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38話

「はぁ……はぁ………おい……お前……」

「て、てめぇぇぇぇぇ!!ゴラァァァ!!」

「僕の江理香さんに何してんすか………」

嘘だ。

嘘だよ。

助けに来てくれる訳なんてないよ。

なんで。

なんで彼が私の前に居るの。

「はぁ……あっぶね……危機一髪……百花さんに蹴り技教わってて良かった……」

「ほ、星野……くん……」

「江理香さん……逃げて……この人は僕が何とかするから……」

「ほ、星野くんっっっ………」

「本当は抱きしめてあげたいけど……この人まだまだ元気そうだから…ちょっと余裕ないです……はは」

私はただただ呆然としていた。
こんなかっこいい走馬灯見ていいの。
死後に惚れ直すなんてやだよ。
そんなの辛い。

「おいゴラァ!クソガキが割り込んで来てんじゃねぇよ!これからいい所だったのによぉ!!」

「藤本さん……僕…貴方の言葉にさっき救われたのに……ちょっと尊敬したのに……ガッカリですよ……」

「はぁぁあ???」

「もしかしたら僕の先輩になってたかもしれない人だったから……余計悲しいです……」

「ごちゃごちゃうっせぇんだよ!!どけぇ!!」

藤本くんが手に持っていたナイフがない。
さっきの音。
きっと星野くんにナイフを落とされたんだ。

藤本くんは星野くんに殴りかかる。

ガシっっっっ。

なんと。
星野くんはそれを躱すとそのまま藤本くんの背後に回って組み付きをした。

「ぐぁぁあ…ばなぜ…ごら゛…ぁぁ゛…」

「………はぁ…はぁ…江理香さんが怖がるんで…もう…大人しくしててください」

がしっっっっ。

星野くんの腕が藤本くんの首を締め上げている。
人間の顔はこんなに赤くなるのかという程に藤本くんの顔は赤く染まっていた。

きっと呼吸が出来ていない。
しばらくは暴れようとしていたが藤本くんは急にガクッと動かなくなった。

「えっ……えっ……ほ、星野くん!?」

「い、いや…殺してないですよ???………多分意識が飛んだだけです………」

意識を失ったらしい藤本くんを星野くんは床に寝かせた。

「はぁ……はぁ……普段から無駄に絞め技食らってるおかげですかね………まじで百花さんに頭上がんない………」

私はひたすら床で座り込んでいた。
ただただ見入っていた。

星野くんはそんな私に近づくと私を優しく抱き寄せて頭を撫でてくれた。

「怪我…しなかったんですね……良かった……」

なんで。
なんでそんな優しい言葉をかけてくれるの。
私…私……。

「…………」

「…………」

「星野………ぐん………」

「はい…僕です…」

「星野くんっ…星野くんっっ…星野くんっっっ…ぐすっ」

急に喜怒哀楽が戻ってきた。
彼に抱きしめられて体が自由になった。
私は力の限り彼を抱きしめ返した。

心の中で怖かったよぉと吐く。
さすがに見苦しいので口には出さない。

「ははは…よしよし…怖かったんですね」

「…だ、ダメ…じゃ……ないですか……ぐす……な、なんで戻ってきて……私…あんな酷いこと言って………ぐすっ」

「そんなのどうでもいいです…僕は江理香さんが怪我してなくて今すごくホッとしてるんですから」

「…ぐす……あんな……あんなこと言われたのに……戻ってきて……あんな危ない真似して……ばかっ…ばかっ……ぐすっ…私のために死んじゃったりしたら………絶対…絶対許さないっ……ぐすっ……。」

「泣いてるところも可愛いですね、その顔が見れるなら戻ってきて正解でした」

「…も、もうッ……ばかぁぁぁぁっっ!!!…」

いい大人が子供みたいに泣いた。
一回り以上年下の男の子に泣きついた。
私が長年作り上げてきた大人の私なんて、もうそのオフィスには居なかった。

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