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31話

コンコン

ガチャ

「江理香さーん」

「はぁ…昨日何回も私に中出ししたのにもう溜まっちゃったんですか?星野くんは元気ですね」

「えぇぇ…なんか扱い酷くないですか」

「昨日君にやられ過ぎてちょっと腰が痛くなってしまったんですよ?」

「運動不足なんじゃないですか?」

「そう…ですね…確かに運動はあまりしていません………というかどうしたのですか?また種付けしにきたのですか?」

「江理香さん」

「はい…なんですか?種付けくん」

「デートしません?」

「えっ…い、今からですか!!」

「はい!仕事の予定とか大丈夫そうですか?」

「いやっ…そ、それは大丈夫そうなのですが…その…デート…ですか」

江理香さんが困っている。
時刻は昼の1時くらい。
いつものように江理香さんの部屋に訪れたわけで、今は玄関でおしゃべり中である。

僕にデートを誘われた江理香さんはなにか困ったような顔をてしている。

「僕とデートするの…嫌ですかね」

「え!!あーいえ!…そ、そんな事はないです……嬉しいです…でも……その…」

「どうしたんですか?」

「その…し、私服が……」

「私服が……?」

「………。ないん…です……パジャマくらい…しか…」

「えぇ…なんでそんなピーキーな生活してるんですか」

「だ、だって!……まさかこの牧場に来て誰かにデートに誘われるなんて思ってなかったんですよ!…ぁぁぁ………」

まぁ薄々気づいてはいた。

だっていつ来てもその白ワイシャツと黒のタイトスカートだもん。

前にふざけてクローゼットを開けたら同じ服が10着くらいあってビビったし。

「あ…あの……今から私、家に帰るので…それまで待ってて貰えませんか?」

「ちょちょちょっ!いいですって!!そこまでしなくて!!」

「だ、ダメです…せっかくの初デートは万全に準備したいのでっ……わ、私…一度都内へ戻って…」

「あーーー!ぼ、僕!江理香さんのその白シャツ姿が好きなんです!!!」

「え…………そ、そうなのですか?」

「はい!もうその姿じゃなかったらデート行きたくないってくらいその姿の江理香さんが好きです!!」

「は、はぁ……これ…仕事でいつも使ってる服ですが……これがいいのですか?」

「はい!OL最高です!行きましょう!!」

「あっ…ちょっ、ちょっとっ…星野くーん…」

江理香さんの手を引いて強引に連れ出してしまった。
まぁぶっちゃけまじでそのOL姿の江理香さんを連れ回したかったという節もあるのだが。

僕はとりあえず江理香さんを連れてアサガオ村へ降りた。
こんな山の中だ、デートスポットなんて大した場所はない。

「江理香さん…なんか…怒ってます?」

「むぅ………」

江理香さんがなんか不機嫌そうだ。
どうしたんだろう。

「江理香さん…?」

「私……もっと準備したかったです……」

「えぇぇ…」

「シャワーとか浴びてないし…デートするならせめて髪の毛も一回洗いたかったし………お化粧だって今日はしてませんし……」

「いやいや…江理香さんすっぴんでそんだけ美人なのに化粧とか逆に無粋です!そのままで行きましょう」

「もうっっ…星野くんのバカぁ…もっと事前に言っておいて欲しいですっ……女の子には準備とかいろいろあるんですからぁぁ!」

「あーもう…………ちゅ」

「ん………」

「はい、じゃあ行きましょうねー」

「ちょ、ちょっと!?……ほ、星野くんは私の事をキスしとけば大抵は丸め込める便利な女とか思ってませんかっっっっ!?」

便利な女とは思っていないがキスをすると割と丸く収めてくれる人とはちょっと思ってる。

なんやかんや言っていたが僕から恋人繋ぎをしたら大人しくなった。

うん、この人ホストとかにハマったりしないかちょっと心配だわ。

場所は移り小島商店。

特に理由はないけどアイスが食べたい気分だった。

「ジャイママ!居る?」

「なんだいジャイママって…はいはい…今日はなんだい」

「いやーアイス食べたくて」

「はいはい…好きなの持ってきなぁ」

江理香さんとアイス用冷蔵庫の前に立つ。

僕にはある程度計画があった。

江理香さんは予想通りポケットをまさぐっては何かを焦り始める。

そうだろう。そうだろう。
江理香さんは普段お財布はバッグにちゃんとしまっているのを知ってるのでいきなり連れ出したりなんてしたら…ねぇ?

「あ、あの…星野くん…一度牧場へ戻りませんか?」

「おやおや…どうしたんですか?もしかしていい大人が財布持ってくるの忘れちゃったんですか?」

「うっっっ…ま、まさか星野くん…それを狙って…」

「仕方ないですねぇ…僕が奢ってあげますよ!」

「もぉぉぉ!!星野くんのばかぁ!嫌いっっ!」

アイスを2人分買い店先の長椅子に2人で座る。
うん、案の定江理香さんが不機嫌そうだ。

「どうしたんですか?シャク…」

「私が……星野くんにいろいろ奢りたいの…本当は分かってる癖に……シャクシャク」

「いやー、露骨に僕に貢ぎたい欲求丸出しの江理香さんに逆に僕が奢ったらどんな反応するのか見たくなっちゃって」

「星野くんってほんと酷い……」

「嫌いですか?」

「…………」

「…………」

「大嫌いです……早く私と同棲してください…」

「ははは…奢って良かった」

「つ、次は私が奢りますからね!?……それはもうすっごい美味しいフレンチ奢りますからね!?…約束ですよ!」

「はいはい…約束です」

「あれー…アンタこないだは別の女の子と来てなかったかい?」

「ぎくっ」

やっべ。
恐る恐る江理香さんの方を見る。
うわ〜、案の定冷たい顔になってる。

「へー……星野くんはこーやって女の子を誑かしてるんですね……シャク」

「な、なんの事ですかね……」

「私は暇な時間にちょうどいい穴なんですね……へー……」

「そ、そんなわけないじゃないですか…ヤダナー」

「もう!!星野くんの浮気者ぉぉぉ!!」

「わぁぁぁちょっちょっちょっ」

江理香さんが長椅子の座る部分に押し倒してきた。

「私…結構ヤキモチなんですっ」

「し、知って…ます……」

「星野くんはかっこいいから他の女の子がたくさん寄ってくるのも分かってます…でも……でもぉ……」

「ははは…」

やっぱ困ってる江理香さんも怒ってる江理香さんもほんと可愛い。

僕は押し倒されながら下から江理香さんの髪を撫でた。

「くぅぅぅ〜……星野くんはまたそうやってぇ……」

「やっぱ僕…江理香さんの困ってる顔大好きです…可愛いから」

「…………」

「…………」

「そ、そんなこと言われても……簡単に…許したり……」

「江理香さん可愛いなー」

「うぅ……」

「江理香さんがお嫁さんだったら毎日楽しいだろうなぁ……」

「うぅぅぅ…………」

「…………」

「で、デート……」

「はい」

「デート…たくさん楽しませてくれたら……ゆ、許してあげます……」

「はい、たくさん困らせます!」

「んもぉぉぉ!そんな事言ってない!!ばかばか!」

「ちょいちょいアンタ達…店先で痴話喧嘩はやめておくれよ…この村はそういうのに飢えてるんだ…そんなんやってると変なのが集まってきちまうよ〜?」

「オニーサンナイスチンチン!撮るよ!チンチンフラッシュ!!」

「うわっ…」

「ほら、変なのが来たよ〜まったく」

僕と江理香さんは上体を起こした。
てか今思いっきり僕たちがイチャついてる所撮られなかったか??

というかチンチンさんこの小島商店の事好き過ぎない?
ここに来るとだいたいこの人に会うんだけど。

「チンチンさんこんにちは」

「オニーサン昼間っからデート??イイネ!ナイチン!」

「ナイチン!」

「チンチンさん…アンタが大好きなチンチンアイスたくさん仕入れといたよ!これ買うのチンチンさんだけだからたくさん買っておくれよ!」

「オーーー!さすがネ!!ジャイママ分かってるネ!!これはGoodチンチンネ!!」

「ちっ………え??ちん…え?」

案の定江理香さんがめっちゃ困惑してる。

まぁそりゃそうか。

こんな変人に会ったら誰だって困惑する。
だがあえて助け舟を出さない事にした。

その方がなんか面白いから。

「ねーチンチンさん…この人可愛いでしょ?」

「オー!まさに日本美人ネ!ナイスチンチン!もう1回撮ろうカナ?チンチンフラッシュ!!」

「あ、あの…ほ、星野くん…この方は…?」

「嫌だなー何言ってるんですか…この村の大スターチンチンさんに決まってるじゃないですか」

「アイヤー!チンチンさんいつの間にか大スターなっちゃったヨ!照れるネ!!!」

「チンチンさん!ナイチン!!」

「オー!君も慣れて来たネ!ナイチン!」

「ほら、江理香さんも!」

「え、え……ない……え?」

「お嬢さん!ナイチンネ!」

「な、ない……ちん………」

「じゃあチンチンさんちょっとペットの散歩に行くカラマタネ!オニーサン!」

「またね!サイチン!」

「サイチンチ〜ン!!!」

チンチンさんは手を振ってどこかへ行ってしまった。

「よし、じゃあアイスも食べ終わったし行きましょっか」

「え……あ、あの…星野くん……説明は……」

「さぁレッツゴー」

「わ、私気になりすぎて寝れなくなっちゃいますよ!星野くんっっっ」

チンチン連呼してくる謎の中国人の登場によりいい感じに脳がバグった江理香さんを連れて今度は山道を歩いた。

そう、僕はザOLといった感じのこの江理香さんをあえて森の中にぶち込みたかったのだ。

この大自然溢れる山道にOL姿の女性、うん、不可解すぎる。
全く調和がなされていない。

このまさに大都会の高層ビルの上ら辺にしか生息して居なさそうな人を会えて山の中へぶち込む。

これがいいのだ。
江理香さんはなれない山道に足を取られそうになりながら僕に着いてくる。

「あ、あの…星野くん……普通デートってこういう場所には来ないと思いますけど…」

「何言ってるんですか…デートと言ったら山の中ですよ?……あーもしかして江理香さん知らなかったんですか?」

「ほ、星野くんっ!?私がいくら恋愛経験がないからって馬鹿にしてるんですか!?」

「ナンノコトデスカネー…ワタシ日本来たばっかりでヨクワカラナイ…ナイスチンチンネ」

「そ、その人に関してもまったく説明がなくて私は今混乱しています…」

「チンチンさんは謎の人だから」

「でも……私……どこかであの人見たことある気がするのですが…………うーん…………」

「あー僕もですね……きっとチンチンの神様みたいなポジションなんじゃないですか?」

「ほ、星野くん?……なんかさっきから適当に会話してませんか?」

「ナンノコト……ナイスチンチン」

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