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第八話

若いお巡りさんが電話している間、俺たちは取り調べで話す方向性を決めた。結論として、月葉
るなは
には正直ベースで話してもらうことにした。

「それで大丈夫かなぁ……」

不安がる月葉。幽霊だの地縛霊だのは絶対信じてもらえないだろうが、下手に取り繕っても矛盾が生じかねないので仕方がない。――もちろんエッチなことは黙っておくよう念を押した。俺は彼女の口の端についたケーキのクリームを拭ってあげる。

「終わったらまたここで会おうぜ」

パトカーが土手を下りてきた。ガタイの良い警察官が俺たちを取り囲み、「任意ではあるが、来て欲しい」と半ば強制的に車に詰め込んだ。

(まさか、俺の人生で連行されることになるなんて……)

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事情聴取は夕方までかかったが、一旦俺は帰してもらえた。橋の下で何をしていたか、勤め先はどこか、いつ、どこで手岸月葉と知り合ったのかなど色々と聞かれた。

(疲れた……月葉は帰ってこられないんだろうか。三年も行方不明だったんだから当然か)

パトカーに乗せられたきり、月葉には会えていない。警官に尋ねても彼女のことは答えてくれないし、警察署の前でしばらく待ったが音沙汰はなかった。ふと帰りにあの橋の下を覗いたが空っぽで、俺がプレゼントしたラジオだけが小声で虚しく響いていた。

(明日は月曜日、仕事か……寝よう)

俺はぐったりとベッドの上で意識を手放した。

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水曜日。早朝にふと目が覚める。いつも月葉のもとに出勤前に通っていた名残だ。俺は月葉がいつ帰ってきてもいいように、あの橋の下に向かう準備をする。インスタントコーヒーを飲むためケトルで湯を沸かしている最中のことだった。

――ピンポーン

突如部屋のチャイムが鳴る。宅配業者にしては早すぎる時間。

(もしかして月葉!?)

会話の中で、口頭でざっくりとした家の場所を言ったことがあったため、心の中で彼女がよぎる。

(――でも、部屋番号までは言ってないぞ)

ふつふつと嫌な予感が湧き出る。のぞき穴に目を押し当てると大の男が5人ほどが明らかに俺の部屋目当てに集まっていた。先頭に立つ強面の男は、覗き始めたのが分かっているかのように警察手帳を広げ見せつけてくれた。俺は恐る恐るドアを開ける。

「◯✕県警です。なんで俺たちがここに来たか分かってるよね?」

心当たりは一つしか無い。

「……手岸月葉さんのことですか?」

朝の張り詰めた空気がこんなに重く感じるのは初めてだ。緊張で手が震える。

「そ。あんた、ここに彼女を監禁してたよね?」

当然そうだろ、と言わんばかりの疑問形。だが事実と異なるので俺は勇気を振り絞って言い返す。

「……いえ、彼女を監禁したことはありませんし、一度も家に上げたことはありません」

すると、強面の警官は鼻で笑った。

「へえ、一度も? あっそ。ちなみにこれ、強制処分だから。お前んちこれから上がるわ」

脇にいた警官が書類を広げ、俺に押し付ける。裁判所の印が押された捜索差押許可状。いわゆる令状というやつだろうか。罪名を示す欄には『逮捕・監禁罪』と書かれてあった。その後、有無を言わさず男たちは俺の家になだれ込んだ。

(こんなのドラマでしかみたことないぞ……俺大丈夫かな?)

迫力に圧倒される。すぐに警官たちは目当ての証拠品を探すために、手慣れた風に俺の部屋を探し始めた。

「このパソコン。パスワードなに?」

俺のゲーミングパソコンの電源も勝手に入れられている。正直に白状する俺。

「あなたの通帳。これで全部かな?」

「いえ、ネット口座もあります」

何やら色々と調べられている。その中で捜査員の一人が、見慣れぬ物を持ってきた。

「これは何?」

「風呂の排水溝のあれですかね?」

見ると掃除をサボりがちな小汚い排水溝のトラップだった。とっさに名前が出ずあれと呼ぶ。

「そうじゃなくて、この中のことを言ってんだよ」

「え? 中ですか……」

中と言われても困る。あんまり手で触りたいものでも、口に出したいものでもないし。まあ正直に答えるか。

「私の髪の毛と……脇毛、チン毛やら陰毛のミックスとでも――」

みなまで言うなと警官が遮る。

「この中に手岸さんの毛は一本も入ってないんだな!?」

ああ、そういうことか。分かりにくいな。周りをみると他の捜査員が床などを丹念に探し、女性の毛髪がないか調べているようだった。

(警察官も大変だな。こんなことしたって、何も出てこないのに……)

少しずつ余裕が戻ってきた。どうやら、警察官達は月葉がここで生活していたという証拠と俺がここに彼女を閉じ込めたという証拠を探そうとしているようだった。一度も部屋にあげたことはないので、絶対に証拠はでてこない。お金の動きだってわびしい中年一人暮らしの出費以外でてこないはずだ。

「ちょっと、これを見て」

見せられたのは俺のパソコンの検索履歴だった。

「手岸さんの失踪のこと検索してるけどなんで?」

「これは、彼女と知り合って名前を知った際にふと気になって調べたんです。失踪者だとは知りましたが、彼女は橋から出たがりませんでしたし、成人だったのでとくに何のアクションも起こしませんでした」

すると、強面の男は眉間に手を当て、うつむく。

「あのさぁ……あんたもいい大人なんだから、そういう時はうちに相談するとか、もっとこう……あるでしょ」

「はい……すみません」

常識的に考えるとおっしゃる通りなので平謝りする。警察署でも散々言われたことだ。でも仕方ないじゃないか。地縛霊がいるって相談しても絶対に取り合ってくれないんだから。

「他には……なんもねぇな……」

履歴欄を上にスクロールしながら警官が呟いた。時折、検索したアニメやエロゲのことが目に入るので、俺は少し恥ずかしくなるとともに、申し訳なく思った。

(メディアファイルも調べてるようだけど……)

ふと、俺の一人絶頂動画のことを思い出したが、あれは見るに耐えず削除したんだった。たとえ復元されても全く問題ない。俺がただ恥ずかしいだけだ。

しばらく、俺の家をあれこれ調べていたようだが、犯人であるという確証は得られなかったらしく、警察の人たちは俺の陰毛を筆頭にいくらかを差し押さえ、帰っていった。

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あたしは繁華街の裏路地に面する古びたアパートにやって来ていた。警察の人から教えてもらったママの住所。あたしが失踪してからというもの、住み家を転々としており、特定するのは大変だったようだ。電話をしても繋がらなかったというのだからママらしい。そのため、ノンアポでここに来ているというわけだ。

――ピンポーン

呼び鈴を鳴らす。しばらくの間の静寂。周りを見ると、空き部屋が多いのか封をされていたり、郵便物が溢れていたりする部屋が目についた。中で物音がした後、ガチャリと部屋の戸が開く。

「――なに?」

出てきたのは、ぶっきらぼうそうな無精髭の四十代前後の男、目だけが異様にギラギラし、それであたしのことを見てくるものだから居心地が悪い。腕には派手なタトゥーが刻まれている。

「……あたしのママ、舞に会いに来ました」

「へえ……あいつの……」

男はさらに舐め回すようにあたしのことを見て、奥に引っ込んだ。その拍子に部屋から溢れてくる匂いは場所は違えど、三年ぶりのいつもの「実家」の匂いであった。酒と煙草と放置した生ゴミのような匂い。そして嫌に甘ったるい草の匂いが以前より強まっている。

「おい! おまえのガキが会いに来たってよ!」

男が乱暴な口調でママを呼ぶ。しばらくして、男とママが出てきた。三年ぶりに再会するママは少しやつれていた。

「月葉……」

ママはなんとも窺い難い表情を浮かべている。

「おまえのガキ中々かわいいじゃん」

男はあたしの胸を凝視しニヤニヤと笑っていた。すると、ママの表情がみるみると変わっていく。明らかに正気ではなさそうだ。

「あんた、また私の男を奪いに来たんでしょ!! なにしに来た!」

「そんなわけ無いじゃん! 何言ってるの!?」

ママがいっているのは、あたしを高校に行かせてくれた三番目の父親のことだろう。その男は私にとても良くしてくれ、普通の暮らしができるようにと資金を援助してくれたのだ。当時、あたしは今までの父親と違う彼に心を開いていったが、それに嫉妬したのがママだった。ある日、三番目の父親のスマホをママは見せつけてきた。そこには、あたしがお風呂に入ろうとしているところが映っていた。どうやら、父は脱衣所にカメラを仕込み盗撮していたらしい。勝ち誇ったかのようにママは、「あんたには体しか価値がないんだよ」と言ってのけたのだった。

「何言ってんのお前、月葉ちゃんが困ってるだろうが!」

男はママを突き飛ばす。そして、あたしの腕を強く握った。

「まあ、ここじゃ何だし。部屋に上がっていけよ」

乱暴に腕を引っ張ってくる。痛い。

「やめて……」

こんなの家族じゃない。でも、会いたいと決意したのはあたしだ。

(あたしは――)

あたしの中に新たな強い決意が生まれた。

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