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第九話

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俺が家宅捜索を受けた後しばらくして、スマホやパソコンなどが返ってきた。返却リストの中に俺の陰毛ミックスもはいっていたが、それは要らないので捨ててもらった。どうやら、俺の疑いは晴れたらしい。

俺はあれから毎日毎日あの橋に通った。待っている間は胸が焦がされる思いだった。月葉
るなは
のいうあの酷い母親の元に向かったのだろうか。そんなことを思うと不安で胸が押しつぶされそうになった。

だが、ほどなくして月葉が俺の前に現れた。いつもの橋の下、出られなかった境界を一歩出たところに立っていた彼女は、俺を待ってくれていたようだ。俺は大人だというのに、泣きながら抱擁した。月葉は「大丈夫。これからはずっと一緒だよ」と声を震わせながら、抱き返してくれた。見慣れた制服姿ではなくシンプルめのカジュアルコーデに包まれた彼女を見ると地縛の呪縛からついに解き放たれたのだと改めて実感する。

一緒に帰り、これまでのことを聞く。保護施設に入れられた月葉は毎日のように取り調べを受けていたらしい。なぜ制服姿のままだったのか、周囲の防犯カメラに全く姿が映らなかったがどうやって生活していたのか、俺に誘拐・監禁されたんじゃないか、非親告罪だけでなく親告罪も適用したいので同意をくれないか、――そして、母親の足取りを追っているが探すのに時間がかかるということ。

地縛霊だったとずっと言い張っていたことに対しては、精神科に連れて行かれ検査されたようだ。結果は「精神状態は良好だが、珍しいタイプの記憶障害が見られる」とのことだ。地縛霊なんて普通は信じられないので仕方がない。でも、ずっと信じてもらえなかったという境遇を思うと月葉も辛かっただろう。

――そして、俺への容疑が晴れたあとは、会ってもいいということになり、橋の下に来たのだ。

月葉が帰ってきて数日後、警察から母親の行方が分かったとの連絡があった。月葉は悩んでいたようだが、酷い親でもたった一人の肉親であるため、一度は会いたいと決心したのだった。それを警察に伝え、俺も行くということを言うと、月葉の母親と同居する男が気になるため警官を派遣すると申し出てくれた。――今思うとあれは、俺へのお目付け役だったのかもしれない。

月葉と一緒にアパートに向かい、物陰から再会の様子を見守っていると男が突如声を荒らげ、母親を突き飛ばした後、月葉の腕を掴むので、俺と警官は飛び出し、暴行の現行犯逮捕を行った。少し前は捕まるかもしれない立場だった俺が、今度は逮捕を行うなんてなんとも奇妙なことだ。

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俺は月葉を車の助手席に乗せ高速に乗り、俺たちが住む県に帰ろうとしていた。

「月葉のお母さんとの再会、あんなことになってしまって……会ったこと後悔してない?」

月葉は首を横に振る。

「ううん、後悔してないよ。あれはあたしの中でけじめをつけるためだったから。それに、もう吹っ切れちゃった。あたしはあたしの人生をこれから過ごしたいし、ママはママなりの生き方しかできないんだろうから、もう巻き込まれたくないんだ」

月葉のはっきりとした口調を聞くと、心の呪縛も今日解き放たれたようだった。

「そっか。――おっ! ここのサービスエリア、飯が美味いんだ。パフェとかスイーツも有名でな」

「わ~い♪ 食べる~、お腹ペコペコだよ~。甘いものもちょー楽しみ~」

西日が差す車内に無邪気な笑顔が輝く。この笑顔だけでご飯何杯でもいけそうだ。

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家の近くまで帰ってきた。日は暮れ、対向車のヘッドライトの光が交差し始める。

「なんかこの橋を上から通るなんて変な気分」

ちょうど月葉と毎日を過ごした橋の上に差し掛かる。よく二人で乳繰り合ったものだ。

「そういえば、何がきっかけでこの橋の下を出られるようになったんだろうな。やっぱ、あのケーキが良かったのか?」

それとも、月葉の誕生日だったからだろうか、そんなことを考えていると月葉がはにかんで答えた。

「あたし、どうしてか知ってるよ」

「えっ!? マジ?」

そういうと、月葉はお腹に手を当て大事そうにさすった。

「……赤ちゃん、できたみたいなんだ。それでだと思う。これからもよろしくねおじさん♡ いや違うね、パパ♡」

「……ありがとう。滅茶苦茶嬉しい……絶対、月葉も子供も大切にする」

嬉しさで、フロントガラスが見えなくなりそうだ。これからの人生が楽しみだ。でも、まずは家宅捜索を受けたアパートからはバツが悪いし、引っ越したいな。月葉と一緒に部屋を探すのはきっと楽しいはずだ。俺と月葉と子供、みんなで仲良く暮らせる部屋がいい。

―完―

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