしまうほど噛みしめる。
ただ吸うよりも多くの母乳が噴き出したこともあって、七穂はこちらの乱暴な愛撫の方が好きなのかもしれない。
「こ、こら。流石にそこまで激しくやれとは言っておらんぞ」
言葉では非難しているように聞こえるが、実際は明人の頭をより胸に押し付けている。
もっとやってほしいという催促だった。
七穂のような絶世の美女が、痛みを伴うような愛撫を自分に求めてくる。
暗い欲望が湧き上がってくるのを実感した。
「む? くふふっ。こっちのお前様も元気になっておるなあ」
「んむう!?」
七穂は目を細めて笑うと、明人の下腹部へと手を伸ばす。
そして、簡単に逸物を外気に露出させるのであった。
そこは何も弄られていないというのに、硬くいきり立っていた。
「ほれ。妾も出したし、お前様もミルクを出すのじゃ」
そう言いながら、ちゅこちゅこと男根を上下に擦られる。
片手は未だ明人の後頭部を支えており、胸へと顔を誘われている。
我慢汁によるせいで、七穂が男根を擦ることがとてもスムーズである。
竿を擦り、裏筋を細い指でなぞり、カリ首を指の輪で何度もひっかけられる。
亀頭をツルツルと指の腹でなぞられ……射精感が込み上げてくる。
そして……。
「おおっ。元気じゃ元気じゃ」
あっけなく射精してしまうのであった。
本来ならもう少し我慢できていたはずだったのだが、明人はその我慢が機能しなかった。
もしかしたら、七穂の母性にやられてしまったのかもしれない。
彼は少なくとも母から愛されて育てられたということはないので、母性というものに弱いのだろう。
授乳手コキなんていうとてつもなく恥ずかしくも母性溢れることをされて、一気に昂ぶってしまったのだ。
心と快楽を同時に満たされるこの感覚……一度落ちてしまえば二度と這い上がれない底なし沼のようなものではないか。
七穂の手にビチャビチャと溜まる精液。
それを口元に持って行き、彼女は美味しそうに飲み下していく。
「んっ、ふう……美味いのう」
ペロリと唇を舐める七穂。
艶やかな唇がプルンと揺れる。
そして、精液を飲んだせいか、青白い肌を赤く火照らせていた。
明人は乳房に吸い付いたまま、それを見上げる。
至近距離から見た彼女の火照った顔は非常に色っぽく、またもや股間が硬くなる。
それに、恥ずかしい恥ずかしいと思っていたのに、彼は乳首に吸い付いて母乳を啜り続けている。
その豊満な乳房の中が全て母乳なのかと思うほど、吸えば吸うほど口の中に溢れてくる。
「また大きくしたのか。仕方ないのう。母がまた抑えてやろう」
そう言って艶美に微笑む七穂。
乳房に吸い付きながら、明人はそんな彼女の顔を見上げて、顔が熱くなってしまう。
思わず目を背けて縁側から美しい景色を見ようとすると……。
「…………」
「…………」
大きな目でこちらをじっと見つめてくる小動物がいた。
縁側に前足を乗せ、ヒクヒクと鼻を動かしながら七穂の大きな胸に吸い付いている大人の男を見ているのは、ウサギだった。
いや、わからないだろう。動物なのだから、二人が何をしているかはわからないはずだ。
だが、その純真無垢な目で見つめられるのは、まるで純粋な子供に見られてしまったかのようで……。
「死のう」
「いきなりどうしたんじゃ!?」
明人の言葉にぎょっとする七穂であった。
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