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9話 汗だくの演習旅行 その1

南方植民地タリンタンブリー。それが俺とエリカの参謀演習旅行の『課題』の指定地だった。

「帝国」本土から南に船と飛竜便
ひりゅうびん
を乗り継いで4000kmほども移動した先にある、この舌を噛んでしまいそうな名前の地域は、亜熱帯
あねったい
性の気候に属している。

元の世界の東南アジアのように、まだ春の始まりだというのにやけに蒸し暑い。

おまけに夕方になってからは、不意打ちのように空から雨が降り注ぎ、湧き上がる水蒸気が熱風と混ざり合って余計に周囲の空気を厚く、重くしていた。

「はい、これ寝台列車のチケット。無くさないようにね」

「あぁ、ありがとう……これ2人1部屋だけど……良いのか?」

雨水でデロデロになった切符をエリカに渡すと、彼女は訝
いぶか
しげな表情を浮かべた。

最近、疲れ気味な俺を心配しているのか、エリカは無理に襲ってくることがなくなっていた。

それどころか、この演習旅行では宿の部屋はダブルでなくツイン――つまりベッドが2つ
・・
用意されている部屋で、別々に寝て良いとまで言ってくる。

「別に1部屋で良いよ」と俺が言うとエリカは下を向いて必死に、はにかんだ顔を隠しているようだった。

まぁ、嬉しく思ってくれるようだし問題はないか。

(実は、寝台列車、1人1部屋だと演習旅行の指定予算的に厳しかった……ってのは今は言わない方が良さそうだな)

演習旅行では身分の違う者同士を組ませる関係で、軍学校から渡された枠内の予算でやりくりしないといけないというルールになっていた。

今、帰りの旅費のことを考えると予算が割とギリギリであることをエリカは知らない。

俺が今回の金勘定を全面的に任されているからだ。

突如、駅構内に響き渡る汽笛の音。

俺達の乗る予定の寝台列車が、重い空気を切り裂いてプラットフォームに到着した。

魔石と呼ばれる魔力の塊を燃やすことで動くこの汽車の出す音は、前の世界の蒸気機関の出すそれに比べてより重々しく低音で鼓膜に響いてくる。

俺とエリカは、駅の売店で購入した香辛料の聞いたサンドイッチで夕食を簡単に済ませると、プラットフォームに到着したばかりの列車に向かった。

まだこの時間帯の改札には人は少ないようで、数人の鉄道警察隊が控えているだけだ。

「テロ対策の一環で、こちらで手荷物検査を受けていただきます」

鉄道警察の隊員に促
うなが
されて、カバンの中身やポケットを弄
まさぐ
られる。

こういう時、たいてい女性の警察が検査官だと俺の身体検査だけ妙に長くなってしまうんだが……。

横に控えるエリカの凄まじい怒気
どき
に気圧
けお
されてすぐに検査は終了することになった。ちょっとばかし残念だな。

「列車内では魔導杖を預からせていただくことになっています」

「え?それってどういう」

「内務省の方の指導でして。最近、過激派によるテロ活動が増えていますので」

ギロリ、と鋭い目つきを向ける警官の指差した先の壁には、デカデカと内務省からの注意勧告のポスターが貼られていた。

〜人民連邦が支援する過激派によるテロに警戒しよう!不審な人物を見かけたら、お近くの警察官へご一報を!〜

「列車から降りたタイミングで必ずお返しするようにしています」と言われて俺達は渋々、魔導杖を係員に渡すことにした。

この杖がないとエリカのような優秀な魔導士でも、ごく簡単な魔術しか制御出来なくなるので、手元にないというのは結構不安なんだが……まぁ、仕方ない。

◆◆◆◆
「それにしても暑いな」

「列車内にシャワーがあるらしい。カイも使うだろ?」

俺とエリカは予約した個室に荷物を置いてから、列車内に設置されている簡易シャワーに向かうことにした。

どうやら簡易シャワー室は宿泊部屋と違って、鍵がかけられない仕様のようだ。

(うーん、湯浴みをしている最中に間違って他人にドアを開けられるのは嫌だな……)と俺が迷っていると、「私がここで見張りをやっているから、先に入ってくれ」とエリカに急かされた。

なんというか、えらく紳士的で親切だな……というかこの演習旅行の直前から、急にエリカは俺に優しくなったんだが、何かあったんだろうか?

『女心と秋の空』という諺
ことわざ
は、案外この逆転世界でも通じるものなのかもしれないな、思いつつ小さな脱衣スペースで、手早く身につけている物を脱いでシャワールームに。

汗だくの体はベトベトとしていてお湯にゆっくりと浸

かりたいなぁと思ってしまうが、こればかりは仕方ない。

シャワーで簡単に汗を流した俺は、脱衣所で服を着てエリカと交代した。

「今度は俺が見張りをやってるよ」
「バカっ、誰が私みたいなブス女の裸なんて見たいんだ……!」

エリカは俺の肩を軽くコツンと叩くと苦笑して、シャワー室に入っていった。

(最近のしおらしいエリカは以前よりもずっと魅力的で、俺としては是非とも覗
のぞ
きをしたいんだけどなぁ……。)

行水を終えたエリカは長いブロンドの髪をたくし上げて、ポニーテールにしていた。

白いうなじのラインは、彼女の細い首筋と美しく潤んだ肌の色を際立たせている。

「あれ、何かついてる?」

俺が自分のことをジッと見つめていたことに気付いてしまったエリカは、慌てたように小さな脱衣室内に備えつけの鏡をチェックし始めていた。

「え?ああ、ただ、ポニテが
・・・・
可愛いなって思っただけだよ」

「なっ……な、なにを……カ、カイ……言って……?!」

慌てる彼女のいじらしさや揺れるポニテを見て、俺はふとそんなセリフを吐いてしまう。

エリカはそれを聞いて、鳩が豆鉄砲でも食らったような顔をした……というか俺自身も驚いてる。

いや、自分がこんな軟派
なんぱ
なセリフを吐けるタイプだったってのも、もちろん驚きではあるんだが。

……それ以上に「従属の首輪」が発動しなかったことには更に驚かされている。

『エリカに対してどんな感情を持っているか、口にしたり伝えたりしないこと』

という曖昧
あいまい
で拡大解釈が可能な『制約』の抜け穴を探すために、俺はこれまで懸命にトライアンドエラーを繰り返してきた。

例えば感情を伝えるために手紙を書いてみるのはどうだろうか……とペンを握るとその瞬間に手がワナワナと震え始めた。

なんならボディランゲージなんてどうだろうと、恥をしのんで両手で♡マークを作ることも試したがそれもダメ。

それがまさか……エリカ本人ではなく、彼女に付与された属性にならどんな感情を持っているか伝えることが出来るなんて……。盲点だった。

「えーと、金髪もキラキラ光って綺麗だよね」

「へぇっ?!お、お前、なんで……」

「デカい胸って魅力的だし、いつも頑張っている女の子って素敵だよね」

いける……!いけるぞ……!

俺は「エリカのポニテ」が可愛いとは言っていない。

あくまでも「ポニテ」が可愛いと言っているだけだ。

同じように「エリカの金髪や巨乳」ではなく世間一般での「金髪や巨乳」が……、「頑張っているエリカ」がではなく「頑張っている女の子」が……可愛くて魅力的だと言ってるだけなんだ!!

(フフフ……どうだ!「従属の首輪」と曖昧な指示を与えて来たエリカ嬢
じょう
よ!どうだ参ったか!)

俺が「従属の首輪」の『制約』にある意外なセキュリティホールを見つけたことで、一人ニマニマと笑っていると、エリカは肩を震わせ始めた。

彼女の顔は噴火直前のマグマのように真っ赤で、見ているこっちが心配になってくる。

(不味い?!調子に乗りすぎちまったか……?)と俺が心配していると――彼女は目を白黒させて、その場で倒れ込んでしまった。

どうやら彼女はあまりにも感情が高ぶってしまった結果、気絶してしまったようだ。

◆◆◆◆
倒れ込んでいるエリカを放っておくわけにもいかないだろう。

俺は彼女を背負って、列車内の部屋に戻ることにした。

列車が夕闇を破って進む中、俺は予備に持っていた「氷の魔石」をカバンから取り出した。

魔石に魔力を込めると冷たく清潔な氷水が溢れ始める。

その冷水を使ってこしらえた濡れタオルを、彼女の熱を帯びた頬に優しく当ててやると、エリカは少し顔を歪めながらも静かに寝息を立て始めた。

この感じだと一過性のものだろうからまぁ大丈夫かな……。

ガタンゴトン……とやかましい音を立てながら汽車が揺れるたびに、彼女の爆乳はプルプルとバケツプリンのように震える。

俺はその魅惑的な震えに思わず目を奪われてしまう。

彼女が寝ている隙きにこの生乳にむしゃぶりついてやりたい……が、まぁちょっと褒めただけで気絶してしまうような女の子だ。

起きたらいきなり片恋していると思っていた相手に胸を舐められていたら今度はショック死してしまうかもしれない。

俺は首を振って煩悩を断ち切ると、明日の行程を確認した上で今日、見学を終えたばかりの古戦場の報告レポートをまとめ始めた。

既に昼間の時点でエリカが書き残してくれていたメモのお陰で1時間とかからず、報告書を書き上げることが出来た。

一日の課題をやり終えた俺は、少しほっこりとした気持ちで車窓からの眺めを楽しむことにする。

窓の外では相変わらず激しい雨が降っていたが、異国情緒溢れるこの南方植民地の景色はいくら見ても飽きることはない。

「その……カイ……さっきの話……なんだが……」
「え?」

外の意識に完全に意識を持っていかれていた俺は、急に声をかけられて驚いてしまう。

後ろを振り向くと、意識を回復させたエリカの姿。

南国特有の湿った暑い空気にさらされてシャツは湿った体にぴったりとくっついていて、彼女の大きなスイカほどもある胸のラインを事更に強調させているようだった。

濡れた髪からは冷たい雫が流れ落ち、その雫が熱を帯びた肌に触れる度に、しっとりと汗が流れている。

汗の滴る白いミルクのような肌にはうっすらと桜色の火照
ほて
りがさしており、舐め回したくなるほどだ。

石鹸
せっけん
の匂いに混じって、発情している女の子特有の何とも言えない甘い香りが小さな部屋に充満していく。

俺はエリカから溢れ出る「おんな」の甘く危険な色気に、思わずゴクリと生唾
なまつば
を飲み込んでしまう。

しばしの気まずい沈黙を経て、エリカは決心を固めようだった。

「あの……本当に……疲れてなければなんだが……今夜も交わってくれないか、私と」

この演習旅行が始まる前までの、問答無用で陵辱してきたいつもの発情した獣のような彼女もエロティックで魅力的だったが。

今のしおらしい彼女は本当に……。

俺は今更になって美少女と小さな空間に2人っきりなことに緊張を覚え始め、口の中がカラカラになってしまう。

「いや、疲れてるなら別に……」

「いえ、全く疲れていません。ダイジョウブでありますです」

無理矢理に気道を開いて吐いた言葉の不格好さに自分を殴打したくなるが、エリカの笑顔を見てそんな考えはすぐに飛んでいくのだった。

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