第4話:年上の友達
「……よう、まさかこんなとこで会うとはな。久しぶりじゃん」
俺の目の前に現れた、その人物。
金髪、色黒、肉付きのいい身体、百八十以上はあろうかという高身長、ジャラジャラとあちこちに着けられたアクセ、痛々しい耳ピアス、腕に見える龍のタトゥー。
見るからに、チャラくて危なそうなお兄さんといった風の男。
彼は、じっと俺を見つめている。
思いも寄らないどころか、全くの予想外だ。
誰だ。目つきが怖い。俺に何か用なのだろうか。
そんな言葉が頭の中をぐるぐる回る中、彼は急に屈託の無い笑顔を向けると、再び口を開いた。
「はは、元気そうで何よりだ。……今日は一人か?」
「へ……、は? あ、あの」
「ああそうだ、せっかく会ったんなら何か食いに行こうぜ。俺、奢るからよ」
「え、ええ……!?」
「遠慮すんなって。それくらいさせてくれよ。な?」
俺は戸惑いながら、お兄さんについていくしかなった。
───俺はお兄さんに連れられて、街中のお洒落なカフェを訪れていた。
綺麗に着飾ったお客さんが多くて、なんだか場違いな雰囲気だ。
「すんませーん、俺、ブレンドアイスコーヒーお願いします。……お前は何にする? 奢りなんだから遠慮すんな」
「へっ!? あ、あのっ、じ、じゃあ……この、アイスティーを……」
「なんか食うか? サンドイッチとか」
「い、いいええ。結構です」
愛想笑いをしながら、対面の席に座るお兄さんに答える俺。
自然に額を流れてきた汗を、おしぼりで拭う。
それで、どうやら俺は、このお兄さんと面識があるらしい。
けど誰なんだ。見覚えが無い。少なくとも、記憶を失ってからは会ったことがない。
やはり記憶を失う前の知り合いなのだろうか。だとしても、もうちょっと人を選んだらどうなんだ、記憶を失う前の俺。
妙な威圧感を感じてしまい、カタカタと足が貧乏揺すりを始めていた。
やがて店員のお姉さんが、アイスコーヒーとアイスティーを持ってくる。
お兄さんは、コーヒーの中にガムシロップを入れながら、口を開いた。
「で?」
「へ、は、はいっ」
「彼女とは上手くやってんのか?」
「か、彼女……って」
「茶髪ボブのあの子、菜々果ちゃんだよ。彼女にしたんだろ? お前が、”俺から奪い取った女の子”じゃねーか」
「ええええ!?」
俺は思わず大声を出して立ち上がってしまった。
菜々果をこのお兄さんから奪い取ったというのは、どういうことなのだろうか。
「おいおい、なんだ、どうしたんだよ。今の会話で慌てるとこあったか?」
「い、いやっ……あの、すいません。ごめんなさい」
「あの子と何かあったのか?」
「いえ、違うくて。そうじゃなくて、むしろ問題なのは俺の方……というか。実は俺、頭を強く打って記憶を失ってしまって……。まだ記憶、戻ってなくて」
「……マジかよ」
「マジ、です。だから……その、菜々果が彼女だってことはわかるんですけど、お兄さんが誰なのかわかんないですし、俺から奪ったっていうのも……全然」
「そうか……、そうだったのか。そりゃ大変だったな」
「すいません……。……そのせいで、菜々果にも迷惑をかけちゃって」
「後遺症とかはないのか? 手や足の痺れは?」
「それも大丈夫です。生活には別段影響は……」
「そりゃ良かった。何かあったら気軽に言ってくれや、力になる」
「あ、ありがとうございます」
頼もしげに微笑んでくれるお兄さん。
見た目に反して、俺を本当に気遣ってくれている。見た目に反して、いい人のように思えた。見た目に反して。
途端、それまであった彼への苦手意識のような物が、少しだけ消えていった。
「俺の名前は、津田
つだ
だ。そっちは……、確か、岸見って菜々果ちゃんが言ってたな」
「は、はい。岸見……、岸見幸紀です」
「そうか。じゃあ幸紀、まず聞いときたいんだけど、その様子だとお前は、菜々果ちゃんから俺との関係や、何があったかまでは聞いてないな?」
「え、ええ……。ただ、菜々果が黙っているわけじゃなくて、急に思い出そうとすると頭痛がするので、段階的にゆっくり思い出した方がいいって言ってるだけなので……」
「頭痛か」
「はい。けどもう、そこまで酷い頭痛ではなくなっている感じで……」
「なるほどな。……そんじゃ、俺のことを話しても大丈夫かもな。忘れたままじゃ不便だろ」
そう言って、津田さんはアイスコーヒーをごくっと飲む。
喉を潤し、そして、改めて俺を見た。
「俺が知っている部分を、今からお前に全部話すわ。……頭痛が酷くなったら言ってくれ。すぐに話すのをやめる」
「わ、わかりました……!」
「……俺さ、まあ見ての通りかもしれんが、女の子大好きでさ。ナンパしたり、セフレも何人もいたりするわけ。今日もこれから、ナンパしに行こうとしててよ」
「あ、そ、そっすか……」
「そんで、もちろんそれだけじゃなくて、”買い”もやってんの」
「え……」
瞬間、ずぐんっと心臓が沈んだ。
跳ねた、じゃない。重たい何かが一気にのし掛かって、沈んだ。
嫌な予感が、想像したくもない予感がしたからだ。
「”売り”がいるなら”買い”もいるだろ? 菜々果ちゃんって、俺のセフレから紹介してもらった、売り希望の子だったんだよ」
「な、菜々果……が」
「……頭痛は?」
「な、無い……です、けどっ……! で、でも、菜々果がそんなこと……!」
「まあ最後まで話を聞けって。てか、記憶を失う前のお前は、”それも含めて全部知っている”んだからな?」
「あ……っ」
その通りだ。
記憶を失う前の俺は、津田さんと面識がある。それは即ち、彼と菜々果の関係も俺はとっくに知っているということだ。
俺はその上で、菜々果と付き合うことを選んだんだ。
それに、菜々果だって言っていたじゃないか。
菜々果の処女を奪ったのは、俺だって。
落ち着け。慌てるな。取り乱すな。深呼吸しろ。俺。
「俺は菜々果ちゃんがどういう子かは知らなかった。紹介してもらって会った感想も、”ずっと俺と目を合わさずに、つまらなそうに舌打ちばかりするおっかない子”……って感じだった」
「舌打ち……? おっかない……? 菜々果が……?」
「ああ、可愛い子なのにもったいねーって思ったさ。……まあ俺としちゃ、気持ちいいこと出来ればそれで良かったからな。抱き心地良さそうな、いい身体してたしよ?」
「う……っ」
「はは。だから菜々果ちゃんを連れて、ラブホに向かおうとしたんだ。そしたら……」
「そしたら?」
すると不意に、津田さんが自分の頬を指差した。
左頬の、真ん中あたり。
「突然現れた元気のいい男子学生がよ、俺に思いっきりタックルかましてきて、ここ地面に打ち付けたんだわ」
「へえ……、それは災難でしたね」
「はは、何言ってんだよ。お前だよお前」
「え゛っっ」
「お前に不意打ちされて、為す術も無く吹っ飛んだってこと」
「そ、そんな、俺が……っ!?」
瞬間、針を突き通すような頭痛がした。
それと同時に、ややブロックノイズが晴れた映像が頭に流れる。
彼を、津田さんにタックルした俺と、驚き、呆然とする菜々果の姿が。彼女の顔がすぐに怒りに塗り潰され、吐き出されたその声と一緒に───
『だめだろ鳴橋さん! こんなことしてちゃ!』
『うるっさい! あたしのことなんて、何も知らないくせに!』
『知ってるって! 知ってるからこそ止めに来たんだよ! つまんない反抗心で、取り返しのつかないことしようとするな!』
『ふ……っざけんな! 岸見くん見てると、イライラする……っ』
『いいから帰ろう。早く。今すぐ』
『ついてくるな! 鬱陶しいの!』
「ぐ、あっ……!」
「……おい、どうした幸紀。頭痛か? そうだな?」
津田さんが、慌ててアイスコーヒーの中に入っていた氷を取り出し、それをおしぼりで巻き、俺の額に当ててくれた。
ひんやりした氷の冷たさで、少し頭痛が和らぐ。
「大丈夫か? 酷いようならそこに寝て……」
「……い、いえ、大丈夫です。ありがとう……ございます。津田さん」
「ああ、大丈夫ならいい。無理すんな」
「すいません……」
「何か思い出したのか?」
「はい。全部……では、ないですけど。……ごめんなさい、改めて謝ります。”加減しないで思いきりタックルして”しまって」
「……はは。ああ、そうだよ。マジの本気でやりやがって」
「その後も、むしろ”菜々果を連れ戻す手伝い”までしてくれて。俺、ボコボコにされても文句言えなかったのに」
「なに、どんな手を使ってでもこの子を連れてくって勢いのお前を、男として、すげえ奴だなって思ってよ。……その後、菜々果ちゃんを紹介したセフレから、彼女とお前がくっついたっぽいって聞いたんだ。上手くやったようだな」
「ええ……。……でも、その後のこととか、何があってそうしたのか、まだ上手く思い出せなくて……」
「まあ慌てなくていいだろ。今日はここまでにしておこうぜ、ゆっくりやれよ」
そう言いながら、津田さんは名刺を取り出した。
名刺は、それはショップカードで、街中にあるトレーニングジムの名前が書いてあった。
「俺、そこでインストラクターやってんだ。筋トレの相談や、困ったことがあったら言えよ。力になってやる」
「あ、ありがとうございます……!」
「ああそうだ、何人かセフレ紹介してやろうか? 彼女が別れたいって言わないように、テクでも磨けよ」
「そっ!? それは結構ですっ!」
「水くさいこと言うなよ。何でも世話してやるって。俺ら、もう友達だろ?」
「友達でも、そっちは結構ですからっ!」
「おーおー、彼女一筋か。……大事にしてやれよ」
「は、はい……!」
少しだけ戻った、俺の記憶。
この先は、ここからは、菜々果から聞き出さないといけない。
俺達がこの先もずっと一緒にいるために、どうしても、どうしても今、思い出しておきたかった。
───翌日。
菜々果との日課であるだんごの散歩は、夜中から再び降り始めた雨のせいで、中止ということになった。
話すタイミングを逃してしまったが、すぐさま俺は菜々果にメッセージを送る。
端的に、『今日は両親の帰りが遅くなるから、放課後は俺の家に来ないか?』と。
菜々果は快諾してくれた。
学校に着くと、いつも通りの風景だ。
東山が俺に話しかけてきて、菜々果が不機嫌そうに俺を一瞥し、隣の席に着く。
けれどもそんな、記憶を失ってから見てきたいつも通りの風景が、どこか違って見えた気がした。
俺の中に戻りつつある記憶が、真っ白な記憶に色を塗ったみたいに。
「……おい岸見、どうした、ぼーっとして」
「えっ? あ、ああ、何でもないよ。東山」
「そうか? まあいいや。それより聞いてくれよ、夏休みに隣のクラスの女の子達と、海に行く約束を取り付けたんだ……っ」
「ええ……」
「どうよ岸見、お前も一緒に」
東山がそんな言葉を口にした途端、菜々果が椅子をガタガタと鳴らして立ち上がり、忌々しげにこちらに視線を向けて教室を出た。
怖い。
「……おい岸見、ほんとお前、鳴橋に何をしたんだよ」
「い、いや……わかんないけど。てかお前、な……鳴橋さんはどうしたんだよ。他のクラスの女の子達と海って、鳴橋さんはもういいのか?」
「ああ……、なんかさ、この前のキスマーク事件あっただろ? あれから、どうも鳴橋に彼氏の影がチラついてな……」
「お、おっ、おう……そっか」
「だから俺は新しい恋に生きる。鳴橋のことは忘れるんだ。で、岸見はどうする?」
「い、いやー……、俺はいいかな。別に」
「いいじゃん行こうぜ! 俺と一緒にパリピしようぜ!」
「遠慮しておく。なんか……、そういうの苦手で」
もちろん、本当は菜々果がいるから、なんだけど。
でも海か。菜々果と一緒に行ってみたいな。
───放課後。
俺はもちろん、菜々果に『東山の誘いは当然断ったよ。家で待ってる』とメッセージを送り、一足先に家に帰った。
制服から普段着に着替えて、部屋を片付けて、お菓子とジュースを用意する。
するとしばらくして、玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」
「お邪魔しまぁす」
ニコニコしながら扉を開けて入ってくる、制服姿の菜々果。
良かった、怒ってない。などと、ほっと胸を撫で下ろした。
「ほいこれ。途中スーパーで買った、差し入れでござる」
「チョコだ。ありがとう」
「よく出来た彼女じゃろ? こんな彼女放って、女の子と海に行ったりすんなよ?」
「はは……、しないってば」
そんな菜々果を家に上げて、部屋へと案内する。
俺の部屋に入るや否や、菜々果は荷物を床に置いて、うーんと大きく伸びをした。
「ふぁー! あ~……、そういえば久しぶりのこーくんのお部屋だ」
「ああ、記憶を失ってからは、初めてだっけ」
「そうそう。あたし達の定位置があってさ」
そう言って、菜々果はベッドを背もたれにして床に腰を下ろすと、俺にちょいちょいと手を振って手招きする。隣に座れということらしい。
俺は菜々果のお望みの通りに、彼女の隣に腰掛けた。
菜々果は、「んふふ」と鼻を鳴らし、俺の肩に頭を乗せてきた。
「これ。定位置」
「わかった。覚えておく」
「よしよし。……てか、ご両親がいない彼氏のお部屋にお招きされて、あたしはどうなっちゃうんでしょ~?」
ぐりぐりと身体を押し付けて、アピールしてくる。
なるほど、セックスをするために菜々果を呼んだと、そう思われているらしい。
間違いではないかもしれないけど、ちょっとだけ違うかも。
「いや……その、違くて。実はちょっと、菜々果に話しておきたいことがあって」
「話しておきたいこと? なあに?」
「昨日さ、珍しい人に会ったんだ」
「お? そうなん? 芸能人?」
「……津田さん。チャラ男っぽい、年上のさ」
「っ……!」
「その人と話し込んで、少しだけ思い出したんだ」
「そっか」
ふー……っ、と静かに息を吐く菜々果。
それは、俺が記憶を思い出したことがどうとかではなく、菜々果が、彼女自身の中にあるその記憶を掘り起こすのを、躊躇っているかのようだった。
「津田さんにタックルして、”売り”をしようとしてる菜々果を止めた。そこまでは思い出した。でも……、その前後が不明で」
「頭痛は? してない? だいじょぶ?」
「うん、ありがと。津田さんのことを思い出した時、ちょっと頭痛はしたけれど、前ほどじゃなかったから大丈夫だよ」
「そっか。良かった」
「津田さん……、俺達のこと気にしててくれてたみたいでさ。偶然再会したんだけど、お前の力になるって、職場の名刺もらったよ」
「あはは。あの人さ、見た目めっちゃチャラ男なのに、めっちゃいい人じゃん?」
「だよな。俺もそう思う」
「そうだよ。……あの時も、自分にタックルしたこーくんに、”やることがあんだろ。その子連れてとっとと帰れ”って言ってくれたんだよ」
「そうだったのか……」
「……もう頃合いなのかな」
そう言って、少し伏し目がちに、菜々果が言葉を紡ぐ。
それは、俺達が辿ってきた記憶であり、思い出。
俺は彼女の手を取り、握った。
「うちのお父さんさ、浮気してたんだよ。愛人作って、毎日めっちゃ遅くに帰ってくんの。で、お母さんはお母さんで若い男作って、不倫始めちゃってさ」
「っ……」
「凄いよね。お母さん、夕ご飯食べてる時もOINEに夢中で、呼ばれたからってそのまま外出してさ。友達と会合とか言ってたけど、化粧バッチ決めて下着まで替えてんだもん、ばればれだっての。そういう毎日を、ずっとずっと過ごしてたんだ」
無意識にか、菜々果の手に力が入る。
「だからね、あたしもやっちゃおーって。そんな両親に愛想尽きて、あたしも気持ちいいことしちゃえーって。”悪い友達”に頼んで、津田さんを紹介してもらった」
「まさか……、それが白石さん?」
「そう。あの子、津田さんのセフレ。頼まれれば、売りも紹介してる」
ああ、だから。
だからあの時、縁を切ろうと、って。
「あたしそんな感じだったからさ、毎日のようにこーくんに当たり散らかしてた。隣の席の、なーんかへにょっとした男の子。……いいターゲットだったよね。あたし人気者の美少女だからさ、誰も文句言わないし」
「菜々果……」
「ヘラヘラしてないでよとか、うざいとか、毎日。それで喧嘩、口論したこともあった」
「俺とだけ仲が悪かったって、そういうことだったのか」
「憂さ晴らししてただけ。なんであたしがこんなにつらいのに、こいつはこんなに幸せそうにしてるんだって。……最悪なこと、してた。明るいとか、誰にでも優しいとか、全部嘘っぱち。いい顔してただけ」
縮こまる菜々果の身体。
俺はそんな彼女の肩を、そっと抱き寄せた。
「……そんなこーくんは、どうもあたしの家庭に問題があるって気付いたみたい。誰かから聞いたのか、もしかしたら、あたしがそれとなく口にしてたのか。あはは、あたし岸見くんに八つ当たりしてた時、カッカしてて何言ったかよく覚えてないし」
「かも……な。よく覚えてはないけど」
「そんでいざ津田さんと……って日。あー、あたしこれから悪い子人生まっしぐらだなー、処女をこんなことで散らしちゃうんだなー、タトゥーとか入れちゃうのかなーとか考えてたら、……ヒーローが割り込んできてくれたの」
「ヒーロー」
「あたしのことだけを考えて、あんなに酷いことしたのに、津田さんにタックルしてまで止めさせようとしてくれたヒーロー。……あたしの、未来の彼氏さん」
「あ……」
「凄いんだよ、そのヒーロー。津田さんに送り出された後、あたしの手をぎゅって握って、真っ直ぐにあたしん家に向かって、ちょうど一緒に家にいた両親に向かってこう言ったの」
「こう?」
「あんたら自分の子供のこと考えたことあんのかよ! 自分達が好き勝手してるうちに、この子は大変なことをするとこだったんだぞ! それでいいのかよ! ……って」
「っ……!」
急に頭に流れる映像。
それはもう、ブロックノイズではなかった。
綺麗で、鮮明な映像───
『それでも親か! ふざけんな! どれだけこの子がお前らのせいで悲しんだと思ってるんだ!』
『誰だお前は! 人の家に勝手に上がり込んで、何様のつもりだ!』
『何様はお前だ! 自分の娘が売りやろうとしてて、人生を滅茶苦茶にしようとしてたんだぞ! それを止めた俺を、あんたが何様だなんて言えるのかよ!』
「う、あっ……!」
「……こーくん? どした? 頭痛?」
「や、いや、違うんだ。えっと……、俺、確かその時、菜々果のお父さんに掴みかかろうとして……!」
「え? ……あはは! そうそう! 津田さんにタックルした時の勢いで、お父さんの胸ぐらを掴もうとしたんだけど、転んで怪我しちゃったの!」
「う、うわ……!」
かっこ悪い。最高にかっこ悪い場面を思い出してしまった。
東山が言ってた俺の謎の怪我って、そういうことだったんだ。
しかし、いくらなんでもやりすぎだ。勢い任せとはいえ、未来の彼女の父親に、暴力を振るうところだったなんて。
「ごっ……、ごめ、ごめんなさい……」
「いいっていいって。津田さんも許してくれたし、お父さんも……お母さんもさ」
「え?」
「真剣にね、お父さんとお母さんがこーくんの話を聞き始めたの。お父さんはずっと項垂れて、お母さんは泣き出しちゃって。……で、あたしも泣いちゃった。なんだ、こんな近くにあたしのことを考えてくれる人がいたんだって」
「そうか……、そうだった……うん」
霧が晴れていくような感覚だった。
頭の中に充満していた、もやもやとした空気が、陽の光に照らされて、サー……っとクリアになっていくような。
その中に立つ、一人の女の子。
泣きながら俺の顔を見て、泣きながら俺にしがみついて、告白する女の子。
『好き。好きです。あなたが好きです。大好きです』
『鳴橋さん……』
『ごめんなさい。ずっと当たり散らしてごめんなさい。ありがとう。あたしを助けてくれてありがとう』
『いいんだ。もういいんだよ』
『あたし岸見くんがいい。岸見くんと付き合いたい。岸見くんじゃなきゃやだ』
『え、えっと……、困ったな』
「……そのまま、その日のうちに、あたしこの人しかいないって思って、告白したんだ。お父さんとお母さんが聞いてるのに、玄関でこーくんをお見送りする時にさ」
「菜々果、俺のこと離してくれなかった……気がする」
「そうだよ。ぎゅーってしがみついて、返事くれるまで帰さんって感じでさ~。……あたしね、ヒーローこーくんを見て、”一目惚れ”しちゃったから」
「はは……、一目惚れか」
ちょっと遅めの、一目惚れ。
記憶を失った俺は、菜々果に一目惚れ。
なんだ、一緒だったのか。
「俺、その時OKしたんだっけ?」
「ううん。だからとりまOINE交換して、次の日が確かお休みだったから、お家に押しかけて、付き合えって説得したんだよ。付き合うまで帰らないって」
「あ、あー……、そうだそうだ。両親が目をぱちくりさせてたっけ。誰だあの可愛い子はって」
「今までのあたしのこと、抱えていたこと、白石のこと、全部話してさ。そしたらね、岸見くん……OKしてくれたんだ」
「そっか」
「で、ちゅーした。ここで。こんな風に並んで」
「しましたかー……」
「だから定位置なのだよ~」
「おお、なるほど」
顔を上げ、へへっと笑う菜々果。
可愛らしく微笑むその顔に、少し安心する。
「うちのお父さんとお母さん、浮気、すぱっと止めたんだ。そんで、あたしにごめんねって言ってくれた。……そこから、ちょっと前では考えられなかったくらいに、家族仲が良くなってさ。ご飯を一緒に食べるのも当たり前になって、お父さんも家にいる時間が増えたんだ。全部こーくんのお陰」
「うん」
「それでね、その次のお休みの日に、みんなが寂しくないようにって、ペットでも飼おうかって話になって」
「それで、だんごが」
「そうだよ~。面白いよね、なんでだんごを飼おうってなったのか、あたしもちょっと思い出せなくってさ」
「で、俺と菜々果が名付け親と」
「そう。だって、うちのお父さんとお母さんとあたしとこーくん、四人でペットショップ行ったから」
「そんな大所帯で」
「お父さん、こーくんを凄く気に入ったんだって。お母さんも、こーくんなら安心してあたしを任せられるって」
「照れるなあ……」
「……だからね、赤ちゃん作ろうってなったの」
そっと、菜々果の手が俺の太ももに触れる。
急に話の向きが変わり、俺は少し動揺する。
だから、とは?
何が、だから、なんだ?
「ここまで話したら、その先は思い出した?」
「い、いや、あんまり……」
「も~……、一番大事なとこなのにな~」
「え、ええっと……。な、何を、どうしたの?」
「うちのお父さんもお母さんもね、こーくんだったらいつ結婚してもいいって、本気で言ってくれてるの」
「おんっ」
「お夕飯時にね、いつも二人してお酒飲みながら、もし今すぐ子供作っても俺が岸見くんのご両親と学校を説得してやるぞー、あら私も手伝うわーって」
「そ、そんな会話もするまで、仲良くなったのかー……。へ、へぇー……」
「だから、ね? こーくんと、赤ちゃん作っちゃおうか……って」
菜々果の指が、そっと、太ももから股間に移動する。
むっくりと大きくなりかけのペニスを、ズボンの上から、菜々果の細い指がさわさわと触れる。
「あたしもこーくん好きすぎるし、こーくんの赤ちゃん欲しいってなったし。だから、本気で作っちゃおうってなったの……♡」
「でっ、でも、俺達学生だし……!」
「え~……? 学生でもいいから菜々果の赤ちゃん欲しいって、先に言ったの、こーくんなんだよ~……?♡」
「ええ!?」
「あはは、まだ細かいとこは思い出せてないみたいだね~。……でも、こーくんがあたしに火を点けたのはマジだからね♡」
嘘だろ記憶を失う前の俺。
お前が先に言ったのか記憶を失う前の俺。
戸惑う俺をよそに、菜々果はそんな俺を興奮させようと、ブラウスのボタンを外してピンクのブラに包まれた谷間を見せつけてくる。
ボタンを外す度に、もちっ、たぷっ、だゆんっと揺れて零れる巨乳。
目が離せない。
「まさかこーくん、自分はそんなこと言ってないなんて言わないよね?」
「どっ、ど、どうでしょう、かねー……」
「てか~……、あたし今日は、お腹をこーくんの精液でたぷたぷにするつもりで来たんですけど~……♡」
「ええ、その、もちろん、そういうこともしたいなー……とは思ったけど」
「危険日じゃないけど、妊娠するつもりで来てんですけど~……♡ これからもずっと、妊娠させるつもりでエッチして欲しいんですけど~……♡」
「う……っ」
「記憶を取り戻しつつある、記憶を失ったこーくんは、言ってないかもしれないみたいなこと言って、そんな彼女の可愛いお願いを断っちゃうんですか~……?♡」
言いながら、しゅる……っといつの間にか外された大きすぎるブラが、菜々果の甘いにおいを纏わり付かせ、前から引き抜かれる。
ブラウス越しに、ツンっと尖った乳首と大きな乳輪が透けて見える。
そんな100センチの巨乳の谷間に、俺の腕はむにゅっと挟まれてしまった。
「……そんじゃあ、もっかい言うね」
「もう一回?」
「二人でその話をしてる時に、こーくんに学生でもいいから赤ちゃん欲しいって言わせた、あたしの一言」
「え……」
「”あたし、早くこーくんの赤ちゃん産んで、お嫁さんになりたい”」
「っっ……!」
あ、言ったわ。
これは言ったわ。
記憶を失う前だろうが失った後だろうが、俺は言ったわ。
じゃあ今すぐ作ろうって、絶対言うわこれ。
「今すぐ赤ちゃん作ろう、菜々果」
「あはは♡ こーくんなら絶対言ってくれると思った~♡」
そう言って、嬉しそうに菜々果が俺の唇に自分の唇を寄せる。
俺の首に両腕を絡ませて、甘えるように寄り掛かる。
目の前の人が大好きで大好きでしょうがないという感じの、とろけた瞳を向ける。
「……本当に赤ちゃん作ってくれる?」
「うん。作ろう菜々果」
「え~……? ほんとにほんとで言ってる~?」
「ちょっとだけ、じんわり思い出したっていうか……。その時の気持ちをさ。もちろん勢いもあっただろうけど、それ以上に菜々果が可愛いっていうか、俺も菜々果が大好きっていうか……」
「とかなんとかいって、あたしの身体目当てなんじゃないすか~?」
「そうだよ」
「おっ」
「菜々果の身体と、心目当て」
「あはは、それもう全部、こーくんの物だって……♡」
そっと重なる唇。
お互いに舌を伸ばして、にゅるにゅるとゆっくり、お互いの粘膜を確かめ合うように絡め合う。
んふふと、嬉しそうに菜々果の鼻が鳴った。
「ちゅっ♡ ちゅ……♡ れりゅれりゅれりゅ……♡ んぅ……♡ ちゅっ♡ れりゅれりゅれりゅれりゅれりゅ……♡」
「んっ……。赤ちゃん出来たら、クラスのみんなに恋人だってばれちゃうな」
「ちゅ♡ ちゅぅ……♡ ……おいおい~、お腹おっきくなるまでみんなに黙ってる気か~?♡」
「その前に、ちゃんとみんなに言う?」
「うん。もう家のことも、津田さんのことも、怪我のことも、白石のことも一段落ついたし、そろそろいいかなって。……こーくんが記憶を失ってなかったら、もっと早くても良かったんだけど」
「面目ない……」
「いいよ、しょうがないもん。……でも、本気で赤ちゃん作る覚悟、決めてくれたんだ?」
「本気。それと、菜々果のお父さんやお母さんの力を借りなくても、俺は菜々果を離したりはしないから」
「ん……♡ だから好き♡ こーくんのそういうとこ、好きになったんだ~……♡」
菜々果は抱きついたまま体重をかけ、俺を床に押し倒す。
手を、指を絡めて、恋人繋ぎをして、床に縫い付けるように力を込める。
すぐにでも押し返せる彼女を、俺は全部受け入れた。
「というわけで、最後のやり直し。恋人子作りのやり直しをしちゃお~」
「なるほど」
「今日はあたしがこーくんを襲っちゃいます♡ 発情期のメスだぞ♡ がお~♡」
「はは……。うわー、襲われちゃうー」
「発情期のメス菜々果ちゃんは、赤ちゃん出来るまでこーくんのオスちんぽを離しません♡」
「おっといきなりヤバい情報出たぞ」
「何故なら発情期のメス菜々果ちゃんは、早くこーくんのお嫁さんになりたいからです♡」
むにゅぅ……っと押し潰されるほどに巨乳を俺の胸板に押し付け、俺の唇を舐める。
まるで、子犬が飼い主にそうするかのように、ぺろぺろと。
「んえ~……♡ ちゅっ♡ れりゅぅ……♡ れろれろれろ……♡ ……こーくん、おまんこ触って……♡」
「うん。……って、うわ、すご。ぐっちゃぐちゃだ」
「とっくにね、あたしのおまんこ、赤ちゃん作る準備出来てるよぉ……♡」
スカートの中に隠れた菜々果の秘部は、パンツも、太ももも、愛液が漏れ溢れて大変なことになっていた。
愛液が太ももの間で糸を引き、こうしている間にも、パンツから次から次へと愛液が溢れてくる。
そんな彼女の膣を、パンツの脇から指を差し込んで弄っていると、菜々果はジッパーを下げてペニスを取り出した。
「はーい、今からパパになっちゃうちんぽ、出しちゃいましょうね~♡」
「えっと菜々果、今日は危険日?」
「んーん。まだ安全日。この前の危険日、赤ちゃん作るチャンスは、こーくんが記憶を失っちゃって……」
「スンマセンシタ」
「次に危険日が来る時は教えるから、その時はいっぱい気持ちいい子作り、しようね♡」
「うん」
「……はぁ♡ こーくんのちんぽ、ほんっとおっき……♡ 太くて、あたしのおまんこみちみち広げるかっこいいちんぽ……♡」
菜々果の手が、ペニスを軽く擦る。
彼女の細い指が優しく上下するだけで、あっという間に亀頭は赤黒く膨れ上がり、睾丸は次々と精液を作り出す。
竿も彼女の手を感じて、激しく跳ねていた。
すると菜々果は熱い吐息を漏らしながら、スカートもパンツも脱がないまま、俺の上に跨がった。
パンツを着けたままの、ずらし騎乗位素股だ。
ぬめった膣を竿に押し付け、愛液を竿に、ね……っとりと塗っていく。
ぬちぃっ……♥ ぬちゅっ♥ ねちっ♥ にゅる……っ♥
「あ~……♡ ふっとぉ……♡ ちんぽおっき、おっきいよぉ……♡」
「菜々果、腰使いエロ……っ」
「あたしの愛液で、ちんぽにマーキングしちゃう♡ えいっ♡ えいっ♡」
「あ、すっご。ねっとり、愛液でにちゃにちゃしてる……っ」
「んふっ……♡ ねえ、ねえもう無理♡ こーくんもう無理、もう入れちゃうね♡ だって、だってしょうがないんだもん……♡」
「菜々果?」
「あたしもね、思い出しちゃったから、しょうがないんだもん♡ こーくんが記憶を失う前の、こーくんが好きすぎるよぉ、早く赤ちゃん欲しいよぉ、こーくんと一瞬でも離れたくないよぉって気持ち……♡」
とろけた瞳の奥に、ほんの一欠片の寂しさが見えた。
きっと、俺が記憶を失ったことで、しなくてもいい我慢をさせてしまっていたんだ。
それが今、ようやく、全て解放されたんだ。
「いいよ菜々果、おいで。全部俺が受け止める。……菜々果の欲しい物、俺も欲しい」
「こーくぅん……♡」
にゅるるるるるるるるるる……♥
スカートに隠された向こうで、ペニスが濡れた膣に挿入される。
騎乗位の体勢のまま、菜々果はむっちりお尻に体重を乗せ、その重さで腰を深く深く沈めていった。
パンツを着けたままのずらし挿入が、異様な興奮をもたらしてくれる。
「あ゛ー……♡♡ すご、すご……ぉっ♡ おまんこの中、ちんぽがみっちり♡ みっちり詰まってる♡ 触れてないとこ、ない、くらいっ……♡♡」
「菜々果……っ」
ペニスに感じるぬめった膣肉、どろどろの愛液。
孕み頃のメスの身体を感じて、俺はつい、腰を突き上げてしまう。
ぬぷっ♥ ぬぷっ♥
「いぅっ!?♡ あっ♡ や、あっ♡ あっあっあっ♡ 突き上げちゃだめ♡ Gスポぞりぞり擦っちゃだめ♡ やんっ♡ あっ♡」
「菜々果、好き……菜々果」
「ちょっ、こーくん♡ こーくんってばぁ♡ やら♡ だめ、えぇっ……♡♡」
スカートの中から響く、ぐちゃぐちゃと愛液をペニスで撹拌する音。
しかし菜々果は、下から腰を突き上げる俺を、どっしりと思いきりお尻に体重をかけて止めた。
同時に亀頭が子宮口を突き上げてしまい、僅かに潮が漏れたような気がする。膣肉も痙攣して、結合部からどろどろと愛液が溢れて玉袋を伝っていた。
未だスカートの中は見えないが、そこは凄いことになっているに違いない。
「も、もう……っ♡ だーめ……、だか、らぁ♡♡ 今日はあたしが、あたしがするのぉ……♡ こーくんは、そのまま……♡」
「うん、わかった。……スカート上げていい?」
「それもだめ~♡ いいから、こーくんはあたしのされるがままにしてて♡」
ぬー……っぷ♥ ぬー……っぷ♥ ぬー……っぷ♥ ぬー……っぷ♥
「ふっ……♡ あ、あっ♡ おっきぃぃ……♡ おっきぃの、根本から奥まで全部♡ 大好きなこーくんの子作りちんぽ、いっぱい入ってる……っ♡」
嬉しそうに甘い息を吐きながら、ゆっくり、俺のペニスを隅々まで包み込み、味わうように腰を上下させる。
たぷんっと揺れ、股間に当たる菜々果の尻肉が心地良い。
菜々果は少しずつ身体を前に倒し、また俺と両手で恋人繋ぎをする。すると目の前には、だゆんっぶるんっと重たげに揺れる巨乳が。
大質量のそれに舌を伸ばすと、菜々果はやや身を屈め、舐めやすいようにしてくれた。
乳輪を舌でれろれろと舐め回し、乳輪ごと口に咥えて、舌先で乳首をこね回す。
菜々果は喘ぎ声の中に、少しだけ甲高い声を混ぜて、快感に浸る。
「あ、あっ♡ や、きゃんっ♡ んにゃっ♡ んひっ♡ いっ♡ それ、いい♡ おまんこもおっぱいも気持ちいい♡ てか、やだも~♡ 舌使いやらしい♡ やだ、それ、やらしい、ってぇ……っ♡♡」
「ちゅっ。ちゅるっ。嫌い? これ」
「ん~……、好き♡ それ好き♡」
「やっぱり」
「こーくんの愛撫も、ちんぽも、全部好き♡ 相性良くってぇ、今にも、い、イっちゃいそうに、なるっ……♡♡」
「……気持ちよさそうな菜々果、可愛い」
「でしょ~♡ この顔、こーくんがさせてんだよ♡ 大好き彼氏に赤ちゃん作ろって言われてぇ……♡ 大好き彼氏に子作り生ハメされてぇ……♡ 発情しきって、おまんこととろっとろにして、子作りちんぽ受け入れちゃってる、女の子の、顔ぉ……♡」
言いながら、菜々果が俺と手を離し、スカートの裾を両手の指で摘むように持ち上げる。
頬を赤らめとろんっと瞳をとろけさせ、腰の上下運動を止めないまま、ゆっくりゆっくり上げていく。
「にひ♡ 見たい?♡」
「見たい。菜々果と生で繋がってるとこ、見たい」
「だーめ♡ もっとあたしが、キュンってするようなこと言って♡」
「キュン。……キュンかあ」
「ほれほれ~、見たいんじゃろ~?♡ 彼女をキュンキュンさせてみろ~♡」
「……愛してる。結婚しよ、菜々果」
「は!?」
俺の言葉に、菜々果は頬をピンクどころかトマトより真っ赤にする。
そして、スカートの裾をめくり上げるどころか、俺の方に倒れてきて、覆い被さりながら唇を重ねてきた。
腰の動きはさらに激しくなり、ばちゅんばちゅんと叩き付けるようだった。
「えぅ……♡ ちゅっ♡ ちゅ♡ ちゅぷ♡ れりゅれりゅれりゅれりゅれりゅ……♡」
「んっ。ちょ、ちょっと菜々……んんっ」
「結婚する♡ お嫁さんなる♡ ちゅっ♡ ちゅ♡ ずっと一緒♡ こーくんと一緒♡ 赤ちゃん産んで幸せになる♡ れりゅれりゅれりゅ……っ♡」
「はは……、菜々果がお嫁さんって言うから、返事の代わりに言ったつもりなんだけど、キュンキュンさせすぎちゃったか」
「こーくん♡ あたしを助けてくれたこーくん♡ こーくんしかいない♡ あたしの彼氏も、旦那さんも、こーくんしかいないの♡」
「な、菜々果……」
「だから赤ちゃんっ♡ 赤ちゃん作るのっ♡ こーくん♡ こーくぅん♡♡」
「菜々果……っ!」
ぶっちゅ♥ ぶっちゅ♥ ぶっちゅ♥ ぶっちゅ♥ ぶっちゅ♥ ぶっちゅ♥
菜々果の柔らかいお尻に手を伸ばし、スカートの中に手を入れることすらもどかしく、その上から鷲掴みにする。
そして菜々果の動きに合わせるように、腰を下から突き上げた。
突き上げ、子宮口を執拗にこね上げ、溢れる我慢汁を愛液ごと子宮の中へと送り込む。
「あ゛っ♡ んに゛ゃっ♡♡ ご、声っ♡♡ ヤバい声出ちゃう゛っ♡♡ うあ゛っ♡ あっあっあっあっ♡ 気持ち、気持ちいい♡♡ こーくんの生ハメ気持ちいい♡♡」
「そんな、風に! 俺だけしか、見えない、みたいな、こと! 言ってっ!」
「見えないもんっ♡ こーくんしか見えない♡ あたしの処女あげるのも、初めての妊娠も、初めての子育ても、全部こーくんとがいい♡♡ こーくんじゃなきゃやだぁ♡ だから赤ちゃんっ♡ 早く赤ちゃん作ってお嫁さんになるのっ♡♡」
「わかってる、全部わかってるからっ。菜々果は俺のだ。俺が助けて、俺が一緒にだんごの名前を決めて、それで、二人の赤ちゃんの名前も一緒に決めるっ。ずっと一緒だ。一緒にいよう、菜々果っ」
「こーくんっ♡ 妊娠っ♡ 妊娠したいっ♡ こーくんの赤ちゃん産んで、一緒に名前付けよ♡ だんごと一緒にお散歩行こ♡ 孕みたい♡ ……こーくんと、ずっとずっと一緒にいたいから孕みたいの♡♡」
「菜々果……っ。俺もだ、菜々果っ……!」
菜々果を引き寄せ、唇を重ねる。舌を絡める。
睾丸から上がってくる精液を全て注ぎ込もうと、亀頭の先端を子宮口に押し付けたまま、腰をグラインドさせる。
疼く子宮を押し上げられ、射精を予感した菜々果の子宮口が、本能でぱっくりと亀頭を咥え込む。
「出す、出るっ……! 妊娠してくれ、菜々果っ……!」
「する、するの♡ こーくんの赤ちゃん妊娠するっ♡♡」
ぶびゅるっ♥ ごびゅるるっ♥ びゅーーーーーっ♥ びゅーーーーーっ♥ びゅるるーーーーーっ♥ びゅるるるるるるるるるるるるるるるるっ♥ どぷっ♥ どぷぷっ♥ ぶびゅるるるるるるるるるるるるるるるるるっ♥
「あ゛ああああああああぁぁぁぁっっっ♡♡♡ 熱っつ♡♡ あづいっっ♡ あづっ♡」
「孕んで菜々果、孕んで……! 俺の子供孕んで……!」
「うあ゛っ♡ んにゃあ゛っ♡ こ、こーくんに本気で孕めって言われてる♡♡ 本気であたしに赤ちゃん産ませようとしてる♡♡ うあ゛っ♡ うあ゛ぁっ♡♡ 好き♡ こーくん好き♡ 好きいいいぃっっっ……♡♡♡」
ぷしっ♥ ぷしゃああぁっ♥ ぴゅっ♥
俺の射精を、本気で妊娠を望む俺の射精を受け止めて、菜々果は盛大に潮吹きする。
そんな彼女の熱を感じながら、ぬるぬると纏わり付く膣肉を感じながら、俺はさらに奥へと、子宮の奥へ、卵管にまで届けと射精を続ける。
びゅーーーーーっ♥ びゅるるーーーーーっ♥ どぽぽっ♥ ごぷっ♥ びゅるるるるるるるるっ♥ ぶびゅるるるるるるるるるるるるっ♥
「あ゛ー……♡♡ イク、またイっ……ク♡♡♡ んあ゛っっ♡♡ あ゛っ♡ はー……っ♡ はー……っ♡♡ 子宮重たい♡ 重たいよぉ♡ こーくんのどろっどろ、糊みたいな精液♡ あたしを妊娠させたいって♡♡ 奥、奥まで……んあ゛っっ♡♡」
「早く妊娠して、菜々果。早く。孕んで。俺の子供孕んで」
「孕む♡ 孕んで、産むよぉ……っ♡♡ こーくんの赤ちゃん産む♡ 産んじゃう♡♡ こーくんにお願いされたから、産む♡ 何人でも産んじゃう♡♡」
柔らかい安産型のお尻とぐりぐりとグラインドさせ、美味しそうにごくごくと膣で精液を飲み込む。
もう絶対に俺のペニスを離すものかと言わんばかりの締め付けと、根本から尿道まで、絞り上げるような膣肉の動き。
菜々果を妊娠させるための、子作りのセックスを、俺達は存分に楽しんでいた。
「えへへ……♡ じゃ、見てみよっか~……♡」
「え? 何を?」
「見たかったんでしょ? これ……♡」
菜々果が上体を起こして、スカートの裾を指で摘む。
そういえば……と思い出したところで、菜々果の手はそのまま上がって、スカートの中身が姿を現した。
むわぁ……っと、むせかえるようなオスとメスのにおい、セックスのにおいが漂う。
俺のお腹は潮でびちゃびちゃに。よく見れば、菜々果のスカートも潮で濡れていた。
結合部は、愛液が股間全体に広がり、隙間からは粘ついた精液が溢れ、ねとぉ……っと多くの粘液の糸を引いていた。
着けたままのパンツも精液が染み込んで、真っ白に汚れている。
「ほら……ぁ♡」
ぬぢゃあぁ……♥
菜々果が腰を上げると、さらに粘液の糸が増える。
愛液と精液の混じった強烈なにおいを放ちながら、精液と撹拌された愛液で真っ白に汚れたペニスが姿を現す。
そして、ぬぽぉ……っと亀頭のカリ首が抜けた途端、精液が膣口から溢れた。
ぶりゅっ♥ ぶぴっ♥ ぶりゅりゅっ♥
「やぁん……♡ 溢れちゃった……♡ てか、ヤバ♡ なにこれぇ……♡ こーくんの孕ませ精液、いつもより濃いじゃん……♡」
「だって……、菜々果を妊娠させるつもりで射精したから」
「がからこんなに濃いんだ……♡」
ぶぴゅっ♥ ぶりゅりゅっ♥ ぼちょっ♥ べちょっ♥
「わ、わっ♡ まだ出てる♡ マジで多すぎ……♡ すっごいね、精液のにおいがぷんぷんする……♡」
「このまま孕んだらいいな」
「危険日じゃないけど、孕んじゃうかもだな~♡」
再び俺の方に身体を倒して、そっと唇を重ねる。
舌は絡めず、触れるだけの、啄むようなキスだ。
「明日さ、手繋いで学校行こうよ」
「ええ。突然だなあ」
「いいじゃん。みんなにさ、付き合い始めましたーって言っちゃお。早い方がいいよ」
「……わかった。菜々果がそうしたいなら、そうする」
「ほんと? そうしてくれる?」
「うん」
「じゃ、二回戦目といきましょうかあ」
「えっ。どういうこと」
「発情期のメス菜々果ちゃんなので、妊娠するまでハメまくりです♡ がおがお~♡」
「そうでした」
「えへへ♡ それじゃあ、ぬぷぬぷ入れちゃうね~♡」
「あ、そうだ。菜々果」
「うん?」
「今まで心配かけてごめん。……俺が記憶を失ってから、ずっとつらかっただろ? ほんとにごめん。もう寂しい思いはさせないから」
「だから……、だから大好き♡ こーくんっ♡」
「うわっ」
思いきり抱きついた菜々果ともう一度キスして、また腰を振り始める。
菜々果の温かい身体を抱きしめながら、再び漏れ出す甘い声を、存分に聞いたのだった。