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14話

「ちょ!!ひさっちゃん!??それズルくねぇ??」

「なーんでぃ、このコンボ技は俺っちの鉄板だっしょ!」

昼日中。

縁側の外で夏の陽光が三三グラミーしてるせいか、居間には健康的な日差しが供給されている。

アブラゼミらしきセミの鳴き声が心地いい。

だが、僕はそんな風流に浸るだけの意識を割く余裕は無い。

今は目の前のクソジジイを倒さなくては。

そう。

このスマブロで。

「っしゃあ!また俺っちの勝ちでぇ」

「くっっっぁそぉ…なんでそんな上手いんだよぉ」

「そりゃあ孫に鍛えられてるからっしょ」

ゲーム機片手にガッツポーズを取るひさっちゃん。

畜生、こんなジジイにゲームで負けるなんて生き恥も良いところだ。

「…ん?ひさっちゃん孫居るん?」

「居るでぇぃ?
ちょうどナオっちと同じ年くらいの孫娘!もともとスマブロも孫娘に無理やり付き合わされたのが始まりよ」

「あーそうだったんだ」

悔しいのでもう一戦挑もうとしていた時、事務所に1人のお姉さんがやってきた。

「久義さん…これ…品質管理報告書です…ご確認を」

あっこの人は。
初日に突進イノシシお姉さん事ルヴィに襲いかかられた時、僕を助けてくれた黒髪ショートヘアの真面目そうな牛娘のお姉さんだ。

「おー、ナオっちちょっと待っててな?えーどれどれ」

ひさっちゃんはシャツの胸ポケットからメガネを取り出すとその黒髪ショートお姉さんが渡してきた書類に目を通し始めた。

この人は確か初日に僕に襲いかかってきたルヴィさんから僕を助けてくれた人だ。

黒髪ショートヘアと敬語が印象的で覚えてる。

黒髪ショートお姉さんはひさっちゃんが書類受け取ったのを確認すると何故か僕の方を見てきた。

「じっ……。」

「………?」

「………。」

(えぇ…なんだろう)

だがしばらく僕を見つめた後「それでは…失礼します」と言って事務所を出ていった。

搾乳服じゃなくて普通に白ワイシャツと黒スカート履いてたけど、他にも仕事があるのかな?あの人。

こんな田舎の牧場には似つかわしくないまさに都会OL!って感じの見た目だったが。

「ねぇ…ひさっちゃんあの人は?」

「ん?あー、江理香ちゃんでぃ。ナオっちに初日から襲いかかってきた子居たべ?ルヴィ。あの子のお姉ちゃんでい」

「えー!!全然似てない」

ルヴィさんは見ての通りあの性格、その上褐色の肌に赤い髪。
それに対してさっきの江理香さんと呼ばれるあの真面目そうなお姉さんは肌もめっちゃ白いし黒髪だし。なにより立ち振る舞いがまったく違う。

「あー、こりゃちっとまじーなぁ」

「ん?どうしたのひさっちゃん」

「ん?いやーなぁ…これ、うちの牛娘たちの母乳の品質を検査した報告書なんだけどなぁ」

「結果…はどうだったの?」

「悪ぃなぁ…軒並みほぼ全員品質がガタ落ちだぁ」

「そ、そうなんだ…」

「昨日ちょうど品質検査のためにみんな乳搾りしたんだがよォ」

「へぇ…そっか…え?もしかして百花さんも?」

「んぁ?オメー昨日百花ちゃんと遊びに行ったんじゃねーのか?百花ちゃんだけ昨日乳搾り来なかったんだけんどよぉ」

そういえば昨日は百花さんと村を散歩して、その後この部屋で夜近くまで添い寝した後、起きた後も百花さんの好きなyootuberの動画を夜遅くまで見させられたんだった。

「は、ははは…なんの事かね」

「ん?なんだぁ?……んー、にしても…これはちっとやべーかもしれねーなぁ」

「母乳の品質ってどうやって上がるの?」

「んー、基本的に母乳の品質が下がる時ってのはストレス感じてる時だな」

「ストレス?みんなストレス溜まってるの?」

「かもなぁ…みんな口には出さねぇけどな。夏の時期っての発情期だからみんな内心ムラムラしっぱなしなんよ」

「え、そうなの…」

「あぁ、なのにセックスできる相手が居ねーとストレス溜まんのよ」

「はぁ…えっ、もしかしてさっきの江理香さんも…ですか?」

「あー、江理香ちゃんなんて特に溜まってるみてーだなぁ。まぁ江理香ちゃんだけじゃねぇ。セシリアもリアナも、ルヴィも。みーんな品質がガタ落ちしてやがる」

「そ、そうなんだ」

「品質が落ちるだけじゃねぇ…もっと簡単に分かる指標もあるんだ」

「ん…?指標?…どんなの?」

「シンプルに乳の出が悪くなる」

「え!そうなの!?」

「あー、実際みんな乳の出が悪くなって来てやがる。
牛娘ってーのは出せる時期にたっぷり母乳出しといた方が体に良いんだぁ」

「そ、そうだったんだ」

「シンプルな疑問なんだけどさ、ひさっちゃん…別に僕が無理にやらなくてもみんな山を降りて彼氏作るだけで解決するんじゃないの?」

「そう思うだろぉ?それがなぁ…割とそう簡単に行くもんじゃねーんだよ」

「え?なんで?」

「牛娘の好みの男の年齢って知ってっか?」

「え?…あー、なんか百花さんから聞いたけど…若い男が好きって」

「それがなぁ…若い男って言っても…かなり極端でよぉ」

「う、うん」

「ズバリ、小学生から高校生くらいが好みなんだぁ」

「えええ!?…まさかの未成年好き…?……」

「んまぁ…分かりやすく言うならそういう事なんだぃ……今の時代……成人した女がおおっぴらに未成年と付き合うなんてやべぇだろ??……彼氏作りなんて簡単に出来るもんじゃねーんだ」

「ま、まぁ……そうだけどさ」

「…特にうちの子はなぁ…俺っちが密かに全員の好みな男をサーチしたんだがよぉ…」

「うん」

「おそらく全員高校生が好みだ!特に童顔で色白、黒髪に細身の体型!これは間違いねえ」

「局所的……あれ?」

「ナオっちよぉ…ところで鏡って知ってっか?便利だから使って見るといいぜえ?」

「ようするに…僕って言いたいの……えぇぇ…」

「あー、神のイタズラか運命のイタズラか…百花ちゃんはバッチリこの牧場の牛娘達の好みにドンピシャな男を連れてきたっちゅう訳なんだなぁ」

「えぇ…そんな良くあるようなweb小説みたいな展開……」

「牛娘の母乳の品質管理が難しぃってのはここが起因するんでぇ…好みの男がマニアックすぎるんだなぁ…でも本当に好みの男とセックスしねーと品質は上がらねぇ…」

「えぇ…なんじゃそりゃぁ」

「まぁ好みじゃない男とはヤリたくねぇって事なんだなぁ」

「はあ…」

「で…そろそろどーだ?まずセシリアでいいから、一発やってみねーか?」

「えっ…セシリアさんと…うーん…」

「セシリア美人だろ?いい乳してっし、面倒見もいい、この牧場来る前は相当モテててたみたいだぜぇ?」

「そ、そうなんだ」

「特にな…なんで昨日検査したかってーとなぁ、これは俺っちの勘なんだが」

「うんうん」

「おめーが来たのにエロい事なんも起きねぇから余計みんな溜まってんじゃねーかなぁって予想してたんだよ」

「えっっ…そうなの」

「んだぁ…そんでいまその結果を見てみたがよォ、案の定思った通りだぜぇ。…やっぱみんなそれなりにおめーさんの事、意識してんじゃねぇの?」

「そ、そっかぁ…」

「んまぁ、俺っちは強制しねーけんどよぉ。あいつらの力になりてぇって少しでも思ってくれたら、相手してやってくんねぇかなぁ?」

「う、うん…考えて……みる」

話が終わった後はひさっちゃんとまたスマブロで連戦した。
一回も勝てなかったけど。

その後急に「俺っちそういやちょっと下の町に用事思い出したぁ、またな!ナオっち」と言ってハーレーで山を降りて行ってしまった。

そしてその後は百花さんが事務所に訪れ、なんか僕を使って遊ぼうとしたみたいだけど

すぐにリアナさんが来て

「百花はこっち、昨日サボったろ?」

「ちょっママぁ、私これからペットを散歩に連れてかないと行けないの〜」

「ペットなんて飼ってねーだろ…いいから来る」

「ぁぁぁぁ」

とリアナさんに連行されて行った。

多分昨日僕と遊んでて母乳搾り以外にも色々サボったのだろう。
僕は連れてかれる百花さんに敬礼をして見送った。

トロフィー〘ご武運を〙を獲得しました。

獲得したトロフィーを心の棚に飾ると僕は牧場を散歩した。

牧場の大自然感に浸りながらも、頭の中ではずっとひさっちゃんとの会話を思い出している。

「はー、確かにストレスは体に悪いもんなぁ…」

ひさっちゃんはなんだかんだ優しいので強制はしない。
この夏、誰ともそういう事をしなかったとしても。
ひさっちゃんは普通に8月31日に給料を手渡してくるだろう。

でもそれでいいのだろうか。
なにより期待されていて、それがわかっているのに、それに応えないのは僕としても嫌だ。

それに、本音を言うなら、その………正直僕もシたい。
だってこの牧場の人たちみんな綺麗だし。
おっぱいも大きいし。

とどのつまりちょっと気恥しくて素直になれないだけなのだ。

「んー…」

そんなふうに悩んでいるとセシリアさんを見つけた。

「〜♪」

何やら鼻歌を歌いながらみんなの洗濯物を干している。
なんか可愛い。

僕はセシリアさんに近づいた。

ツン

「きゃっ」

「だ……誰でしょう…なんて…はは」

「え〜誰さんだろう。こんな可愛い声の子居たかな〜?」

「ちょっ…可愛い声なんてしてないですって…」

「ふふっ…こんにちは、ナオくん」

「こ、こんにちは」

セシリアさんはさっきと同じ調子で鼻歌を口ずさみながら洗濯物干しの続きを始めた。

「〜♪」

「…。」

「牧場には慣れた??」

「え、あっ…はい。少しは」

「そっか、良かった〜」

セシリアさんが洗濯物を干しながら後ろに居る僕に話しかけてくる。

なんだろう、この…家事をしてるお母さんに話しかけてる感。

「〜♪」

パタパタ(洗濯物)

ひさっちゃんの言っていた事。

たまには、僕から大胆な事してみないと…。

うん。

ギュッ…。

「あら……ふふっ」

「…。」

「どうしたの〜…甘えたくなっちゃった?」

「えっと……はい」

「ふふっ…そっかぁ…ちょっと待っててね〜…すぐに終わらせるから」

僕はセシリアさんを後ろから軽く抱きしめてみた。

セシリアさんは少し動きを止めたもののとくに驚いた様子でもなく当然のように後ろの僕に話を振ってきた。

セシリアさんはパタパタと手早く慣れた手つきで洗濯物を干し終わると僕の方に振り返ってきた。

「はいっ…終わったよ〜」

「あっ…はい」

「はいっ…お返し…ぎゅ〜」

「わぁ」

セシリアさんは振り返るとその包容力のある体で僕にハグをしてきた。

さらっと頭も撫でてくる。

この人のお母さん力に僕はとろけそうだ。

「私はちょうど今日のお仕事これで終わりだけど…どうする?」

「え…あーいや…特に何か考えてた訳でもなくて」

「んー…じゃあデートでもする?」

「えっ…で…デート…ですか」

「うん、ナオくんとデートしたいな〜お姉さん」

「は、はは…じゃ、じゃあ…そうしますかね」

「うん…分かった……じゃあ着替えてくるね?」

牧場の作業着を着替えたいのかセシリアさんは牛舎の私室に戻って行った。

事務所に後で行くから待ってて?と言われ僕は縁側に腰をかけ座っている。

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