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49話

「シシーっ居る?」

ガチャ

「にゃあ?ナオにゃんどうしたにゃん?」

「ごめんっ…ちょっとだけ匿って欲しいんだけどっ」

「にゃ?なんかよく分かんにゃいけどいいにゃん……上がるにゃん」

「あ、ありがとう」

午前10時。

夏の太陽が本領を発揮し始める時間。

最近はこの時間にルヴィさんが僕のところに来るのでこの時間だけ事務所から離れて置けばいいと気がついた。

でも百花さんのところに匿われるのは見つかった時に修羅場になりそうなので避けた。

リアナさんの部屋も同様、百花さんにすぐ直結しそうなのでやめといた。

江理香さんはこの時間は仕事に集中してると思うので、あまり巻き込みたくないのと、また妹であるルヴィさんが悪さをしてるという事を知らせたくなかった。

本当は江理香さんに泣きつきたい気持ちもあるけど。

セシリアさんは普通に居なかった。
あとセシリアさんはなんかのほほんとルヴィさんの事も部屋に招いてしまいそうな気がしたのでやっぱだめだ。

なのでシシーだった。

シシーなら誰にも干渉せず、また、特に深く詮索もせずに匿ってくれそうだったからだ。

シシーの部屋に上がるとシシーはお茶を出してくれた。

「飲むにゃん」

「あ、ありがとう……ずず…」

シシーの優しさがしみる。

うん、こないだの件もあったし、やっぱりマグロの刺身奢らないとな……この子には。

「シシー…今度2人でご飯行かない?」

「にゃっ、どうしたにゃん?急に……シシーちゃんとデートしたいにゃん?」

「あー、うーん……うん……そう……シシーとデートしたい」

「にゃははは、ナオにゃんにデート誘われちゃったにゃん」

「マグロ食べに行こう?奢るからさ」

「にゃ!!いいにゃん??」

「いいよいいよ」

「やったにゃん!!」

そういえばあのパンツ、うん……やっぱ悪い気がする。

「し、シシー……ちょっとパンツ見せて」

「にゃ〜?ナオにゃん変態さんにゃあ」

「ご、ごめん」

「まぁいいにゃ〜、ほら」

シシーがスカートをたくし上げる。
あー、よりによって履いてる。
あの時のパンツだ。

「シシー……これと同じパンツ買ってあげるから…これは捨てよう」

「にゃ?どうしてにゃん?これ買ったばっかにゃん」

「うわぁ……買ったばっかだったのか……尚更悪いことしたなぁ……」

「なんかよく分かんないけど…このパンツはこのままでいいにゃん」

「シシー……いい子すぎる……」

自責の念とその優しさに敬意をもってシシーの頭を撫でた。

「にゃ?……ふふふ……ナオにゃんにもやってあげるにゃん……よしよし〜」

「ははは」

「ところでどうしたにゃん?急に匿ってなんて」

「いや、ちょっと……怪物に追われてて」

「にゃ!?この牧場に怪物がいるにゃん??それは大変にゃん」

「そ、そうなんだ赤い髪の怪物が……」

「その赤い髪の怪物って私かな〜♡」

「ひぃっっ」

玄関からじゃない。
窓の方から聞こえた。

「やっぽ〜子種くん」

空いた窓の外でルヴィさんが肘を着いてこちらを覗いていた。

「な、なんで居るんですか……」

「なんでって……隣の部屋私だし」

「なっ!!!」

なんというミス。
どうして気が付かなかった。
僕はこの牛舎アパートの住民情報をしっかり入手しておかなかった事を後悔した。

「で、でも窓から中確認してるのおかしいでしょっ!?」

「ん?だってルヴィちゃんいつも窓から出入りしてるもん……子種くんのとこ行こうと思ったらなんか隣に居たし」

「な、なんでそんな事……」

「ほら〜いいから今日も遊び行くよ〜」

「にゃん?ナオにゃんルビにゃんと遊び行くにゃ?」

「そうそう〜最近ウチら仲良いもんね〜?」

「ひえ」

「ほら〜いいから行くよ」

見つかってしまった以上抵抗したらもっと酷い事してきそうだ。
僕は大人しく部屋から出た。

「あ!ナオにゃん!」

「ん?どうしたのシシー」

「デート……楽しみにしてるにゃん」

「あ!うんっ…絶対行こーね」

「にゃーん」

うーん。
なんか最近シシーが可愛く見えてきた。
僕がドアを締め切るまでシシーは手を振ってくれていた。

「お、きたきた」

「で、今日は一体なにをしでかすんですか……」

「しでかすってねぇ……まぁいいや……ちょっと部屋来てよ」

「僕を監禁するんですね……」

「そんなんしたらすぐお姉ちゃんにバレるって」

ルヴィさんに招かれルヴィさんの私室に来ていた。

部屋の中は……まぁ……うん、という感じ。
全体的に黒とピンクのゴシック調の家具が多い。
そしてなにより。

「今日はどれにしよっかなぁ〜」

「なんでこんないっぱい持ってるんですか……」

ショーケースのような棚がある。
中にはバイブやらローターやらディルドやらアダルトグッズが1列に並べられていた。

ポピュラーな物からマジで使い方が分からない物、拘束具のような物に謎の薬。

「赤いヤバい奴」の異名は伊達では無いなと思った。

「そういえばルヴィさんってなんで変な異名で呼ばれてたんですか?」

「うん?ひさ爺に聞いたん?まぁ昔ちょっとヤンチャしすぎたってだけなんだけどね〜」

「何したんですか一体……」

「別に?普通だけど…………夜道を徘徊して目に付いた若い男襲いまくってただけだけど?」

「それは普通とは言わないっっ」

警察は何をしているんだ全く。

「よーしっ今日はこれ♡」

ルヴィさんはショーケースから半透明のピンク色のディルドを取り出した。

「あと……今日はローター……ちょっと大きめの入れよっか」

「や、やです……ぜったい」

「ふーん♡……いいよ?抵抗しても♡……ルヴィちゃん抵抗されればされる程燃えるから♡」

全力で抗えば勝てる。

そう思っていた時期が僕にもありました。

「弱いね〜君」

「うぅ……」

入れられてしまった。

しかも潤滑剤はローションではなくルヴィさんの愛液を使われてしまった。

僕もうお婿に行けないかも。

というかこの人力強すぎる。
しかも組み付き技に持っていくのが上手すぎる。
一体どれほどの男を組み伏せて来たのだろうか。

「君さ〜そんなんで女の子守れるの?」

「少なくともルヴィさんを守る必要はなさそうです」

「いや…別に私を守らなくていいけどさ…自分の身は自分で守れるし」

「はぁ……」

「それより百花ちゃんとかが危ない目にあったりした時は君が守らなくちゃいけないんじゃないの〜?そんなんじゃ百花ちゃん任せたくないんだけど……」

「こないだ逆に守られちゃいました……」

「情けな…………こんど暇な時稽古つけてあげよっか」

「いいです…………ていうかルヴィさんが力強すぎるんですよ…」

「まぁ私の体は特別製だからね〜」

「あの……ルヴィさんってなんか喧嘩自慢的な武勇伝持ってたりします?」

「ん?ん〜そうだな〜……あ!身長2mくらいのプロレスラー襲った事あるよ」

「えぇ……さすがに相手が悪くないですか」

「いや大した事なかったよ……ルヴィちゃんなら本気出せばあのサイズの男5人は同時に犯せるね」

「ひえ」

「まぁ見た目に対してチンコがちっちゃくて萎えたから裸のままそこら辺に捨ててきたけど」

この人に逆らったらわんちゃん殺されるのではと危惧した。

その後、ルヴィさんに連れられ今日は村に来た。
あー嫌な予感がする。

最悪牧場の人達に迷惑をかけるならまだしもこの村の人達に迷惑かけるのはさすがにやばい。

「うーん……よし……ここら辺で隠れよっか」

「えぇ……」

「ほらっ……君も早くここ隠れてっ」

「わぁっ」

タケオの家、小島商店の横の小さな空きスペース。
いや、多分小島商店の敷地内だとは思う。
少し枯れた大きな紫陽花の影に2人で隠れる。

目の前には小島商店の壁、後ろには別の民家の家の壁。
幅で言うなら2m無いくらいの小さな空きスペースにルヴィさんと隠れた。

というか引きずり込まれた。

「ほら……これでルヴィちゃんを気持ちよくして?」

「えぇ……なんで」

ルヴィさんはスェットパンツとショーツを脱ぐと中にはさっきショーケースから選んだディルドがあった。

あった、というか。

膣に入れっぱなしのディルドだった。

「なんか無いなって思ってたら……ここに入れてたんですか……」

「ほら〜ディルド握って早くズボズボして?ルヴィちゃん待つのキライ」

「はいはい……」

少し持ち手の部分がルヴィさんさんの愛液でぬめっていた。
ジュポジュポっと音を立ててディルドを抜き差しする。

「ん〜♡」

「ど、どうですか……?」

「いいね……もっと早くしていいよ」

「はい……」

ジュポッジュポッ

「お?きたきた」

「え?」

ルヴィさんは紫陽花の影からなにかを感じ取った。
僕もう紫陽花の外側に目を凝らしてみる。

「あらリアナちゃんじゃない……お久しぶりね〜今日は何を買いに来たんだい?」

「おーっす……開いてて助かったわ〜」

う、嘘だろ。
小島商店にリアナさんが買い物に来た。

ん?あれ?
よく見るともう1人居る気がする。

「あら〜百花ちゃんもきたんかい?」

「うん、ママにアイス買って貰おうと思って」

百花さんまで……。
やべぇ。
これは見つかったらマジでやばい。

ルヴィさんにひそひそ声で訴える。

「ちょ……ルヴィさん……一旦中止しません?」

「なんで〜?2人が今日ここに買い物来るって聞いたからせっかく来たのに〜?」

あ〜だめだ。
この人の感性は常人の物差しでは測れないんだった。

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