45話
「ねぇシシー…これはなんて言う虫?」
「にゃ…これはタマムシにゃ」
「めっちゃ綺麗ですね…」
「パシリ君…写真写真」
「あっ、そうですね…パシャっパシャっ」
「お、ルヴィちゃんも虫みっけ…シシーちゃん?この子はなんていう子なの?」
「にゃっ…この子はオオムラサキにゃ…この子はレアにゃよ?」
「おお、レアなんですかこの蝶」
「蝶じゃなくて蛾にゃやよ」
「えぇ…こんなに綺麗なのに蛾なんですかこれ…パシャっパシャっ」
シシーの言っていた通り、ここには色んな虫がいた。
市内では絶対見つけられない山の虫たち。
最初はもっとキショい虫がわんさか出てくると思っていたが思いのほか綺麗な虫もたくさん居てテンションが上がった。
「にゃ!ナオにゃん…ちょっとこっちおいでにゃ」
「ど、どうしたのシシー」
「この子見るにゃ」
「お、おお!かっこいい」
そこにはくそかっこいいクワガタが居た。
「シシー…この子はなんて言うの?」
「にゃ…この子はミヤマクワガタにゃ…レア虫にゃ」
「すげぇ…こんなかっこいいクワガタ居るんだ…パシャっパシャっ」
「それにしてもみんな…虫見つけるの上手にゃね〜」
「はっ!……ぼ、僕もなんか見つけないと……」
自分だけまだ1匹も虫を見つけられていない事に気づき慌てて虫を探す。
すると木の樹液に止まっている1匹の黒い虫を見つけた。
「し、シシー!僕も見つけたよ!これ」
「にゃ?…どれどれにゃあ〜」
「ど、どう?レア?レア虫?」
「にゃはは…ナオにゃん…これゴキブリにゃ」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁあ」
「パシリ君さぁ…わざわざ山まで来てゴキブリ見つけなくても良くなーい?」
「だ、だって…なんかレアな虫だったらいいなって…」
「でも山でゴキブリって逆にレアなんじゃない?シシー」
「にゃあ?そんな事ないにゃ?…むしろ山の方がゴキブリ多いにゃよ」
「ひぇ…ご、ゴキジェット持ってきたっけ…」
「山の中でゴキジェットなんて罰当たりにゃ〜」
「ん〜…結構撮れたし今日はこれくらいでいいんじゃない?どう思う?ゴキブリ君」
「もっ…百花さん!?…お願いします…その呼び方だけはっ…その呼び方だけはやめてくださいほんと…」
「にゃはははは」
でも確かに結構色んな虫の写真が撮れた。
今日中に課題を終わらせようという訳でもない。
まぁ急に思い立って始まった虫観察ツアーにしては大収穫と言える。
「にゃ、じゃああんまり遅くなると牧場のみんにゃが心配するし…そろそろ戻るにゃよ〜」
「はいはーい」
「ま、またこのけもの道通るんですか…」
「そうしないと戻れないにゃ〜」
「ていうかチンチンさん…全然違う方通って山降りてったけど…あの人大丈夫だったのかな」
「にゃ〜…ミャーもそれが不思議だったのにゃ…あっちは結構急な山道だから相当運動神経良くないとこんな夜中には降りれないにゃ」
「チンチンさんって運動神経良いのかな」
「チンチンさんって言うくらいだし
そりゃもうバッキバキのフルボッキってくらいには運動神経いいんじゃないの?
ルヴィちゃんあの人の事あんま知らないから分かんないけど」
「というかルヴィさん…チンチンさんなんて下ネタ全開のあだ名してる人と会ったのに…なんか反応薄かったですね…もっと過剰に反応すると思ってました。」
「え?そりゃあもうルヴィちゃん、今頭の中で作戦考えてる真っ最中だからね〜」
「さ、作戦…なんだ…?」
「にゃ…じゃあもう入っちゃうにゃよ〜はぐれにゃいようにするにゃ」
「あ〜シシー行っちゃった。」
「さっきと同じ並び順でいいんじゃない?ルヴィちゃんは1番後ろでいいよ」
「え、でも1番後ろって怖くないですか?ルヴィさん」
「んーん大丈夫、子種くんの背中は私が守ってあげるよ」
「あ〜分かりました。なんかすみませんルヴィさん」
「ふふ…いいのいいの…後ろは任せて♡」
「なんかムカつく…まぁいいや……じゃ、私も入る…よっと…」
シシーに次いで百花さんも中に入った。
よし、あとは僕が中に入るだけだ。
「ねーねー…子種くん…いまあそこに見た事ないめっちゃ大っきい虫居たよ?」
「え、本当ですか?」
「うん、今日見た中で1番大っきいかも」
「ええ!じゃあ写真撮りたいなぁ…」
「撮ってけば?百花ちゃん達にはここからひとこと言っておけば心配もされないし」
「そ!そうですね!」
「うんうん、ルヴィちゃんは待ってるから」
なんだ、この人常に頭おかしいのかと思ったけど、意外と優しいし配慮もできる人なんだな。
そう関心しながら、けもの道の中で先に進んでいる百花さん達に大きな声で呼びかける。
「百花さーん…!」
『どうしたの〜…パシリくーん…』
「ちょっと今珍しい虫見つけちゃったんで〜その虫の写真撮ってから行きます〜…ちょっと遅れま〜す」
『あんまり遅くなり過ぎないようにするんだよ〜ゴキブリくーん』
「ちょ!だからその呼び方やめてください!!」
『にゃははははっ』
なんかシシーまで笑ってる。
まぁでも一応言っておかないと心配するもんね。
「で、どこですか?ルヴィさん!」
「えっとね〜…こっちこっち」
ルヴィさんに誘導され少し奥の方に入っていく。
確かにこれくらい森の深い部分なら珍しい虫も居そうだ。
「こ、ここら辺に飛んで行ったんですか?」
「ん?あ〜…そうじゃない?」
「でも…なんかここ…めっちゃ暗いですね…」
「怖い?ルヴィちゃんが手握っててあげよっか」
「え…でもさすがに」
「いいからいいから…怖いなら私に抱きついてもいいよ?」
「あっ…えっと…なんか…ありがとうございます」
「うんうん…いいのいいの」
僕の手を取って森の更に奥の方へと進んでいく。
キャラの濃さであまりこの人の顔や見た目をちゃんと認識してなかった。
この際なのでまじまじと見てみる。
ウルフカットのショート。
ウルフカットの部分が赤い。
全体的に黒と赤が混ざっている。
褐色の肌。
服越しでも分かるHカップくらいの胸。
上半身が灰色のスーパークロップドトップスに白のスポブラ。
下半身は灰色のスウェット
服の構造上完全におへそが見えている。
ちょっと自分のスタイルに自信がないと出来ないような服装、しかしかなり似合ってる。
首には黒いチョーカー。
耳には黒系のピアスがいっぱい。
誰が見ても視界に入って2秒で『遊んでる人』と認識できるくらいの服装である。
しかし、こうして横からまじまじと見るとかなりの美人ですこしドキドキしてしまった。
こんな綺麗な人にずっと夜の誘いされてたのか僕……。
「子種くんはさ〜」
「えっ…あ、はい……なんですか」
「ん?…どしたん…人の顔見てボケーッと……あーもしかして今初めて私の顔とちゃんと見た感じ??」
「えっ……よく分かりましたね……」
「ルヴィちゃん意外と観察眼あるからね〜……で?どうだった??惚れ直した??」
「え、……まぁ、綺麗な人だとは…思います」
「ん……じゃあセックスする?」
「なんですぐそうなっちゃうんですか……」
「ていうかさー聞きたかったんだけどさ」
「は、はい……なんですか?」
「百花ちゃんとはもうセックスしたん〜?」
「え、あーいや…してないですね」
「なーんだ…じゃあ百花ちゃんもまだ処女か…まぁ何となく匂いで分かってたけど」
「えぇ…匂いで分かるんですか…」
「分かるよ〜…ちなみにルヴィちゃんの見立てだと子種くんはもう童貞じゃないでしょ〜?」
「えぇ…な、なんで…」
「最初会った時は確実に童貞だったっぽいけど…牧場来て2〜3日目くらいで誰かに喰われたっぽいね〜」
なんだその身体機能。
すごすぎ。
確かに僕はもう牧場にきて3日目でセシリアさんとそういう流れになったしリアナさんとも江理香さんとのそういう関係になった……。
「というか……その……ルヴィさんてあれですね……」
「ん?どしたん」
「2人っきりだと割と普通なんですね…喋り方とか…声も……なんか急に落ち着いた感じだし………」
2人っきりになったら声のトーンが落ち着いたのだ。
先程のように「青姦カップル!?ルヴィちゃんも混ざりたーい♡」とか言ってる時は妙に作ったような高い声を出しているが2人っきりになったら急に落ち着いたお姉さんボイスになった。
それがびっくりした。
「ん?あ〜……まあね…いつもはおふざけモードみたいな?」
「え、じゃあ今は」
「素……かな?」
「は、はぁ」
「ルヴィちゃん普段は割とこんな感じよ?普段から常にあんな喋り方してたら頭おかしいでしょ」
「ま、まぁそうですけど……」
「あーそこ…尖った木飛びでてるから危ないよ……こっち来な?」
「えっ…あ、はいっ……」
「〜♪」
意外と優しいなこの人と再認識すると僕からもルヴィさんの手を握り返した。
それに反応してルヴィさんはさらっと恋人繋ぎにしてくる。
そんな調子でしばらく森を進む。
せっかくだしこの話題に触れてみる。
「あの…ルヴィさんと百花さんってなんであんな感じなんですか?」
「ん〜?いや、昔は仲良かったんだよ?
師匠!師匠!ってよく抱きついてきて…可愛かったよ〜あの頃の百花ちゃんは」
「えぇ…百花さんに師匠って呼ばれてたんですか??百花さんが人を師匠って……想像つかな過ぎる」
「ん〜まぁ百花ちゃんには色々教え込んだからね私」
「え、まさかエッチな事を」
「教えこみたかったけどさすがに小学生だったもんね〜、そんな事教えこんだらリアナに殺されるし〜…」
確かにリアナさんならブチ切れそうだ。
「割と実用的な事ばっか教え込んだよ?喧嘩の仕方とか…でかい男相手に組み付きする方法とか…筋肉を100%の力で使う方法とか…他にも色々」
「あぁ〜……もしかして百花さんがやたら強いのってルヴィさんの影響ですか……??」
「多分私だね」
「はぁ……でも慕われてたんですよね……なら尚更なんでこんな事になっちゃったんですか……。」
「ん〜…ルヴィちゃん的にはそこまで悪いことしたつもりはなかったんだけど…百花ちゃんからしたら相当ショックだったんだろうね〜」
「え、なんかしたんですか…ルヴィさん」
「ん〜…まぁね…色々♡」
「えぇ…」
「そろそろいいかな」
「え、着いたんですか」
「うん、着いたよ…ここらへんなら誰にも聞こえないし」
「え?」
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