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プロローグ 豪運

不動産王、死去。

このニュースが全国に知れ渡ったのは、数ヶ月前。
当然、俺こと雄一郎の耳にも入っていた。
不動産王の所有していた不動産は、親戚に分配されるらしい。
不動産を相続した人は、人生勝ち組だろうな。不労所得だけで生きていけるんだから。
ニュースを消し、お気に入りのAVを再生する。
俺には関係ない。いつもと変わらず、AVを見てシコるだけさ。

──と、思っていたら。なんと俺も不動産王の親戚筋だったらしく、相続する運びとなった。マジか。

ただ、不動産の数にも限りがある。
不動産王の遺言で、相続する人。相続する建物はくじ引きで決まったと聞いた。
ただ、俺が相続するマンションは、相続するにあたっていくつか条件があるらしい。

一つ。相続するにあたって、マンションに引っ越すこと。
二つ。管理人はマンションのみならず、住民の健康を管理する必要がある。
三つ。管理人はできるかぎり、住人の要望を聞くこと。

ざっくり分けると、この三つだ。
30歳、限界社畜。ついに運が巡ってきたか。
俺は二つ返事で了承すると仕事を辞め、アパートを引き払い、意気揚々と相続したマンションに引越してきた。

東京の一等地にある、6階建てのマンション。
部屋は満室の30世帯。一部屋の家賃は15万円。つまり、1ヶ月で450万円の不労所得が入る。
もちろん税金が掛かるが、それを差し引いても十分すぎるくらいの額が入ってくるだろう。

まさしく、勝ち組。勝ち組すぎる。

地図を片手に周りを見渡す。多分この辺……あ。

「ここか」

おぉっ、中々綺麗なマンションじゃん。
白を基調にした作りで、敷地内にはちょっとした芝生の広場があり、木々が植わっている。
ここに管理人としてタダで住めるなんて、感動だ。

けどここ、ちょっと特殊なんだよな。
普通のマンションは、エントランスに自動ドアがある。
だけどこのマンションは、周りを鉄柵や塀、門で囲われている。指紋認証で門を開かないと、出入りできない仕組みになっているのだ。
なんでここまでセキュリティが厳重なのかはわからないけど……東京の一等地って、これが普通なのかな?

指紋は予め登録してあるらしく、門の前の機械で認証する。

ピピッ、という音と共に鍵が開き、自動で門が開いた。
こんなセキュリティがあって家賃15万円は、むしろ安い方だろう。

エントランスのオートロックも指紋認証で開け、1階の奥にある管理人室兼住居へ向かった。
えっと、ここを曲がって……んん?

「くそっ、どこいったんだよ……」

うぉっ。ケツっ、でか……!
ホットパンツを履いたケツのでかい女性が、何かを探すように四つん這いになっている。
いや、すげぇ。ケツ肉のせいでホットパンツがくい込んで、半分ケツが出てる。

と……俺の足元に、片耳だけイヤリングが落ちていた。
これを探してるのかな?

「あの……」
「あ?」

振り返った女性は──目を見張るほどの、美人ギャルだった。
体のラインが浮き出るタンクトップを着ているせいで、おっぱいが立体的に飛び出している。
AVでもなかなかお目にかかれない、エロい体。しかも……多分ノーブラ。乳首尖ってる。

余りの光景にうろたえていると、ギャルは目を見開いて俺を見た。

「え、あ、男……!? な、なんで……!?」
「え? あ、あぁ。今日からここの管理人になります、雄一郎と言います。それと……もしかしてこれ、探されてました?」

拾ったイヤリングを手渡すと、ギャルはこくこくと頷いた。
その度におっぱいが揺れる。やばっ、エロすぎる。

「み、見つかってよかったです。俺、基本的に管理人室にいるので、困ったことがあったらなんでも相談してください」
「ぁ……うん。まあ、よろしく……」

見かけによらず恥ずかしがり屋なのか、少し顔を赤らめて足早に行ってしまった。
……あぁ、驚いた……あんなの、最高のオカズじゃん。やべ、勃起が収まらん。

いそいそと管理人室に入り、ほっと息を吐く。
管理人室兼住居ってことで、部屋の広さは4LDK。一部屋は丸々オフィスのようになっている。
住居スペースは、3LDK並の広さだ。
電気ガス水道も通ってて、家具と家電も揃っている。俺が送ったAVや服を荷解きすれば、もうなんら不自由なく暮らせるぞ。

部屋をざっと見て周り、とりあえずオフィスの仕事机に座る。
さすが、不動産王の用意した椅子。まるで社長椅子のような大きさと柔らかさだ。

「ふぅ……ん?」

なんだこれ。机の上に封筒が……必読?
封を切り、内容に目を通す。

『ニクセイマンション概要』

ニクセイマンション。ここのマンション名だ。
なになに? ふむ……ふむ……ふ、む……?
おかしい。俺は疲れてるのか? 書いてある内容がいまいち理解できない。

もう一度、最初から目を通す。
ざっくり内容をまとめると、次の通りだ。

『ニクセイマンションは女性限定のマンションである。住んでいる女性は入居時審査で独自に調査した結果、とある問題を抱えている女性のみ入居許可を出している』

とある問題。これは様々あるみたいだが、それを一言で言うとこうなる。

『潜在的快楽依存性』

表面的ではないが、快楽……つまり潜在的にセックスやオナニーが大好きでたまらない女性だけが住んでいるマンション、ということらしい。

そして管理人である俺の最重要業務が、これだ。

『女性たちの性欲及び欲望の解消』

これは……このマンションに住んでる女性たちの、肉ディルドになれ……ってことか?

おいおいおい。さすがにおかしいだろ。
馬鹿馬鹿しい。そんなの信じられるわけない。
呆れてため息を着く。と……ん? 2枚目があるな。

『各住人性癖リストは、パソコン内部→ファイル名』

パソコン?
パソコンを起動し、デスクトップのファイルを開く。
写真、名前、年齢、部屋番号……それに加えて、確かに性癖まで書いてあった。
うわ、美人だらけ……えっ、JC、JK、JD!? マジで!?
ってことは、さっきのギャルも……いたっ。

名前、東堂真里亞
とうどうまりあ
年齢、19歳
部屋番号、201
性癖……レ〇プ

れ、レ〇プって……あんなに気が強そうだったのに、マジか。
ごくり。つばを飲み込み、状況を整理する。
相続の条件にあった住民の健康管理っていうのは、多分この性癖を満たせってことなのだろう。
て、ことは……これから、この美人たちとヤり放題……!?

ほ……本当なのだろうか。これは。
脳から甘い汁が出る。
判断力も低下している中、痛いくらい勃起しているちんこに手を伸ばし……って、なにシコろうとしてんだ俺!

これは……た、確かめねば。

逸る気持ちを抑え、でも急いで、とあるチラシを作った。
俺の写真付き自己紹介と、『お困り事があれば、どんなことでもご相談ください』という文言を添えた簡単なものだ。
これを各部屋のドアポストに突っ込んで回る。

「もし、ここにいる人たちが本当に快楽依存性なら……」

妙に緊張する。はたして、最初に訪れるのは誰なのか……。

荷解きや、管理人用の資料を閲覧すること数時間。
16時きっかり。──不意に、管理人用のチャイムが鳴り響いた。
急いでモニターに向かう。と……いっ、いた。女……しかも若い!

「は、はいっ。こちら管理人室です……!」
『あ……す、すみません。ポストのチラシを見まして……ご、ご相談したいのですが、よろしいですか?』
「ももももちろんですっ……!」

お、落ち着け俺。大丈夫……がっつくと変に思われるぞ。
ゆっくり深呼吸をして、扉を開ける。
扉の向こうには、なんと全国的に有名なお嬢様女子校の制服を着た女の子が立っていた。
で……でかい。ブレザーを押し上げるおっぱい。スカートを持ち上げるでかケツ。
俺は瞬時に、その子のプロフィールを記憶から引っ張り出した。

名前、有栖院浅香
ありすいんあさか
年齢、16歳(JK2)
部屋番号、101
性癖……ザー飲、ぶっかけ、破滅的性行為(避妊具なしの中出し)

そ、そうだ。この子は有栖院浅香……! 潜在的に避妊具なしの中出しが大好きな、超ド変態お嬢様……!

浅香さんは少し恥ずかしそうに指をもじもじさせ、綺麗な黒髪を耳に掛けた。

「あ、あの……初めまして。101の有栖院浅香と申しますわ」
「は、初めまして。雄一郎です。どっ、どうかされましたか……?」

浅香さんは恥ずかしそうに指をもじもじさせる。
腕でおっぱいを挟んでるのに気付いてないのか、今にもボタンが弾け飛びそうだ。

「えっと……す、少し、部屋の方で男手が必要でして。手伝っていただけないかと……」
「あ、ああ、はい。全然大丈夫です」

あ、なんだ。普通に困り事の相談に来ただけか。
やっぱりあの資料は、嘘っぱちだったのか……? 変な期待をした損した。

内心ガックシ来たが、表には出さずに浅香さんの部屋へ向かった。

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