第八話【騎乗位セックス】-今よりもっと受け入れられると思うから
夕食を終えた俺は一人、布団の上でぼんやりとしたままあぐらをかいていた。
セナは俺に歯を磨くように指示すると、即座にどこかへ消えてしまった。一体、何を考えているのだろう。
「えへ、おまたせ」
セナはいたずらっ子のような笑みを携えて部屋に戻ってきた。彼女の愛らしい頬はわずかに赤らんでいて、いつもより緩んでいる気がする。夕食の席で呑んでいた酒が回ったのだろうか。
「あぁ、何かあったのか?」
俺はなるべく平静を装って彼女に尋ねた。
「ん? 大浴場使える時間、聞いてきたの」
セナはにこやかな笑顔で平然と答える。穏やかな表情から感情を読み取るのは難しかった。
「え? 風呂はもう……」
入っただろ。そう言おうとした俺の唇をセナは人差し指で塞いだ。
「わかってるくせに……セックスしたら、汗、かいちゃうでしょ?」
まるで物覚えの悪い生徒をたしなめるように彼女は微笑んだ。セックスという生々しい単語に俺の頬が着火したように熱くなる。
「あとね……じゃん♪」
セナは何かを取り出した。ピンク色をしたビニールが連なっている小さな袋だ。
(コンドーム……だよな)
特徴的な中心部分が円形に浮かび上がった袋は見間違えようがない。
「タケルくん持ってないでしょ? 私もうっかりしてて……旅館の人に話したらあるみたいだったからわけてもらったの」
「ご、ごめん……」
二人で旅行するなら当然俺が考えておくべきだった。
「いいの、いいのー、旅館の人もニコニコだったよー、やっぱり二人で泊まるとそういう人多いみたいでね」
セナは俺の失態を特に気にした様子もなく、ちょこんと身を寄せるようにして隣に座った。彼女の髪からふわりとした柑橘類を思わせるような甘い香りが広がって俺の鼻孔をくすぐった。
「それでね、お風呂なんだけど、やっぱりお掃除したりするから朝まで使えないんだって」
「そ、そうか」
「だから、したあとは部屋のシャワー使ってほしいって……ほら、そこの」
セナは部屋に備え付けられたバス・トイレ一体型のバスルームの扉を示した。
「クスクス、緊張しているの? いいんだよ……」
セナは俺の不安を取り払うかのように微笑みかけた。
俺は彼女が説明するたびに、緊張のあまり吐きそうになっていた。胃の底が不快感で熱くなるのがわかる。セナとセックスをするのは初体験の時以来だ。不意に三ヶ月前の嫌な記憶が俺の脳裏に蘇る。
(違う……考えるなっ!)
俺は頭を振って自分の中に浮かんだ嫌なイメージを取り払う。あの時とは違う。心のなかで何度も言い聞かせた。
「タケルくんも怖いよね……でも、だいじょうぶ、ママに任せて♪」
彼女は胸を張る。浴衣の下からでもわかる大きな膨らみが動作に連動して震えた。俺は一気に風呂場での痴態を回想した。彼女の母性に流せれて甘える自分を思い出し、途端に恥ずかしくなってくる。
「せ、セナ、その、ママっていうのはやめてくれないか」
アレは俺の気の迷いだったんだ。セナが幼児語で変なことを言うから、つい釣られてそんな気持ちになっただけだ。
「やめないよ。むしろ……」
セナは口元を釣り上げて笑う。
「タケルくんが私のことをママって呼ぶまでエッチしてあげない」
彼女はつややかなピンク色の唇を動かしてそう言った。
「は?」
酔っているのだろうか。セナが何を言っているのか俺には意味がわからない。
「タケルくん、ちょっと冷静に考えてみて」
彼女は俺に顔近づけて、真剣にな眼差しで見据える。その勢いに思わず、気圧される。
「例えば、タケルくんのお父さんはタケルくんのお母さんのことをなんて呼んでた?」
突然の質問に俺はあっけに取られた。困惑しながら記憶を掘り起こす。
「母さん、とか?」
正直、俺が幼い頃に離婚したのでよく覚えていないが、そんな感じだったと思う。
「そう、日本の家庭だとそれは普通のことだよね? 男の人が自分の奥さんのことを“母さん”とか“ママ”って呼ぶのは。子供の前だと特に」
「確かに」
別段変なことではない。むしろ家庭内では名前で呼び合うほうが珍しいのではないだろうか。しかし、そのこととこの件に何の関係があるのだろう。話が全く見えてこない。
「私はタケルくんと結婚するんだよ。二人は夫婦になるの。だったら今からタケルくんが私のことをママって呼んでもそれは不自然なことじゃないんだよ」
「け、結婚って……」
いきなり随分と話が飛躍している。俺が24歳でセナが21歳。お互いの年齢を考えたときに結婚という話をするには早い気がする。
「タケルくんは、私と結婚するのイヤ?」
俺の困惑を躊躇と受け取ったのか、明るかったセナの顔にわずかに影が差す。
「い、イヤじゃない!」
俺は咄嗟に否定した。セナみたいなかわいい女の子に好意を向けられて嫌なはずがない。
「急だったからびっくりしただけなんだ。その、別に嫌なわけじゃない」
それは偽りのない俺の本心だ。彼女のことは好きだし、このまま結婚出来たら良いと思っている。
「良かった……でも、それだけだとちょっと不安なんだ」
セナは少しだけ緊張を含んだような真剣な顔を見せた。
「不安?」
意外だ。彼女が俺との交際を不安に思っていたとは知らなかった。
「そう、だからね。私はアカシが欲しいの。タケルくんが私を絶対に裏切らないって保証」
「保証……」
彼女が言わんとすることは理解できる。しかし、この場合何が保証となるのだろうか。
「私をタケルくんの特別だって認めてほしいの……だからね、私の事“ママ”って呼んで」
俺は息を呑んだ。彼女の言い分はわかった。きっとセナなりに強い繋がりを求めた末の結論なのだろう。家族でしか使われない呼び方をすることで、俺と一緒にいるという実感が欲しいのだろう。
「い、いや、しかし……」
俺としても当然、彼女の意思は尊重したい。しかし、さすがに躊躇があった。
「そしたら、もう怖くないから」
ふと見ると、セナの身体は小刻みに震えていた。表情にも緊張が浮かんでいるのがわかる。
「……タケルくん、はじめてエッチしたときのこと覚えてる?」
彼女は唇を震わせながら、あの時のことを切り出した。
「……あぁ」
俺とセナがセックスから遠ざかった要因となった初体験。未だに俺の脳内に苦々しく刻まれている。
「お互いに上手く出来なくて、終わった後も気まずくなっちゃって……」
俺の脳裏にあの時の光景がフラッシュバックする。生臭い部屋、血だらけのシーツ、そして痛みを堪えるセナの涙。あの日以来、俺は自分から彼女に触れることをなるべく避けた。彼女を傷つけたくない一心だった。
「ごめんな。本当にごめん」
謝って済むことではない。お互いに未体験だったことなど言い訳にもならない。理由はどうあれ俺は彼女を心身ともに傷つけた。
「もういいんだよ。気乗りしなかったタケルくんを誘ったのは私だし……それに終わったことだしね」
セナは過去を振り捨てるかのように強く首を横に振った。
「タケルくんはあの日から私のこと、すごく大切にしてくれた。何度も何度も気にかけてくれて……それは嬉しかったんだけど」
彼女はゆっくりと俺の手の甲に手を重ねた。指先から伝わる温度はじんわりと暖かかった。
「でもね、タケルくんが遠くなっちゃった。だからね、傷つけた罪悪感だけで私と一緒にいるんじゃないかって不安になったの」
「!? そ、そんなつもりは……」
俺が気遣うことで彼女に不安を与えていたとは思わなかった。自分の鈍さを呪いたくてたまらない。
「うん、わかってる。でもね、恋人同士なんだから、もっと触れてほしいなって、もっと求めてほしいなって、私に甘えて欲しいなって思ったの」
気づけば彼女は俺の唇を奪っていた。優しく重ねるようにしてお互いの唾液を絡めていく。
「ん……ふぅ……」
温度、触り心地、匂いとそれぞれの感覚を舌先確かめるようにしながら、セナは唇を離した。
「だからお願い。私と家族になろう。私に甘えて、さっきみたいに私の事、ママって呼んで」
セナは俺の首に腕を絡めたまま、慈しむような視線で俺に微笑みかける。恋人というよりもその先、母性を感じさせるような笑顔だった。
「そうすれば私はタケルくんのこと、今よりもっと受け入れられると思うから」
「今より……もっと……」
彼女らしい静かだが、強い決意を感じさせる言葉だった。
「うん、恋人として、家族として……そして……」
彼女の最後の言葉がうまく聞き取れなかった。
「どうしても嫌ならもう言わないから、今夜だけ、ね?」
今夜一回だけなら。それでセナの気分がよくなるのなら、そう悪いことではないように思えた。二人の関係を続けるのなら、いつまでも避け続けるわけにはいかない。コレは俺自身の試練でもあるのだ。
俺はゆっくりと浅い呼吸をした。たった一言なのに緊張が走るのが自分でもわかる。
(いつかはそういう日が来るんだ。ちょっと言うだけじゃないか)
俺は自分に強く言い聞かせて、口を開いた。全ては二人の恐怖を乗り越えるために。
「ま、ママ……」
俺はなんとか発声した。言葉にするとかなり恥ずかしい。思わず顔をそむける。
「そうそう……嬉しいな。家族になったみたい、ねぇ、もっと呼んで」
俺はちらちらと横目でセナの表情を伺う。彼女は安堵と歓喜が混ざったとしか言えない恍惚とした表情を浮かべていた。その顔を確認すると同時に俺のカラダからむくむくとわずかな性の衝動が湧き上がってくるのを感じた。
「ママ……、ママ……」
俺が口にするたびに、セナの表情が目に見えて柔らかくなる。呼び方一つでこれほど喜んでもらえるのなんて。言葉がとても安いものに思えた。
「そうだよー、セナちゃんママだよー……ふふ、ちょっと恥ずかしいかも♡」
彼女は上機嫌にはにかんだまま、すっと淀みのない手つきで俺の股間に手を伸ばした。
「おちんちん、まだちょっとやわらかいね」
彼女の言うように俺のペニスはまだだらりとしていた。休んだとは言え二回目だ。さすがに一度目ほどの硬さはない。
「ふふ、ちゃんとえっち出来るように……私が固くしてあげる」
セナはそう言って俺の浴衣をはだけた。俺が躊躇している間に下着を引き抜くように脱がせると、まだ柔らかさの残るペニスを露出させる。
「タケルくんのおちんちん、かわいいね。いつ見ても食べたくなっちゃう」
彼女は壊れ物に触れるように俺のペニスを愛撫する。細やかな指先の感覚がくすぐったい。
「せ……セナ……」
俺はこそばゆさに耐えきれず、彼女を呼んだ。
「ママ、でしょ?」
セナの声色は優しい、けれども即座に訂正を求められる。
「ま、ママぁ……」
若干の不安のためか甘えた声が出てしまう。
「うん、ママに任せて。ママがタケルくんのおちんちん、元気にしてあげるね」
セナは俺のペニスの根元を固定すると少し湿った唇をペニスに近づける。
「ちゅっ♡」
彼女は愛を示すかのように柔らかく先端に軽く口付けをした。
「うふ、おちんちんさん、嬉しい? ちょっとずつおっきくなってきてるね……」
セナの言うとおり、下半身にだんだんと血液が流れていくのがわかる。
「えっちなカタチ……でも、コレじゃまだ足りないから……んちゅ、おちんちん、舐めてあげる」
彼女は陰茎の根元から先端にかけてゆっくりと舌で舐め上げた。生暖かい感覚が這い、背筋にしびれに似た快感が走る。
「れろ……っ♡ ずずっ♡ ずぶっ、れろ……♡」
丁寧に舌先で拭き上げるかのような動作。舌を通して伝わったぬめりのある感触によって海綿体が刺激され、性的な快感が強まっていく。
「んぷぅ、れろぉ……♡ くふふ、おちんちん、おっきくなってきた。そろそろ食べごろかな?」
セナは髪をかきあげながら茶目っ気たっぷりに問いかけた。無邪気でありながらも淫靡な動作に俺は魅了される。
「いただきまぁす、はむ……♡ じゅぷっ、んぷっ、れろ♡」
彼女の口内に俺の陰茎があっという間に飲み込まれる。
「あむっ……あは、しょっぱい……あむっ、おちんちんの汁、すごいよ……ずずっ、スキマに溜まってるの……んぅふ♡ 全部飲んじゃう……ずずっ♡ んぷっ、れろ♡ んちゅ、ずずっ、んちゅ……♡」
セナはまるでアメでも舐め回すかのように俺のペニスを口内で弄ぶ。生暖かい舌が俺を包み込む。時々やってくれる射精に導く動作とは違う。あくまでも俺を興奮させるための優しい愛撫だ。
「あむっ……♡ ろう? おちんちん、ひもひいい? ずずっ、んぷっ♡ んむ……おちんちん、暖かくて……んむ♡ おいひぃ♡」
彼女の口淫によって俺のペニスはあっという間に固くなっていた。
「んっちゅ、んんっ……ああっ、んふ、ぁむっ、んんっ♡ 、んむ、んっ♡」
フェラチオが立てる粘着質な水音の中に、彼女のくぐもったような喘ぎ声が混ざる。
(セナ……)
ふと見るとセナは俺のペニスをしゃぶりながら、器用に左手で自らの秘所を撫でていた。彼女の浴衣はすっかり乱れきっており、隙間からはみ出る豊満な乳房がふるふると動いていた。柔らかでハリのあるおっぱいがまるでお皿に盛ったプリンのように艶かしく震えている。
「じゅぷっ……んっんんっ♡ 私のおまんこも、すっごい濡れてる。ああっ、んんっ♡ あつぃ……ずぶっ、ぁんんっ♡ ずぶっ♡」
セナは俺の股間に顔を埋め、四つん這いで尻を突き出すような姿勢を取っているためか、形の良いヒップがくっきりと浴衣の生地に張り付いていた。彼女も随分と興奮しているのか白くしなやかな内ももの辺りにぬらぬらとした愛液の汁が垂れていた。
(セナ、あんなに濡れて、乱れて……すごく、えっちだ)
次第に周囲には性臭の芳香が漂い、俺の本能を激しく刺激する。
「ぷっはぁ……」
セナはペニスから口を放した。陰茎は唾液と先走りで濡れ、亀頭は赤黒く輝いていた。
「タケルくんのおちんちん、熱くてエロいよぉ♡ 私も、このえっちな臭い嗅いでるとぉ♡ すっごいコーフンしちゃう♡」
彼女は俺のペニスの硬度を維持するかのように手で優しく擦る。先走り汁と唾液で濡れきった陰茎がじくじくと卑猥な音を立てる。
「ふふ、すごいガチガチ……いま、ゴム、つけてあげるね」
セナはゆっくりと姿勢を直しながら、そばにおいていたコンドームの袋を一つ取ってやぶくと、しっかりと確かめながら勃起した俺のペニスにかぶせた。ぬるりとしたゴムの感触が僅かな不快感を俺に与えた。俺の違和感を察したのか、彼女は優しく微笑みかけた。
「ナマでするのはさすがにね……タケルくんだって今、赤ちゃん出来たら困るでしょ?」
彼女の言うとおりだ。情けない話だが、俺の給料はそれほど高くはない。セナとそして赤ん坊を養えるかと言われたら自信はない。それにセナにだって大学がある。俺の快楽のためだけに彼女を犠牲にするなどあってはならない。
「そんな顔しないで。私もやっぱり妊娠して退学っていうのはちょっと……ね」
やたらと暴走しがちなセナではあるが、その点は線引出来ているようで安心する。
「だからね……」
セナは藍色の浴衣を脱ぎながら俺にまたがった。はらりと帯が解かれ、彼女の肢体が顕になる。
「今はタケルくんを……いーっぱい、かわいがっちゃう」
気がつけば俺は脳に焼き付けるような勢いで彼女の身体を見ていた。肉色の乳首はピンと上向きに張っていた。ほどよく筋力と脂肪が織り交ざった腹部が荒い呼吸で大きく上下しているのがわかる。丁寧に整えられた陰毛は愛液らしき物体で濡れて淫靡に光り輝いていた。
「ママ、キレイだよ……」
俺はたまらず本心を口にしていた。彼女の持つ清潔さと適度な淫らさが入り混じった肉体は見ているだけで本当に興奮してしまう。
「ふふ、ありがと。じっとしててね……タケルくんはおちんちんおっきくしているだけでいいよ♡」
セナはペニスをつかむと、紅色の女陰に先端をあてがった。ゴム越しでもわかる。本能に訴えかける柔らかさだった。
「そう、そのまま……んっ♡」
ゆっくりと腰が下ろされた。ズブリと。突き立てるようにして彼女の膣内にペニスが飲み込まれていく。先端からセナの体内の温度を感じた。不意に初体験の記憶がよみがえる。
――セナの、苦痛に、歪む、顔が脳裏によぎった。
俺は彼女の表情を伺った。悪い予測は見事に裏切られた。彼女の顔は陶酔していると言っていいほど赤らんでいた。初体験のときとは違う、気持ちよさそうで余裕のあるセナの表情に俺は驚愕する。
「ふふ、あの時とは違うよ。ちゃんと出来るように、ちょっとずつほぐしてたの♡」
セナは自信に満ちた顔で俺を見下ろす。そこに弱さは一切感じられなかった。男を飲み込み、支配するような存在感があった。
「だからね。タケルくんはもう、心配しなくていいの。大丈夫、ママが全部リードしてあげる」
彼女はゆっくりと俺に体重を預けるようにしながら、確実に腰を下ろしていく。ぬるりぬるりと彼女の股間に俺のペニスが埋もれていく。
「タケルくんは私のことだけを見て、私だけを感じて、気持ちよくなってくれればいいの」
俺のペニスが彼女の膣の温度に侵食されて、包まれていくのがわかる。わずかに高いと感じる温度が心地よかった。
「そうすれば私も、もっと、もーっと気持ちよくなるから」
ぴたりとセナの動きが止まった。視線を動かすと俺のペニスとセナのヴァギナは根元までしっかりと結合していた。くっつきあった秘所から透明な滴りが溢れているのがわかる。
「あは、おちんちん、おかえり。ここまでこれてえらいね。ママの膣内
ナカ
に帰ってこれた、いい子、いい子」
セナはペニスの位置を確かめるように自身の下腹部を撫でた。うっとりとした上品な顔はさながら子を身ごもった母親を思わせる。
「動くから……じっとしててね」
彼女は結合が解けないように確認しながら、ゆっくりと腰を上下にスライドさせる。ワンストロークするたびにちゅぷちゅぷといやらしい粘着が聞こえてきた。
「どう? ママのおまんこ、気持ちいい?」
二人が繋がった部分からじゅぷじゅぷと粘性の音が聞こえた。膣壁で陰茎がこすられるたびに、きゅうきゅうとセナの膣圧によって肉棒がやわらかく刺激される。
「んっ♡ タケルくんのおちんちん、私の中で暴れてる……やんちゃなんだね」
酒気と熱気を帯びたセナの顔は途方もなく色っぽい。額がかすかに汗ばんで、前髪が張り付き始めていた。
「あっ♡ 気持ちいいトコロ……んっ♡ 当たってるのがわかる……カリかなぁ♡ コレ、ふふ、エッチなところに当たってるぅ♡」
彼女の声にも甘いものが混ざる。俺は何もしていないのだが、セナは自分から動いて気持ちいいところを探しているようだ。
「ほら、タケルくんも……」
セナは俺の手を取った。自らの胸の前に手を持ってくる。
「おっぱい、触って」
彼女の許可が出たので俺は壊れ物に触れるようにして手を動かした。ふよんと。手の中で乳房が形を変える。大ぶりでありながらもハリのある弾力。コリコリと手のひらに当たる乳首の感触がアクセントとなる。
「あぁ……♡」
俺は思わず感嘆の息を漏らしてしまう。
「ふふ、ママのおっぱいどう?」
セナは自信に満ちた表情で俺に問いかけた。
「すごい、大きくて、気持ちがいい」
俺はソフトタッチで壊れ物に触れるようにしながらセナの胸を愛撫する。俺が動かすたびに柔肌に指先が食い込んでいく。
「あっ♡ 今、おちんちんビクって動いた。おっぱい好きだもんね」
セナは腰を上下から前後にこすりつけるような動きに切り替えた。引き締まった腰による柔軟な愛撫。
「隠さなくてもわかるよ、タケルくんのおちんちんは正直だもん。ふふ、こうやってタケルくんが感じてくれてママも嬉しいよ」
「うぅ、ま、ママぁ……」
蚊の鳴くような声で俺はつぶやいた。不覚にもセックスしながら彼女のことをママと呼ぶ状況に俺は奇妙な興奮と安らぎを覚えていた。
「いいんだよー、今のタケルくんは私の家族なんだから、いーっぱいママって呼んで、おっぱいやおまんこに甘えて良いんだよ?」
セナの提案はあまりにも魅力的だった。射精を促すかのように柔肉が俺の陰茎を締め付ける。
「ま、ママっ……♡」
セナのピストンは次第に激しさを増していく。彼女の豊かな尻肉がぺちぺちとに俺のカラダに打ち付けられる。目視すると結合部から激しく愛液が流れ出ていた。
「ママっ、はぁ♡ うああっ、ママっ♡ はぁ、ママのおまんこ♡ ふっ、ふっう、気持ちいいよぅ……うっ♡ うっう♡」
これまで味わったことのない快感。彼女に包まれ彼女の身体の中に入っているという興奮。そして単純でありながらも、他に例えようのない独特の柔らかさと温かさを持つ上下運動。
「ママもぉ、タケルくんのおちんちん大好きだよ♡ ふふ、おちんちんすごいよ。還りたい、還りたいってお腹の中で暴れてるの♡ おなかの奥のほうがきゅうぅうんって疼いちゃう♡」
「ふっ……♡ ママ、ふっあ♡ すご、あっ♡ すごいよぉ、ママのおまんこ、んぁあ♡ あったかい、うあぁう♡」
俺はすっかりセックスの快感のとりこになっていた。これまでに無い刺激だというのはもちろんのこと。セナとつながっている実感、そして彼女をママと呼ぶ倒錯した状況が俺を興奮させていた。
「あぁ、いいよぉ♡ おちんちんが出たり入ったりするたびに、本当にタケルくんを産んでるみたい……おまんこ気持ちいいって……ふふ、おちんちんをを求めちゃうの……ねぇ、タケルくんはどう? ママのおまんこ好き?」
セナは情欲に彩られた瞳で熱っぽく俺に問いかける。
「好きぃ♡ はぁあぁ♡ ママのおまんこ♡ うあぁ♡ 動くたびに締め付けてきて……くっう♡ ちんぽ、くっ、絞られるみたいだぁ♡」
じゅくじゅくと二人の結合部から淫猥な水音が響く。脳を快感の波が襲ってくる。
「よーし、じゃあママが、もーっと気持ちよくしちゃうね」
彼女は姿勢を直して、結合をしっかりと確認した。
「ふふ、ママがぁ、タケルくんの精液、絞り出してあげるね」
セナはそう言って勢い良く身体全体を上下し始めた。全身を打ち付けるような激しいピストン運動。肉と肉がぶつかりあうたびに潤沢に濡れた結合部から激しい音を立てる。大ぶりの胸が目の前でダイナミックに震え上がった。
「ま、ママ♡ ダメっ♡ それ♡ ダメぁ♡ それ、すると、出るぅ、でちゃぅう♡」
俺はたまらず声をあげた。気持ちよすぎて身体中に電流が走り、ビクビクとしたしびれが止まらない。
「いいよ、射精
だ
して♡ タケルくんのイきたいタイミングで射精
だ
して……ママ見てるから、イッちゃうときの可愛いお顔。特等席で見ちゃうから♡」
セナの腰使いは一向に緩む気配がない。力強い上下の動作でありながらも柔らかく締め付ける膣が俺を確実に射精へと導いていく。
「んっ……♡」
セナは身体を倒して、腰を振りながら俺にキスをした。舌全体で貪るようにして、強い口づけが情熱的にかわされる。上も下も彼女に支配されるような感覚だった。
「ぷぅはぁ……♡ んふふ、おいし」
セナのぷるんとした魅力的な口元からだらりと唾液が垂れた。キラキラきらめいた透明な液体が俺の性欲を刺激する。彼女は情熱的に腰を振って俺を求め続ける。もう、我慢の限界を超えていた。
「ほら、ママのおまんこで感じながら、ザーメンいっぱいぴゅっぴゅってしてぇ♡」
彼女のストロークがひと際激しくなり、射精を促すようにきゅううとペニスが膣内で強く締め付けられる。その瞬間、俺の中で我慢していた理性が崩壊し、性への衝動が一気に吐き出される。
「うううぅ、ママ♡ はぁふっ♡ あ、射精するぅぅうう、うっ♡ んう♡ ぐっ……♡」
俺は射精した。ありったけの精を吐き出すような気持ちで思わずセナの腰を掴んだ。ペニスから勢い良く精液が放出される感覚があった。ゴムを付けていることを忘れてしまうかのような密着感があった。
「んっ……あは♡ 出てる。わかるよ、ゴム越しなのに……私のためにえっちなザーメン出してるの、わかっちゃう……あったかいのお腹で感じちゃう、気持ちいい♡」
俺の痙攣が終わるのを待ってから、セナは腰をずらした。じゅぽりと。音を立ててセナの膣から俺のペニスが抜けた。硬度を失った陰茎がだらりと垂れ下がる。
彼女は力の抜けきった俺のペニスをつかむとゴムを引きちぎった。ぱちんと、勢いのよい音がした。破れたゴムから溢れた精液を手のひらに広げてみせる。清楚な手のひらの上に卑猥な白濁が広がった。
「うわー、いっぱい射精したね」
セナは満悦の笑みを浮かべる。
「ずっ……んっん、むずっ♡」
手のひらに集めた精液に唇を当て、いつものように一気に飲み込んだ。
「ふふ、ごちそうさま♡ 今日はいつもより濃いね」
セナは妖艶な笑顔を浮かべながら、覆いかぶさるようにして俺の耳元に顔を近づけた。
「私を妊娠させたい♥って気持ちがあるから……こんなに濃くなっちゃったのかな?」
俺の返答をまたず、セナは唇を重ねた。優しい口づけに心が落ち着くのを感じた。
「ふふ、気持ちよかった?」
彼女は目を輝かせなながら俺に問いかける。汗で張り付いた前髪が色っぽかった。
「ご、ごめ、先に……」
出してしまった。俺が言葉を続けるよりはやくセナは優しく俺の頬を撫でた。
「気にしなくていいんだよ、一緒にイクだけが気持ちよさじゃないから」
セナは余裕のある表情で俺を見下ろす。二回の射精を経て、すっかり消耗しきった俺とは違い、彼女はまだまだ余力がありそうだ。
「ふふ、キレイにしてあげるね」
セナは体勢をずらしてまだ精液が残ったままの俺のペニスを口に含んだ。
「ちゅぅ……ずずず……♡」
彼女は俺のペニスを咥えると残っていた精液を吸い出した。当たり前のようにこくんと喉を鳴らして飲み込む。空想上のサキュバスを想像させるような淫猥な動作に俺はすっかりとりこになってしまっていた。
どくんと。血液が下半身に流れていくのを感じた。
「あ、また固くなってきたね……もう一回出来る?」
セナの無邪気な問いかけに俺は無言で頷いた。射精をしてもまだ足りない。一度だけでは駄目だ。もっと彼女を求めていたい。身体はつらいが、それ以上に彼女を欲していた。
「あぁ、したい。セナと……ママともっと繋がりたい」
気がつけば俺のペニスはすっかり硬さを取り戻していた。
「じゃあ……私がイクまで付き合ってもらおうかな」
セナはニヤリと怪しい笑いを浮かべた。俺のペニスに再びゴムを取り付ける。
「タケルくんのタマタマがザーメン全部吐き出すまで……絞り尽くしてあげるね」
彼女は再び俺の上にまたがった。一度の行為を経て、完全に濡れきった膣が何の淀みもなく俺を受け入れる。
「ふふ……私がイクまで何回出来るかなぁ。愉しみ♥」
彼女は情欲に顔を歪めながら、小悪魔のように口元を歪めて笑った。
「だいすきだよ♥ タケルくん、もう絶対に離さないから」
俺の手にセナの汗ばんだ指先がしっかりと絡められる。皮膚にツメが食い込みかすかな痛みを覚えた。
「俺も大好きだよ」
俺は彼女の指先の強さにかすかな恐怖を覚えながらも、彼女を受け入れた。
「今日は……狂っちゃうくらい愛し合おうね♥」
俺達はこれまでの空白を埋めるようにしてたっぷりと肌を重ねてから、深夜になってからどちらともなく眠りについた。
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