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44話

全員で四つん這いになりアーチ状の草木のトンネルを1列に進んでいく。

シシーから後ろの人は全員、前の人のお尻が目の前にある状況である。

なんか昔トトロでメイちゃんがこんな感じのけもの道を歩いてたような。

しばらく進むとシシーが途中で僕らを待っていたので合流した。

シシー、百花さん、僕、最後にルヴィさんの並びだ。

「にゃあ、もうすこしにゃあ」

「なんか、はたから見たら僕ら完全に不審者ですね。」

「汚れてもいい服で来てよかった〜」

「ひぁっ…え?…誰か僕のお尻触ってます??」

「あれ?パシリ君の後ろって誰だっけ」

「にゃあ?ミャーじゃないにゃあ?」

「シシーは1番先頭なんだから当たり前でしょ」

「あの…ルヴィさん…やめてください…びっくりするんで…。」

「あはは…ばれちゃった」

「パシリ君…こんな状況で発情して私のおしり触ったりしないでね」

「さ、触りませんよ…」

「あー、ルヴィちゃんが子種くんの前行けばそういう事態もあったか〜。ルヴィちゃんのおバカ」

「1番後ろに居る本当の馬鹿はここに置いて行っていいよ」

「こんなけもの道の真ん中で喧嘩しないでくださいよ…」

「賑やかで楽しいにゃあ〜」

「ねぇシシー…いつもはどれくらいこの状態で進めば着くの?」

「にゃあ?ん〜…2分くらいにゃ」

「2分くらいで行けるんですね…割と長い…」

「え?子種くん2分でイけるの?早いね」

「あーはじまったはじまった」

「いける?ってなんの話しですか」

「いや、そりゃあもうピュッピュッの話だよ〜…ちなみにルヴィちゃんが本気で腰振れば子種くん1分持たないよ?今度試す?」

「ははは…そうですか…良かったですね…」

「でもルヴィの話に乗るようで腹立つけどさ……パシリ君ってほんとに早いよね…もうちょっと持ってくれないと女の子満足させられないと思うよ?」

「何が悲しくてこんなけもの道の真ん中で射精速度の話なんてしなくちゃいけないんですか…」

「にゃあ?だから2分で行けるって言ってるにゃ〜、ここで腰振る必要はないにゃあ」

「あーもうツッコミしきれない。…シシーはシシーで理解できてないから余計ややこしくなる」

「シシーは天然ちゃんだからね」

「いつかシシーちゃんにも性の喜びを教えこみたいな〜発情期のメス猫みたいになったりして」

「にゃあ?…発情期にゃあ?……あー交尾の話してたんかにゃ…シシー処女だからよく分かんなかったにゃ」

「え〜シシーちゃんまだ未開通だったの?なんだとっくにそこら辺のオス猫とハメハメしてるんかな〜って思ってたよ」

「ミャーにはまだつがいは居ないにゃあ」

「ていうかなんでルヴィさんが会話に混ざるといつの間にか下ネタトークになっちゃうんですか」

「ルヴィちゃんはその時したい話をしてるだけだからね」

「百花さん…ルヴィさんっていつもこんな感じなんですか?」

「そうだよ、だから基本みんな無視してる…江理香さんとセシリア姉さんだけは相手してあげるんだけど」

「セシリアとの下ネタトークは面白いよ〜」

「え、セシリアさんって下ネタ好きなんですか?」

「んーん、そうじゃなくてセシリアはド天然だから、私の下ネタを思いっきり勘違いして全然違う意味合いで返してくるんだ〜。それがほんとに面白い」

「あ〜、なんか…想像つきました。」

「でも最後の方はやっぱり下ネタの話だったってセシリアも気づくからさー、”もう!ルヴィちゃんたら!またお姉さんをからかって!”ってなるの」

「なんか…脳内再生が余裕すぎますねそれ。」

「だからどこまでセシリアに気づかれずに下ネタの話ができるかいつもチキンレースしてるんだ〜」

「セシリア姉さんで遊ぶのやめなってルヴィ」

「もうゴールは目の前にゃあ〜」

「やっと出られますね」

「良かった…この姿勢で動くの結構きつかったから」

「ルヴィちゃんはもうちょっと下ネタトークしてたかったけどな〜」

「パシリくぅーん…ここ出たらマッサージして」

「えぇ〜…んー…まぁ…いいですけど…」

「え?子種くんエッチなマッサージ出来るの?ルヴィちゃんにもやってやって〜」

「ルヴィにはなんもしなくていいからねパシリ君」

「にゃ?」

「きゃっ」

「わぁっ……ぱふ(百花さんのお尻に顔を突っ込んだ人)」

「きゃああっ(後ろから思いっきりお尻に顔を突っ込まれた人)」

「ん?どしたん…前の方(1番後ろでシンプルに状況が分かってない人)」

「ちょ、ちょっと〜?パシリ君?思いっきり私のおしりに顔挟んでるみたいなんですけど〜?」

「い、いやだって百花さんが急に止まるから…」

「ご主人様のお尻に顔挟んで欲情しないでくれる?」

「し、してないですって」

「キャー♡」

「わぁあっっ…ちょっと!ルヴィさんまで何やってるんですか!!」

「えー♡ダッテ子種くんが急に止まるカラ〜♡」

「いやさっき普通に1人だけ玉突き事故回避してましたよね!?なんで今更急に巻き込まれてるんですか」

「もうだめじゃん子種くん♡仕方ないなぁ…あとでエッチなお仕置ね♡」

「何ルヴィとイチャついてんのパシリ君」

「な!誤解ですっ……」

「ていうかシシーもなんで急に止まるの…」

「……。」

「え、どうしたのほんとに」

「……。」

「………。」

「…………。」

「誰か居るにゃ…」

「はぁっっ!?!?」

ゾッとした。

嘘だろ。

「え…誰か居るって…え?」

「え、シシー…マジで言ってんの?」

「マジにゃ、マジで誰かいるにゃあ」

「どしたん?1番後ろだからよく分かんないけど…本当に青姦してるカップルでもいた??ならルヴィちゃんも混ざりたいんだけど」

「ちょっと…まじで黙ってて…今それどころじゃないからほんと」

「ていうかこんな夜遅くにこんな山奥に居る人とか絶対やばい人ですよね」

「それ言ったら私達全員やばい人になっちゃうけど?」

「あぁ…確かに…」

「え、シシー…どんな感じの人?見える?」

「にゃあ…暗くてよく見えにゃいけど…多分大人の男の人にゃ」

「はぁぁあ!?」

「い、いよいよやばくなってきましたね…どうします?…一旦戻ります?」

「いや、こんな身動ぎできない場所でどうやって全員で引き返すの…」

「ば、バック?」

「パシリ君♡あんまふざけた事言ってると後ろ蹴りしちゃうぞ♡」

「ごめんなさい」

「バック?え?ここでバックでするの?ルヴィちゃんが言うのもなんだけど子種くん性癖歪んでるね〜」

「パシリ君…後ろ蹴りしていいよ…1番後ろのやつ」

「いやまじでふざけてる場合じゃないですって」

「にゃ?…」

「ど、どうしたの?シシー」

「男の人どっか行ったにゃ」

「えぇ…やっぱ見間違いだったんじゃないの…?」

「ミャーは目がいいから絶対見間違えないにゃー」

「でも良かったですね…不審者退散した」

「にゃ〜?なんだったにゃあ?あの人」

「とりあえず、一旦出ませんか?この姿勢結構しんどいんで。」

「そうだね…一旦出て…それでやばかったら逃げよっか」

けもの道珍道中は終わりを告げ四人ともけもの道から這い出た。

シシーとルヴィさんはとくに怖がりもせず身体を伸ばしたりしている。

それに対して僕と百花さんは、それはもう警戒心MAXでお互いの両手を握りながら周りの様子を確認していた。

「居ない…?居ない?」

「だ、誰もいないですね」

「何かあったらパシリ君盾にしよ」

「えぇ…」

「青姦カップル居なくなっちゃった?ざーんねん」

「にゃ〜…見間違えじゃなかったんだけどにゃあ〜」

辺りを見回したが木々に囲まれるだけで特に不審者は見当たらなかった。

「あれ?でも…」

「え…ど、どうしたんですか百花さん」

「なんかさ…聞こえない?」

「え?」

耳を澄ましてみる。

オチンチン〜オチンチン〜

「えっ!?」

「聞こえた?」

「き、聞こえました!!…なんか…チン…なんとか言ってますね…」

「にゃ?…なんかおちんちんって聞こえるにゃ」

「え!?チンチン!?どこどこっっ」

「も、もしかして……自分のイチモツを切り落とされてしまった男の幽霊なんじゃ…それで今も自分のイチモツを探してさまよってるとか……」

「どんな霊よ…それ」

「にゃ…誰かこっち来るにゃ」

「あぁっ…パシリ君シールドっっ」

「ちょっと押さないでくださいよ」

「にゃあ?」

すると僕らの前にそれは恐ろしい男の幽霊が。

「オチンチンっ…ドコ行っちゃったノ〜…帰ってキテアルヨ〜」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁあ!」

「え?」

「見てない見てない…お化けなんて居ない……ガクガク」

「ちょ…パシリ君?…おーい…」

「ひぇ…え、百花さん?お化けは」

「ほら…見てみ」

「ん…?」

「アレ…オニーサン達…こんな所でナニシテル」

「え、チンチンさん…?」

イチモツを探して彷徨う幽霊の正体はチンチンさんだった。

「チンチンさん…どうしたの…こんな山の中で」

「チンチンさん…ペットの虫が逃げ出しチャッタアルヨ…だから探しにキテたアル」

「あ…そうだったんですね」

「オニーサン達…チンチンさんのペット見てナイ?」

「え…どんな感じの虫なんですか?」

「ソウネ…鳴き方、スゴク特徴的ネ…」

「なるほど…鳴き方が特徴的…」

「あとネ…見た目もかなり特徴的ネ…完全にチンチンネ」

「見た目も特徴的…チンチン?…え…今のチンチンはどっちの意味ですか」

「ソリャもういい絵になる虫って事ネ」

「あーなるほど……」

「ンー…ドコ行っチャッタノ…オチンチン」

「え…それ名前ですか」

「ソウネ!」

「……」

パコパコアンアンっっっパコパコアンアンっっっ

「ア!今のネ!今ウチのオチンチンさん鳴いてたネ!近くに居るネ!!」

「え、もしかして今の鳴き声の虫がチンチンさんの探してる虫なんですか…?」

「ソウネ!あの鳴き声…間違いなくオチンチンネ!」

「あの…」

「ン?どしたのオニーサン」

「この子…ですか?」

虫かごの中身を見せる

「オーー!この子ネ!会いたカッタアルヨ〜」

「はぁ……なんとしょうもない…」

なんともしょうもないオチである。
その後チンチンさんに虫かごごと渡した。
チンチンさんは「アリガトね!!助かったネ!」と言って山をおりて行った。

僕たちはあの新種生物とチンチンさんを見送った。

「パコアン虫……」

「激キモ虫くん……」

「パコティッシュホールド虫さん…」

「長くて忘れちゃった」

ここに来るまで色々あったし思い返せば下ネタばっかりだったが、僕たちはこれでやっと自分達の課題を始める事ができた。

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