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1話女上司編ー4~翠川アスミ視点~

「はぁ……疲れた……」

今日も終電まで残業してからの帰宅。

ふらふらになりながら、私はお風呂に向かう。

数あるマンションの中でも、お風呂にはこだわり癒しの空間を演出したものを選んだのだ。

暖かい湯船につかりながら、日々の疲れを癒す。それだけが、今の私にとってのご褒美。

「はぁ~それにしても、あの社長。また私をいやらしい目で見て……」

仕事一筋の私でも男を選ぶ権利はあるのだ。

そう、転職したての私に色々教えてくれた佐々木さんみたいな優しい人が……

だけど、転勤して戻ってきたら私のコト忘れちゃってるし……

そのうえなぜか私の方が上司になってしまったけど……彼はやればできる人なの!

私があのセクハラ社長に彼の価値を絶対わからせてやるんだから!

そして……彼とのオフィスラブを……えへへ♥

服を脱いだ私は浴室の扉を開けて中へと入る。

カラカラカラ……ピシャンッ

「「え?」」

目の前に佐々木さんがいた。しかも全裸で……

「おわあああああああああああああああああ!!!」

「きゃ!きゃあああああああああああああああ!!!」

お互い大絶叫。と、とにかく隠さなきゃ!やだやだ!おっぱいもパイパンのアソコも彼に見られちゃう!

「な!なんで!なんでキミが私の家のお風呂にいるのよ!!!」

「え?あれ!?翠川部長!?部長が何で俺んちの風呂に!?」

なんで?彼が私の家のお風呂にいるの?え?ええ?
もう頭はパニックになった。

「し、信じられない!不法侵入よ!いますぐ出ていきなさい!」

「いや、ここ俺んちの風呂ですよ!翠川部長こそ、何勝手に入ってきているんですか!」

何度かの口論、彼が家に侵入してきたのはショックだけど……
なにか、違和感が……

「よく見てくださいよ!ここが部長の家だっていうんですか?ほら!シャンプーとか全部男物ですよ?」

「何言ってるのよ!私の家のお風呂だって……え?あれ?……ここどこなの?」

あれ?本当にここはどこ?私の家のお風呂じゃない!?

え?夢なのこれ?私ったら寝ぼけて佐々木さんの家に来ちゃったってこと!?

「もう、いいです。眠いんで……警察とか呼んだら面倒なだけですし、部長も解雇とかになりたくないでしょ?今日はとりあえず帰ってください」

その後も口が悪い私のせいで、揉めてしまった。

佐々木さんは大事にしないでくれると言ってくれた。だけど……

ああ……終わった。私の恋が……

でも、最初から無理だったんだよ。

口も性格も悪くて、好きな人に素直になれないから罰が当たったんだ……

とにかく、お風呂から出て家に帰ろう……ん?あれ?開かないわ。
お風呂の扉が全然開かない!

「あれ?……え!?なんで!?扉があかないよ!?出られない!出られないよ!」

「はぁ……まだそんなウソつくんですか?いい加減にしてくださいよ」

うう……また彼に迷惑かけちゃう……でも、扉一緒に開けてくれるなんて優しいなあ……

【業務連絡です。この部屋はセックスしないと出られません。彼とセックスしてください】

……はあ?え?なに今の声?

【繰り返します、業務連絡です。この部屋はセックスしないと出られません。彼とセックスしてください】

頭の中で響いてくるアナウンスのような声が、意味不明なことを繰り返す。

「え?どういうこと?『セックスしないと出られない』ってなに!?」

彼の家のお風呂で全裸でふたりきりの状況で、頭に響くとんでもない声。

夢だわ……これ……とんだ悪夢。仕事のやりすぎだわ……

でも……これが夢なら……彼のまえで大胆にセックスしちゃってもいいんじゃないかしら?

素直になれない私に与えられたチャンスなのかも……夢だけど。

そして、私は彼とお風呂でセックスをしてしまったのだ……

~セックス後~

「はぁ……最悪だけど、最高だったかも♥」

頭の中のアナウンス通り、彼とセックスしたらお風呂の扉が開いた。

後ろ髪をひかれつつ扉を通ると、扉は自動で閉まってしまう。

「ここ?私の家だよね?」

そう、そこは見慣れた脱衣所。

そして……意を決して、もう一度お風呂の扉を開けるとそこに彼の姿はなかった。

「うん……私の家のお風呂だ……疲れているからこんな夢見ちゃったのかな……」

だけど……股間はしっかり痛いし……

私の膣には彼とのセックスの証が残っている。

「やっぱり……夢じゃないわ……私、佐々木さんとセックスしちゃったんだ……」

ええええ!!……明日から彼とどう接したらいいのよ!?

……いや、そうだ。素直になろう。私は彼が好きなんだもん。

こんな私でも抱いてくれたのだから♥

「印象が最悪ならここからは、上がるしかないわよね!それに責任も取ってもらうっていったし♥」

こうして私はお風呂以外にも、人生の楽しみができたのだった。

そう、もう一度彼の家のお風呂に行くときまでは……

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