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第2話:吸って吸われて抱きしめ合って(全裸密着/ねっとりベロチュー)

「おい春沢、キンキュージタイだ! 明日の英語のテスト、なんっにもやってなかった。ちょい教えてくれよ」
「ええ……。そんなのもっと頭のいい奴に頼めばいいだろ。ほら、委員長とか」
「いいじゃん、”あたしとお前の仲”だろ?」
「し、しょうがないな……。ていうかそれ、あんまり大きな声で言うなよ……!」

───いよいよ始まった、夏の期末テスト。
これが終われば夏休み、そして希望者はサキュバス作法のマッチングが始まるとあって、校内は異様な熱気に包まれていた。
うちのクラスも、せっかくの機会を逃すものかと、あちこちで猛勉強が行われている。
こんな姿、こないだの中間テストでは見られなかった。

「それで、ここは……こういう風に読むと、意味が通じるようになるだろ」
「はー……、なるほどなー」
「あとは単語の意味がわかれば、なんとかなる」
「そっかそっか」

冴崎も、また俺の机に椅子を持ってきて、机に巨乳を乗せてノートを広げている。
俺は、しかしたっぷり豊かな胸には目を向けないようにしたが、今度は冴崎の唇に目を奪われてしまった。
この前、俺のペニスをぱっくりと咥えた口。
ねっとりと唾液に塗れた口内、カリ首に引っ掛けて抜けないように窄めた唇、その粘膜と舌の感触を思い出す。
あの口に、いっぱい射精した。思いきり精液を放った。
俺を好き好きと言う、この冴崎の唇に。
このまま恋人になって、唇と言わず身体も貪って、膣内にペニスを挿入すれば、俺はどれほどの快感を得られるのか───

いやいやいやいや。俺は首をぶるぶる振って雑念を払う。
冴崎が俺の彼女にだなんて、どうかしてる。
美人だけど! いい身体をしてるけど! でも……!

「……ところでさ、春沢」
「んあっ? な、なんだよ」
「そろそろあたしの彼氏になる決心ついたか?」
「ぐっ……!」
「なあ、どうなんだよ。コラ」

つんっと冴崎の人差し指が、優しく俺の頬を押す。
その見せ槍フェラの一件以来、なんだか冴崎との距離が近くなったような気がする。
こうして勉強を教えてやるのはいつものことだが、冴崎が友達と話してる時に「あたしうるさくないか?」と聞いてきたり、来ると言っておきながら俺の家に押し掛けてくることもしないし。
今までと違い、明らかに俺に気を遣っている雰囲気がある。

いや、絆されるな。立て続けに”イベント”が起こって、色んな意味で親密になったから、俺の冴崎に対する好感度が少しばかりアップしただけだ。
考え直せ春沢雪和、冴崎は苦手なタイプだったじゃないか。

「96%出したかと思ったら、97%だぜ? こんなん、恋人にならねーでどうすんよ」
「い、いや……でも、第三段階で覆るかもしれないだろ」
「ははっ。じゃあしっかり調べねーとなあ?」
「ぐむむ……!」

正直なところ、怖い。
第三段階まででも、お互い処女も童貞も失うことはないが、もしまた高スコアが出たらどうしたらいいんだ。
そこまで行ったら次は最終段階だ。
恋人どころか結婚が決まったようなものだ。シェラナリアだって、それを義務と言って迫ってくるだろう。

もちろん、第三段階で5%とか20%とかの低スコアが出る可能性もあるが、俺にはどうもそうなるようには思えなかった。
第二段階を経ただけでも、身体でそれがわかってしまった。
いや、わからされたと言ってもいい。今もこうしているだけで、冴崎のフェラを思い出して身体が疼いてしまう。
これで相性が悪いだなんて、それこそ嘘のように思える。

「つか春沢さあ、ちゃんと聞いときたいんだけど、マジで今彼女いないんか?」
「……ん、ああ。いない。いたこともない」
「そっか……! はは。よしよし、そうだろうとは思ったけど、やっぱちゃんとしとかないとな。こういうのって大事だろ? お互い不幸になっちまうかもだから」

嬉しそうに、少しだけ照れくさそうに笑う冴崎。
なんでだ。なんでそんな風に笑うんだ。
俺の初めてのフェラも、童貞も、彼女の座も射止められそうなのが、そんなに嬉しいのかよ。

「ちな、あたし彼氏はいたことあったけど、すぐに逃げられてさ。……実は、キスもしたことねーの」
「えっ……!?」

ずいっと俺に顔を近づけ、耳に囁く。
そっと、他の誰かに聞かれないように。

「あたしのファーストキス、実はお前のおちんちん、なんだよな……♡ 驚いたか? こんなギャルだけど、中身は生娘なんだぞ……♡」
「やっ……! あ、あのっ、ご……ごめん……」
「お前が謝ることねーって♡ ……なあ、第三段階は本当のキスしていいか? それくらいシェラナリアも許してくれるだろ。セックスじゃねーし。あたし、春沢とちゃんとキスしたい……♡」
「い、いい……けど。お前が、それでいいなら……」
「春沢、ファーストキスか?」
「も、もちろん」
「はは♡ じゃあお互いファーストキス決定な♡ ……めっちゃ楽しみ♡」
「……そっ、それより冴崎、ち、ちょっといいか。ちょっと」
「んあ? 何だよ」
「近い。近いんだがっ……!」
「いいじゃん、クーラー効いてるし」
「いや違う、暑いとかそういうことじゃなく……!」
「暑くないなら問題ねーだろ。……てか、今さら照れてんのか?♡ ばーか♡ もうクラスの奴等、あたしらを恋人って目で見てっから、意味ねーよ……♡」

そう言われてクラスを見渡すと、確かにクラスメイトの視線が明らかにおかしい。
相性良かったらしいけどもうあんなイチャラブしてる、よく見ればお似合いのカップルだよね、仲睦まじいってああいうことか、なんて視線をこちらに向けている。
俺の友達に至っては、俺も早くその高みに行きたいぜ、みたいな野望に満ちた目で俺を見ていた。
いけない。外堀がもう埋まってる。
しかも俺達の存在は、明らかにクラスの奴等のマッチングへの期待を高めていた。既にとっくに、モデルケースみたいになっているじゃないか。

そして内堀、俺の内面には冴崎自身が猛烈アピールをしてくる。
今まではどこか遠慮していたのだろうか、ここ最近、こいつは俺と話す時はわざとブラウスのボタンを一つ多く開けるようになった。
そのため、こうやって座ったまま冴崎の方を向くと、開けたブラウスの胸元から柔らかそうな胸が見えてしまう。
その豊満な胸は、こうして近くで見るとその質量がよくわかる。
今日はマゼンタのブラだ。学校に着てくるような普段使いの下着とはどうも違い、明らかに可愛くて豪華な印象を受ける。
自惚れでなければ、これは俺に見せるために着けてきたのだろう。
胸の大きさでブラウスの脇の部分が前に引っ張られて、幾筋もの皺が出来ている。ブラウスのボタンも、ぱっつぱつになっていた。
冴崎はむしろ見ろとばかりに近づき、胸元を指で開けて、谷間のほくろを見せつけながら中のにおいを漂わせる。
女の子の甘いにおい、香水のにおい、冴崎のにおいだった。

「もう恋人でいいだろ?♡ おっぱいだって見放題だぞー……♡ なあ春沢、あたしの彼氏になれよ……♡」
「とっ……! とりあえずテスト勉強! テスト頑張らないと夏休み消えるぞ!」
「ああ、そりゃ大変だ。じゃあしっかり教えてくれよ」

ニヤニヤ牙を見せて笑いながら、冴崎は俺から離れて再びノートに向き合う。
俺は、ひとまずほっと胸を撫で下ろした。

「……まあでも、冴崎ってなんだかんだ飲み込みは早いと思うし、ちゃんとやれば赤点脱出はそう難しくないんじゃないと思うぞ」
「ほんとか!?」

冴崎がキラキラした瞳で、俺の方を向く。また顔が近い。
俺はなんとか平静を装いながら、会話を続けた。

「だからちゃんと勉強。な?」
「よっしゃ……! 赤点脱出したら、海行こうぜ。あたし、春沢と一緒に海行きたい」
「ふぐっ……!」
「あたしの水着、見てーだろ? 春沢になら、全身くまなく眺めさせてやるぜ」
「み、み、見た、見た……! ……勉強! 今は勉強!」
「ははっ、わかったわかった」

うっかり思い浮かべそうになったビキニ姿の冴崎を、俺はなんとか振り払った。
さながらモデルのような高身長と、むちむちの身体に着けられた水着は、それはそれは破壊力が高いことだろう。

そんな時、不意に冴崎のギャル友達がこっちにやって来たかと思うと、俺の机に顎を乗せて俺達の顔を交互に見た。
とてもとても、ニヤニヤした顔である。

「お二人さん、仲いーねえ? 進展あったん?」
「ばっか、お前からかうなって」

そんなことを言う冴崎は、笑顔満面だ。

「綾乃、ヤったん? 見せ槍フェラだっけ? お口でご奉仕しちゃったん?」
「だから声でけーって。……ま、ヤったけどよ♡」
「きゃー! どうだったどうだった?」
「え? そりゃお前、……めっちゃ良かった♡」
「うおー……! フェラで良かったとか、うっとり顔で言うなし。マジのろけじゃん。おいちおいちっておしゃぶりしたん? でっかかった? どうだった?」
「そこまでは教えねー。……けど、まあ……あたし、すっげー幸せだった……♡」
「うええー。なにもうラブラブじゃん。どうすんの、マジ付き合うん?」
「あたしはその気なんだけど、こいつが煮え切らなくてさー。サキュバス作法続けて、相性もっと調べてからーって」
「ちょいオタクくんさあ、綾乃みたいな美人が彼女とか最高っしょ? 今すぐくっついちゃえばいいじゃん」
「つか逆に、サキュバス作法で相性いいのが続けば逃げらんなくなるだろうし、敢えてこのままってのもアリかもな」
「あー、だね。もうオタクくんの周囲全部埋めちゃえばいいし。てかいいなー、あーしもサキュバス作法でマッチングして、素敵な相手見つけよっかなー」
「そうしろそうしろ」

楽しそうに会話をする二人。
話の内容についていけず、苦笑いしかしない俺。
そして、そんな俺達の様子を楽しそうに見つめる、シェラナリア。
彼女は一番後ろの一番隅っこの席で、スマホを操作しながら、ずっとこちらに目を向けている。
指導官だからテストも何も関係無いから悠々としていられるのだろうが、だからといってあまりにも俺達に注目しすぎだ。
そんなに面白いのか、このやり取りが。
俺はあえて、気付かないフリをするのだった。

───その日の放課後、とりあえずテスト期間中は早く帰れと冴崎を諭し、英語の要点をまとめたノートも貸してやった。
これでひとまず、今日はおとなしくするだろう。
やれやれと大きなため息をつきながら、俺は帰る前にトイレに寄ろうと、男子トイレに向かう。

「ん……?」

その時ふと、俺の耳に声が聞こえた。
男子トイレの向こう、廊下の角の向こうから、男と女の声が聞こえる。
普段ならそんなことは特に気にも留めないのだが、女の声がどう聞いてもシェラナリアのそれだったので、俺はついこそこそと身を隠しながら耳をそばだてる。

「……悪いがナンパの類いならお断りだ。私にそんな暇はない」
「そんなこと言わないでさ~、どうせテスト勉強とか関係ないんっしょ? ちょっとカラオケ行こうって。異世界カラオケないだろ、カラオケ」

同級生か上級生かはわからなかったが、小麦色の肌のチャラ男がシェラナリアに詰め寄っていた。
サキュバスといえばセックス、みたいな短絡思考で声を掛けたのだろう。
壁に寄りかかってタバコ型チョコを咥えるシェラナリアを、その壁に片手をついて逃げづらくしつつ、しつこく口説いているようだった。
しかしシェラナリアは少しも物怖じせず、ふんっとふんぞり返っている。
チャラ男の背よりもシェラナリアの方が少し高いので、そんな体勢でも彼女が押されているように見えない。
こうして見ると、やはりでかいな。あちこちでかい。

「つかサキュバスってマジ? これ羽も尻尾も本物? コスプレじゃなくて? なんかこうさ、エロいこととかしちゃうわけ?」
「……失せろ。目障りだ」
「おっ、ひっくい声で痺れる~! その綺麗な声で、優しくリードして欲しいな~」
「はあ……。面倒だな」

そう言って、シェラナリアは急に男の顔を両手でガッチリ掴んだかと思うと、赤い瞳を輝かせて、じっと彼の目を見つめた。
すると突然、チャラ男の目が虚ろになり、焦点が合わなくなった。
シェラナリアは、そよそよと揺れる尻尾の先をチャラ男の顔に近づけ、その先でぺちんぺちんと音を鳴らして叩く。

「いい子はお家に帰って、ママのおっぱいでも飲んで寝ろ」
「はい……。いいこはおうちにかえってままのおっぱいのんでねます……」

ぽつりと呟いて、チャラ男はシェラナリアから離れると、ふらふらと酔っ払いの千鳥足みたいな歩みで廊下の向こうに消えた。
今のはなんだろうか、催眠術でも掛けたのだろうか。

「……サキュバスの”魅了”の魔法だ。オスは数時間だけ私の支配下に入る。身に危険が迫ったり、面倒事に巻き込まれそうな時は使っていいと、政府からも許可をもらっているのでな、問題は無い」

明らかに、隠れていた俺に向かって言葉を投げるシェラナリア。
なるほど、どうやらばれていたらしい。

「覗きとはいい趣味じゃないか。ええ? 春沢」
「ご、ごめんなさい……。悪気があったわけじゃないんだけど、話し声が聞こえたから、つい……」
「ふっ、まあ別に構わない。普段ならああいう奴は、死ぬ寸前まで吸精して放り投げるところだが、今は政府の指導官という立場だからな。……まあ、他の仲間のサキュバスなら、あんなのでも喜んで遊ぶのだろうが……。私は、ああいうのは好みじゃないんだ」

なるほど、選ぶ権利がって言ってたからな。
サキュバスが”そういう”種族であるとはいえ、みんながみんな、どんな男でも喰いまくるというわけじゃないのだろう。
人それぞれ、サキュバスそれぞれだ。

「ところで春沢、冴崎は一緒じゃないのか?」
「ああ……、まだテスト中ですから、今日は……」
「タメ口でいい。面倒だ」
「あ、ああ……、はい。わ、わかった。テスト中だから、早く帰って勉強しろって言ったんだ。明日の英語のテストのために、ノートまで貸したんだよ」
「ふむ……。まあそこは心配しなくてもいい。お前と冴崎は、最悪全教科赤点でも、補習と追試は無しだ。政府の意向でな」
「え……、え? なんだ、どういうことだ?」
「単純な話だ。政府にお前らの話を上げたら、是非ともカップルとして成立させて欲しいと言ってきた。あっちもお前らをモデルケースとして、成功事例として広めていきたいのだろうな。だからサキュバス作法優先、ということらしい」
「は、はは……なるほど、期待の星ってわけだ。……ああでも、それは冴崎には内緒にしててくれ。あいつはあいつでテストを一生懸命やろうとしてるから、腰を折りたくない」
「わかった、そうしておこう。……恋人想いのいい奴だな、お前は」
「恋人じゃない!」
「ふっ、そうだったか? まあいい。第三段階を終えた後、またゆっくりと考えてみればいいさ。……高スコアだったからとはいえ、こちらが勝手にサキュバス作法を進めているから、そこまでは義務化はしないでおく。だから気楽に受けろ」
「そ、そうする」

是非とも、そうさせて欲しい。
今の外堀も内堀も埋められていっている今の状況は、何よりもまず落ち着いて考える時間が欲しい。

「第三段階の日取りは、テスト休みの初日にしよう。その日から、希望者による校内マッチングを開始する。初回故に感覚が掴みづらく、人手は多ければ多いほど助かる。お前と冴崎はもうマッチングもしなくていいし、せっかくだからついでに手伝え」
「ああ……、わかった。手伝いくらいならするよ」
「じゃあ決まりだ。冴崎には私から伝えておこう。……それと春沢、今日からオナニーはするな」
「え……。いや、別にいいんだけど、またどうして?」
「そっちの方がより正確な診断が行えるからだ。テスト期間中とはいえ、うっかり気晴らしをしたくなることもあるだろうが、我慢しておけ。いいな?」
「わ、わかったよ」

精液を溜めて感度を良くすれば、間違いの無い正しい数値が出てくるのだろうか。
それで数値が下がってでもくれればいいのだが、やはりどうにも、俺の中の高スコアへの不安は拭いきれなかった。

ふとその時、俺の頭に疑問が浮かぶ。
シェラナリアは俺のペニスを見てなかなか大きいと言ったが、それって相性と何か関係があるのだろうか。

「……なあシェラナリア、ちょっと聞いてみたいことがあるんだけど」
「ん? なんだ」
「身体の相性って、実際にどういう時に数値が高くなるんだ? 例えば、ペニスが大きいってのと関係があったりするのか?」
「それはないな。まるで関係ない」
「え……、そうなのか?」
「そうだな……、少し私のいた世界の話をしようか。向こうには獣人……ああ、異世界にはそういうのもいるんだが、そいつらは体格もちんぽもでかいわ、精力も強いわって感じでな、サキュバスにも人気の種族だ。それと比べたらニンゲンのちんぽなんて、短小だし精液の量も少ない」
「え、えええ……」
「だがそんなニンゲンの方が気持ち良くて、子供をいっぱい産むサキュバスもいる。ちんぽがでかいから気持ちいいわけじゃない。要は相性だ。何がどう絡み合ってそうなるのかはわからないが、まあ人それぞれということだ。だからこそ私達サキュバスは、繁殖のために求愛行動……作法と魔法を使うんだ」
「そ、そうか、なるほどな。しっかり調べないとわからない、そういうことか」
「ちんぽがでかくても、それで快感を得られない、子を産めないメスもいる。逆もしかりだ。相性とは、快感とは、そういうことじゃないんだ」

それはきっと、今までのサキュバスの歴史と経験があったからこそ、出てきた言葉なのだろう。
セックスという快楽を、危険がある世界に生きるサキュバスが、それを大事な繁殖行為として見てきたからこその、重い言葉。

「お前が冴崎以外の女とセックスをして、冴崎に感じた以上の興奮を得られるかと言えば、ほぼ不可能に近い。96から97%というのは、そこまで重い数値だ。向こうの世界で私がそんな相性のいいオスを見つけたら、即子作りをして、おそらく一生離れずそいつの子を産み続けるだろうな」
「そんなにか……」
「ああ、だからこそサキュバス作法でしっかりと相性を確認する必要がある。逆に冴崎も、それだけのオスには容易に巡り会えないだろう。一度お前で得られた快感を知ってしまった以上、カップル不成立となれば、お前の身体を忘れられずに一生結婚しないかもしれない」
「まさか」
「まさか、ではないんだ。残念ながらな。それを踏まえて、第三段階を行え。……繁殖ということだけじゃない、お互いの、幸せな気持ちのいい性生活にもかかっている。それを忘れるな」

急に、俺の肩に責任という言葉がのし掛かった気がした。
経緯はどうあれ、ここまでのサキュバス作法で、俺と冴崎は類い希な高スコアを出してしまった。
ここからの俺の選択が、まさに俺達の人生を左右しかねない。
思わず飲み込んだ唾は、少し酸っぱかった。

───数日後、無事にテストも終わりを迎えた。
お互いに自己採点をしてみたが、お陰様で俺も冴崎も赤点は回避出来たようだ。特に冴崎は、俺のお陰だとしきりに喜び褒めてくれた。
冴崎がしっかり勉強をしてくれて、本当に良かった。俺もほっと胸を撫で下ろした。

その後テスト休みに入ると、マッチングアプリで先行登録を終えたサキュバス作法希望の生徒は、体育館に集められた。
あれだけの話を聞いてなお、男女ともかなりの人数が集まった。全校生徒の三分の一はいるのではないだろうか。
好奇心か、それとも本気か、いずれにせよシェラナリアはこの状況に上機嫌のようだ。

まず、アプリによってランダムに番号が割り振られてペアを組み、体育館にいくつか作られたブースに向かい、そこで相性度を調べていく。
俺と冴崎とシェラナリアは、それぞれ計測器を取り付けたスマホを使って、次々とペアを計測する。なんだか集団予防接種してるみたいな気分だ。
誰とどんな相性度だったかは計測する度にアプリに記録され、同じ相手とは再びマッチングしないようになっていた。
第何段階まで進んでいるかまでも表示され、なるほど便利だなと思った。

まず驚いたのが、その数値だ。
だいたいのペアが10~40%くらいの数値で、60%以上の数値を出したペアは、片手で数えるほどだった。
高スコアを出したペアは、政府が作成したサキュバス作法のパンフレットを渡して、そのまま第二段階の説明をするよう言われているが、そのパンフレットが配りきれなくて大量に余っている。

その時、ふと隣のブースの冴崎が、俺に話しかけてきた。

「……なあ春沢、高スコアのペア、いたか?」
「ああ、64%……だったかな、それが今のとこ最高値だ」
「あたしは71%が最高だった」

やはりか。
偶然スコアが低いペアばかりがマッチングされてしまった、ということも考えられるが、それにしたって数値が低い。
90%台なんて、遠い雲の上のように思えてきた。

「な、あたしらの数値ってさ、もしかして異常値なんじゃね? あんな高スコア、マジでSSRくらいのレア度だろ」
「ははは……、まさかまさかの、だな」
「好きピが偶然そんな数値とか、あたしラッキーすぎじゃん」

嬉しそうに笑い、俺に軽くウインクすると、冴崎は再び男女のペアを計測する。
俺もふるるっと首を振って雑念を払い、計測を再開した。

その後も、80%以上の高スコアを出したペアはおらず、かろうじてシェラナリアが計測した76%がその日の最高値だった。
俺は改めて、96%、97%という数値の重さを考えさせられることとなった。

───初日の校内マッチングは、午前中で終わった。
俺と冴崎とシェラナリアは続けて、サキュバス作法の第三段階を行うために、保健室を借りていた。

「結果に驚いただろう。自分達が出した数値が、どれほどとんでもない数値だったかわかったんじゃないか?」

計測器を用意しながら、シェラナリアが言う。
俺達はそんな彼女の横に立ち、話を聞いている。

「私達サキュバスも、相性のいいオスを見つけるのには、それはそれは苦労するんだ。今日のマッチング、お陰様で第二段階に進むペアも出たが、その彼らも最終段階までスムーズに進めるかというと、なかなか難しいだろうな」
「ほんと、よくわかったぜ。あたしと春沢が、奇跡のペアだってことがな。……春沢、それを今日も証明してやろーぜ」
「は、ははは……」

俺は渇いた笑みを浮かべるばかりだ。
証明してどうするんだ、本当に結婚する気なのか。

「さて、今日はフェロモン吸いの儀だ。前にも説明したが、オスとメスがぴったりと密着して抱き合い、お互いの体温を感じ、においを嗅ぎ、それを六時間続ける。トイレは行くな……と言いたいが、なるたけ行くな。先に行っておけ」
「え、えっと……シェラナリア、それは何を試すんだ?」
「春沢、いい質問だ。要は計測器で調べているオスとメスのフェロモンを、実際にお互いで感じ合うことで、気分や感度の高まり方を見るんだ。もちろん計測もするからな」
「なるほど、だから抱き合うのか」
「そうだ。……というわけで、脱げ」
「えっ」
「第三段階は、全裸で行う。とりあえずまあ脱げ」

脱ぐだけなら、この前の見せ槍フェラを経た今ならなんということもない。
だが、全裸になってお互いに抱き合えとなると、また意味合いが違う。しかもそのまま六時間続けるとは。
恥ずかしさよりも、俺は我慢出来るのかという不安の方が大きくなる。
相手が冴崎とはいえ、密着する女の子の身体にセックスへの欲求を抑え込めるのか。

「……おい春沢、こっち向けよ」
「え?」

不意に冴崎に名前を呼ばれ、俺はそちらを向く。
冴崎は自分の背中を両手に回して、もぞもぞと動かしている。そして次の瞬間、身体を動かしてもいないのに冴崎の胸が揺れた。

プツンっ……♥

それが、冴崎がブラウスを着たままブラのホックを外したせいで起こったのだと、俺はすぐには気付かなかった。
気付いたのは、ブラの拘束が外れて重たく下に垂れ下がり揺れる胸と、冴崎がブラウスのボタンを外して、その間から思わずでっっっかと呟いてしまいそうな、とても大きい水色のブラを引きずり出したのを見た時、だった。
でっっっか。ブラでっっっか。

「Jカップあるんだぜ。……これから彼女になるかもしれない女のサイズ、ちゃんと覚えとけよ♡」
「でっっ……!」
「あと……、あたしちょっと乳輪大きくてさ。見ても笑うなよ?」

そう言いながら、プチプチと次々にボタンを外していく冴崎、
ブラの拘束を失って垂れ下がる胸が、ボタンを外していく度に、ブラウスの向こうでゆらゆらたぷたぷと揺れている。
ブラを脱ぎ捨てた時、冴崎のその巨乳が姿を現した。
大きめの乳輪の上に、ふっくらと膨れた乳首が乗っている。こうして見ると、谷間のほくろが酷くいやらしいアクセントのように思える。
長く大きく垂れ下がった胸はI字型の谷間を作り、そこからは既に、甘い女の子のにおいが漂っていた。

続けて冴崎は、スカートとパンツも脱いでいく。
スカートの向こうにはやはり水色のパンツがあり、冴崎は躊躇いもせずにそれを脱ぐと、その場でくるっと一回転する。
綺麗な銀色の髪がさらりと流れ、胸はたゆんっと揺れて、ぶっとい太ももの先でゆさゆさとでかい尻が揺れていた。尻って、揺れるもんなんだ。
とても綺麗な、綺麗な身体だった。
女の子……とは言えない、強烈にオスの性欲を刺激するメスの身体。種付けをしたくなる、成熟したメスの身体だった。
なまじ身体の相性がいいことを知っているので、俺の本能が急激に冴崎の身体を求めて反応する。
勃起は、一瞬のことだった。

「どうだ春沢? ……はは、もう目が離せねーって感じか?」
「……はっ!? あ、わ、悪い!」
「いーんだよ、目隠すな。ちゃんと見ろ。お前に見せたくて裸になったんだからな」
「さ、冴崎……」
「てかお前、春沢も脱げ。おちんちん見せろ♡」
「わ、わかった」

言われて、俺も制服を脱いでいく。
Tシャツ、ズボン、そうやって脱いでいくが、その様を冴崎はじっと無言で見つめている。
もはや隠すことも出来ない、トランクスを大きく押し上げるテントを、特にじっくりと見つめているようだった。
俺はちょっとした悪戯心で、トランクスのゴムにペニスを引っ掛けて、わざとぶるんっと弾かれるようにペニスを晒す。
冴崎は瞳をとろんっととろけさせて、ほぅ……と微かに息を吐いた。

「相変わらず、なっがいおちんちんだな……♡ 春沢、こんなに可愛いのに、おちんちんめっちゃかっこいいじゃん……♡」
「か、可愛いとか言うな……!」
「可愛いだろ♡」

そう言いながら、一歩一歩俺に近づく冴崎。
俺はそれから逃げることが出来ない。サキュバス作法だからというより、俺の身体が目の前のメスから逃れるなと言っている。
ペニスはそれに反応し、びくんっびくんっと上下に跳ねた。

目の前に立ち、俺を見下ろす冴崎。
俺の目の前には、冴崎の甘やかなにおいを放つ胸の谷間。

「お前だって、ソシャゲのおっぱいでかいねーちゃんや、街行くギャルを可愛いって思うことくらいあるだろ?」
「それは……、まあ」
「同じだよ。それと同じことを、あたしも春沢に思ってる……、それだけのことだよ」
「ごくっ……!」

思わず俺は唾を飲む。
冴崎の言葉と俺に向ける視線、たったそれだけで俺の性欲は、奥底からずるりと引きずり出されるようだった。
深淵を覗く前に、深淵から手が伸びてきたかのような感覚だ。

「……おい冴崎、春沢、ヤるなよ? 愛撫などもせず、あくまで抱きしめ合うだけだ。においを嗅いで、お互いの体温やフェロモンを感じるだけだ。いいな? それも私が監視するからな。ああ……、まあキスくらいならしても構わん。それは好きにしろ」

シェラナリアの言葉も、冴崎には届いているのか、どうか。
いや、こうやって考えている俺にさえ、届いているかどうかはわからない。
ただ俺達はお互いを、じっと見つめ合っていた。

「春沢……、お前トイレ行ったか?」
「お前こそ」
「あたしは大丈夫」
「俺も大丈夫だ」
「……じゃあ、可愛い春沢は、今からあたしが独り占め……♡」

ぎゅうっと思いきり正面から抱きしめられる。
いや、丸ごと身体を包まれた。俺の身体がすっぽり、冴崎の手、腕、胸、身体に、覆われるように包まれ、そのまま近くにあったベッドに連れ込まれた。
横臥姿勢になった冴崎は、身体と腕と足を俺の身体に絡めて離さない。俺は腕もまともに動かせなかった。
これではまるで、冴崎の抱き枕だ。

密着した冴崎の肌の感触は、触れているだけで凄まじい快感を与えてくる。
しっとりと柔らかで、滑らかな女の子の身体。ほわっと感じる体温。
俺の顔は、むっちりたぷたぷの冴崎の谷間に埋まって、甘い甘いにおいを直に嗅いでしまっていた。
勃起したペニスは冴崎の柔らかいお腹に当たって、そこをぐにゅうっと力強く押している。それを冴崎も感じているのか、僅かにお腹がふるふると震えていた。

初めて密着し抱き合った女の子の身体は、俺のオスの本能を呼び覚まし、異常なほど性欲を高めていた。
ヤりたい、このメスとセックスしたい、子作りしたいと疼く。
この状態で、六時間?
六時間も抱き合ったままでいろって?

「無理、もう無理……♡ 春沢、好き……♡ 可愛い♡ 好き♡ あたしの胸に埋まってる春沢、可愛すぎなんだがー……♡」
「ち、ちょっと、冴崎っ……!?」
「すっとこうしたかったんだよ……♡ 絶対、絶対可愛い春沢、喰ってやろうって……♡ こうやってあたしの身体で包んで、とろっとろに溶かしてやりたいって……♡」
「う、うあ……っ!」

甘くとろけた冴崎の声が、俺の耳から入って脳にまで届く。
女の子の柔らかい身体、俺を好きと言う声、全部が快感になって襲いかかる。
とっくに俺のペニスの先端からはカウパーが溢れ、冴崎のお腹を濡らしている。オナニーを我慢していたせいもあって、漏れ方も尋常じゃない。
冴崎も、俺の足に愛液と思しき粘液を垂らしていた。

「あー……、ヤッバ、濡れる……♡ 大好きな男と密着して、それだけでめっちゃとろとろ濡れてきた……♡ ごめんな春沢、お前の太ももあたしの愛液で濡れてる……♡」
「い、いいよ。俺だってカウパー出て、お前のお腹濡らしちゃってるし……!」
「わかる♡ めっちゃぬるってる♡ すげーよな、あたしらお互いの肌くっつけ合ってるだけで、こんなだらっだらに体液漏らして、交尾求めてる……♡」
「身体が火照ってる、身体でわかる……! 交尾したいって疼いてる……!」
「……なあ春沢ぁ、あたしらこのままセックスとかしたらどうなるんだろうなー……?♡ 抱き合ってるだけでこんなに気持ちいいのに、このなっがいおちんちん、とろっとろおまんこに入れたら、どうなっちまうんだろうなー……♡」
「そ、想像も出来ないって、そんなの……! で、でも、きっと入れた瞬間に射精して、それで……何度もセックスして……!」
「だよなあ……♡ あたしも大好きな春沢を離さないようにして、何度も何度もおちんちん出し入れしそうだ……♡ 処女なのに、いきなり気持ち良くなって、何度も何度もイっちまうんだ……♡」
「う、ううっ……! 処女、冴崎の処女……!」
「だから春沢の童貞も、あたしによこせ……♡ 誰にも渡したくない、春沢は全部あたしんだ……♡ だから春沢、キスしよう……♡ セックスはだめでも、キスはいいんだろ? なあ? 一緒にファーストキスしようぜ……♡」
「え、えっ? 今?」
「さーん、にー、いーち……」
「ちょ、ちょっと待て」
「はいゼロー……♡」

急に冴崎が俺の顔を片手で掴んだかと思うと、そのままキスをしてきた。
唇と唇が触れるだけの、軽いキス。
柔らかい唇、滑らかで甘い吐息を感じる、冴崎の唇。
他人の唇が自分の唇に触れるという感覚は、どこか甘く感じられた。

けれどもすぐにその優しいキスは、舌を絡めるディープキスに変わった。
どちらかが、じゃない。どちらもが本能に導かれるまま舌を伸ばし、それが自然に触れ合って絡み合った。
にゅる……っと絡み合う舌。唾液が混ざり合う水音。
俺達は初めてのキスで、まるでセックスの代替のように唇と舌とを絡め、唾液が口の周りを汚してもなお、俺達はキスを続けた。

「春沢の舌、うっまぁ……♡ ちゅ♡ ちゅぷっ♡ えるえるえるえる……♡ れりゅれりゅれりゅれりゅ……♡ 好きな男とのキスって、こんなに気持ちいいのかよ♡ なんだこれ、頭とろける……♡」
「ん、んぷっ……! さ、冴崎、冴崎……!」
「うん、あたしはここにいいるぞ……♡ 春沢をぎゅうって抱きしめて、春沢とキスしてるぞー……♡ ちゅ♡ ちゅっ♡ れりゅれりゅ……♡ あー……♡ キスで顔とろっとろにしてる春沢可愛い……♡ 顔真っ赤にして、可愛い顔とろけて……♡」
「んっ……! お、お前だって……!」
「れりゅぅー……♡ はは、あたしもか……♡ そりゃそうだ、だって大好きな男に、ファーストキス奪ってもらえたし……♡ ベロチューめっちゃ気持ちいい……♡ 好き♡ 好きだぞ……♡ ちゅっ♡ れりゅれりゅれりゅ……♡」

唇、舌、たったそれだけ。口の粘膜を絡めただけ。挿入もしていない。
なのに俺は、俺達は、お互い言葉も思考もとろとろにとろけさせて、ふるふると身体を震わせた。
次の瞬間、俺は射精のように大量のカウパーを溢れさせ、冴崎は腰をガクガクさせて膣から水っぽい何かを垂れ流した。

びしゃっ♥ じょろっ……♥

それは堰を切ったようにだらしなく溢れ出した、冴崎の潮吹きだった。俺の足は、潮と愛液でびちゃびちゃになる。
俺は俺で、カウパーで冴崎のお腹をさらに濡らしていた。
思わず腰を振ると、柔らかいお腹がぴったりとくっつき、ローション塗れのオナホにペニスを擦り付けているような感覚が襲いかかってくる。

ぷぴゅっ♥ ぴゅっ♥

瞬間、ペニスから何かが出た。
射精かと思ったが、どうやらそれは精液ではなく、勢いよく飛び出た大量のカウパーだったようだ。

「んあっ♡ あっ♡ あひ……っ♡ イ、イっちまった……♡ キスだけで、春沢とキスだけでイったぁ……♡」
「……お、俺も、カウパー……めっちゃ出た。なんだ、これ……!」
「どーすんだよこれ……♡ 開始五分でお互い下半身ぐっちゃぐちゃだ……♡ このままあと六時間、あたしら耐えられんのか……?♡ 子作りしないでいられんのかよ……♡」
「う、ううっ……!」
「でもしょうがねーよな……♡ これが第三段階なんだもんな……♡ ……ちゅっ♡ れるぅー……♡ ちゅっ♡」
「さ、冴崎……んっ。んむ……っ」

キスが止まらない。止められない。
お互いの身体を、密着させたまま擦り付けるのも止められない。
挿入しなければ何でもいいのか、シェラナリアは保健室の隅っこで、椅子に座ってぼーっとスマホを眺めている。

俺はもう、既にどうにかなってしまいそうだった。
果たしてペニスの先から出ているのは本当にカウパーなのか、精液ではないのか、垂れ流しになっているのではないか。
挿入してもいないのに、既に下半身がどろどろに溶けているかのようだ。
どうなるんだ、俺は、冴崎は。

───そして、二時間後。

「んふ……♡ あん……♡ ちゅっ♡ んっ……♡」

顔をじっと見つめ合って、たまにキスをする。
俺は横臥姿勢でずっと冴崎に抱きしめられたまま、彼女のされるがままだ。
まるで人間が子犬や子猫を、ぎゅうっと抱きしめて可愛がっているかのような、そんな光景に似ている。
ただそれと違うのは───

「好き……♡ 春沢、好き……♡ 春沢ぁ……♡」

冴崎が底無しの愛情を向けてくる、ということだった。
俺を抱きしめる手はゆっくりと背中を撫で、太い太ももは俺の足腰に絡んで自分の方へと引き寄せる。
冴崎の大きな身体が俺を包み、離さない。
けれどそんな俺も、そこから逃れようとは思わなかった。
密着する肌、吐息、体温、未だにお互い漏らし続ける粘液、何もかもが気持ち良くて、離れたいという感情が生まれてこない。

最初の時とは、幾分か勢いは落ち着いている。
しかし、落ち着いているのに、ギアだけがどんどん上がっていくような感覚がある。
先ほどは何ともなかったのに、冴崎の指が俺の腰に触れるだけで、甘イキしてしまいそうになる。
俺が熱に浮かされたように冴崎にキスをすると、それだけで冴崎は腰をふるっと震わせて大量の愛液も漏らす。
感度だ。感度が異常に上がっているんだ。

───そして、四時間後。

「春沢ぁ……。なあ、春沢ぁ……こっち見ろぉ……」
「……見てる。ずっと冴崎のこと見てる」
「だめだ、もっと、もっと見ろ……、あたしのこと、もっと……」
「もっと……」
「ううっ……、春沢可愛い……。絶対彼氏にする……。あたしの物になれよ……。ちゅ。ちゅっ。なあ春沢ぁ……。子作りする、春沢とセックスする……」
「ん、んんっ……」

やっていることは、二時間前とあまり変わりがない。
けれど、お互いの言葉から余裕が消えていた。切羽詰まっていた。
しかも冴崎はずっとずっとキスを求め続け、既に触れていない時間の方が長くなってしまっている。
たまに俺の方からキスをしてやると、冴崎は嬉しそうに鼻を鳴らして唇を貪ってきた。
俺の全部を喰うと言わんばかりの勢いだった。

そして、不思議なことが起こっていた。
ほんの少し前までは、冴崎の身体から立ち上るにおいは、普通に甘い女の子のにおいと感じるだけだった。
けれども今は違う。
冴崎の甘いにおいは俺のペニスに直接作用するかのように、亀頭を張り詰めさせ、さらに大量のカウパーを溢れさせた。
逆に冴崎は俺のにおいを嗅いで、愛液をさらに大量に溢れさせているようだった。
冴崎はしきりに太ももを俺の身体に擦り付け、まるで愛液ごとマーキングしているかのようだ。
彼女の腰はくねるように、もどかしそうに、快感を得たいと動いている。

これがフェロモン吸い、ということなのだろうか。
オスがメスを欲しがるにおい、メスがオスを欲しがるにおい、それを数時間もかけて徹底的に嗅いだことで、異常なまでに性感が高まっている。
この状態を計測する、ということなのか。

「さ、冴崎……、大丈夫か?」
「大丈夫……、じゃない。なんだよこれ。すんすん……。はあぁー……。お前のにおい嗅いでたら、愛液とまんね……。あ゛ー……、これ無理……。におい嗅いでるだけでも気持ちいい……」
「お、俺も……! 冴崎の甘いにおい、嗅いでるだけでペニスが震えて……あうっ」
「甘い……? あたしのにおい、甘いのか? あたしのにおいが、気持ちいいのか?」
「う、うん……! においが、気持ちいい……!」
「あたしと一緒だ……♡ はあぁ……♡ 好き……♡ なあ好き♡ 好きだぞ春沢ぁ……♡ 好き……♡ ちゅ♡ ちゅぅ……♡ ちゅっ♡ えるえる……♡」
「う、うあっ……! さえ、ざ、き……っ。ん、んっ……!」

まるでそれは、オイルに浸した木材に火を灯すようだった。
におい、フェロモンという名のオイルに浸され、俺達はほんの少しのことで、激しく炎を上げて燃えた。
キスはしている。だが愛撫はしていない、挿入もしていない。
なのにもうオナニーよりも、この前のフェラよりも激しい快感を味わっていた。身体の芯が、性欲と繁殖本能でどろどろにとろけている。
───そして、六時間経過、間近。
保健室の窓から夕日のオレンジが差し込み、夕暮れを伝えている。
ベッドで抱き合う俺達は、お互い体液をこれでもかと垂れ流し続け、もはやシーツはぐちゃぐちゃになっていた。

「春沢ぁ……♡ 春沢、春沢ぁ……♡」
「冴崎……! う、うっ……! 冴崎……!」

どろどろに、思考も身体も混ざり合うような感覚の中で、キスを繰り返す。
そしてお互いのにおいが、混ざり合う。
密着しているせいで、長時間そうしていたせいで、俺達の汗や体液が混ざり合って、凄まじいにおいを放っている。
オスとメスのフェロモン。交尾をねだる、オスとメスのにおいだ。

びゅるびゅるびゅるびゅる♥ びゅーーー♥ びゅるるーーー♥ びゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅる♥ びゅるるるる♥ びゅるびゅる♥

「お、おおぉっ……! うぐ、ぐうぅっ……!」

俺のペニスから何かが出て、冴崎のお腹を汚していく。
精液なのか、カウパーなのか、何もわからない。ただ、とても気持ちいい。

ぷしっ♥ ぴゅるるっ♥ ぷしゃぁっ♥

「あ゛っ♡ あ゛ー……♡」

冴崎も、愛液か潮かわからない物を出している。
俺の下半身が汚れていく。
温かい。でも、それも気持ちいい。

───ピピッ───

その時不意に、スマホのアラームの音が鳴った。
完全に記憶から吹き飛んでいたが、向こうの椅子に座り、退屈そうにスマホを操作していたシェラナリアが、音と同時に立ち上がった。
そして、計測器を装着したスマホを俺達に向ける。

「……お疲れさん。六時間経過だ」
「はー……っ。はー……っ。お、終わった……のか?」
「ああ、そうだぞ春沢。相性を計測するから、二人ともちょっと離れろ」
「ご、ごめん、冴崎が離してくれなくて」
「なに? しょうがないな……」

面倒くさそうに言うと、シェラナリアは俺を抱きしめる冴崎の腕や足をほどいていく。
かなりの力で抱きしめていたようで、俺の身体には真っ赤な痕が付いていた。

「あ、あっ……! やめろシェラナリア、春沢ともっと抱き合ってたい……!」
「だめだ。せめて第三段階を終わらせろ。話はそれからだ」
「くっそ……! 春沢と、離れちゃった……。あーあ……」
「ふう……。面倒な奴め」

ねぢゃあぁっ……♥

引き離された俺と冴崎。
その身体の間に、透明やら、白く濁った液体やらの糸が幾筋も引く。
どうやら知らない間に射精をしていたのか、冴崎のお腹には真っ白な粘液が付着し、とてつもない精液のにおいを放っていた。
溜め込んでいた濃い精液が、全て出てしまっているようだった。

「あ……、春沢……これ、精液か?」
「あ、ああ……、知らない間に、出てたみたいだ……。ごめん」
「謝んなくていーよ……♡ そっか、出ちゃってたか……♡」

そう言って冴崎は、俺の精液を指で掬って舌に乗せる。
しばらく舌の上でれろれろと転がして遊ぶと、ごくんっ……とそれを飲み込んだ。

「精液、うっまぁ……♡ オス臭い……♡ はは、なんであたし、処女のくせに精液大好きになってんだよ……♡」
「ううっ……!」

その姿を見て、俺のペニスは再びいきり立つ。
自分の子種を美味しそうに舐めるメスに、異常なほど興奮していた。

その時、俺達の前にシェラナリアがスマホの画面を見せてきた。
そこには相性度の数値が表示され、まさかの98%と出ていた。

「……正直、どうなっているのか意味がわからん。段階を重ねる度に数値が上がっていくなど、しかも限界値の99%に近づくなど、ありえん話だ。だがお前らの様子を見る限り、フェロモン吸いもどっぷり堪能出来たみたいだな。抱き合うだけでここまで興奮し、イクような奴は、正直見たことがない」

ふーっと息を吐くシェラナリア。
しかしその顔は、どこか嬉しそうだ。

「素晴らしいペアの発見により私の給料が上がりそうなのもそうだが、何よりお前らに興味が湧いてきた。……ひとまず、お前らは現時点では最高のペアと言えるだろう。ただし、カップル……つがいになるかどうか、最終段階をするかどうかは、お前らの意志と判断に任せる。本格的な夏休みに入るまでは、しばらく校内マッチングを手伝ってもらうが、それが終わるまでには答えを出せ。……このような結果、最終段階を義務化するべきところだが、こっちが勝手に計測して勝手にサキュバス作法を継続させていたからな、その猶予は与えてやる」

ありがたい、というかそうしてもらって当然だろう。
しかし一番の問題は、ここまで来て俺は、結局のところ、冴崎とどうしたいのかだ。
あれだけ苦手だった女は、今やファーストキスを交わし、お互いに抱き合うだけで快感を味わうにまで至り、その意識も消えつつある。
ではだからといって、すぐに冴崎を彼女にするのか?
このまま最終段階まで好調に進んで、結婚をするのか?
子供を作るのか?
最高の子作りが出来たとして、それでいいのか?

「……さ、冴崎、あの……!」
「あんま気負うなよ、春沢」
「え……?」
「あたしはお前を彼氏にしたいけど、それは無理矢理って意味じゃねーからな。……ただ普通に、お前にはあたしを好きになってもらいたいんだ」
「っ……」
「ちゃんと答え、聞かせろよな」
「わかった……!」

その一言だけは、俺ははっきりと伝えたのだった。

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