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プロローグ:希望溢れる転校初日

「諸君、入学おめでとう。ようこそ、我が石屋
せきや
学園へ。この春、こうして諸君らが無事入学出来たことに深甚なる祝意を表したい。我が学園は二年前に政府によって設立された新しい学校ではあるが、積極的な少子化対策を念頭に……」

───体育館で行われる、学園の入学式。
壇上では綺麗な女子生徒、生徒会長がお祝いの言葉を述べている。
この春、僕は親の都合で他校から転校してきた、二年生だ。
他にも学校はあったのだけど、僕がここを選んだのは、政府が少子化対策のために建てた学校だったからだ。

政府は数年前から少子化対策として、学生結婚と妊娠を強力に推し進め始めた。
見事在学中に妊娠・結婚となれば、政府から多額の補助金を貰えるとあって、僕のいた学校でもクラスメイトが早速結婚や子作りに励んでいた。
僕───僕は、所謂モブ顔で、恋人どころか女の子と碌に話したこともなかった。
むしろクラスメイトに、お前クラスにいたっけと真顔で勘違いされるくらいの、そもそも認識すらされていないレベルだ。
僕はずっと、休み時間も休日も、席に座ってSNSを見て過ごす毎日だった。
ファッションも人気の食べ物にも興味を示さず、SNSを眺め、たまに話題になったアニメを見て、たまに話題になったウェブ漫画を読む、消費するだけの毎日だった。
だからこそ、チャンスだと思ったんだ。
転校前にもわざわざ校長先生が、この学校はいいよ君は行くべきだと言ってくれた。
学生同士の結婚を、政府が全面的にバックアップしてくれる。行きたいのなら喜んで紹介状を書こうとまで言ってくれた。
僕も女の子に興味がないわけじゃない。こんな僕でも、もしかしたら可愛い恋人が出来るかもしれない。
そんな淡い期待を胸に、新入生の心持ちで僕はここに立っている。

「さて諸君、堅苦しい挨拶はここまでにしよう。知っての通り我が学園は、学生同士の結婚と妊娠、そのための出会いを希望する者に門戸を開き、支援に重きを置いている。それは今日この厳粛であるべき入学式であっても例外ではない。……体育館の後ろを見たまえ、君達のためにちょっとした物を用意した。好きに喰らい、語らい、騒いでくれたまえ。もちろん、気になる異性と、積極的にね」

微かに笑って生徒会長が言うと、そこかしこで歓声が上がった。
勝手を知る二年生と三年生が、一年生に駆け寄り、その手を引いて振り向かせる。
体育館の後ろにはいつの間にかいくつかの大きなテーブルが設置され、白いテーブルクロスが敷かれ、その上にはジュースやお菓子が山のように並べられている。
弾かれたように、みんなはテーブルに駆け寄った。
急に体育館内に、流行りのポップが流れる。
テーブルを囲んで、新入生、二年生、三年生が入り混じって楽しそうに会話を楽しみ、連絡先の交換をしている。
これはまるで、何かの動画で見た合コンのような光景だった。
こんなところからも、この学園が積極的に少子化対策に取り組んでいるのが見て取れる。
まさか入学式のような厳粛と思われている行事でさえ、交流の場としてしまうなんて。
これがこの学園の流儀なのだろう。

「ぼ、僕も……!」

意気込んではみたものの、足が動かない。
その輪の中に踏み出そうとしても、一歩すら前に出せない。
せっかく僕のことを誰一人として知らない学校に来たのに、薄い殻の一枚ですら突き破ることが出来ないでいる。
情けない。涙が出そうだ。
ぎゅっと拳を握り、ただそれを見つめる僕。

「少しいいかな」

───と、そんな僕は、後ろから声をかけられた。
振り向けばそこには、まさに今ほど壇上で祝辞を述べていた生徒会長の姿があった。

「転校をしてきた……、ええっと」
「う、歌垣蓮
うたがきれん
です!」
「ああ、そうそう。歌垣くんだったね。……生徒会長の、和久鈴乃
わくすずの
だ。よろしく頼むよ」

綺麗な人だとは思ったけれど、間近で見るとさらにそう思える。
凜とした口調ながら柔らかな物腰、さらりと流れる艶やかな黒髪はウルフカットに、制服の上からでもわかる魅力的な身体。
甘くいいにおいが、僕の鼻にふわっと届く。
そんな見定めるような僕の視線を見透かしたのか、和久会長はどこか躱すように優しく微笑んだ。

「君の名前は覚えていたんだよ。前の学校の成績はもちろん、入学試験の成績も良かった」
「えっ!? あ、ありがとうございます。でもそんな、僕なんて全然……!」
「謙遜することはない。面接においても、良い人柄が出ていたと聞いている」
「は、ははは……。どうなんでしょう、そこまででもないと思いますけど……」
「ふふ、なるほど。いずれにせよ、優秀な人材はいつの世でも引く手数多だ。生徒会もそういった人材は常に求めている。……どうだろう、よかったら一つ考えてみてはくれないだろうか?」
「考える……? えっと……、え? もしかして生徒会に、ってことですか……!?」
「政府も学校側に、ああしてくれこうしてくれと常に言ってきてね。ほら、このような催し物は毎週のように開いているのも、政府の指示だ。そうしたら次は、校内に、校庭に、カップルシートを作れと言い出した。その次は学食にカップルメニューだ。その度に我々は大慌てさ。まあ政府が建てた学校だから、文句は言えないんだがね。生徒会はそんな仕事に常にかかりきりでね、慢性的な人手不足に悩まされているというわけさ」
「なるほど……、大変なんですね。でも、僕に務まるかどうか……」
「意外とそう言う人間こそ、いい働きをしてくれるものさ。今すぐでなくとも構わない、返事は考えておいてくれたまえ」
「は、はい……!」

転校初日に、これは大変な話を貰ってしまった。
今まで何の取り柄もないと思い過ごしてきた僕に、転校初日にこんな大きな話をいただいてしまうなんて。
生徒会か、本当に僕に務まるんだろうか。
いや、会長も優秀な人材と言ってくれたんだ、やってやれないことはない。
もしかしたらこのまま、生徒会長と親交が深まれば、生徒会長が僕の恋人になってしまうこともあるかもしれない。
いやいや、まさか。
こんな綺麗な人だ、もう恋人くらいいるのだろう。
でも今この瞬間を機に、間違いなく僕の運命が、何か、どこか変わったような、そんな気がしていた。
先ほどまでのうじうじしていた僕が、吹き飛んでしまうくらいに。

「さて、オリエンテーションは受けたとは思うが、説明が回りくどくて理解しづらくはなかったかな? 少しその辺りの話をしよう」
「い、いいんですか? 出来ればお願いしたいです」
「もちろんだ。……知っての通り我が石屋学園は、学問もさることながら、このように男子生徒と女子生徒の交流を何より重んじている。こうして入学式を早々に終わらせ、合コンを開いているのも、そのまますぐにでも結婚、妊娠へと発展して欲しいと願ってのことだ。ボーイミーツガールとはよく聞くが、まさにその手助けをしているわけだ。当学園で結婚及び妊娠した者には、政府の支援とは別に、学校側からも手厚いケアを受けることが出来る。そのお陰もあってか入学希望者は殺到、昨年のカップル成立数は全国でもトップだった。君はその狭き門をくぐり抜けた、選ばれた者というわけだ」
「す、凄いんですね。さすが政府がそのために建てた学園……!」
「草食男子と呼ばれるような者はここにはいない。少子化を誘発するような存在は、即座に矯正されるべきだ。君もそれに倣うといい」
「は、ははは……、耳が痛いです」
「ふふ。きっとそれも今だけだ。半年もしない内に、君も慣れるだろう。見たまえ、二年生と三年生の男子で、誰にも声をかけられずにうじうじとしている者がいるか?」

見れば確かに、戸惑っている新入生達を除けば、それ以外の全ての男子が、女子と楽しそうに会話を楽しんでいる。
イケメンのような爽やかな男子も、言い方は悪いがキモオタと揶揄されるような風体の男子も、臆することなく談笑し、時には割り込み、奪い合うようにさえしている。
そもそも、男子も女子も、同性同士で盛り上がっている生徒が一人もいない。

「草食男子や地味子などと揶揄をされるような生徒を育てるつもりはない。これは我が学園の、いや、生徒会の使命であり矜持であると思って欲しい」
「す、素晴らしいです……!」
「だからこそ、この学園は信頼される。政府が建てたという意味ではない、本当の信頼だ。信頼されるからこそ、ああいった子達も入学してくる。ほら、あそこだ」

そう言って会長は、ある一人の女の子を指差した。
数多くの男子に取り囲まれ、楽しそうに談笑している、銀髪ショートの美少女。

「あ、あれ……、有名アイドルグループの……!?」
「ああ。アイドルでもトップをひた走るユニットの、しかもセンターを務める子だ。他にも、ほら」

そう言って会長が再び指差すそこには、黒髪のクールショートの冷たそうな女の子。
男子も、そして何故か女子も、熱に浮かされたような表情で彼女に話しかけている。

「あ、あの人も見たことあります! えっと、パンクバンドの……!」
「最近テレビの露出が増えたから、さすがに知っているかな。人気急上昇バンドのボーカルだよ。……このように、有名人も何人か在籍していてね。彼女達もどうせならこの学園で、素敵な男子と巡り会うことを希望しているというわけだ」
「うわぁ……!」
「もしかしたら君もいずれ、ああいった生徒達と交流を深めることもあるだろう。もしかしたらそのまま、結婚、妊娠となってしまうかもしれないね」
「ええ!? 僕があんな有名人達とですか!? い、いやいや、まさか……」
「ふふ。そう言って、実際すぐに恋人が出来て、すぐに妊娠したようなカップルもいる。学内で大きなお腹を幸せそうに撫でている生徒を見たら、一度聞いてみるといい」
「さ、さすがにそれは……」

さすがにそんなことは出来ないが、しかし生徒会長が言ったことは、本当なのだろう。
きっとこの人はそういったカップルを、実際に何度も見てきたはずだから。
自分をモブ顔だのなんだのと卑下していたのが馬鹿らしくなってくる。そうだ、僕もここで羽ばたくことが出来るんだ。

「……いい顔をするね」
「え?」
「いや、なんでもない。……さて、そうしたら君には”まだ説明しなければいけないこと”がある。オリエンテーションの続きとでも思ってくれ。転校生向けのね。今日の放課後、何もなければ生徒会室に来て欲しいのだが、いいかな?」
「あ、はい。もちろん。特に予定はありませんので」
「結構。かなり重要な話をするからね、お昼をしっかり食べて、力をつけておいてくれ」
「わかりました」
「じゃあ私はこれで失礼するよ。歌垣くん、また放課後」
「は、はい!」

再び僕に笑みを向けると、会長は僕に背を向けてその場を去って行った。
本当に綺麗な人だ。そして、言葉に力がある。
どこか惚けたように後ろ姿を見つめる僕に、少しばかり残念な放送が流れた。

『交流会はまもなく終了します。生徒の皆さんは各々の教室に戻って下さい』

───交流会に参加出来なかったのは残念だったが、会長とゆっくり話が出来たので、あまり苦にはならなかった。
何より、僕にはまだ時間がある。
これから機会はいくらでもあるのだから、慌てないで、どっしりと構えていよう。

教室に戻ると、生徒達の軽い自己紹介が始まった。
転校生の僕もいるため、余計にしようということになったらしい。
以前の学校では、こういった催しが本当に苦痛だった。

「いえっす2年C組のみんな! 去年一緒だった奴等もいるけど、改めて自己紹介を聞いてくれ! 園崎! そ・の・ざ・き、だ! よろしく頼むぜ! 俺は同級生みんなと友達になりたいんだ! 目標は全員とOINE交換! 仲良くしてくれよなー!」

陽キャのイケメンが、なんだか怖いことを言って、それを見てクラスのみんながキャッキャと楽しそうに笑う。
完全に僕の苦手なタイプだ。あまりお近づきになりたくない。
しかも次の自己紹介は僕だ。園崎くんとやらのせいで暖まった教室に、寒風を吹き込ませてしまうかもしれない。
胃が痛い。胃が痛いけど、ここは無難に。

「えっと、この春から転校してきました、歌垣といいます。皆さん、よろしくお願いします」

一息に言い放って、ささっと一礼して下がる。
教室内からは軽く拍手が鳴ったが、それ以上の、どこから来たとか彼女はいるのかなどと深いとこまでは聞かれなかった。よかった。
安堵のため息をついて席に腰掛けると、僕の前の席の男子が僕の方を振り向く。
まさかの園崎くんだった。

「よっ、歌垣、だっけ? これからよろしくな!」
「はは……、よ、よろしく」

あまりよろしくしたくない。
これから一年間、彼の傍で過ごすことになるかと思うと、胃を通り越して下腹部が痛い。お腹を壊しそうだ。

「転校してきたって、どこから? 前の学校に彼女とかいた? 趣味とかあんの? スポーツとかは?」
「い、いや、あの……!」
「ちょっと園崎、そこまでにしてあげなよ」

怒濤の質問責めにあたふたする僕に助け船を出すように、不意に横から、女の子の声が聞こえてきた。
左隣の席から聞こえた声の主は、そのまま園崎くんを軽く咎める。

「歌垣くん困ってるでしょ。この学園まだ慣れてないんだし」
「あー……悪い悪い。それもそうだな、まだ慣れてないもんな。特に今日は登校初日だろうし。質問はまだ今度ってことにすっか。ごめんな、歌垣」
「い、いや、別に……」
「ははは。とにかく今年一年、よろしくな!」

そんなことを言って、前を向く園崎くん。
とりあえずこの場は助かった。いくらなんでも、今まで陰キャを謳歌してきた人間が急に陽キャのように振る舞えるわけはない。
まだまだ、僕には慣れが必要なんだ。
とにもかくにも、助けてくれた子にお礼を言わなければ。
そう思って左を振り向くと───

「ごめんねー、歌垣くん。そいつほんっと軽くてさ。苦労するかもだけど、ま、適当に受け流しておいてよ」

軽く微笑みながら僕を見る、その子。
栗色のセミロングの髪を後ろで軽く結って、両側に後れ毛を垂らしている。首からは、櫛の形の珍しいペンダントを下げている。
可愛らしいピンク色のリップと、同じピンク色のネイル。お揃いにしているようだ。
ぱっちりとした可愛い目に、長い睫毛。
ギャルな風体だが変に下品ではなく、透き通るような爽やかさを感じる。
たゆんっと揺れる大きな胸が制服のブラウスを押し上げて主張し、スカートから伸びる太ももはむっちりと驚くほど太い。
その太ももが伸びた先のお尻は、お尻は本当に大きく、その肉が椅子からはみ出しているほどだった。
そんな彼女を、僕は知っている───

「天櫛沙綺
あまくしさき
だよ。よろしくねー」

そう、天櫛沙綺。知らないはずがない。
何度も少年誌や青年誌の表紙を飾る現役のグラビアアイドルで、キャッチコピーは”若さ弾ける爆桃尻”。
105センチというメートル超えのむっちり安産型のお尻は、全国の男を魅了している。
かくいう僕も、水着姿の彼女が掲載されている雑誌の電子版を購入しては、画像のお尻の部分や、たっぷり重たそうな巨乳を拡大して、何度も致したものである。
その彼女が目の前にいる。この学園の同級生、クラスメイトとして、隣の席に。
天櫛さんは、そうか、この学園の生徒だったんだ。

「どう歌垣くん? この学園には順応出来そう?」
「あ、う、うんっ……! 戸惑うことは、その、多いけど。でも、うん、頑張って慣れていこうと思う……!」
「あはは、まあ最初は戸惑うよね。大丈夫大丈夫。男子も女子もみんないい子ばっかりだからさ、すぐに慣れるよ」
「天櫛はオタクにも優しいからな。オタクに優しいギャルって言われてんだぜ」
「うっさい園崎!」

こそっと呟く園崎くんに、天櫛さんが怒ってみせる。
伝説のオタクに優しいギャルは、存在したんだ。しかも今、僕の目の前にいる。

「とりま歌垣くん、あたしも一年よろしくね」
「こ、こちらこそ、よろしく……!」
「しかも噂で聞いたんだけどさ、歌垣くんって勉強出来るんでしょ? 宿題とか見せてもらうかもだから、そん時はお願いね?」
「そ、そんな噂どこから……。ま、まあでも、うん、僕でよければ……」
「ほんと!? マジ嬉しい! やった! あたし仕事やってて、忙しいこと多くてさ。だからほんっっっと助かる!」
「気を付けろよ歌垣? 骨の髄までしゃぶられるぞ」
「だからうっさい園崎! 歌垣くんに嫌われるようなこと言うな!」

からかう園崎くんに、天櫛さんが彼の椅子を蹴る。
渇いた笑いが出てくるけど、でも俄然やる気が出てきた。
天櫛さんと出会ったこの数分間で、ここからの僕の人生が、一気に花開くような気がしてきた。

「なあおい、歌垣」
「う、うわっ!?」

急にまた園崎くんが僕の方を振り向いて、耳に囁いてきた。
そう、天櫛さんには聞こえないように。

「わかる、わかるぞ。お前も天櫛を狙ってんだろ?」
「は!? い、いや、僕は……!」
「隠すな隠すな。俺にはわかる。まあ天櫛は有名だし、めっちゃ可愛いし、この学園にいるのに彼氏もいない。狙いたくなるのもわかる」
「彼氏……いないんだ。そ、そっか、そうなんだ……」
「くくっ、まあせいぜい頑張れよ。俺も頑張っから」

もちろんライバルは多いのだろう。
でも、ただ、今のところ彼氏がいないというその一言に、僕の心臓がいつになくドキドキと高鳴るのだった。

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