第2話:好かれすぎでは?
「ななっちそれキスマークじゃん!」
「ちゃうちゃう~。あたし肌弱いから、ちょっとかゆかゆで赤くなっただけだって~」
「うっそつけ! それはキスマーク! キスマークですううぅぅ!」
「も~、ゆーちゃん声でっかい~」
朝から繰り広げられる菜々果とその友人のやり取りに、クラスの男子がにわかに色めき立った。
うっかり俺が付けてしまったキスマークを、目ざとくギャルの友人が見つけたのだ。
俺の席で会話をしていた東山は、急にクワっと目を見開き、顎をカクカクと鳴らしている。驚き方が独特だな。
「おっ、おっおっおっ」
「お?」
「おいおいおいおい聞いたか岸見っ……! きっ、きき、キス、キス……!」
「……キスマーク?」
「嘘だ……嘘だと言ってくれ。俺の鳴橋が……」
「いつお前のになったんだよ」
「鳴橋って肌弱かったっけ? そんなにかゆかゆなんだっけ?」
「いや、俺に聞かれても……」
「あー……、もうおしまいだ。おしまいだよ。帰りにマヨ乗せ唐揚げヤケ食いしてやる」
「まあ、強く生きてくれ」
「岸見も付き合えよ」
「やだよ」
彼氏である俺が言うのも何だが、そもそも菜々果ほど可愛い女の子が、いつまでも彼氏がいないままというのもおかしいだろ。
かといって、菜々果に告白されても困るし嫌だけど。
ひとまず俺は、菜々果にお返しと付けられた首筋のキスマークを手で隠した。東山に見られて、悟られてしまっては大変だ。
「それより岸見、お前、”あの人”のことはどうなったんだ?」
「え? あの人?」
急に東山の口から出てきた”あの人”という言葉に、俺は首を傾げる。
「誰……の、こと?」
「ああ、やっぱ忘れてんのか。生徒会副会長の、敷島
しきしま
先輩だよ。あのお尻の大きな美人。この前、放課後に呼び出されたって言ってただろ」
「えっ」
急に、突然、とんでもない言葉が東山の口から飛び出してきた。予想外の内容に身体の動きが止まり、額から一筋汗が落ちる。
同時に、隣の菜々果の耳がピクリと動いたような気がした。
「黒髪ロングで、まさに清楚という言葉がぴったりの敷島先輩、それこそ全男子が憧れる美女だ。岸見が記憶を失う少し前に、確か俺と話してて、急に先輩に呼ばれたからちょっと行ってくるーって言って消えたんだよ」
「え、えっと……東山、俺、生徒会役員だったりする……?」
「いいや? そんなことはない」
「え、ええ……。じゃあなんで……」
「俺が聞きたいっての。どんな繋がりがあるんだよって。てかお前、まさか先輩と付き合って……!?」
「い、いや、まさか……」
と、俺が言いかけたところで、俺の机がガタっと大きく揺れた。
隣の席から菜々果が伸ばした足が、机に当たったのだ。
いや、これ、蹴ったのか?
「あ~、ごめーん岸見くん。足が当たっちゃった~」
「あ、ああ……うん。別に……」
「……ふん」
鼻を鳴らして、そっぽを向く菜々果。
冷気を感じてしまうほどの態度に、東山も「怖~」なんて言っている。
「おい、おい岸見、お前マジで鳴橋に何したんだよ」
「し、知らないって……!」
敷島先輩と俺にどんな繋がりがあるのかはわからないが、まず間違いなくこれだけは言える。
今、菜々果は、俺の恋人は、本気で怒っている。
───その日の放課後。
帰りのホームルームが終わってすぐに、まるで逃げるように、菜々果は無言で教室を出て行った。
OINEに何か通知が来ているわけでもなければ、何かメモを渡されたわけでもない。
完全に何も残さずに、菜々果は帰ってしまったようだ。
俺はぽつんと、一人席で頭を抱える。
「こ、困ったな……。ただでさえ記憶を失ってるのに、その上全く身に覚えのないことを調べようにも……」
OINEの履歴はもちろん、通話履歴、メールも確認してみたけれど、敷島という名前やそれと思しきアカウントからのメッセージは無かった。
何か別のSNSで……とも思ったが、やはりそのような形跡も無い。
これは予想だけど、何かしらの理由で俺と菜々果の仲を詮索されそうになり、その追求から逃れるために出てしまった方便ではないだろうか。
どうもその可能性が高いように思える。そしてほとぼりが冷めた頃に、あれは俺の勘違いだった、と言うつもりだったとか。
そうでなければ、接点すら無さそうな先輩の名前が出てくるわけもない。
困ったのは、それをどうやって菜々果に伝えるか、だ。
OINEのメッセージだと何かしら勘違いされそうだし、それこそ長文になってうざがられそうだし。
かといって追いかけようにもどこにいるかわからないし、下手に探して俺達の仲を疑われるような事態になるのは避けたい。
菜々果の家に行ったことはあるようだが、俺自身がその位置を思い出せない。
「……とりあえず、あそこに向かうか」
ふと思い出したのは、昨日のこと。
菜々果と身体を重ねたあの場所、校舎の外れの和室。
もしかしたら、菜々果はあそこに向かったのかもしれない。
俺は気持ちを奮い立たせて、いざ和室へと向かった。
───誰にも見つからないように和室へとやって来て、おそるおそる扉を開ける。
途端、中からむわっとした熱気が襲ってきた。
慌てて中に入り窓を開けると、部屋にはすぐに涼しい風が入ってくる。
「ふう……。……てか、菜々果はいないのか」
ぐるっと見渡しても人の姿は見えない。
そも、菜々果が先に来ていたのであれば、真っ先に窓が開けられていただろう。
「はー……。まいったな」
俺は肩を落として近くの壁に寄りかかると、そのままずりずりと腰を下ろした。
ひとまずスマホを取り出してみるが、OINEを使うのはやはり良くない。通話も考えたが、上手く伝えられる自信が無い。
やっぱり、菜々果は大事な彼女だし、顔を合わせて話したい。
どうしたらいいんだ、こういう時って。
なんとなくOINEを開く。
そして、これまでの会話を見ながら、ふと思いつく。
「そ、そうだ。メッセージを送って、呼び出せばいいんだ……!」
OINEは使うが、場所を指定して呼び出すだけにして、面と向かって話し合おう。
それなら、きっと菜々果も来てくれるはずだし、俺も言い訳がましく長文を書くこともない。
俺はすぐに、『菜々果今どこ? 和室に来て欲しい』と入力する。
入力するが、既読にならない。
いつまで経っても、既読にならない。
俺が必死すぎて、まださほど時間が経っていないのに、何十分も経ってしまったように錯覚しているのだろうか。
落ち着かず、画面を凝視し、貧乏揺すりを始めたその時───
「……ふんっ」
急に和室の扉が開けられ、購買のビニール袋片手に菜々果が入ってきた。
彼女はむすっとした表情のまま、どすんと荒々しく俺の隣に座ると、ぐりぐりと身体を擦り寄せる。
そして袋の中からイチゴ味のパック豆乳を二つ取り出し、一個を俺に渡す。
「んっ」
「あ……、ありがと」
「……来たんだ。ここ」
「う、うん。だって……、いつも使ってる場所って言ってたから」
「ふーん……」
菜々果はそう言うと、ストローをパックに突き刺し、じゅうううっと吸う。
そして、「ぷはっ」と息を吐いた。
「浮気者」
「んえ゛っ」
「あたしより、美人の先輩の方がいいんだ」
「ちっ、ちちちち違う違う! あれは何かの誤解だって」
「……敷島先輩、美人なんだよね。楚々としててさ、ふわーっていいにおいするし。あたしも憧れちゃうような人だし」
「へ、へえぇ……」
「浮気者」
「だから違うってば!」
俺はそう言いながら、OINEを開いて中身を菜々果に見せた。
クラス用の連絡網、東山、家族、そして菜々果と、碌に登録されていないグループを、全部見せる。
「ほ、ほら見てよ。敷島先輩とのグループなんて無いし、他のSNSでも連絡したりとかしてないし」
「あたしが来る前に消したんでしょ」
「してないしてない! 電話番号もメルアドも知らないし。そもそも、接点とか無いと思うし」
「どうだか。あたしに隠れて、イチャイチャしてるんでしょ」
「本当に無いってば。……だってさ、そもそも俺が病院に運ばれたのは、ほとんどの生徒が知ってるだろうし、もちろん記憶のことだって知ってるはずだろ? 本当に俺が敷島先輩と何かしらの関係があるのなら、今日まで、電話もOINEも実際にも、先輩に会いもしないのはおかしいって」
「……」
「もし会ってたら、きっと今の俺は、敷島先輩に会ったよって菜々果に言うよ。……だって、彼女だし」
俺がそう言うと、菜々果は膝を立てて丸まり、足の間に顔を埋めてしまった。
そして俺に、こてんと身体を預ける。
「……ほんとに浮気してない?」
「記憶を失っちゃったから、はっきりとは否定出来ない。……でも、昔の俺も今の俺も、菜々果を悲しませるようなことはしないと思う」
「うん……、知ってる」
「俺、菜々果だけだから」
「わかる。……ほんとはね、全部わかるの」
「え?」
「幸紀くん、あたしがずっと目で追ってたし、そんな暇無いくらいに一緒にいて、デートしたし。幸紀くんが浮気してないのもわかってる。誰かにあたしとの仲を疑われそうになって、咄嗟に出た嘘だってこともわかる」
「そ、そうか……、うん。なら良かった……」
「てか敷島先輩、実は彼氏いるの知ってるし」
「ええ!? そ、そうなんだ」
「……ごめんね。それでも嫉妬した。意地悪しちゃった」
「いいよ。俺の方こそ、……記憶を失う前の俺だけど、紛らわしいことしてごめん」
「幸紀くん……」
ふっと顔を上げた菜々果。
少しだけ潤んだ目と、僅かに赤く染まった頬。
そんな彼女の顔を見て、また俺は一目惚れでもしてしまったかのように胸が高鳴り、自然にその肩を抱き寄せていた。
「好きだ……、菜々果」
「……あたしも。幸紀くん……」
重なる唇。
俺の肩に手を回して、俺の身体を引き寄せる菜々果。
彼女の口は、ちょっとだけイチゴの味がした。
「ごめんね。ごめん、幸紀くん」
「いいんだ。……俺の方こそ、ごめん。敷島先輩のことだけじゃなくて、その、全部」
「え?」
「もどかしいだろ、俺が記憶を取り戻せなくて。”約束”もすっぽかすような形になっちゃってるしさ。なのに菜々果は俺のことを考えて、ゆっくりでいいからって、恋人やり直しって言ってくれて……」
「っ……」
「そんな時に、東山のあんな言葉聞いちゃったら、怒りたくもなるよな。それがわかっててもさ、そうなっちゃうよな」
「……う~。なんだよ、大人みたいなこと言っちゃってさあ」
「ご、ごめん。なんか説教臭かったか?」
「ううん。……好き。幸紀くん好き」
「んっ」
「……えへへ。好き」
「う、うん」
「幸紀くん好き。好きです」
「あ、あの菜々果、照れるから」
「……全部わかってても、嫉妬するくらい好き」
「菜々果……」
「あたしね、本当に幸紀くんがいないとだめみたい」
「光栄です」
猫みたいに、身体をぐりぐり擦り寄せてくる菜々果。
片時も俺の傍を離れないと言っているかのようだった。
でも正直、今の言葉がよく出せたなと、自分でも思う。
今の俺は明らかに自分のことで精一杯で、他人のことを気遣ってあげられる余裕なんて無いはずなのに。
なのに俺は今、菜々果の立場になって言葉をかけてあげられた。
もしかしたらこれは、記憶を失う前の俺が、普段から彼女の立場に立って気遣っていたのが、身に付いているからではないだろうか。
なんとなく、そんな気がした。
「……よし!」
と、不意に菜々果は立ち上がり、ぽんぽんとお尻を叩いて埃を落とす。
「それじゃあ、あたしん家行こうか」
「え? ま、また急だなあ……」
「今日はさ、お父さんもお母さんもいないんだ。一人でお留守番は怖いし、大好きな彼氏くんにいて欲しいな~……って?」
「一人……」
「幸紀くんを嫌な気分にさせた、お詫びもしたいですし」
「そ、そんなことないけど、そういうことならしょうがないな」
「やった! だから幸紀くん好き~」
俺はにやけ顔を隠すように、渡された豆乳を飲む。
そんな俺を見て、にひひっと笑う菜々果が可愛かった。
───菜々果の家は、駅近くの大きなマンションだった。
入口はオートロックになっていて、一人だからってそもそも俺の警備が必要なのかというくらいの場所。
一人でお留守番が怖いというのは、きっと口実なのだろう。
玄関では、だんごがもの凄い勢いで俺を歓迎してくれた。
飛び回るわお腹を見せるわ、まさに大騒ぎだ。
俺はだんごの頭を撫でたり、顔をもちゃもちゃしたり、思いきり可愛がってやった。
部屋に入ると、そこは大きな4LDKで、内装も豪華だ。
ちょっとお金持ち感のある雰囲気に、俺は圧倒されてしまう。
菜々果は俺の荷物を受け取ると、冷房のスイッチを入れつつ、リビングのソファに置いてくれた。
リビングに置いてあるテレビも大きい、何インチあるんだこれ。
「あはは、幸紀くんキョロキョロしすぎ~。何回も来たことあるじゃん~」
「い、いや、この場所の記憶も消えちゃってるから……」
「そっかそっか。それじゃあ、初めてのお客様って感じで対応しようじゃないか」
「ありがと……助かる」
「はいそれじゃ幸紀くん、こっちこっち」
「えっ? あ、あの?」
俺はニコニコ笑顔の菜々果に背中を押され、何故かお風呂場に連れて行かれる。
そして脱衣所の戸を締めると、菜々果はいきなり制服を脱ぎだした。
「ちょっ!? 菜々果さん!?」
「も~、なに驚いてんの。セックスだってしちゃってる仲なんだから」
「いやっ、でもっ」
「一緒にお風呂入ろうよ。全身あわあわ、ちゃぷちゃぷ、あたしの身体で洗ってあげますよ、お客様~♡」
「よろしくお願いします」
「あはは、素直~♡」
笑顔の菜々果は、どんどん脱いでいく。
ブラを外すと、ぼるんっと大質量の巨乳が零れ落ち、スカートとパンツを脱ぐと、割と太めの太ももと、しっかり大きなお尻が現れた。
しかしそれにしても、その胸の大きさよ。
俺の視線に気付いたのか、菜々果は手を後ろで組むと、少し身を屈めて俺の顔を覗き込んだ。
下に向かって垂れ下がった大きめ乳輪の胸は、だゆんっと重たげに揺れていた。
「んふふ♡ 彼氏くんは記憶を失う前も失った後も、あたしの胸に釘付けだね~?♡」
「アッ……ス。サーセン……」
「遠慮しないで、もっといっぱい見ていいんだよ♡ ほらほら、トップは100センチで~す♡」
「ひゃく……っ!」
ゆさゆさと、100センチの胸をわざと揺らしながら俺に近づく菜々果。
重たげな巨乳と、甘いイチゴのような香りと、そしてそれとはまた違った、漂う女の子のにおい。きっとそれは、菜々果の体臭。
遺伝子そのものが刺激される、嗅いだだけで一瞬で勃起してしまうようなにおい。
途端、俺の身体は素直に反応し、あっという間に全裸になっていた。
そして、菜々果のにおいで勃起したペニスを、彼女に見せつける。
「うっわ、すご……♡ こっちは20センチ近くありそうな大物だ♡」
「は、測ったことはないから、わかんないけども」
「むふふ♡ これはいっぱいおもてなししないとですな~♡」
つー……っと、菜々果の人差し指が裏筋を撫で上げる。
ペニスはその感触に反応し、びくんっと跳ねる。
「あー……♡ すっごい元気……♡ かっこいいな~……♡」
「あのさ、ほんとに大丈夫? お家の人が帰ってきて、こんなとこ見られたら……」
「大丈夫大丈夫。ほんとに今日は二人とも帰ってこないから。……てか、もし帰ってきたとして、二人でお風呂入ってるとこ見られても、何も言わないと思うよ」
「えっ?」
「いいからいいから、早く入ろ~」
気になる言葉を言って、菜々果は俺の手を引いてお風呂場に入る。
湯船にお湯を張りつつ、シャワーを出して、手でボディーソープを泡立てると、俺を手招きした。
「ささ、どうぞどうぞ♡」
「……お、お邪魔します」
「はいはい~♡」
まず軽くシャワーで汗を洗い流すと、俺の正面から、ソープの泡をもこもこと胸から身体に塗り広げていく。
塗り広げながら揺れる胸に、ついつい目が向かってしまう。
たぶんこうして、俺と菜々果は何度もお風呂に入ったことがあるのだろう。
彼女の手は、まるで俺の身体のことなんて全部わかっているとばかりに、弱いところをくすぐりながら泡を広げていった。
「ちんぽもおっきいけど、胸板も結構厚いよね~……♡ ほら、二の腕もこんなに太くてさ~。男の子って感じ♡」
「え、ええ? そ、そう?」
「幸紀くんがあたしのおっぱい見て”ここ”をおっきくしちゃうみたいに、あたしも逞しい幸紀くんの身体見て、ドキドキしちゃう……♡」
言いながら、泡の付いた手で菜々果が俺のペニスに触れる。
そっと優しく手で握りしめ、ソープを潤滑油にして、優しくゆっくり擦り始めた。
ぬちっ♥ ぬちっ♥ ぬちっ♥ ぬちっ♥
「わ~……、ふっと……♡ すっごいね、幸紀くんのちんぽ……♡」
「な、菜々果っ……!」
「ね、あたしのも触って? 幸紀くんの身体を見て興奮したあたしの身体、確かめて」
俺は言われるがまま、菜々果の膣に手を伸ばす。
するとそこは、触れてもいないのに、ねっとりと粘ついた愛液が溢れていた。
指で小陰唇をなぞるように上下させると、ねちゃねちゃと粘液質の音が響き、少し手を離すと、長い粘液の糸が引いていた。
「菜々果のおまんこ、ぬるぬるだ。ほら、ねちゃねちゃ……って」
「幸紀くんがお家来ると思って、そんで幸紀くんの身体見て、……ちんぽも見て、興奮しちゃった……♡」
「可愛い……、エロくて可愛い」
「恥ずいって~♡ そゆこと言うな~♡」
「ほんとに可愛い。可愛いよ菜々果」
「ん~……、じゃあキスして」
「菜々果……」
そっと顔を近づけ合って、唇を重ねる。
舌を伸ばして、絡め合う。
「れりゅ……♡ ちゅっ♡ ちゅ♡ れりゅれりゅれりゅ……♡ んぅ……♡ ちゅっ♡ れりゅれりゅ……♡」
「んん……っ。菜々果……、可愛い。好きだ、好き」
「そんなこと言われたら、もっと好きになるじゃん♡ ちゅっ♡ ちゅ……♡」
「だって、好きなんだ……菜々果」
「あたしも好き……♡ れりゅぅ……♡ ちゅっ♡」
唇を重ね、舌を絡め、ペニスを扱かれ、膣をかき回して、お互いを愛撫し合う。
ペニスの先端からはとろとろと我慢汁が溢れ、菜々果の膣からは愛液がとろー……っと床にまで垂れ、腰を震わせていた。
快感のせいで、足腰が立たなくなりかけているらしい。
「菜々果、湯船に入ろうか」
「ん……♡ このままだと、崩れ落ちちゃいそうだし♡ 幸紀くんに弄られてると、あたしすぐに気持ち良くなっちゃうからな~♡」
「そっか」
そんな言葉に嬉しくなりながら、二人で湯船に入る。
先に俺が腰を下ろして、俺の足の間に菜々果が入る。
俺は手を伸ばして、菜々果の湯船にぷかぷかと浮かぶ巨乳をもにゅもにゅと揉むと、菜々果はペニスに背中を押し付けて刺激してきた。
「は~……、幸せ♡」
「うん。おっぱい柔らかい……」
「ちゃうちゃう~。幸紀くんとこうやって、一緒にお風呂でまったり出来るのが嬉しいんだって」
「あ、そっか……。き、気が利かなくて……」
「あはは。いいよいいよ、そゆとこも幸紀くんらしいよ」
菜々果がそう言うからには、俺は昔からこうなのだろう。
こんな可愛い彼女がいるんだから、もっとスマートにいきたいところなのだが。
でも、その彼女がいいと言ってるのなら、ひとまず、記憶が戻らないうちは、甘えさせてもらうことにしよう。
でも記憶、記憶か。
俺はいつになったら、記憶が戻るんだろうか。
「……菜々果、聞いてもいい?」
「うーん?」
「俺と菜々果って、どうして仲が悪かったんだ?」
「あ、それ聞いちゃう?」
「うん……、記憶を取り戻したいっていうのもあるけど、やっぱり気になって。とりあえずそこだけ」
「そっか~……。……あはは、どうしよっかな」
俺に身体を預けながら、苦笑する菜々果。
どこか、はぐらかすとまではいかないけれど、言いづらそうな雰囲気。
「……ごめん。言いづらい?」
「言いづらいってほどでもないんだ。ただ、どこから話そうかなって」
「どこから?」
「うん。そうだな……、えっと……あたしね、昔はね、ちょっとだけ悪い子でさ。だから幸紀くんに八つ当たりしてたんだ」
「八つ当たり……」
「あはは……。あたしはこんなに不幸なのに、どうして幸紀くんは、そんなに幸せそうなんだろーって」
「不幸……、幸せ……」
瞬間、何かの映像と声が頭に浮かぶ。
ブロックノイズで乱れた、ぼんやりとした映像の中に、怒りの表情を向ける菜々果の姿と声があった───
『は? 話しかけてこないで』
『あたしのことなんかどうだっていいでしょ』
『そんなの岸見くんに関係ある?』
『うるっさい! あたしのことなんて、何も知らないくせに!』
『岸見くん見てると、イライラする……っ』
『ついてくるな! 鬱陶しいの!』
「ぐっ……!?」
ズキっと頭に、鋭い痛みが走る。
一本の針が、神経を傷付けながら、脳を貫通したかのような痛み。
「うあ、あっ……! 痛っ……!」
「え? ち、ちょっと幸紀くん、大丈夫? 頭痛いの?」
「あ、ああ……、ちょっと……だけ」
「いいよ、もういいよ。無理して思い出さなくてもいいから。……ね? ゆっくり、ゆっくりにしようよ」
「うん……、そうする」
今の映像は何だったのだろうか。
間違いなく俺の記憶、おそらくは菜々果と恋人になる前の記憶だろう。
剥き出しの敵意を、隠すことなく向けてくる菜々果。相手を突き放し、自分に近づくものは全て傷付けるといった風で。
ただそれは、何故か、どこか、脅えた子猫が向ける威嚇に似ていると思った。
「つらいことは、もうおしまいにしよ? ……ここからは、いいこと♡」
「いいこと?」
「気持ち良くてエッチなこと、しようよ……♡」
菜々果は身体を動かし、身体ごと俺の方を向いた。
俺の首に手を回して抱きつき、膝の上に乗って対面座位の格好になると、そっと優しくキスをする。
「ちゅ……♡ ちゅっ♡ ねえ幸紀くん、ここでしちゃお……♡」
「ここで? でも、コンドーム……」
「いらない……♡ 恋人のやり直し、コンドーム付きの童貞卒業は終わったし、次は初めての生ハメしよ……♡」
にゅるぅ……っとペニスに菜々果の股間が押し付けられる。
湯船の中で、ぷっくりぷにぷにと充血した大陰唇、その奥にある愛液に塗れた小陰唇が、ぬるぬると勃起した竿の裏側を擦った。
唇も、胸も、身体も、全て俺に擦り付けてきて、全力でメスをアピールしている。
オスの俺に種付けさせようと、とっくにその気になっているペニスを奮い立たせ、最後の砦の理性を崩そうとしている。
「生、きもちーよ……♡ 前もね、あたし達生ハメが気持ち良すぎて、すぐにコンドームいらなーいってなっちゃったんだよ」
「そ、そうだったんだ」
「うん。一度生でやってみようよって、あたしが安全日調べてさ、試しにしてみたの。そしたら、ただでさえ相性良かったのに、生だともっと相性良いのがわかってさ……♡ あたしも幸紀くんも、何度もイっちゃって、終わった時にはベッドぐちゃぐちゃ……♡ おまんこから精液ごぽごぽ溢れてるのに、まだ幸紀くん勃起してて……♡」
「そんなに」
「うん♡ それからはずっと生、コンドームなんてしたことないよ♡ ……お互いの粘膜くっつけあって、ぬるぬる……、ぬぽぬぽ……、ぐちゃぐちゃ……って、好き好き言い合いながらの、オスとメスの交尾してた……♡」
菜々果が俺の耳に口を寄せて、ぽそぽそと語りかけてくる。
熱い吐息を吹きかけながら、俺の性欲を滾らせてくる。
俺はそんな可愛い恋人の誘惑に抗えるわけもなく、自然と彼女の身体を抱きしめて引き寄せていた。
そして激しくいきり立ったペニス、その赤黒く膨らんだ亀頭で、僅かに腰を動かして素股のように擦る。
時折、裏筋がクリトリスに当たり、二人揃って身体を震わせた。
「あっ♡ あはは、幸紀くんヤる気満々だ~……♡ ちんぽかっこいい……♡ ちゅっ♡れりゅれりゅれりゅ……♡」
「あの、菜々果、今日は……えっと、安全日?」
「ん~? えっと……、どうだったかな~……♡」
「ええ……」
「……出来てもいいよ?♡ 幸紀くんはまだかもだけど、あたしはとっくに覚悟出来てるし♡」
「ごくっ……」
「幸紀くんもさ、ただ気持ちいい~って射精するより、大好きな女の子のお腹をぽっこりさせちゃうような、孕ませちゃうような射精の方が気持ちーよ……♡」
菜々果がそっと腰を上げて、亀頭の先端を膣口にあてがう。
ぷっくり膨れた亀頭は、エラの部分がぶ厚く広がり、挿入を阻む。
「え~……、なにこれ~……♡ めっちゃ亀頭おっきくなってるんですけど♡ ちょっと腰落としたくらいじゃ、おまんこに入らないじゃん♡」
「ご、ごめん。興奮しすぎて……」
「あたしと子作りしたすぎ♡ 幸紀くんの身体は、あたしに赤ちゃん産ませたいーって思ってるんだ♡」
「か、かも?」
「白状しろ♡ もう逃げられないぞ♡」
ぐぐぐ……っと腰を落とす力が強くなる。
先端の鈴口は膣口に埋まり、徐々に亀頭全体が、ぬるぬるの膣肉に包み込まれそうになっていく。
「じゃあこう聞こうか。……幸紀くんは、あたしと赤ちゃん作るの嫌ですか~?♡」
「ひ、卑怯だ、そんなの……! す、好きな人とだったら、嫌のわけないっ……!」
「したい?」
「……したい」
「うん♡ あたしと生ハメ、しよ……♡」
菜々果が腰をさらに落としながら、キスをねだる。
俺はもう、それを受け入れることしか出来なかった。
「赤ちゃん出来ちゃうようなエッチ、しよ……♡ ”こーくん”……♡」
「っ……!」
ぬるるるる……♥ にゅぷんっっ♥
亀頭のある一点を越えた瞬間、ペニスは一気に菜々果の奥に飲み込まれた。
カリ首の段差が膣肉を、Gスポットを抉りながらかき分け、鈴口はすぐに、すぐそこまで下りてきていた子宮口に突き当たった。
膣内の襞は、まるで待ち焦がれたかのように俺のペニスに密着し、纏わり付く。
それは何度も味わい、知り尽くされたかのように、俺専用の膣として迎え入れてもらっているかのような感覚だった。
「あ゛ああああああぁぁっっっ……♡♡♡ いっ♡ んっ♡ んにゃあ゛ぁっっ♡♡」
「うあ、あっ、うあっ……!」
俺と菜々果はお互いに抱きしめ合い、生ハメの感触に身体を震わせた。
同時に、お湯とはまた違った液体が菜々果から吹き出し、お腹に当たったように感じた。
「ごめっ、ごめん……♡ 軽イキ、しちゃってぇ……♡ 潮吹いちゃった……ぁ♡」
「……菜々果、可愛い。ちゅ」
「ひにゃっ♡♡ 耳キスやだぁ♡ だめ♡ やあぁ……っ♡」
「動くよ、菜々果」
ぬぷっ♥ ぬぷっ♥ ぱちゃっ♥ ちゃぷっ♥
菜々果の柔らかくて大きめなお尻を持ち上げ、ゆっくり上下させる。
ペニスから響く膣内を抉る音と、腰を動かすことで揺れる水面の音が聞こえる。
カリ首がぞりぞりと膣肉を抉るように擦る度に、菜々果は甘い声で息を漏らし、俺のペニスにもさらに血流が流れ込んで大きさを増した。
みっちりと、ペニスと膣が、触れ合っていない部分が無いくらいに。
「あうぅっ♡ んにゃっ♡ あっ♡ あっあっ♡ おっ、おっきぃよぉ……♡ こーくんのちんぽ、おっきくて、気持ちいい……♡」
「そ、その呼び方っ……!」
「えへへ♡ ちんぽにキちゃう?♡ びくびくーって?♡ 中で跳ねてるよ~……♡」
「なる……! ちんぽ大きくなって、もっと菜々果の奥、突きたくなる……っ!」
「いいよぉ……♡ もっとして♡ こーくん、生ハメ♡ もっとしよ♡ もっと♡」
ぶちゅううううぅぅ……っ♥ ぢゅぷっ♥ にゅぷっ♥ ぢゅうっ♥
水の抵抗が大きくて、自然と俺達の動きは、腰を上下させるのではなく、押し付けたままグラインドさせるようになっていく。
必然、鈴口と子宮口は熱いディープキスを交わす。
子宮口は鈴口から我慢汁を吸い上げて、美味しそうにごくごくと飲んでいる。
「あ、あっ♡ やっ♡ お腹にぎっしり詰まってる♡ こーくんのちんぽ、いっぱい詰まってるよ……♡ んあっ♡ にゃっ♡ そんなぐりぐりしちゃやだぁ♡ だめ♡ だめだって……あっあっあっ♡」
「凄いな……、生ハメ。こんなの、もう二度とコンドーム着けられない。ちんぽがとろけて、おまんこと混ざってるみたいだ……!」
「あはっ、あははっ♡ でしょ?♡ こんなに気持ちくて、相手の体温伝わって、とろとろに混ざり合って……♡ こんなの、赤ちゃん作りたくなっちゃうでしょ♡」
「で、でも……!」
「んぅ……♡ だーめ♡ もう逃がさない♡ ……出して?♡ あたしのおまんこ、子宮の中に、そのまま出して♡」
「菜々果っ……!」
れろれろと俺と舌を絡めつつ、足を腰に絡めてしがみつく菜々果。
中に射精するまで絶対に離れない、絶対に中に出させてやるという意思表示。
実際俺のペニスも、記憶を失う前の、何度も菜々果の中に出した記憶を思い出しているのか、何の歯止めも効かないまま奥に射精しようとしている。
そもそもが無理な話だったんだ。
菜々果という可愛い彼女とお風呂で抱き合って、あなたが好きと何度も囁かれ、あなたの赤ちゃんが欲しいとおねだりされて、これでどうやって我慢しろっていうんだ。
「ねーえ、こーくんこっち見て♡ こっち♡ あたしの顔♡」
「な、菜々果……っ」
「ねえ、好き? あたしのこと、好き……かなあ?」
「好き……。菜々果が好き、好きだ……っ」
「んふ♡ その顔知ってるよ?♡ とろーんってとろけた、気持ち良すぎて、あたしが大好きで。今にも射精しちゃいそうな顔♡」
「う、うんっ、出る……! 出そう……!
「やっぱり、前よりちょっと早くなってる♡ 記憶失って、あたしの身体への慣れがリセットされちゃってるんだ♡」
「そ、そう。だから、もう出そうだから、あの……!」
「だーめ♡」
嬉しそうに、菜々果は俺に全体重を預ける。
上半身も、腰も、重たいお尻も、全部。
突き上げていた子宮口、そのさらに奥深くに、亀頭が埋まった。
「あ゛っ♡ あー……♡ あはは……♡ ねえほら、こーくんもあたしの顔、もっと見て……♡」
「う……?」
「この顔、覚えて……♡ こーくんのこと大好きで、大好きすぎて、赤ちゃん欲しい、欲しくて欲しくて、ずっと傍にいたいって思ってる、女の子の顔……♡」
「菜々果……」
「”あたしの全部を取り戻してくれた男の子”と、早く赤ちゃん作りたい女の子の顔……♡」
「っ……!?」
ざらっと頭に流れる、ブロックノイズだらけの映像。
その向こうに、微かに見える、菜々果の笑顔。
その笑顔は、すぐに、目の前の菜々果の笑顔に上書きされた。
「妊娠させて……♡」
「う、あっ……!」
ぶびゅっ♥ ぶびゅるっ♥ びゅーーーーーっ♥ びゅーーーーーっ♥ びゅーーーーーっ♥ びゅるるるるるるるるるるるるるるっ♥ どぷっ♥ どぷっ♥ ぶびゅるるるるるるるるるるるるるるるるっ♥
菜々果の言葉に、膣肉の蠕動に、子宮口の吸い付きに、精液は一気に、導かれるように吐き出された。
隔たりの無い生の粘膜に、俺はそうすることが当然のように、腰をさらに奥へと押し込めるように、菜々果の子宮めがけて精液を注ぎ込む。
彼女の安産型のお尻を抱え込んで、孕め孕めと注ぎ込む。
「熱っつ……♡♡ お湯より熱いのきた♡ きちゃった♡ あっ♡ んにゃあああああああああああぁぁぁっっっ……♡♡♡ うあっ♡♡ にゃっ♡ うっ♡ んうぅっ♡ 生ハメ中出し♡ 気持ちいいっ♡ こーくん、気持ちいいよ♡♡」
「菜々果……菜々果っ。ああ、あ……っ! 気持ちいい……! 菜々果に種付け、おまんこに中出し、気持ちいい……!」
「そうっ♡ そうだよ♡ これがあたしたちのセックス♡ 赤ちゃん作る交尾♡ ずっとこうしてたんだよ♡ こうして、赤ちゃん作りたいねって中出ししてたの♡」
「うううぅぅっっ……!」
びゅーーーーーっ♥ びゅーーーーーっ♥ びゅるるーーーーーっ♥ ぶびゅるるるるるるるるるるるるるるっ♥ どぷっ♥ どぷぷっ♥
「あ゛ー……っっ♡♡ まだ出てる、出てるぅ……♡ あたしのおまんこの奥、どくどくちんぽ跳ねて、重たい精液詰め込んでる……♡ こんなの出来ちゃう♡ すぐ出来ちゃうよ……♡ うあ、あ゛っ♡ てか、ほんと重い♡ マジ凄いねこれ♡ そんなにあたしのこと、妊娠させたかったんだ~……♡」
「うっ、うああっ……! 菜々果、菜々果っ……!」
「あはは♡ 中出しの感覚に夢中になっちゃって♡ ……いいよ、もっとあたしとの子作り楽しんで♡ そんで……、いつかちゃんと、危険日に生ハメ中出ししようね……♡」
俺は菜々果の身体を引き寄せたまま、気持ち良く精液を吐き出し続けた。
とろけるような気持ち良さを感じながら、菜々果と唇を重ねる。
「んう……♡ こーくん、好きぃ……♡ ちゅっ♡ ちゅ♡ れりゅれりゅれりゅ……♡ ちゅっ♡」
「んっ……、菜々果……、菜々果ぁ……」
俺達はそのまま、ゆったりと湯船に浸かってイチャついていた。
膣から溢れた精液が、ぷかぷかと浮かんで来るまでは。
───お風呂から上がって、俺達はリビングのソファで涼んでいた。
そっと寄り添って、なんとなくスイッチを入れたテレビを眺めながら、「これもおもてなし」と言って渡されたスポーツドリンクを飲む。
人の家なのに、どこか落ち着く。
整髪料の落ちた俺のくせっ毛を、菜々果がちょいちょいと触って遊んでいる。
なんだか猫が、猫じゃらしで遊んでいるようで、面白かった。
俺も、俺の足元で寝ているだんごを、そっと撫でてあげた。
「……愛してるって、なんか陳腐かなーって思ってさ」
「え?」
「だからずっと、こーくんには好き好きって言ってたんだけど、たまにそれだけじゃどうしようもないくらい、好きが爆発しちゃうことがあって」
「うん」
「それが今。……好きで、好きで好きで、大好きだから、愛してる」
「俺、まだ記憶戻ってないよ?」
「記憶戻ってなくても、こーくんはこーくんだってわかったから。……何も変わらない、あたしの大好きなこーくん。だからもう、幸紀くんじゃなくて、こーくんって呼びたい。てか呼んでる」
「そっか……」
「愛してます」
「て、照れるなぁ」
「赤ちゃん産みたいくらい、愛してる」
「は、はは……、そんなに?」
「あはは、こーくんはもうちょっと自惚れてもいいよ。こーくん、記憶を失う前は、その点は絶対の自信を持ってるって感じだった」
「え。マジ?」
「マジマジ。だから自信持って、あたしに愛されろ♡」
「はは……、好かれすぎだな」
そして、ふと考える。
こうして好きと言ってくれる子は、過去に俺と何があったのか。
早く思い出してあげたい。今のままでもいいと言われても、彼女のためにそうしてあげたかった。
「こーくん、お夕飯何にする?」
「え? 作ってくれるの?」
「得意だよ~? カップ麺」
「は、ははは……」